ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

おバカな仙谷さん、「習熟」以前の問題ですよ

2010年09月29日 | 外交事情考察
仙谷官房長官反省…「中国に習熟すべきだった」(読売新聞) - goo ニュース

 仙谷官房長官は29日午前の記者会見で、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐる日本政府の一連の対応について「司法過程についての理解が(日中間で)ここまで異なるということについて、もう少し我々が習熟すべきだったのかなと思う」と述べ、当初の見通しの甘さを認めた。
 仙谷氏は中国人船長以外の乗組員14人と船体を中国側に引き渡す方針を決めた13日の記者会見で「船員と船が(中国に)帰れば、違った状況が開ける」と事態打開への期待を示した。しかし、中国はその後も反発を強めた。
 これについて、仙谷氏は「『中国も理解してくれるだろう』と判断していた。(中国でも)司法権の独立とか、政治行政と司法の関係が近代化されてきているとの認識を持っていたが、あまりお変わりになっていない」と指摘した。



 仙谷の読みの甘さは遥か前からすでに分かり切っていたことだが、それにもまして重症なのは、彼がいまだに今回の「失敗」の原因を、「司法過程の違い」などというものに求めている点だ。

 この、仙谷の救い難い(とは言っても、救うつもりはさらさらないが。)アホさ加減を明らかにするために、今一度、今回の件についての、日中両国の主張を整理してみよう。


 まず、日本の立場

→尖閣諸島において、領土問題は存在していない。

 次に、中国の立場

→明治初期より、釣魚島は中国領土である。


 ここで分かることは、両国とも尖閣諸島を「自国固有の領土」と認識している点だ。このことを法的に考えれば、両国とも尖閣諸島において適用される法律は、自国の法律ということになる。

 ということは、中国からすれば、尖閣諸島沖で起こった事件について、同諸島が中国固有の領土と認識している以上、そこにおいて日本の法律が適用されることそれ自体、もはやあり得ないことなのである。

 したがって、船長が日本の法律により身柄を拘束されること自体、中国からすれば許されないことになる。中国からしてみれば、自分の家にいたにもかかわらず、外国の法律を適用されて逮捕されたに等しいのだ。

 このように、中国からすれば一方的に日本が自国の法律を適用しているのであるから、これに「強烈な対抗手段」を講じることは当然の対応といえる。

 要するに、法の適用を小前提と考えるならば、日本と中国との間では小前提である法適用の前提となる、いわば大前提となる領土の帰属について見解が分かれている以上、仙谷のように、「司法過程の違い」などとい点に今回の原因を求めることは、非常に頭の悪い人間のやることなのである。

 「司法過程の違い」が本当に今回の原因なのであれば、その場合、その小前提の前提である大前提について両国の見解が一致していることがなければならないが、周知のように、そのような事態には全くない。



 仙谷は「読みの甘さ」と弁解しているようだが、このようにそもそもの前提すら理解できていなかった者が指揮をしていたのだから、読みの甘さ以前に、今回日本が「敗北」するのは最初から明らかだったのである。

国際司法裁判所を使うな

2010年09月29日 | 外交事情考察
前原外相「船長逮捕は当然」 再発の場合も逮捕の考え(朝日新聞) - goo ニュース

 前原誠司外相は28日午前の参院外交防衛委員会で、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件について「漁船が海保の巡視船に体当たりをし、(巡視船が)沈没したかもしれない悪質な事案であり、公務執行妨害での逮捕は当然だ」と述べ、逮捕の正当性を強調した。斎藤嘉隆委員(民主)の質問に答えた。
 前原氏はまた、「同様の事案が起きればまた日本の国内法に基づいて対応するのは当然だ」と語り、同様のケースが再発した場合、逮捕もありうるとの考えを強調した。海上保安庁が撮影した事件当時のビデオテープについては「明白に中国漁船がかじをきって体当たりをしてきた。故意ではなくてミスで当たってきた場合は、当たる瞬間とか直前とか、当たった後でエンジンを逆回転させて(海上保安庁の巡視船から)離れる措置をとるはずだが、そういった形跡はまったくなかった」と状況を説明した。



 なぜ、タイトルのように書いたのか。答えは明確かつ簡単である。その前にまず周知の前提知識として、国際司法裁判所に提訴するには、関係国両国の合意が必要である。つまり、日本だけでなく、中国の合意をも必要ということだ。

