徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

全国地震動予測地図

2012-12-24 16:03:07 | News Map

■30年以内に震度6弱以上が発生する確率
<政府の地震調査委員会(委員長・本蔵義守東京工業大学名誉教授)は二十一日、日本の各地に住む人がどのぐらいの確率で地震に遭うかを示す「全国地震動予測地図」を改訂した。東日本大震災の影響を取り入れ、余震の可能性を考慮した結果、巻頭では危険度が大幅に増した地域がある。
(東京新聞12月22日付 震度6以上確率増す/予測地図 茨城・千葉など大幅増)


■主な海溝型地震の確率(今後30年間)
<全国の主要な活断層が長期的に見てどれぐらいの確率で地震を起こすかを予測している政府の地震調査委員会は十一日、二〇一三年の新しい予測値を公表した。>(東京新聞2013年1月12日付 東南海 わずかに上昇/30年以内地震新予測値公表)

大震災には本を読む/「橋本治という立ち止まり方」

2012-12-24 02:34:30 | Osamu Hashimoto
10月に出た『橋本治という立ち止まり方』(朝日新聞出版)。
2010年9月に東京都指定の難病である顕微鏡的多発血管炎と診断されてから約四ヶ月間の入院生活、退院した途端の東日本大震災、原発事故と自ら“立ち止まる”というよりも“立ち止まらざるを得なかった”橋本治。さらに前半では日本の経済と生業である出版の未来を憂う(まさにこのあたりは『大不況には本を読む』。誰のせいでもない震災と、どうしたって誰かのせいでしかない事故、そして自らの病気と“立ち止まり”の萌芽は気づかぬうちに見え始め、あるとき一気に、そして同時に噴出する。

そして、みんな、立ち止まった。
不安感だろうが、罪悪感だろうが、焦燥感だろうが、ともかく日本人は立ち止まったはずだったのだったのだが、1年9ヶ月経ってその選択が結果的に自民圧勝なのはあんまりというものである。
“立ち止まった”治ちゃんは、3冊の本を取り上げる。
島崎藤村『夜明け前』、与那覇潤『中国化する日本』、そして安富歩『原発危機と東大話法』。
それは、それぞれ「場所」と「状況」と「立場(関係)」を指し示す。
<本というものは「人を動かすもの」で、人を動かしておきながら、本というものはその「答」をくれない。>
巻頭に置かれた「本の未来、人の未来、社会の未来」でそう書く。読んで突き動かされるように行動する人もいれば、読んで“動かされ、ジタバタ”しながらも自分の「答え」を保留状態にする人もいる。立ち止まったのならば、立ち止まったなりに思考しなければ立ち止まった意味がない。まさに「大震災には本を読む」である。まあ、本は「テキスト」や「ツイート」に置き換えてもいいかもしれない。

「そんなの関係ないもんね」と言い続けても、嫌々ながらも(時に嬉々として)社会と関わり、関係を考え、問い続ける人にとっては身体の変化だって、そりゃ社会と無関係ではいられない。人間、そんなに無神経に、エゴイスティックに生きていられないもんね。いつもながらの時評の一方で、「闘病記」と題する極めて個人的な病状の経過報告、四ヶ月近くに及んだ入院体験記はファンにとっては貴重です。


橋本治という立ち止まり方 on the street where you live
価格:¥1,890
<橋本治の時評エッセーが、いよいよ復活! 2009年の政権交代から11年の東日本大震災まで、日本の社会を立ち止まらせている現状と、その理由が一目でわかる。リーダー不在の国、歴代総理の決断力、原発事故がもたらしたもの、中国の民主化など、話題満載の書。><この国の未来を本当に考えるのであれば立ち止まれ、ニッポン!リーマンショック、政権交代、東日本大震災を経てふたたび歩き出すための英知が、ここにあります。>
登録情報
単行本: 248ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2012/10/19)
言語 日本語
ISBN-10: 4022510013
ISBN-13: 978-4022510013
発売日: 2012/10/19
商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 2 cm

