普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

中小企業への貸し渋り

2008-11-02 15:45:06 | 経済・財政

 世界的な金融危機と国内景気の悪化を背景に、中小企業などへの貸し渋りが広がっている。
 それに関する最近の報道を上げてみる。
・政府の中小企業向け対策
 麻生さんは30日の記者会見で世界的な金融危機に対応するため、総事業規模26兆9000億円の追加景気対策を発表した。
 その中で、中小企業向けの対策として、金融機能強化の特別法の活用・改善と中小企業向けの信用保証枠の拡大と減税を含んでいる。
 金融機能強化法改正案について読売の社説
は次のように解説している。
 
金融機能強化法改正案は地域金融機関に公的資金を注入して破綻を防止するもので、今年3月末で期限切れになった公的資金注入の制度を復活し、2012年3月末まで実施できるようにする。資金枠は2兆円程度を確保する内容だ。
 改正案が成立すれば、地方の中小金融機関の破綻を未然に防ぐ枠組みが整い、金融システムの安定性は一段と増すだろう。
 ただし、公的資金は経営に失敗した金融機関の救済のためのものではない。金融収縮が地域経済や中小企業の経営に打撃を与えぬよう、金融機能を正常に保つことが本来の目的である。
 心配なのは、注入制度が十分に有効活用されるかどうかだ。
 3月までの制度では、経営責任の明確化やリストラ実施などの条件を付けていた。それが嫌われ、2兆円の公的資金枠に対して2件、計400億円しか利用されなかった。改正案では、これらの条件が大幅に緩和される。
 それでも、多くの金融機関は、国から経営に口を出されたくないとして、公的資金の受け入れに消極的と言われる。

政策金利の利下げ
 日本銀行は31日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の0・5%から0・2%引き下げて0・3%にすると決め、即日実施した。
 日銀の白川方明総裁は会合終了後の記者会見で、利下げの主な理由として、株安や円高、中央銀行間の国際協調、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げも利下げなどををあげた。

 政策金利とは銀行間の金の貸し借りの目標金利のことで、日銀が銀行の持っている国債や手形などを買い上げ調整して、銀行の負担を軽くしその今回の場合0.3%で金の流通を良くしようと言うものだそうだ。
 然しそれで過去の例にみるように銀行の金が企業とく資金に困っている中小企業に廻るか否かは判らないと言うか、またその金が投資や投機資金に廻る可能性の方が大きいような気がする。

新銀行東京行員の詐欺事件 
 新銀行東京の元行員らが営業実態のない会社の決算報告書などを改ざんして提出し、約5000万円を不正に融資させたとして、新銀行東京池袋出張所の元男性契約社員と融資先関係者ら計7人が詐欺容疑で逮捕された。元行員は在籍した約1年間で約100社23億円の融資を担当。うち十数社分が焦げ付いているそうだ。
 同銀行は石原慎太郎都知事の「東京発金融改革」を旗印に「資金調達に悩む中小企業を救済すること」を理念として誕生したものだが、中小企業の資金繰り対策として看板に掲げてきた無担保・無保証融資を不良債権の急増で、08年以降原則廃止することを決定するなど、厳しい現実に直面している。
 今回の事件も中小企業支援という目的を優先する余りの銀行経営面の甘さから生れたものだ指摘されている。
 そして中小企業への貸し出しが如何に困難を伴うものであるかを示している。

違法貸しはがしで、SFCG顧客ら一斉提訴
 商工ローン大手「SFCG」が、一方的に一括返済を迫るなど違法な貸しはがしをしているとして、全国の顧客ら75人が31日、慰謝料など総額約8300万円の支払いを求める訴えを、東京地裁などに一斉に起こした。
 弁護団によると、旧「商工ファンド」(現SFCG)は9月ごろから、返済が遅れていないのに「担保の評価割れが生じた」などとして、顧客に一括弁済を求める通知を送りつけるなどしているという。
 弁護団によると、SFCGは去年の時点で、破たんした大手証券会社「リーマン・ブラザーズ」のグループ企業から約730億円を借りていて、「リーマン・ブラザーズの破たんで資金を引き揚げられたことが取り立ての背景にある」と話している。
 この背景には長期間の日銀の低金利政策に関わらず、銀行が中小企業への貸し渋りを行い、資金に困った企業は金利の高い商工ローンに頼らざるを得なかったことを示している。

[旧態依然の銀行?]
 ここで目立つのは政府の金融問題への対応、日銀の金融機関支援の動き、それから新銀行東京の不祥事やSFGCの訴訟報道にも関わらず、新聞やテレビで金融機関のアナリスト達の解説はよくみるが、肝心の銀行の幹部の発言についての報道が全くないと言っていいほどだ。
 これは非正規従業員の増大に伴う多くの負の社会現象について、それを提案促進した経団連の幹部の発言が全くないことと良く似ている。
 これから推測されるのは何かあれば直ぐに政府や日銀に頼る経済・金融界の甘えだ。
 新銀行東京の失敗を素人商法だと軽蔑しそれを言い訳にする、中小企業に対する貸し渋りは、政府、日銀の政策の如何に関わらず依然として続くだろう。
 上記の報道を見る限りでは、中小企業にとって、そして日本にとっても一口に言えば八方塞がりの状況という他ないような気がする。
 それを打開するのは、銀行幹部の銀行本来の業務達成の使命感と倫理感に頼るしかないのだろうか。

[旧態依然の政府、日銀の政策?]
 最近テレビで良く出る経済学者の親米派と言われる寺島実郎さん
でさえ、今までの米国中心経済の崩壊とともに世界経済システムが激変したことを良く言っているが、政府も日銀も銀行を支援し企業への貸し渋りのないようにお膳立てをするだけて、後は銀行の自主性に任せる政策を続けて良いものかどうかを考え直す時期に来ているのではないか。

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