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オバマ政権の財政政策

2009-11-02 | 日記
安達誠司 『恐慌脱出』 ( p.128 )

 次に、オバマ政権の財政政策だが、2つの重要なポイントがある。
 第1のポイントは、どの程度継続して財政支出が拡大できるか、である。世界大恐慌の教訓では、財政支出による直接的な需要創出効果という「オールド・ケインジアン」効果よりも、財政支出の継続的な拡大が、量的緩和を担保する効果のほうが重要だからだ。
 その意味で、オバマ大統領がすでに署名した American Recovery and Reinvestment Act of 2009 では、1年目に1849億ドル、2年目に3994億ドルの財政支出が見込まれており、「総額ベースで見た」継続性という意味では、まずまずではないかと思われる。
 第2のポイントは、財政政策の中身である。現在、民主党シンパだった経済学者たち(ポール・クルーグマンやロバート・シラーなど)から、オバマ大統領の経済政策について、ややネガティブな見解が出始めている。その理由は、財政政策の多くに企業減税が含まれていることである。
 ニューヨーク連銀のシニア・エコノミストであるガウチ・エガートソンは、ゼロ金利ですでに政策金利の引き下げが不可能で、なおかつデフレ・リスクが高まる状況の下で、企業減税を行うことの問題点をモデル分析で明らかにしている(Eggartsson[2008])。彼の論点では、雇用や設備投資を促進する側面が強い企業減税はデフレを加速させるリスクがあるとされる。つまり、経済がデフレに陥る可能空が高い局面での企業減税は、
  1.  企業内にたまっている在庫一掃のために利用される可能性が高い。
  2.  この場合、企業経営者が考えることは、一刻も早く在庫を減らすためには、減税で浮いた分、販売価格を下げて、ディスカウント価格で製品を売ることである。
  3.  販売価格の下落は消費者物価指数の下落につながり、デフレを加速させてしまう。
  4.  デフレが加速しても、FRBは金利を下げることができないので、実質金利(実際の金利からインフレ率を引いたもの)は上昇し、設備投資や住宅投資、耐久財消費などの長期的な投資の抑制につながる。
  5.  結局、企業減税は、景気を押し下げる「マイナスの効果」を持つにすぎない。

というのである。
 デフレ・リスクが高まる中での財政政策の重要なポイントは、将来までデフレが続くかもしれないという人々(企業や家計)の期待を覆し、現在の低金利(名目ゼロ金利)の中で消費や投資をしてもらう点にある。つまり、財政支出によって政府が実際に新たな需要を創り出し、ある程度景気が下支えされ、デフレが発生してもいつまでも継続しないという見通しが生まれることが重要なのである。その意味では、望ましい財政政策は公共投資であって企業減税ではない、というのが恐慌下の財政政策のポイントであり、公共投資よりも減税を重んじるオバマ大統領の経済政策は、効果を上げない可能性もある。


 オバマ政権の財政政策については、財政支出の継続的な拡大という点では、まずまずである。しかし、企業減税を重んじている点が、( 景気に ) マイナスの効果をもたらす可能性がある、と書かれています。



 減税は、減税で浮いた分、販売価格を下げることを可能にするので、さらにデフレが加速する可能性がある。企業は、在庫を処分するほうがよい、と考える可能性がある。その場合、減税は、景気を押し下げる効果を持つ。

 というのですが、たしかに、その可能性もあります。

 その分かれ目は、デフレが継続すると人々が考えるか、デフレは終わると考えるか、のちがいではないかと思います。

 デフレは終わると考える人々が増えるためには、財政支出の規模が重要、ということになるのでしょうが、デフレの原因には、構造的な要因もあり、たんに、財政支出の規模を増やせばよい、というものでもないと思います。



 とりあえず、景気をよくするには企業減税だ、といった主張があるなか、企業減税はかえって景気を悪化させる、という研究が存在することは、重要ではないかと思います。
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