タイジの意志がみんなに伝わるように/THE SOLAR BUDOKAN

2012-12-21 17:11:21 | Music


昨夜はついにTHE SOLAR BUDOKAN

2年間の活動休止から2009年末のTheatre Brook復活、翌年満を持して発表した前作『Intention』と、その時々タイジは「武道館でのライブ」を口にしていた。『Intention』はまさに武道館サイズ、スタジアムサイズなハードロックで、ファンは「2012年の武道館」を期待していたはずだ(正直Theatre Brookの単独ではなかなか難しいよなあ…と思いつつ)。
とにかくオレたちの「2012年末のTheatre Brookの武道館」は決まっていた。本音か冗談かは不明だが理由は“マヤ”だった(はずだ)。とにかく2012年は武道館だったのである。
しかし、そんな理由も吹き飛ぶような“現実”が起こる。

マヤ暦なんぞを待つこともなく、3.11で“世界”は変わってしまった。
2011年3月17日、下北沢・風知空知で行なわれる予定だった「Theatre Brook History's Bar~ありったけ語ります~episode.2」は、急遽「東北地方太平洋沖地震チャリティライブ LIVE FOR NIPPON」とタイトルを変更し、まだ激しく余震が続く中(実際ライブ中、何回も揺れた)チャリティライブが行なわれた。オープニングでタイジとkenkenは「Helpless」を、Leyonaは「You've Got A Friend」を、武藤昭平とウエノコウジは出たばかりのアルバムから「キリンの首」など男気溢れる、鳥肌が立つような歌を、うつみようこは「満月の夕」を、そして「ずっとウソだった」を歌う前の斉藤和義は飛び入りで「歩いて帰ろう」と「歌うたいのバラッド」を感動的に歌った。
まだ状況はすべて同時進行で、ライブは慰霊とも怒りともつかないものになった。

しかし翌月4月14日に行なわれた「3.11チャリティーライブ LIVE FOR NIPPON」(名称変更)では、震災後いち早く「Love For Nippon」というプロジェクトを立ち上げたキャンドル・ジュンがゲスト出演し、今回の武道館ライブ、THE SOLAR BUDOKANのきっかけとなる「YES」というキーワードを提案している(そもそも「LIVE FOR NIPPON」はキャンドル・ジュンの「Love For Nippon」からインスパイアされたものである)。
もう斉藤和義は「ずっとウソだった」を発表していたし、それを受けるようにタイジは「Rock'n in The Free World」を歌っていた。正直なところ個人的には「YES」などという心境にはなれなかったものの、震災、そして原発事故に対して湧き上がる「NO」という怒りと共に、次なるアクションとして「YES」はこのときにすでに差し出されていたわけだ。
マンスリーライブとなった「LIVE FOR NIPPON」での提案は回を重ねるごとに具体化し、「THE SOLAR BUDOKAN」へと巨大化していく。インディーズ電力も100% SOLARSもTAIJI at THE BONNETなど、佐藤タイジプロジェクトと称された各ユニットも2012年12月のSOLAR BUDOKANを目指しても一気に始動していくことになる。

(その後の詳細など等は↓)




そして2012年12月21日、THE SOLAR BUDOKANは目の前に現れた。
ニューアルバムから「キミを見てる」のインストをバックに、ビデオの中でタイジは「私たちの未来は私たちが作ることができる」と宣言する。そして本編のオープニングナンバーは、THE SOLAR BUDOKANの旅立ちの日に、これ以上ないTheatre Brookの名曲「まばたき」。オープニングアクトのときには空席が目立っていた客席もすっかり埋まり、ブドーカンの雰囲気は出来上がっていた。「Theatre Brookの武道館」を目の当たりにして最初から胸が熱くなってしまった(泣いた)。
以降Theatre Brookがハウスバンドとなり、各ゲストが歌うという豪華なフェスになった。特にタイジはオープニングアクトから数えれば3時間30分、ほとんど休むことなくギターを弾き続けた。
とんでもない武道館童貞の「筆下ろし」である。
ほぼ全編見所なのでノーカット版でのソフト化を期待したいところだが(WOWOWで来年3月放送予定、らしい)、特にアコースティックセットのChar以降の盛り上がりは凄まじく、Theatre Brookをバックに吉川晃司、奥田民生、藤井フミヤ、斉藤和義といったソロヴォーカリストが畳み掛けていく展開は「武道館ロック」に相応しい。

そして、ゲストヴォーカリストとして最後に、「よォーこそ」と叫びながら登場したチャボが思いっきりSOLAR BUDOKANの理念を昇華させる。
タイジを労いつつ(スクリーンに俯くタイジの顔が映し出される)、タイジがリクエストした歌として、そして「タイジの意志がみんなに伝わるように」と、ここで畢生の名曲「ガルシアの風」を歌う。