 それでは、どうして国際司法裁判所を使うなと言うかというと、それは、中国が日本の提案に同意するという確証はどこにもないからである。

 これまた周知のとおり、日本の立場というのは、(一部閣僚でも知らない者がいるのには唖然とするが)「尖閣に領土問題は存在しない」というものである。

 にもかかわらず、中国が同意する保証もないのに危険をおかしてまで、日本が国際司法裁判所への提訴を提案するとなると、上記の見解を否定するだけでは済まない。

 もし中国がこれを拒否すれば、日本は自主的に尖閣は領土問題と認めただけで、しかも中国が拒否すれば提訴もできないという、日本にとって何の得にもならない結果がもたらされる可能性が高いからだ。つまり、日本の自爆で中国がメシウマということになりかねないということだ。


 よって、国際司法裁判所に提訴することによって尖閣問題が解決できるなどという淡い期待は抱かぬことだ。

ただし、日本にも落ち度はある

2010年09月20日 | 外交事情考察
中国、閣僚級以上の往来停止=「強烈な対抗措置」と警告―日本の船長拘置延長に反発(時事通信) - goo ニュース

【北京時事】中国外務省は19日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で起きた日本の巡視船と中国漁船の衝突事件を受けて、日中間の閣僚級以上の往来の停止、航空路線増便の交渉中止、石炭関係会議の延期などの措置を取ったことを明らかにした。
 王光亜外務次官は同日夜、日本側が中国漁船船長の拘置延長を決めたことを受けて、丹羽宇一郎駐中国大使に電話で抗議し、「日本側が船長を即時無条件に釈放しなければ、強烈な対抗措置を取る」と警告。「中日関係は既に深刻な損害を受けており、今後事態がどう発展するかはすべて日本側の選択にかかっている」と強調した。
 北京の日本大使館によると、丹羽大使は事態をエスカレートさせないよう、中国側に冷静かつ慎重な対応を求めた。また、中国側が機材を搬入したことが明らかになった東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)について、一方的な開発行為を控えるよう要求し、「これまでの合意に反するようなことがあれば、しかるべき措置を検討せざるを得なくなる」と申し入れた。
 日中間では小泉純一郎元首相の靖国神社参拝を受けて、首脳や閣僚級の相互訪問が中断したことがある。中国側が今回の衝突事件を「領土、主権にかかわる問題」として強硬な姿勢を示したことで、日中関係に大きな影響が出るのは避けられない見通しとなった。
 中国側は事件後、東シナ海の天然ガス開発をめぐる日中政府間の条約締結交渉や、全国人民代表大会(全人代)幹部の訪日を延期した。このほか、ガス田に機材を搬入したり、海洋監視船の活動を活発化させたりしたほか、中国企業の訪日観光団取りやめも明らかになっていた。



 タイトルにはこのように書いたが、前のエントリーにおいて述べたように日本に非はない。したがって、これは日本が現在中国に対して執っている手段を批判するものではない。そうではなくて、日本のいわば「リスク分散」について、日本にも落ち度があると言っているのである。


 ここで言う「リスク分散」とは、わが国の企業はこれまで中国一辺倒で経済的な投資を行ってきた。これはわが国の一部マスコミが対中投資を煽った結果でもあるのだが、その結果、周知のとおり、今やわが国の経済は中国なしには機能しなくなってきている。

 このような事実があるからこそ、中国は日本の足元を見て、次々と日本を揺さぶる強行手段に打って出れるのである。


 つまり、確かに、中国は人件費も安く、土地も豊富だったりと、日本の企業には魅力的な場所であったかも知れない。しかし、日本の企業は中国にばかり投資をし過ぎた。だからこそ、中国にそれを見透かされて今のようなことになっているのである。

 もうやってしまった話なので今さら言ってもしょうがないかも知れないが、中国に一辺倒的に経済依存をするのは、今回のような場合だけでなく、そもそも中国の政治体制や経済状況を見ても、不安定要素は多々あり、危険だったのである。

 これは大方の経済界の者なら認識できていたはずだ。だからこそ、中国に極端に依存するかたちで投資するのではなく、たとえば台湾や東南アジアなどに分散的に投資をし、リスクを分散しておけば、中国に弱みに付け込まれずに済んだはずだ。



