波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

「わたしの骨格『自由人』」(金子兜太)

2013年01月16日 | 読書

Photo   俳人・金子兜太氏(93歳)へのインタビューで「わたしの骨格『自由人』」(NHK出版)。「自由人」とは、普通に生きる努力の人で、欲を満たし迷惑かけず、美しい感性で生きる人だという。明るく素直に価値観や人生観を語り、「ストレスの捨て方…嫌なこと5言われたら7で言い返す」、「好きな女性はスケべで感性がひらめいている人」「性的行為は90歳になり自信なくなった」の奔放さに笑う。話引き出す聞き手が鋭い。

         長寿の母うんこのように我を産みぬ

         酒止めようかどの本能と遊ぼうか

  これ俳句?学校で習ったのと随分違うべや(笑)何だか楽しい。絵も書も文も、ある段階越えると「自由」の境地に行きつくのか。社会や時代に向き合いつつ、自由であり続けたいと氏。組織に向かないから、組織使い良い社会を築いたり自由人になるのは無理だとも言う。東日本大震災のボランティアを認めつつ、原発反対の文化人を、自分を不自由にして無理して自己顕示してないかと疑う。「べ平連」の小田実を評価しつつ、原発反対デモへの協力は認めながら主催者になったら決別すると断じる。衰えない感性、深い人間信頼、絶妙なバランス感覚…こういう自由さが個人主義かと思う。自由人の骨格なるものが浮かんでくる。それにしても、個の確立と組織・集団・他者との「自由」な関係は90歳越えても大問題なのか…それが人間なのかと思った。

 原発事故を「2度目の原爆被害…東電の幹部どもの大犯罪、大詐欺」、「『いじめ』を前に、命の大切さは言葉では伝えられない」、「私は死刑肯定」、「イデオロギーで社会をつくる考え方をもう卒業」の一言一言が興味尽きない。小沢昭一さん、山田洋次さん、井上ひさしさんなんかが自由人、簡単になれないと言う。ここらが何とも面白い。
 TVのNHK俳句教室で、氏が登場する時だけ、俳句に興味無いはずのママヨさんが一人で笑って見ていた。押しつけがましくなく、楽しいそうだ。

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