ああ どうにもならぬ事など 何もなかったのです
ああ どうしようもない事など 何ひとつなかったのです

チャボを観るのも久しぶりだったけれども、武道館で観るのはいつ以来だろう。まったく、何で、相変わらず、そして武道館サイズであっても、こんなにも言葉のひとつひとつが伝わるんだろうと思った。このまま終わっても、それなりに楽しくて、充実したライブであったのは間違いないのだけれども、「タイジの意志がみんなに伝わるように」と歌った、この歌は、武道館のオーディエンスを一気にひとつにしてしまった。
オレたちには「どうにもならぬ事」も「どうしようもない事」など、「何ひとつない」のだ。そう思えたし、そう思わされた。
これはロックンロール・マジックです。

すべてが終わった後、タイジはTheatre Brookの4人だけをステージ上に残して「Theatre Brookの武道館」に幕を下ろした。そしてメンバーの一人ひとりに(文字通り)抱きついて喜びを表現した。
その感動的な光景にタイジの名前を叫ばずにはいられなかった。

【THE SOLAR BUDOKAN 2012.12.20セットリスト】
Opening
01.インディーズ電力(うつみようこ、佐藤タイジ、高野哲)/MY ATOM LOVER~レッツゴ―電力~オリジナル電力
02.The Sunpaulo(佐藤タイジ+森俊之)&沼澤尚/Close To You
03.Theatre Brook/まばたき
04.Leyona with Theatre Brook /Tone
05.和田唱(TRICERATOPS)with Theatre Brook/Fever
06.LOVE PSYCHEDELICO with Theatre Brook/LADY MADONNA 憂鬱なるスパイター~Rock'in the Free World
07.加藤登紀子 with Theatre Brook/愛と死のミュゼット
08.A 100% SOLARS(佐藤タイジ×Salyu)/together tonight
09.Salyu with A 100% SOLARS/新しいYES
10.田中和将(GRAPEVINE) with A 100% SOLARS/光について
11.TAIJI at THE BONNET(佐藤タイジ、ウエノコウジ、阿部耕作、うつみようこ、奥野真哉)&増子直純、田中和将/ROCK'N ROLL JEDI
12.増子直純(怒髪天) with TAIJI at THE BONNET/オトナノススメ
13.浜崎貴司&佐藤タイジ/幸せであるように
14.土屋公平&屋敷豪太、佐藤タイジ/Sunshine
15.Char&屋敷豪太、佐藤タイジ/Shin'You Shin'Day
16.Char&屋敷豪太、佐藤タイジ/SMOKY
17.吉川晃司 with Theatre Brook/1990
18.吉川晃司 with Theatre Brook/BOY'S LIFE
19.奧田民生 with Theatre Brook/ルート2
20.奧田民生 with Theatre Brook/マシマロ
21.藤井フミヤ with Theatre Brook、奥田民生/嵐の海
22.藤井フミヤ with Theatre Brook/Another Orion
23.斉藤和義 with Theatre Brook/歩いて帰ろう
24.斉藤和義 with Theatre Brook/やさしくなりたい
25.仲井戸“CHABO”麗市 with Theatre Brook/ガルシアの風
26.Theatre Brook/昨日よりちょっと
27.Theatre Brook/(最近の)ありったけの愛

半島横断/六ヶ所村断層調査地図

2012-12-20 13:36:19 | News Map

<原発や核燃料サイクル施設が集中する青森県・下北半島全体が地質的に原子力施設を設置するには危険との見方が専門家の間で広がっている。このため、原子力規制委員会は六ヶ所村の核燃施設でも断層調査に乗り出す方針を固めた。(中略)断層活動を研究してきた専門家は、下北半島東側沖合にある「大陸棚外縁断層」を活断層とする学説を注視。(中略)規制委が実施した現地調査で、東北電力東通原発(青森県東通村)内に活断層がある可能性が高まっている。これらの断層も大陸棚外縁断層の及ぼす力で形成され、今後も動く恐れがあるという。>(東京新聞12月19日付 核燃施設集中 六ヶ所村で断層調査/規制委方針 下北沖と連動懸念)


