言語空間+備忘録

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オバマ政権の金融政策

2009-11-02 | 日記
安達誠司 『恐慌脱出』 ( p.122 )

 以上を踏まえて、オバマ民主党政権の経済政策をどのように評価すべきかを考えてみよう。

(中略)

 まず、政策スタッフを見ると、「恐慌退治シフト」を敷いたとしか思えない顔ぶれである。
 バーナンキ現FRB議長が、大恐慌研究の大家であることは、前述の通りである。筆者がこれまで言及してきた大恐慌期の経済政策の内容やそれに対する評価の多くは、バーナンキらの長年の研究成果の蓄積を引用したものである。バーナンキは、恐慌は、リスクの高い資産を含め、あらゆる資産を中央銀行が買い取り、その見返りに大量の資金を供給することで解決可能であるとしている。そして現に、住宅ローンを含むローン債権全般の買い取りをすでに実施している。
 これに加え、バーナンキは、財政支出の財源として発行される国債の購入を3月19日のFOMCで決定した。後述するように、これまでのバーナンキによる政策メニューを見るかぎり、現在のFRBの金融政策は、大恐慌の教訓を生かした最適な政策との解釈が可能である。
 一方、政府サイドにも大恐慌研究の専門家が配置されたことも重要である。日本のマスコミではまったく注目されなかったが、オバマ政権でCEA(大統領経済諮問委員会)委員長に指名されたクリスティーナ・ローマーも、大恐慌研究では大家に数えられ、従女の論文を引用することなしに、大恐慌について語ることはできない。しかも、バーナンキ同様、金融政策を主軸とした経済政策パッケージの必要性を打ち出した主要人物の一人である。
 この人事には、アメリカ政府とFRBが一体となって今回の経済危機の克服に向かうという強いメッセージが込められていると考えられる。その意味では、回復局面入りが早いか遅いかは別として、アメリカの経済政策は今回の危機の解決に向かって正しい方向に動いていることは間違いない。


 オバマ政権は、大恐慌研究の専門家を主要なポストに据えている。現に、米政府は研究成果に基づいた政策を打ち出しており、正しい方向に動いている、と書かれています。



 大恐慌研究の専門家が、研究成果に基づいた政策を行っている。そのかぎりでは、「正しい」 政策だと言ってよいと思います。

 しかし、本当に 「正しい」 かどうかは、また、別の問題ではないかと思います。



 「大恐慌研究の研究成果に基づいた」 政策、というと、いかにも、客観的で 「正しい」 政策であるかに見えますが、

 「リスクの高い資産を含め、あらゆる資産を中央銀行が買い取り、その見返りに大量の資金を供給することで解決可能である」 ので、「住宅ローンを含むローン債権全般の買い取りをすでに実施している」 というのは、

 要するに、政府がすべてのリスクを取る、ということにほかなりません。



 この政策は、うまくいけばよいが、うまくいかなければ、もうどこにも買い手がいない状況になります。そのときには、もうどうにもならない、とんでもない状況になると思われます。

 つまり、この政策は、「最後の賭け」 に近い性質をもっていると考えられます。

 「最後の賭け」 であろうと、座視しているよりは良い、とも考えられるのですが、視点を変えれば、国家財政が破綻する危険を冒す ( おかす ) 、ということでもあります。

 その意味で、「正しい」 政策かどうかは、考えかた次第の面がありますが、アメリカは 「最後の賭け」 に出たのですから、どうなるのか、状況の変化を見きわめたいと思います。

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