普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

八ツ場ダム問題と民主党と朝日社説

2009-09-19 11:18:09 | 鳩山内閣

 鳩山政権が発足してまた八ツ場ダム建設中止が問題に動き出したようです。
 建設中止が明言された群馬県の八ツ場(やんば)ダムについて、前原国土交通相は、23日に長野原町の建設予定地を訪れ、中止の趣旨説明や生活再建策の話し合いを地元住民と行うことを決めた。
 前原国交相は17日の就任会見で「(八ツ場ダム中止は)河川行政、公共事業の見直しの入り口。小さなところで損得を議論しているのではない」と明言。中止で逆に費用が膨らんでも方針に変更がないことのほかに、建設中や計画段階の全国143のダム事業見直しも示唆した。
産経新聞 
より)
 これに対して朝日新聞はその社説の八ツ場ダム―新政権の力量を見せよ
で次のように述べています。
・群馬県の八ツ場(やんば)ダム建設中止は、たとえ巨額を投じた事業であろうと、(水需要の減少と言う)建設の意義が揺らいでいるのなら見直す必要がある。
・鳩山政権は大型公共工事の全面的見直しを掲げている。地元からも建設中止の声が上がっている川辺川ダムと違い、中止への抵抗が強い八ツ場ダムはその最初の正念場になろう。
・八ツ場ダム構想は、1947年のカスリーン台風で利根川が決壊したことから生まれた。(建設に入って)事業費は1.4倍の4600億円に膨れ上がった。地元対策に1300億円の別予算も組まれている。
・一方で地球温暖化による大渇水、大洪水の懸念は拡大している。洪水対策なら堤防改修の方が即効性があり、やり方次第で安上がりだ。
・事業費の一部を負担する6都県は「このまま造った方が得だ」と主張している。中止するなら負担金返還を求める構え。造りかけの道路や橋は完成させるのか。すでに約3千億円を投じた事業だ。中止のハードルは非常に高い。
 前原氏はダムに頼らない地域振興策と住民の生活再建策をじっくりと練ってほしい。巨額の補償も覚悟しなければいけないかもしれない。
 八ツ場ダムなどの建設中止は、全国で約140の計画中や建設中のダムにも影響を及ぼすだろう。

[私の意見]
 朝日は民主党の主張の線に添って、幾ら金がかかっても八ツ場ダム建設を中止しろと言う立場ですが、私は次のように余りにも大きな問題があると思います。

費用面
 総事業費4600億円の内、執行済み3210億円で残り1390億円
中止に伴う費用
・自治体の撤退以外の理由で事業が中止になった場合、利水費については地方自治体負担の1460億円は特定多目的ダム法で建設負担金を全額返還するとの規定がある。
・治水面での負担525億円の負担には返還規定はないが地方自治体から返還要求が出るのは明らか。
・民主党の言っている地もと住民に対する保障費用
・それに朝日新聞が言うように、ダムに代わる堤防補強に要する費用
これを考えると中止に伴う費用は単純計算でも、
1460億円+治水面での負担金525億円?+造りかけの橋・道路の費用+地もとへの保障+堤防補強
となり余分の支出は残りの1390億円をつぎ込んでもなお数百億かあるいはそれ以上になると思います。

民主党の論理
 幾ら費用を掛けても八ツ場ダムの建設中止をすると言う民主党の論理は
・利水面での必要性はなくなった(治水面の必要性は残っている)
・前原さんの話から推察すれば、八ツ場ダムのように一番問題が多いし、余分の費用がかさむ八ツ場ダムの建設中止で政権の公共工事削減への強い意志を示すことで、他の公共工事の中止で削減できる費用を考えれば、同ダム建設中止にかかる費用は無視できる。
・民主党は八ツ場ダム建設中止を訴えて政権を獲得したのだから、中止は国民の意志だ、特にダム関係の衆院選の関係都府県での圧勝は八ツ場ダム建設中止を求めている住民の意志を示したものだ。(テレ朝の「報道ステーション」の民主党員の説明。)(国民の意志は政権交代への期待で投票したのが大部分(これは鳩山さんも言っている)で、八ツ場ダムのことを考えて投票した人は全くと言って良い程いない。)
 こんな論理で鳩山さんや前原さんが国民や関係者に話をして誰が納得するでしょうか?

地方主権
 民主党は地方分権、地方主権を訴え知事会とその方向を約束をしました。
 そして八ツ場ダムの建設中止に就いては関係の地方自治体の殆ど全ての首長が反対しています。
 勿論、鳩山さんも前原さんも彼らの説得に当たると思いますが、費用面から見た現実、関係地域での民主党大勝は地もと住民がダム建設反対の意志表明だ、この問題は「河川行政、公共事業の見直しの入り口。小さなところで損得を議論しているのではない」と明言。中止で逆に費用が膨らんでも方針に変更がない」と言ってどれだけ関係の首長を納得させることができるでしょうか。
 そして民主党が掲げる無駄な経費削減公約とこの数百億円?の支出の問題を国民にどう説明するのでしょうか。
 もし民主党が関係地方自治体の首長の反対を押し切って、国会の多数を利用してなお建設中止を進めるなら完全に、地方主権無視、民主党政権の数の横暴と言われても仕方がないと思います。
 そしてその調整が難航している間に、異常豪雨による洪水などが 起これば、鳩山内閣崩壊まで行かずとも、その政策実行に大きなダメージを受けることは間違いないでしょう。
 私は前にも書きましたが、鳩山政権は関係地方自治体の首長が支持している八ツ場ダム問題はそのままにして、ダム建設の影響が熊本県内に留まり、関係地方自治体の首長の殆ど全ての人が中止に賛成し、そしてダム本体の工事が進んでない川辺川ダムの建設中止から手を付けて、それをモデルケースにして他のダム建設問題に強い決意で当たるべきだと思うのですが。
 いまの鳩山さんや前原さんの態度を見ていると、このような問題だらけの公約をしたことにこだわり過ぎているように見えて仕方がないのですが。
 このままだといよいよ引っ込みがつかなくなって、駄々っ子のように八ツ場ダム問題にしがみついて問題を大きくするばかりだと思います。
 私は読売の社説の「民主党は公約の「自縛」に陥るな」、産経の「現実直視し公約修正も必要」と指摘するよに、面子に拘り過ぎて八ツ場ダム建設中止に数百億円?の余計な支出するのは止めて現実路線を取る方が良いと思うのですが。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。

政治ブログランキングへ

政治ブログへ

参照:民主党と八ツ場ダム問題