■プールの容量はあと何年分?
<六ヶ所村には、既に各地の原発から約1万二千体もの使用済み核燃料が運び込まれ、貯蔵プールはほぼ満杯の状態だ。再処理工場が完成し、プールに受け入れ余力ができるのを待っている。(中略)しかし搬出元の原発に送り返そうとしても、核燃料を受け入れるプールに余力がある原発はわずか。無理に受け入れれば、プール内で原子炉から取り出した使用済み燃料と次に使う新たな作業などができず、稼動できなくなる原発が多い。>(東京新聞12月19日付 六ヶ所村調査 活断層なら原発動かせず/核のごみ行き場なし)

YESの革命、まもなく/シアター・ブルック「最近の革命」

2012-12-19 04:13:25 | Music


シアターブルック、2012年の最新作『最近の革命』。
作為なきパフォーマンスと天衣無縫なギターとは裏腹に、タイジの書く歌詞は実に繊細で、直球で、気恥ずかしいほど真面目である。一曲目「キミを見てる」では、3.11の衝撃から生まれた「ひとつの答え」であり、いよいよ開催が間近に迫ったソーラー武道館とタイジ自身の覚悟が色濃く投影されている。まさにソーラー武道館賛歌ともいえる内容。以降、収録された新曲はどれもが、2011年から2012年のタイジの率直な心の動きが表現されていると思う。ということで、音の方も武道館向けのハードロック大会だった前作とは打って変わって(“ソーラー”かどうかはともかく、2012年末の武道館公演は前作のリリース当時から宣言していたのだ)、原点回帰ともいえるアーシーな感触になっている。

タイジのいう「NOではなくYESの革命」とは、3.11直後から連続開催されている下北沢・風知空知でのシリーズライブ「LIVE FOR NIPPON」でゲスト出演したキャンドル・ジュンの言葉を受けたものだろう。正直言ってその言葉には全面的に賛成というわけではないのだけれども、この場合のYES/NOはコインの裏表、クルマの両輪といったニュアンスで受け止めている。

「YESの革命」は明後日で武道館から始まる。
革命の門出を是非是非多くの人に見守って欲しいと思う。

書き継がれる事実/金曜官邸前抗議

2012-12-19 03:26:15 | News


野間易通さんの『金曜官邸前抗議 デモの声が政治を変える』(河出書房新社)。
大飯原発再稼動反対運動をひとつのピークに、2012年を代表するニュースとなった金曜官邸前抗議と首都圏反原発連合の内幕を描く。
これは昨年リリースされ、野間さんが編集を務めたTwitNoNukes編著『デモいこ! 声をあげれば世界が変わる 街を歩けば社会が見える』(河出書房新社)と対を成すものだろうと思う。野間さん自身が反原連のスタッフであると同時に、まずTwitNoNukesのスタッフで、さらに反原連のシングルイシューの理念を過激に体現しているのがTwitNoNukesなのだから、それはまあ、当然である。『デモいこ』はTwitNoNukesの2011年の成果だろうし、2012年は反原連の立場で『金曜官邸前抗議』という形ある成果が残せたこと、しかもコレもアレも評論の類ではなく、あくまでも「当事者としての表現」というのが素晴らしいと思う。
発言や引用も網羅的で2012年の反原発運動の最前線、爆心地で起こっていた事実を知るための資料性も高い。
個人的には官邸前が盛り上がっていた時期、最前線にはほとんど行かなかった(行けなかった)ので、実際に何が起こっていたのかは後から当日のツイートで知る程度にしかわからなかった。
「君がいる場所が最前線」って誰のツイートだったか。まあ、本物の最前線は別として、それぞれがそれぞれの「金曜官邸前抗議」を体感している。それは変わらないと思うんだけれども。

第三極がバラバラになって民主を食い荒らして、無風状態の自民がなし崩し的に大勝するという、最悪の結果で終わった衆院選明け(個人的には徹夜明け)にAmazonから届いた。もちろんこの結果と事実は本書には反映されていないわけだが、これからも書き継がれるべき運動の真っ只中にいることをひしひしと感じたりするのであった。

