12日に「6か国協議」は終わり日本はいよいよ難しい立場に置かれそうの気配だ。
読売新聞は(「6か国」閉幕、日本政府に不満と不安)のタイトルで概略次のように報じている。
6か国協議の首席代表会合の結果は、日本政府にとって不満と不安を残した
日本は、米国のテロ支援国指定解除が発効する8月11日までに北朝鮮の核申告の内容を検証し、そのずさんさを明らかにするというシナリオを描いていた。
斎木局長が検証の早期実施を繰り返し訴えてきたのも、申告内容の検証が完了すれば、指定解除の手続きを「白紙」に戻さざるを得ないような欠陥が見つかると考えていたからだ。しかし、現状では「検証未了のまま指定解除となる可能性が高い」と日本政府関係者は見ている。
日本だけが経済・エネルギー支援に条件をつけている報道発表文に関し、斎木局長は「他の参加国も日朝関係の前進を期待しているということ」と、拉致問題解決への理解があると強調したが、米韓などが日本の負担分を肩代わりすれば、逆に日本の孤立ぶりが印象づけられかねない。
(テレビでは議長国である中国の日本の経済・エネルギー支援への期待と、韓国の代表のそれに消極的な日本へ批判の様子を放送していた。)
「テロ支援国指定が解除され、エネルギー支援の見通しも立てば、北朝鮮は拉致問題で動かなくなる」との懸念が強まる中、「成果」を急ぐ米国を抑える道筋は描けていない。
[李英和・関西大学教授の意見]
これに対して13日の「たかじんのそこまで言って委員会」では北朝鮮問題研究家の李英和・関西大学教授は次のようなことを言っていた。
6ケ国合意で逆に日本は拉致問題解決のための北朝鮮との話し合いがやりやすくなった。
その理由は、もともと小泉さんが訪朝のとき、日朝の国交改善の動きを恐れた、米国が核問題を持ち出して日本を米国主導の6ケ国協議に引き込んだ。
彼の話によると米国は北朝鮮行きの飛行機の中で読むようにとウラン濃縮の動きを書いた文章を小泉さんに渡したそうだ。 (*注)
詰まり小泉さんの訪朝は日本独自の外交だったが、日本は米国の圧力で変更を余儀なくされたのだ。
今回の米国の外交方針の変更(日本から言えば変節)でテロ国家指定解除すれば、米国は日本に対する発言権もなくなるので、日本は日本独自の外交を進めることが出来ると言う訳だ。
一方北朝鮮も非公式の交渉では、日本が上げたリスト外の4人を返すように匂わせているそうだ。
そして李さんはもし今後の交渉でそれ以上の成果を求めるとすれば、日本は国士とも言われるような人に全権を持たせ交渉に当たらせる必要があると言った。
国士は官僚でなく政治家で、誰とは明言しなかったが、最近、問題発言をした加藤さん以外の人と言うだけで具体的に人については口を濁していた。
何故、国士が必要かは、番組では議論されなかったが、私の考えでは、小泉さん訪朝の時から順調に話が進んでいるのなら良いが、これだけ話が揉めた後で、しかも北朝鮮優位の中の交渉で、順調に行かないケースもあり、またいくら話が旨く話が進んでも、国家犯罪である拉致家族を経済支援と言う形の金を払って取り戻すことになり、交渉担当者には大きな批判が起こり、どちらに転んでも担当者は大きな犠牲を払わなければならないからだ。
[私の意見]
話はこれからどう進むか判らない。
核問題が揉めてテロ国家指定解除がキャンセルされて、今までの強硬路線で進むのか、それとも解除になれば日本の経済制裁の効果は激減、今まで頼りにしてきた肝心の米国の援助も口先だけで終わりそうだし、、経済、エネルギー支援に消極的な日本に批判的な中国や韓国の拉致問題に関しての援助も期待薄になり、その足元を見透かしている北朝鮮との孤立無援の交渉となるのかも判らない。
然し日本は形だけでも独立国だから、どの国にも文句を言えない。
最悪の場合(と言っても独立国としては当たり前のことだが)、日本は日本独自の外交を進めるしかない。
そのために如何に外交力の強化を図るべきかを考えるべきだ。
今となっては如何にも泥縄過ぎるが、難しい拉致問題の解決の結果がどうなろうとも、今まで全て米国まかせだった日本が、今後、独自の外交の道を歩くために学ばねばならぬ貴重な教訓として受け取るしかないような気がする。
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*注:小泉さん訪朝と米国からの情報の経過
・2002年8月下旬:北朝鮮核開発の標的は日本とアーミテージ氏が小泉首相に伝える(10月22日報道)
・2002年9月17日:小泉首相と金正日国防委員長が「日朝平壌宣言」に署名し、国交正常化交渉を再開することで合意
なお以後の交渉の経過から考えると北朝鮮の核開発は当面の相手の米国との交渉を有利にする手段が主目的だった。
参照:拉致問題の今までとこれから
なお李英和さんの話と私のブログでの推測とほぼ一致しているが、私がそう思ったのは、小泉さんが訪朝から帰国後、多分2~3日もおかずアーミテージさんだつたと思うが、来日してから日朝の交渉関係の報道の調子が、ががらりと変わったのが心に引っ掛かったことを思い出したからだ。
余談だが、これから想像すると安倍さん達が家族を返さないと主張し小泉さんもそれを認めたのは、米国からの情報で、平壌宣言の日朝友好モードから一変して日朝関係が悪化し、一旦返すと拉致家族の本当の帰国の実現が遠のくと言う判断があったのかも知れないが、勿論これは私の勘繰りだ。