 ここはいっそ、危機を方向転換のチャンスと捉え、これまで危惧されてきた対中一辺倒の投資を見直すべきではないだろうか。

尖閣における中国の不法について

2010年09月20日 | 外交事情考察
尖閣衝突 船長勾留を延長 中国反発 政府「国内法の問題」(産経新聞) - goo ニュース

 沖縄・尖閣諸島周辺の日本の領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、石垣簡裁は19日、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された漁船の船長、●其雄(せん・きゆう)容疑者(41)の勾留(こうりゅう)期限を、29日まで10日間延長することを認める決定をした。
 中国側は「強い報復措置」を警告するなど勾留延長に激しく反発した。外務省幹部は中国の反応について「遺憾だが冷静に対応するしかない。これは日本の国内法の問題だ」と述べ、中国が要求する船長の釈放には応じられないとの立場を強調した。
 閣僚級以上の交流停止などの報復措置について、日本政府は「事実関係を確認してから対応する」(福山哲郎官房副長官)考えだ。
 前原誠司外相は勾留延長が決まる前の19日午前、記者団に対し、衝突事件について「偶発的な事故だ」と指摘。今年は付近の海域が豊漁で、日本の領海内で操業する中国や台湾の漁船が多いとした上で「その都度追い払っていたが、1隻の船長がこちらにぶつかってきた」と説明した。
 前原氏は中国で18日に起きた衝突事件への抗議活動については「散発的で参加人員も少なかった。中国政府も冷静に対応していただいた」と評価していた。
 それだけに、今回の勾留延長に対する中国の反応について、民主党幹部は「偶発的な事故を政治問題と絡めるべきではない」と不快感を示した。
 前原氏によると、国連総会に合わせた21日からの訪米中に中国の楊潔★(よう・けつち)外相との会談は行われない。17日に外相に就任したばかりの前原氏は楊外相に直接見解をただす機会すら得られないことになる。
 日中首脳会談に続く見送りで、こじれた日中関係は対話の糸口すらつかめない状況にある。日中間の対立は長期化する可能性が高まっているが、日本側には揺るぎない姿勢が一層求められる。
 中国は東シナ海のガス田「白樺(しらかば)」(中国名・春暁(しゅんぎょう))の開発に向けた交渉を一方的に延期し、施設に掘削用とみられる機材を搬入するなど日本側に圧力をかけてきている。
 ●容疑者の逮捕容疑は7日午前10時55分ごろ、巡視船「みずき」が立ち入り検査のため追跡した際、船のかじを左に大きく切ってみずきの右舷に衝突させるなどし、海上保安官の職務執行を妨害したとしている。乗組員14人は事情聴取後13日に帰国した。(●=擔のつくり、★=簾の广を厂に、兼を虎に)



 今回の尖閣諸島における事件は、わが国に落ち度はなく、中国が悪いのは言うまでもないが、一つ危惧されることは、矢継ぎ早に出される「対日カード」に、日本側が変なかたちで折れてしまうことである。


 まず、今回の事件について、司法の行動に政府が容喙するのであれば、それは大津事件を引き合いに出すまでもなくわが国の法治国家としての立場上、許されないことは当然だが、ここでいう「変なかたちで折れる」とは、拿捕した船長を不起訴処分にしてしまったり、最悪の場合、中国からの圧力に折れて、船長を送還してしまうようなことである。


 今のところ現在の政府は、案外自民党政権以上に中国の不法に対し毅然と対処しているが、これまでこのように毅然と対処してきているからこそ、途中で折れてしまうのは、中国の主張を認めることと等しいのと同時に、わが国が進んで自国の主権を放棄したに等しく、したがって誤ったメッセージを国際社会に発信してしまうことになりかねない。

 だからこそ、一度「毅然と対応する」と決めた以上、中国がいかなる報復に出ようとも、これにたじろがず、執行猶予で強制送還でもいいので、きちんとわが国の司法判断により、船長を処罰するべきなのだ。



 ところで、尖閣諸島はわが国固有の領土であることは言うまでもない。これは、第二次大戦後沖縄とともにアメリカが尖閣を統治しており、沖縄と一緒に尖閣も返還してきたことからも明らかである。しかもその際、中国が公式にこれについて文句を言ってきた形跡はうかがえない。