野間さんの「金曜官邸前の「欲望」」も併読するとスタンスがよく理解できると思います。

25年目の「危険な話」/テレビと新聞が伝えない 太郎ホントの話

2012-12-19 01:41:04 | News


<出来る限り多くの人にこのビデオを見せて下さい>
『危険な話'88』のジャケットに印刷されたアトミック・カフェ・フェスティバルによる解説にはそう書かれている。リアルタイムで経験したあの“ブーム”でも、この言葉が繰り返し語られていたように記憶する。何とも布教というか、伝道というか、信者じみているが、世紀末に、核の恐怖に慄いてしまった若者たちは熱狂的に広瀬隆の講演を聴いていた。熱狂のピークは「朝まで!生テレビ」に広瀬が出演したときだろうか(あの番組自体、原発問題と同和問題でブレイクしたように思う)。あの頃から反原発とは大手メディアとの戦いでもあった。だからこそ深夜の討論番組とはいえ、あのアンダーグラウンドの、サブカルチャーのスター、ヒロセタカシがテレビに出るというのは、もうそれだけでニュースだったわけだ。
20数年経った今、福島でチェルノブイリを超える事故が起こった日本では、反原発運動の片隅で、ヒロセタカシのネガティブなイメージを拡張して、さらに劣化コピーしたような、実に性質の悪い連中が跋扈している。

DVDで「テレビと新聞が伝えない 太郎ホントの話」を観た。講演会ではなく、山本太郎が広瀬隆に訊くというスタイルで、現在「「地震編」と「放射能編」(こちらは2枚組)が頒布されている。ここには当然ながら、もはやあの当時のような、ある種の暗さはない。
「危険な話」が現実になってしまった今、おどろおどろしい情念や恫喝のような言葉や思考停止した陰謀論の類はもはや必要ない。それよりも溢れかえる情報と論争の中で、オレたちにはただ現実と事実を冷静に受け止め続ける覚悟さえあればいい。すべてはいまだに収束の見込みもなく、同時進行で、白日の下に晒されようとしている。
ずっと広瀬さんの著作を読み続けている人には目新しい情報や知見はそれほどないかもしれないけれども、20数年前に広瀬さんの講演会に熱狂しつつ、大人になってしまった“かつての若者”は観た方がいいんでないだろうか。

ただし<出来る限り多くの人にこのDVDを見せて下さい>とは、今は決して思わない。それよりも、
<これからも、真剣にお考えください、いや、共に考えてゆきましょう。行動する時が来ていることを私の強い意見として述べ、これを最後の言葉といたします。>(広瀬隆『危険な話 チェルノブイリと日本の運命』新潮文庫)
の言葉が、やはり今は一番しっくりとくる。
身体性のない「行動」はいつだって「情報」を歪なものにする。


We Are Not Alone

2012-12-17 09:20:50 | News
今回の衆議院選挙は残念な結果に終わってしまったけれども、オレらは今回投票に行かなかったミッシングリングを探すためにデモり続ける。抗議し続ける。まだ予定は出てないみたいだけど、昨夜の反原連のアナウンスによると今週も、来週も官邸前抗議はある模様(昨日は久々にパックイン…というか、朝日ニュースター終了以来初めてキンキンのネットTV観たな…)。

昨日の今日でネガりたい気持ちもわからないでもないが、We Are All AloneじゃなくてWe Are Not Aloneでいこう。

30日で餓死/近代完全養殖マグロ捕獲地図

2012-12-16 17:04:35 | News Map

<人工環境でふ化し飼育された完全養殖マグロの幼魚約千八百匹を和歌山県串本町沖などから十月に放流したところ、十二月までに静岡県から和歌山県にかけての海で八匹が捕獲されたと近畿大水産研究所(和歌山県白浜町)が十三日、発表した。(中略)幼魚は、餌となる魚を捕らえられないと約三十日で餓死するとされる、放流から三十日以上経過して捕獲されたのは二匹で、十一月二十五日に三重県紀北町沖で釣り上げられたクロマグロは、体長が約二四㌢から約三五㌢に成長。重さも約一〇〇㌘から約七〇〇㌘に増え、餌を食べて生き残っていた。天然のクロマグロも同時に釣られ、群れに混ざっていたとみられる。>(東京新聞12月14日付 完全養殖マグロ 大海に戻る 近畿大が初確認/放流後も、すくすく 個体数の確認、貢献期待)

