波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

言葉のケイコ【その七拾玖】

2021年03月30日 | 【保管】言葉のケイコ

 

救世主家族の幸せ

本棚を整理していたら、母から貰った瀬尾まいこさんの『幸福な食卓』が出てきた。とても有名なのについ読まずに先延ばしにしていた本。ちょうど図書館は休館日だし他に読む本もなかったので、読むことにする。そして久しぶりにケイコ、頭が痛くなるほど泣いた。家族の話、人間ドラマ、ラブストーリー、青春譚、成長物語、とにかく全てが詰まっている。4人家族の誰もが私だと思え、誰もが私じゃないと思える。目に見えて崩壊していくのではなく、じんわりとだが確実に血を流し続けているような、そんな小さな傷をいくつも負ったような家族の姿が痛々しい。けれど、家族というものはそういうものなのかもしれない。そしてそれは、悪いものを生むばかりではない。家族のかたちをどう考えていくか、それはやはり家族の中でしか為しえないものなのだろう。でも、家族ばかりが自分の世界の中心ではない。外の世界があって、初めて家族に向き合えることもある。自分の世界を動かしてくれる存在が、救世主として現れることもある。

そんな救世主、小林ヨシコ。とにかくこの女性はすごい。登場時の印象は最悪だったのに、まさかヨシコにこんなに泣かされるとは思ってもみなかった。ともちゃんもいつかこういう人に出会えたらいい。でも最初の印象は最悪だろうなぁ。……まぁ、それも面白いか。ヨシコの良さを見極められる人間に、ケイコがなればいいのだ。

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第26回『ほんのおつきあい』全記録(下)

2021年03月30日 | 読書

※昨日の全記録「上」から続く。

MS(女) 『夫のトリセツ』(黒川伊保子著:講談社新書)、この本の内容を知っているのと知らないのとで男の人の接し方は違うと思う、夫婦の平和と幸せのために学校(家庭科)で扱って欲しい(笑)。育児でも学ぶことが多い★5。『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』(TABIZINE著:パイインターナショナル)、行ったところのない場所ばかりだが、日本ってそれぞれの月や季節でこんなにキレイなんだと感嘆★5。


SN(女) 絵本『木を植えた男』(ジャン・ジオノ作  フレデリック・バック絵:あすなろ書房 )、荒野に黙々と木を植える活動で森が再生していく様子を回想の形で絵本に。フランスの短編小説、フィクションであるが、木を植える人がいたから今の自分がいるという、今の自分が何を残しているのかを考えさせられ大事な本★5。絵本『しろいうさぎとくろいうさぎ』(ガース・ウィリアムズ作:福音館書店)、森に暮らすうさぎたちの真実の愛を素敵なイラストで描いた絵本。白人と黒人の関係をも想起して読めます★5。絵本『はせがわくん きらいや』(長谷川集平:復刊ドットコム)、乳児の頃にヒ素ミルクを飲んだ著者が小さかった頃のことを回想した、風化させてはならない社会問題を描いた大人の絵本★5。

波風立男 このブログでその都度書いてきたので略、というか何を紹介sして何を言ったか忘れてしまったので書きたくても書けません(涙)


交流の折々で話したこと

【今までの中で、心に残っている衝撃的だった本は?】
・村田沙耶香著『殺人出産』3人で生活するのが何かすごく嫌らしい(MS)
・谷崎潤一郎著『春琴抄』こんな愛があるのか、桜庭一樹『私の男』エロく倒錯的(KK)
・『DV夫』と西村京太郎著『上野駅殺人事件』『山の牧場』暴力が凄い(HF)
・佐瀬稔著『コンクリート殺人事件』(SN)
・ドキドキする本を避けている(ママヨ)
・山田太一著『飛ぶ夢をしばらく見ない』悲しく愛に満ちた生と性(波風立男)

【心に残っている絵本をあげると?】
・『いないいないばあ』妹に読んで上げた(MS)
・『百万回生きた猫』『のんたんシリーズ』『ぐりとぐら』『アレクサンダーとぜんまいねこ』(KK)
・林明子さんが描いた絵本(ママヨ)

【男と女の違いを意識すること】
・なぜDVがあるのかと思う、コロナ禍で増えているらしいが(HF)
・性による差別を意識しないで育った、親もそう育てた(ママヨ)
・「男らしさ・女らしさ」を使う人は好きじゃ無い(SN)
・大事なのは人間らしさ、森発言で息子と話した

※メモをせずに聞いていて記録化できず、話していただいた方々にお詫びいたします。

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第26回『ほんのおつきあい』全記録(上)

2021年03月29日 | 読書

2月28日の読書交流会の記録。掲載しておかないと2ヶ月間またぎになってしまうので慌ててUPしました。

KK(女) 『海街ダイアリ-』全巻(吉田秋生作:小学館)、キャラのつけ方上手い、ドラマになる「4姉妹」、チカの存在が大きい★5。『ニシノユキヒコの恋と冒険』(川上弘美著:新潮社)、魅力的で恋愛できて悲しい主人公を交情のあった女たちが語る切ないファンタジー★4。『あの日に帰りたい』(乾ルカ著:実業之日本社)、南西沖地震にあった翌日、少年は見たこともない町に立っていて通りかかったオバさんの家で親の迎えを待つ間の不思議な体験他、時空を越えた奇跡と希望の短編集、解釈の難しさもあり★4。『天使と悪魔のシネマ』(小野寺史宣著:ポプラ社)、やってくるのは天使か悪魔か?ちょっとした加減で普通の人たちの人生は作られる★5。

