普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

困った官僚達

2007-10-11 16:35:26 | 政策、社会情勢

  私は現役時代に開発途上国に延べ4~5年間南米、中東、東南アジアの3ケ国の技術援助に行ったことがある。
 途上国で同じような経験を持つ人も多いと思うが、殆どは日本の技術を導入したプラントで、殆どは主要の幹部は日本人が占めて、日本式の経営や現場の運営の中の技術指導が大半と思う。
 私の場合は派遣した親会社の方針と思うが、会社の運営や、プラントの運営は完全に合弁のパートナーの現地の会社まかせで、私は純粋な技術援助だけの目的で派遣されたのだ。
 そのため現地の組織に入り込む形のなり、その運営のやり方を直接に経験することが出来た。

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  途上国のスタッフの問題点
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 そこで気がついたのだが、3つの会社とも同じに、会社の発展を妨げている要因の一つとして、私の指導の直接の相手である、設備のメンテナンスの現場の管理者と技術者の場合を考えると、下記のような問題があった。

1.現場に出ないこと
 工場内は技術者や現場の工員はその職責以外の身分があると言う格差社会だ。
・技術者たちと工員の食堂が別なのは普通で、ひどいのはトイレまで違い、技術者は工員達が使って汚らされるのを防ぐためにそれぞれ鍵を持参している国もあった。
 それで、工員などと接触するなど技術者の沽券に関わるという考えの人もいたようだ。

職責が完全に分離していて、技術者は命令、工員はその従って作業すると、完全に別れて、日本のように問題があれば、技術者が現場で指導したり、工員から仕事のやり方とか、設備の改善の提案をするなど、技術者と問題点の解決を相談し合うなど絶無だ。

・技術者が現場経験がないため、現場に出てもすることがない。

2.問題意識に乏しいく、改善などの意欲が湧かない
その理由は
(1)原価意識がないこと
 会計制度が日本では昔やっていた大福帳システムのため、仮に年度末の決算で赤字になっても、記憶に残る大きな故障を除いては、設備のどこに問題があるか、どこを合理化してよいかなどがなど判らない制度になっている。

(2)責任を転嫁する
 設備管理で言えば、工員の能力に乏しい、近くに優秀な設備保全会社がない、運転側が悪い、設備を提供したメーカーが悪いなどの弁解で済まそうとする、メーカー側からプラント側の責任を追求すると、開発途上国だから仕方がないで済まし、まともに動かぬ設備はそのままにされる。

(3)自分の地位を護るために改善などの失敗の危険を伴うことをやらない

3.地位保全に敏感すぎること
・問題のある工員や技術者の馘首など、上司の意志で自由に行われるため、皆地位保全のために、責任を転嫁し、日本では普通の仕事のやり方や設備の改善など、与えられた通常任務以上のことをしない

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  困った官僚達
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 以上読まれ方は恐らく読みながら日本の官僚とその組織について連想されたに違いない。即ち、

[現場をしらないキャリヤー]
 官僚組織はキャリヤー、ノンキャリーに二分かされている。
 キャリヤーの人達は幹部養成のコースに乗せられる。
・そのためキャリヤーが現場の仕事に自分で手を出してタッチする機会はほんの数年だ。

・それ以後は上司としての立場で、二、三年毎に転勤するので、各現場を垣間見るだけだ。

・現場をもっと知りたいと思う人がいても、格差意識が両方にあり、スムーズ連携が取れない。

[問題意識の不足]
 会計制度は予算提出→認可→実行→清算?→完結
その成果の追跡もないか不十分→予算案作成に対する効果測定なし→従ってそれに対するキャリヤーの評価もなし
 勿論与党提出の予算案なら尚更だ。
 これがまともな会計制度と言えるのだろうか。

 石原都知事が都庁に二重帳簿方式を取り入れたと自慢しているが、政府も制度の見直しをする時価になっているのではないか。

 特に途上国の企業のように政府要員の人件費や固定資産も全て固定費として扱われて検討の対象外に扱われている。

 多くの企業はコンピューター導入に伴い合理化を行った。
 大雑把にいって事務系統の仕事は1/3から半分に減ったはずだ。

 それでも、政府の官僚がバブル崩壊→コンピューター導入になって大幅な減員をされた話をまったく聞かないのはどう考えても可笑しい。

[責任転嫁]
 野党やマスコミから予算の無駄遣いを追求されても、政権党の遠慮から都合の良い言い訳をしているが、内心は責任は予算案を認めた国会にあると思っているので、何の責任も感じない
 おまけに与党野党を問わず人気とりのための「ばら蒔き政策」をやってくれ、良い言い訳の種を呉れている。 

 もう一つ有利な点は、官僚の地位が保障されていることだ。
 これが彼らが仕事に甘くなる要因の一つになっている。

[原価意識の欠如→問題意識の欠如]
 だからキャリヤーが考えることは、彼らの予算案が如何に的確なものであるかを示す為に、年度完結の予算を何とかして、一杯一杯につかうことだ
 そのためには、競争入札などして、予算より遥かに少ない入札があっては困るのだ。
 だから何となく民間企業に予算の範囲を洩らしたくなるのは当然だ。

 また余った予算は何とかして使い切ろうとする

 実績主義の予算査定のもとでは、節約などすると次年度の予算が削られかねない

 だから民間企業がやっている、経費削減や合理化などとは全くの別世界のことが行われている。

[地位の保全]
 そのため官僚の余ったエネルギーは企業などでは普通の改善や人員減を伴う合理化などに向けるより、ともすると地位の保全に向けられやすい。
 その要因の一つは50歳頃からの肩たたき制度と言う奇妙な制度もある。

 そのため多くの特殊法人など政府や政党の関与が遠くなる組織を造り、天下り先を確保しようとする。

 またそのためには、民間企業との結びつきを強くするために、何とか便宜を図ろうとする。
 それが談合の温床となる原因の一つになっている。

 一方、企業としては特殊の技術や才能を持つキャリヤーを除いて、現場を知らないキャリヤーを雇っても仕方がないので、政府に影響力のある高級幹部を雇おうとする。
 ここでもキャリヤーが現場を知らないことが人事にも影響している。

 雇われた人もぼんやりしては会社に居場所がないので、企業の期待を担って、政府の現役の人達に圧力を加えたり、なんらかの情報を得ようとする

 以上問題点ばかり書いたが、公平に言って今の官僚やその組織でもうまく行っている省庁も多いと思う。

[困った省庁]
 唯一つ言いたいのは、問題の省庁は竹中平蔵さんも言っていた厚生労働省、農林水産省、など与えるばかりの省と、日教組との確執で(贔屓目で言うが)すっかり変質した?文部科学省の(他の省庁の人から小馬鹿にされたと言う噂を聞いたことがある)ように地方や現場に関係の深い省庁に特に問題が多いことは、日本にとって困ったことだし情けないことだ


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