25年間放置/志賀原発活断層調査地図

2012-12-09 02:51:20 | News Map



<北陸電力志賀原発1号機(石川県)の直下を走る「S-1断層」に活断層の疑いがある問題で、旧通産省が一九八七年に現地調査した際、専門家顧問が「(岩盤の上の地層が)堆積後に段差が生じた」と指摘し、活断層である可能性を示していたことが、原子力規制委員会が公開した資料っで七日、分かった。(中略)S-1断層の問題は、旧原子力安全・保安院の専門家会議が今年七月に「活断層の可能性が高い」と認めるまで約二十五年間放置された。>(東京新聞12月8日付 志賀原発 25年前 活断層疑い指摘/現地調査の専門家 規制当局は放置)

今日も素通り/行政代執行、改め亀戸・竪川強制排除地図

2012-12-08 03:34:37 | News Map

<ライトアップされた東京スカイツリーに照らされる東京都江東区の竪川河川敷公園。ここでテント生活を送る野宿者たちが、公園から追われようとしている。江東区がテントを一掃するために、二回目となる行政代執行(強制撤去)に踏み切るというのだ。すでに区は、野宿者や支援者たちとの話し合いを打ち切った。><そして、区はいま、二回目の代執行に着手しようとしている。前段として、今月三十一日午後五時までにテントを撤去するよう命令を出した。>
(東京新聞10月29日付 江東区「野宿者排除」で行政代執行へ/テント並ぶ竪川河川敷公園/被災男性「ここしかない」「仲間と助け合って生きている」/区の二重基準に不信感/「副堤」対応に差/「危険」のイメージつくっている)


<二十年ほど前まで、横浜で荷役をしていた。「そのころ区議選の投票をしたのが最後だな」。以来、住所が定まらない生活をしてきた郡司さんの元には投票権は届かない。「投票はしたい。でも、今は今日、明日と仲間のことを考えるので精いっぱい」。「原発とかTPPも大事。でも根っこの話で、人権を守るのが大事ってことを言う人がほとんどいないもんな」。>
(東京新聞12月7日付 私たちの手で 都知事・衆院同日選/人権守る話は聞こえない/排除進める中 選挙カー素通り/野宿者ら「都市問題に目向けて」)

基礎工事は着工/放射性物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験地図

2012-12-08 02:46:13 | News Map

<福島県鮫川村(人口4千人)で、環境省が計画する高濃度放射性廃棄物焼却施設の建設工事が五日、中断した。原因は環境省の“大ポカ”。ダイオキシン法と同県の条例に基づく県の審査が終わらないうちに、基礎工事を始めていた。住民らはその慌てぶりの背景に何があるのか、いぶかっている。>
<焼却施設は福島原発事故後、各地で処分が滞る汚染稲わらや牧草処理のモデルケースを目指すとして、環境省が鮫川村に建設を計画した。事業費は七億三千五百万円。「放射能物質を含む農林業系副産物の焼却実証実験」という名目だ。一㌔当たり八〇〇〇ベクレル超の高濃度汚染物二十八㌧を含む計六百㌧を二十ヶ月で焼却し、「焼却灰の濃度を低く抑える実験をする」(環境省廃棄物対策課)というが、説明会などは開かれず、周辺住民らの安全性への懸念が高まっていた。この焼却施設の処理能力は一時間当たり百九十九㌔。この規模だと、設置にはダイオキシン対策特措法と福島県生活環境保全条例に基づく届け出が必要となる。(中略)工事中止の詳細について、環境省廃棄物対策課の高橋雄詞主査は取材に「基礎工事が着工に当たるとは認識しなかった」と話している。>
(東京新聞12月6日付 放射能汚染物の焼却施設/審査待たず着工/環境省 違反発覚で工事中止)

まだ始まったばかり/アフシン続投の件

2012-12-07 23:22:15 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14
アフシン・ゴトビ「我々の仕事というものはまだ始まったばかりです」(Sの極み12月7日付)

アフシン体制の3年目が決定した。まだ契約内容は伝わってはいないけれども、今日のSの極みではエスパルスと清水のブランドにまで言及して“4年目以降”のヴィジョンをボジティヴに示しながら来季の戦いを語っている。
サポーターやクラブ、プレーヤー、そしてもちろんアフシン自身だって、1年目、2年目(途中)の結果には満足していないだろう。契約1年目が健太体制崩壊後のほとんど一からの建て直しだったこと“2011年の日本”という実に特殊なシーズンだったことを差し引いたとしても、アフシンは少なくとも1年目にカップ(ファイナル)に手が届く程度のぐらいプランと自信は持っていただっただろうと思う。
“内容”は悪くないのだから、「足りないもの」はもう明らかになっている。
春先の絶好調からアウエイ仙台戦との頂上対決をピークに崩れ落ちるような長期の未勝利ロード(まるで2011年シーズンの「0-4」3連敗のような)、そしてナビスコファイナル以降の11月の悪夢のような4連敗も、そこに「足りないもの」があったのならば“結果”はまったく逆になっていたとしてもおかしくない。
アフシンは4年目以降のヴィジョンを語る。しかしそれは来週から再開する天皇杯と2013年シーズンの“結果”にかかっている。
2013年は2010年のような「勝負の年」になる。