 中国が尖閣の領有権を主張しはじめたのは、国連の調査により、尖閣近海に大量の天然資源が埋蔵されていることが明らかになってからである。本当に中国が尖閣を自国の固有の領土と考えるならば、どうして沖縄と同時に尖閣がアメリカの施政下に入ったとき、これに異議を唱えなかったのか。



 話は戻って、中国の対抗措置が強硬になっていくからといって、こちらもカウンター的に強硬措置を執る必要はないと思う。こちらは法治国家の理念の下、公務執行妨害という日本の刑法に抵触する行為をした船長を、わが国の司法システムの下、粛々と裁いて、刑罰を与えるだけでいい。

 うかつに対抗措置を取ることは、子供染みた中国と同じ土俵に上がることになり、逆に尖閣には領土問題は存在しないとするわが国の主張を崩すことになりかねない。これは国際社会においてわが国が尖閣の領有権を主張するにあたり、プラスに働く可能性は高くないと思う。



 要するに、一度船長をわが国の法律に照らして処分すると決めた以上、これは絶対に最後まで曲げてはならないということだ。下手に譲歩すると、尖閣に領土問題が存在すると国際社会から思われてしまうからだ。

リベラルは言っていたはずだ

2010年09月20日 | 外交事情考察
船長拘置延長、中国「強烈な報復措置講じる」(読売新聞) - goo ニュース

【北京=佐伯聡士】中国漁船衝突事件で中国人船長の拘置延長が決まったことについて、中国の王光亜・筆頭外務次官は19日夜、丹羽宇一郎・駐中国大使に電話で抗議を行い、「日本側が船長を即時無条件釈放しないなら、中国側は強烈な報復措置を取り、その結果はすべて日本側が負うことになる」と警告した。
 日本大使館によると、丹羽大使は中国側に冷静かつ慎重な対応を求めた。また、東シナ海のガス田に掘削用ドリルのような機材が搬入されている問題についても、一方的な開発行為を控えるよう要求した。
 中国中央テレビによると、中国外務省は、報復措置として、日本との間での閣僚級以上の省庁・地方政府間の交流のほか、8月に合意したばかりの航空路線増便のための協議などを中止したことを明らかにした。中国は、2001年に李登輝・元台湾総統の訪日に抗議して、閣僚や次官級の訪日を相次ぎ中止する措置を取ったことがある。



 今からすれば昔のことのようだが、小泉純一郎という人が総理大臣をやっていたとき、彼は毎年欠かさず靖国神社に参拝していた。

 これに対し、リベラル(笑)な御仁たちは、「靖国参拝がアジア外交の停滞を招いている」と激しく批判していたもんだけど、菅内閣は誰も靖国神社に参拝してないのに、どうして日中関係は停滞してるのかな?誰か説明してよ、リベラルな人(嘲笑)


 要するに、(リベラルが指すところの)「アジア」は、こちらが彼らの嫌がること、ないしは彼らの要求に従わないことをすると、すぐにこのようにへそを曲げて日本を揺すり、譲歩を引き出そうとするのだ。

 リベラルな御仁は全く理解できていなかったようだが、靖国参拝は彼らがゴネるための一つのカードにすぎず、したがってこのカードが使えなくとも、他の「ゴネ得カード」がなくならない限り、こうした一方的な関係悪化は永続的に生じるわけだ。

 現に、前原は民主の代表だった頃、小泉の靖国参拝を批判していたにもかかわらず、中国脅威論をぶっただけで訪中時に予定されていた会談を一方的に破棄された。



 彼らと「友好的な関係」を構築するというのは、したがってこちらが一方的に彼らの要求を飲み、それこそ「朝貢関係」にならなければ成立しないものなのである。たかが神社一か所の参拝を控えただけで好転するようなものではない。


 こちが側が何をしたって、どうせ彼らはゴネるのだから、クソの足しにもならないような談話なんか出す必要もないし、ましてやこんな国に媚びる必要など一切ない。

 なので民主は、こんな連中の駄々など一切相手にせず、日本の国境にある島々の産業活性化と過疎化対策、自衛隊駐屯を真剣に検討すべきだ。尖閣諸島に設置されている灯台の整備を口実に民間企業を海上保安庁の護衛付きで尖閣に派遣してもいいだろう。



 要するに、こんな連中のことなど無視をしていればいいのである。しかしまぁ、リベラルが期待していた民主党政権が、リベラルが批判してきた小泉政権よりも対中関係を悪化させるなんて、皮肉としか言いようがない(笑)。