ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

絹の棺

2016-12-27 04:20:49 | 短歌







たわやめは 絹の棺を とをも縫い ため息ごとの 心を捨つる






*「とを」は「十」です。「トー」という発音も、古語では「とほ(遠)」と書いたり「たう(唐)」と書いたり「たふ(塔)」と書いたりしますね。「とう(頭)」もある。今ではよくわかりませんが、昔は発音が微妙に違ったのです。

こういう細かいことが、けっこう好きです。古語辞典を繰りながら、いろいろと調べています。

たおやかな女性は、絹で棺を十枚も作り、ため息ごとに自分の心をそれに納めて、捨てる。

なぜため息をつくか。それは、男に、心が何も通じないからです。男というものは、頑なに馬鹿を信じ込んでいる。痛いことをすれば万事なんとかなると思っている。だが女は、そんなことをすれば人様を苦しめて、返ってつらいことになるということを、知っている。

だが、それを男に言っても、男は決して女のいうことになど耳を貸しはしないのだ。馬鹿のたわごとだと思って、馬鹿にする。だが、長い目で見ていると、男のやることは、一時期は功を奏してよいことになるかに見えるのだが、すぐに反発をかぶって、だめになってくるものなのです。

で、男はそれで落ち目になると、地道にがんばっていた女の元に転がり込んできて、やっかいになったりすることがあるものなのだ。

結局、苦労するのは女の方だということになるのだが、男はそんな女の気持ちなどわかるはずもなく、偉そうに亭主面をして、女のやっかいものになることの言い訳を、ぶちかましていたりするのです。

どこにも持っていきようのない思いを、女はひっそりと絹の棺に捨ててきたのだ。

まあそういう歌です。

わかる人はいるでしょう。

だがもうそろそろ、絹の棺も縫いあきた。女性たちは男に愛想をつかし始めている。緒が切れた堪忍袋が、そこら中に落ちている。

男の言い訳も通用しない。女につらいことを押し付けて、ずるで何もかもをやってきたことの限界が、とうとう見えてきたからです。

これ以上馬鹿をやっていると、男はもう完全に、女に相手にされなくなりますよ。







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