これからしばらくは契約更改や補強にも注目しなければならないけれども、すでに勝負の2013年シーズンを楽しみにしている。

シングルイシューのために/針谷大輔「右からの脱原発」

2012-12-06 05:01:44 | Books


統一戦線義勇軍議長であり、右から考える脱原発ネットワークの主宰者である針谷大輔さんの『右からの脱原発』(K&Kプレス)。
まず3.11直後に支援活動として赴いた福島県広野町で目撃した理不尽な光景、6.11脱原発100万人アクションでのスピーチ妨害事件から、右から考える脱原発ネットワーク(右デモ)の立ち上げとデモ・抗議行動の始まりまでをスピーディーに語っていく。針谷さんが抱いていた違和感や嫌悪感は、3.11後の推移を見守っていた3月から行動を始めた4月から6月まで、オレ自身が抱いていたデモ・抗議行動に感じていた違和感に似ている。実際、3.11後から行動を始めた人たちは共感する部分も少なくないのではないかと思う。

これは思想的な問題ではなくて、
本当は別の目的があるんじゃないのか
とか、
というか、
本当に伝わってるのか、伝えようとしているのか
とか、
ついでに言えば、
必死で、真剣なのは伝えたいけれども、ダサくてカッコ悪いの嫌だな
とか。主張として、デモンストレーションとして、プレゼンテーションとして、実に根本的な疑問を抱いた――そういうことなのである。

そしてこの年の7月末に3週間連続で、都内でデモが開催された。TwitNoNukesの3回目の渋谷・原宿デモと右から考える脱原発ネットワークデモと素人の乱8.6東電前デモだ。
この3つのデモは3.11直後の春に行なわれていたデモへの批評になっていたと思う。本格的に立ち上げて間もないTwitNoNukes、これが第1回目の開催である右デモからはシンプルで混じりっ気のない主張の熱気を感じた。すでに春から「有象無象」を掲げ、繁華街で歩行者を巻き込みながら巨大化することで名を馳せていた素人の乱は抗議行動でも同じ手法を繰り返したことで限界を感じた(事実、素人の乱は翌9月に新宿で大量の逮捕者を出して大失速してしまう。あれは8月の東電前デモでの“消化不良”が遠因にあったんじゃないかと見ている)。

ここで、おそらく初めてシングルイシューが大きな意味を持つことになる。
運動はまず拡がらなければ意味がない。針谷さんは右デモのきっかけと意図を、ひたすら「脱原発は左翼だけのものではない」「脱原発に右も左も関係ない大衆運動にしなければいけない」と書く。彼が掲げているものが左右の運動界隈の歪さを証明しているのはスタート直後から明らかだったわけで、彼(ら)はシングルイシューの一極を(あえて)担ったわけである。そして針谷さんが指摘するまでもなく、すでにもう一極は(後生大事に)「左」が抱えていた。
右と左が同じテーマを掲げれば、そこに誰もが入れる「場」ができる(TwitNoNukesはその中核を体現しているわけだけれども)。
本書の中盤から後半にかけては経産省前に建てられた脱原発テントひろばとの対話、TwitNoNukes、そして反原連、官邸前抗議への言及と続く。これは彼(ら)がシングルイシューのためにいかに行動し、それを実践していったのかという記録になっている。
反原連の首相との会談についての記述は少々穿ち過ぎな感も無きにしも非ずだけれども、これは右デモ版の「デモいこ!」とも言えるし、この脱原発運動におけるシングルイシューを理解する上では読んでおいて損はないと思う。

【関連エントリ】
コール&レスポンス/TwitNoNukes#3(7.23)
「場」を拡げるということ/右から考える脱原発ネットワークデモ7.31
空白地帯で馬耳東風/素人の乱8.6東電前デモ