責任と依存(上)
まめたを産んだあとに思ったのは、「親をやめることはできない」という、ごくごく当たり前のことだった。そんな当たり前のことを、本当のところはよく理解していなかったのだということに気がついて、自分でも驚いた。
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「親になる」ことを軽く考えていたつもりはなかったけれど、考えているのと実際になるのとではやはり違った。考えてみれば、これまで取り組んできたあらゆることは、どうしようもなくなったら諦めたり、やめたりしてもいいことだったのだ。仕事だって研究だって、いやになったらやめる自由があったのだ。
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でも、「親であること」は「もうやーめた」というわけにはいかない。それはとても当たり前のことなのだけれど、こうした、「自分の都合でやめられない」ことと直面するのは、人生ではじめてなのではないかと思った。なんとしてでもこの子を健康に育てなければならない、と、バリバリに肩に力が入っていた。(続く)