「ハゲタカ」

徹底した合理主義で瀕死の日本企業を次々と買い叩き、“ハゲタカ”の異名をとった
鷲津政彦（大森南朋）も、今では絶望的な日本のマーケットに見切りをつけ、海外に
生活の拠点を移していた。そんな鷲津のもとに、かつての盟友・芝野（柴田恭兵）が
訪ねてくる。彼が現在役員を務める日本の名門自動車メーカー“アカマ自動車”を、
中国系巨大ファンドによる買収危機から救って欲しいと頼みに来たのだった。その買収の
急先鋒となっているファンド、ブルー・ウォール・パートナーズを率いるのは、残留日本人孤児三世の
劉一華（リュウ・イーファ）（玉山鉄二）。彼は、鷲津が勤務していた米ホライズン社の元同僚で、
自らを“赤いハゲタカ”と名乗っている・・。


　
なかなかの骨太ドラマで、見てて面白かったです。
冒頭のシーンからして意味深で、すでにそこで惹き付けられて
しまいましたが、その後もどんどん展開していくドラマに釘付け。

マネーゲームとも言われるこういった出来事というのは、自分の住む
世界とは全く違う世界で勝手に繰り広げられてる感じがしてますが、
この映画ではサブプライムの問題や、派遣切りのこと、そして国際関係など、
今社会が抱えてる問題を見事に絡め、上手い物語の展開だなぁと思いました。
これは脚本が素晴らしいですね～。

大森南朋って、最近かなり好きになってきている俳優さん。
ハゲタカである彼と、赤いハゲタカを名乗る劉一華を演じてた
玉山鉄二の二人の表情の巧さにも惹き付けられました。
この二人とも、ファンド・マネージャーとして天才的であるわけですが、
この二人の戦いにワクワク。
　
柴田恭兵を久々に映画で見たので、それもまた嬉しかったですし、
彼を含め、脇の役者さんたち、みんな素晴らしかったです。
特にアカマ自動車の社長役だった遠藤憲一は好きな役者さんですし、
今回もあのキレぶりとか、表情の変化とか、たまらなく良いわ～～～と
思いました。さらに松田龍平、中尾彬といったところがしっかり脇を支えてました。

が、彼ら脇の人たちにも　もっと活躍して欲しかったですが、
ちょっと付け足し的なところがあったので残念でした。やはりそこは
ドラマを見てない人である私にはきつかったのかなと。
なので、多分この映画はテレビドラマの方をちゃんと見てた方は、
もっと面白く見れたんだろうなぁと思います。それに鷲津の魅力も
連続でドラマで見てた方がもっと感じられただろうと想像いたします。

映像もなんだか不思議な・・というか考えられた色合いにしてありました。
鷲津が関わるシーンは、どちらかというと青系な色彩、そして劉一華に
まつわるシーンは、ちょっと温かな、黄みがかった色合い。
そんな風に分けられていて、普通、同じ映画では同じような色合いで
続くことが多いので、印象に残りました。

ラストはちょっと不満が残るものの、全体的にとても良く出来ていた作品で、
これはドラマの方もレンタルして見るかなぁ～・・という気持ちになりました。
個人的お気に入り度3.5/5

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