ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

別に騒ぎたてるほどの発言ではない

2009年04月01日 | 倫理・道徳関係
『流産させる会』について勝谷誠彦氏「どこの学校にも多少ある。わざわざ騒ぎたてるほどのことでない」(痛いニュース)

コラムニストの勝谷誠彦が「『流産させる会』というネーミングをつけなければ、どこの学校でも多少ある。わざわざ騒ぎたてるほどのことでない」と。
この勝谷のコメントにスタジオは一瞬シーンと。タレントの三船美佳が「この男の子たちは、大人になり父親になった時に、自分たちのしたことの重大さを知ることになるのでしょう」。



 取り立てて騒ぎたてるような「失言」ではないように思える。ネット上では大ブーイングの様相だが、勝谷は、「流産させる会がどこの学校にもある」とも、「これが大したことではない」とも言っていないのではないか。

 ただ、「こういう悪質ないたずらはたいていの学校に厳然と存在しており、殊今回のケースだけを集中的に騒ぐ必要はない」という程度の発言ではないだろうか。もちろん、言い方が軽率であった可能性は十分あるが。

 とりあえず、周囲の人間は落ち着いたほうがいい。

 私は以前、学校における「いじめ」について調べたことがあるが、現在の学校で行われているいじめは、我々の想像を遥かに上回る悪質さ、陰湿さ、そして凶悪さが同居した、非常に恐ろしいものになっている。

 ネット上におけるいじめは言わずもがな、そして教師に対する暴力や傷害行為も悪質さを増している。平成17年から19年にかけて対教師暴力、生徒間暴力ともに増加しているとの調査結果もある。

 もちろん、増加=凶悪化ではないが、こうした「事件」は氷山の一角で、どこの学校にもあるとは些か言いすぎだろうが、我々の思っている以上に多くの学校においてこのような「事件」が水面下で起こっていることは想像に難くないはずだ。善意に解釈しすぎと批判されそうだが、勝谷の発言の意図は要するにこういうことだったのではないだろうか。

 ネーミングはおぞましく、とてもまともな中学生の発想とは思えないが、その名称とは異なり、中身はやはり「中学生」のレベルの抜けきれない悪戯のものであったろう。だからといって、言っておくがこの中学生を庇うつもりは全くない。ただ、中学生というのはわれわれの思っている以上に精神的に幼く、自分のやっていることがどういう結果を生じさせるのか、的確に把握できるほど精神的にも経験的にも成熟していない。 



 ちなみに、今回の「事件」が殺人未遂になるという指摘があるが、それは間違っている。胎児を殺害した場合は殺人罪よりも罪の軽い「不同意堕胎罪」が適用され、6か月以上7年以下の懲役になるだけである(刑法215条)。なお、これは未遂も罰することができる(同条2項)。

 これも余談であるが、塩とミョウバンではいくら頑張ったところで人を殺すことはできない。戦前の大審院判決で、味噌汁に硫黄を入れて人を殺そうとした事件についての判決があるが、そこで大審院は「殺害の目的で硫黄粉末を飲ませたとしても、殺人の方法としては不能犯であり、殺人未遂にはならない。」と判示している(大審院大正6年9月10日)。

 つまり、塩とミョウバンで殺害を試みたとしても、それは不能犯であり、このような殺人手段は丑の刻参りと同じようなものなのだ。犯罪目的の達成が不可能なのだから、不能犯なのである。そもそも教師を殺そうとしたわけではないので、これは問題にならないが、念のため。



 私もこの中学生らが行っていた行為は、犯罪と同視できるものと考えていいと思っている。しかし、それは勝谷とて同じなのではないだろうか。勝谷の肩を持つ構成になってしまったが、勝谷を感情に任せて非難しても、そこからはこういう類の事件をなくす生産的な対策は何も見えてこない。まぁ、騒ぐのが目的ならお好きにどうぞ。

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2 コメント

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Unknown (ニコ)
2009-04-02 00:03:30
確かに勝谷さんを叩きたいだけの人が
煽ってるだけに見えますね…^^;

叩いてる時間を
周りの子供にイジメはよくないって
説くのに当てた方が効果ありそうです…。
ニコさん (管理人)
2009-04-02 00:44:07
コメントありがとうございます。

この中学生たちがした行いは教師に対するいじめだと思うのですが、今必死になって勝谷を叩いている人たちも、それが一歩間違えると(ネット上での)いじめになるということを分かってもらいたいですね。

今の日本の社会は、すぐに自身と違ったり、相いれない言論を、差別だの不適切だのと断言して封殺する傾向が強くなっていると思います。

自分みたいな意見があれば、それと異なる意見もある。これは光があれば影があるように当然のはずなのに、今の人たちはこの基本的なことを理解しようという気がないように思えてなりません。

ある意味、日本は危険な方向に向かっていると言えますね。だから、私が敢えて勝谷を擁護してみせたのです。

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