ママヨ 昨年の11月に伏せていた時、回復したら読もうと思った本『赤毛のアン』、調子が良くなってから空いた時間で読み続け今9巻目。あの村岡花子訳で無く掛川恭子訳。カナダのTVドラマ『アンという少女』で読みたいと思った。大人になったアンの6人の子どもたちの話を素晴らしい観察と表現で読ませる。第一次大戦に向かう時代の子どもの志願に揺れる親心、戦争が始まる前に何が出来るのかを考えさせられる。読んで良かったので★5。

HF(女) 家庭教師をしている中で読む教科書の小説が面白い。中学の時は道徳的に読んでいた芥川龍之介『蜘蛛の糸』だがお釈迦様は思いつき、気まぐれ、想像力不足で糸を垂らし優しいのかそうで無いのかと思う。太宰治『走れメロス』も人間信頼をテーマとするには違和感。宮沢賢治『オツベルと象』の文末「おや、川へ入っちゃいけないったら」は誰が誰にどんな意味で言ったの知りたい。全体に読み物として面白く★5。『心配しなさんな。悩みはいつか消えるもの』(板橋興宗著:秀和システム)、人生に無駄はない苦しみを知ってこそ人は深まるという大らかな言葉の数々に心癒される★5.『愛と祈りの言葉』(マザーテレサ、渡辺和子翻訳:PHP研究所)、生涯を神への信仰と貧者の救済に捧げたマザー・テレサは知っていても言葉はあまり聞かない、本当の豊かさとは何かを考えさせられる★5。  ※続きは「下」に続く。


久しぶりに参加者6人、このぐらいが交流人数としては限界なのかなあ。(波風家のテーブル席が6人)。昨日が今月の読書交流会の予定だったがママヨさんが体調崩し急遽中止。来月の予定日は各々にメールでお知らせします。4/25都合が悪くなりましたので。

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タダには恐い裏

2021年03月26日 | 老人の主張

国のお達しで一昨日送られてきた『マイナンバーカード交付申請書』。中に、申請すると「マイナポイント」5.000円分もらえる、「まだ間に合う!」なんてお誘いも入ってる。元々胡散臭い『マイナンバー』、それを使わせるための『マイナンバーカード』だが、事務手続き上でいつかはカードを申請しなければならない日が来るのかなあと思っていた。カードを落としたり盗まれたりして悪用されたらただでは済まないし、金や健康等の個人情報を国に一括把握されるのはとても恐ろしい話だが。

あ、これはだめだ、まだまだ申請なんかできないぞと思ったのは「5千円あげます」で。合理的な意味がなく金をくれるのはやましさがあるはず。加えて、24日に申請書が届くように送っておいて31日まで可、と言うのがふざけてる。良いことしてやってるんだからつべこべ言わずにさっさと出せ、という感じ。庶民をなめちゃあいけない。その矢先の「マイナンバーカード 本格運用先送り」の新聞記事(3/26朝日朝刊)、やっぱりなあ。政治家も、官僚もだめなのは最近の国会中継で歴然だが、実行部隊の事務方や企業も全然だめというのだから恐ろしい。個人情報を扱う大前提がそもそもなっていないや。これ、重大問題だと思うよ。


波風氏にとって今日は特別な日なのだが、特に感慨も無い。あと10年ぐらいしたら、「特別」を味わえるかもしれない、永いな

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言葉のケイコ【その七拾捌】

2021年03月23日 | 【保管】言葉のケイコ

ドラマ、ジルバ

事を離れてから、テレビドラマをよく観るようになった。仕事に出ていたときは早く寝ていたし、録画していても観る暇が無かった。もちろん好みはある。観ていても正直これはキツいなぁと思うものもある。でも、なんだかこういう時間ができたことが嬉しくて、つい観てしまう。ドラマを観る心の余裕ができたってことだなぁ。そしてこの冬、ケイコの一番のお気に入りは『その女、ジルバ』。40歳を迎えた女性が、とあるバーで働き始めることで自分の生き方を見つめ直していく。「女はシジュー(40歳)から」という台詞が真に心に響く、素敵なドラマだった。このドラマは、年を取ることは決してハンデなのではないということを教えてくれる。けれど、ただ年を取ったから輝くとか魅力的になるとか、そんなことを言っているのでもない。誰だって、いつからだって輝ける。前を向いて自分の生き方に自信を持つことができたら。いつだって今の自分が一番素敵だと、胸を張ることができたら。生きてきた年月に無駄なことはひとつもない。自分がまず自分を愛さなければ、大事にしなければ、前を向くことはできないよと教えてくれる。

ルバの生き方も、そのジルバの想いを受け継いだ者たちも、格好いい。とにかく格好いい。ケイコは生まれて初めて、「このドラマを観ないと損だ」と人に薦めたいと思った。老いも若きも関係ない。素晴らしいものは、とにかく素晴らしいのだ。


【波風氏談】滅多に見ない日本のTVドラマを楽しみにして終わったら妙に寂しい『その女、ジルバ』。人生はそう捨てたものでもないようだよ、っていうのを脚本と演技で静かに楽しませてくれた感じ  ケイコさんの夢も夜開くかな。今日のイラスト、我ながら気に入ってる。

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