たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

バリエーションルートで行く備前楯山

2008年03月19日 | 足尾の山
◎2008年3月19日(水)-1人

 今年最初の足尾の山。残雪状況が気になり、無難な山としたら備前楯山。舟石峠に車を置いて往復したことは2回ある。3回目にして「関東ふれあいの道・赤銅の道」コースをまた行くには抵抗がある。別のコースはないものかと、ネットで調べたら、足尾町商工会が作成したコースガイドに「有越山コース」なるものがあった(参照:http://ashio.shokokai-tochigi.or.jp/bizentateyama%20Tozan/kikaku.htm)。上りにこのコースを使い、下りを金龍山経由にすれば、結構、楽しめるのではないだろうか。ただ、ネット情報はほとんどが舟石峠経由のお手軽版。頼りはこの商工会版のみ。てっとり早い話が、このコースを含め、商工会紹介のコースは、舟石峠コース以外は登られていないということだろうか。昔はあった、今は無い。ということは、コースも必然的に荒れ放題ということ。地形図は必携。さらに、等高線を入れ直したGarmin60CSxも持参。天気も何とか夕方までは持ちそうだ。

 足尾歴史館の駐車場に車を置く。この建物に記憶はないから、最近建ったものだろうか。自分が高校生の頃、ここには通洞坑の選鉱場があり、閉山直前ながらも稼働していた。出発7時52分。歴史館に向かい、右上に上がる。石積みに矢印を発見。ここが登山口。いきなり林の中。そして急な登り。さらに獣の臭いがする。踏み跡を追うが、これが登山道という保証はない。ただの樵道かもしれない。くねくねした急でかすかな踏み跡をゼイゼイしながら辿る。どうも、西寄りに進み気味の感じ。このままでは、遠下からの尾根に合流するんじゃないかなと懸念しながらも、ついに踏み跡は尾根から外れ、涸沢に入ってしまった。間違ってしまった様な気がしたが、地形図とコンパスを出すと、進む方角は合っている。とりあえずはそのまま登る。まだ、やり直しはきく。林の暗がりから抜け、上の木が切れ、空が見え出した。もう汗だく。通洞、砂畑の町が一望。列車の音。そして車の音。ここはまだ里山。8時45分、1,025mピーク。表示も何もない。これがおそらく、コースの名前になっている有越山だろうか。

 有越山からは風景が一変する。町の裏側だ。ここからは、地形図によれば、尾根を忠実に進めばいい。いきなり、右側に異様な光景が見えた。ガレ場の先に茶褐色の沼。例の、簀の子橋堆積場。別名、足尾湿地。足尾の山には随分と通っているが、この沈殿池を見たのは初めて。「湿地」とした理由が分からないくらいの異様な光景。備前楯山に行くには、昔ながらの多くのルートがあるのに、どうして舟石ルートしかないようになっているのか、この町の裏側に現実として存在する生々しいドキュメントを、観光客に知られたくないといった政治的な操作も動いているのではないかと邪推したくなる。別に社会派の山歩きをやっているわけではないので、これ以上の詮索はやめておく。あいにくの霞空で、沈殿池もうすぼんやりとしていたが、晴天の日だったら、自然と荒廃・破壊のアンバランスが見事に対照的な光景として映ったのではないか。

 尾根を進むと、鉱山が栄えた頃のさまざまなコンクリートの遺物が目に入る。相当の人たちが、ここあたりで働いていたのだろう。それゆえ何十年経っても、踏み跡は細いながらもしっかりと残っている。朽ちた重機、不思議に軽トラがある。鉄索が残っているから、これで上げたのだろうか。見渡すとプレハブ小屋が2棟。見上げると、自分が進む尾根は西(左)からの尾根に合流する。ショートカットで直登しようとしたら、カヤトの草原になっていて、足が滑る。止む無く元に戻って尾根を歩くと、木の上に熊棚。ここもやはり熊の生息地。

 9時14分、水山。標高1,114.5m。といったって、「水山」の確証はない。下山に至るまで、表示があったのは「備前楯山」だけ。あとは想像のポイント。水山は四等三角点。案内表示に出会わないというのもあまり例のない山行。不安ではあるが、尾根が狭いから、ルートを間違うことはない。三吉転峠も通過したのだが、どこだか分からない。1,095mピークが三吉山だろうか。鳥のさえずりが賑やかになってきた。季節はもう春。最近捨てたようなゴミが目につく。コーヒーの空き缶、そしてホカロンの空きポリ袋。だれも歩かないからいいやといった安易な気持ちからだろうか。ハンターもこの周辺には入る。踏み跡はずっと続いている。これまで迷うことはなかった。もっとも、これが広い尾根だったら、この程度の踏み跡では迷ってしまうだろう。

 藪がきつくなってきた。岩場もガレできた。目標の備前楯山がしっかりと視界に入ったのでしばらく休む。左に二子山、袈裟丸山。備前楯山の向こうに、庚申山と皇海山の一角がぼんやり見える。真下はガレ。10時24分、備後楯山。表示はないが確証は持てる。木に、朽ちた板が打ちつけてあった。きっと、「備後楯山」と記されていたのであろう。「備前楯山」に茶化した感じもしないではないが、本当のところはどうなのだろうか。ネットで調べても、この山の名前での検索は無に等しい。ここから、帰途にする尾根が派生しているので、目印に赤ヒモを枝に垂らす。

 10時35分、備前楯山着。舟石峠ルートとの合流には気づかなかった。出発してから2時間40分。だれもいない。赤倉山が正面に見える。遠く松木沢。男体山がかすんで見える。ここは一種の里山。町並みが眼下に見える。オニギリを一個口に入れながら、下山コースをどうするか迷う。元コースに戻るつもりはないが、この先、本山小学校を目指して間藤駅から通洞駅まで列車を利用するか、そのまま通洞駅に向かうか。通洞駅コースは崩壊でかなりしんどそう。携帯も通じるから、とりあえず、時刻表案内で、わたらせ渓谷鉄道の時刻表を照会したが、掲載されていない。仕方ないので、仕事の同僚にメールして調べてもらった。パソコンに向かっての仕事だし、後ろに誰かがいなかったのか、早々に返事は返ってきた。これで帰りの足は確保できたつもりだから不思議なもの。風が冷たくなってきた。まずは下山。赤ヒモの目印で左折。ここからはほとんど崩壊地。尾根も細くなり、藪がひどい。踏み跡といっても、地面についているのは四つ足の跡ばかり。また獣の臭い。無記入の目印プレートが出始める。有越山コースにはまったくなかった。一気に下って上る。下りきったところが太田峠というらしい。11時06分石垣山。1,106m。間藤の町並みが広がる。

 黄色のプレートに「本山小→」の表示が何か所かにあるはずなのだが、字そのものは消えている。さらに分岐あたりにあるはずのプレートもなくなっていたのだろうか、気づかないままに、右寄り、通洞駅に下りる尾根に向かっていた。左下遠く、間藤駅には気動車が停車している。もういいや。気を引き締めて下るしかあるまい。右下に沈殿池の全貌が見えてくる。まさにチョコレート色。あんな水を口に入れただけでどうなるかは想像がつく。秋田にいた子供の頃も、鉱山町の特性か、沈殿池はあったが、これ程までの危うい色合いではなかった。

 金龍山に向かう。草木は生えていない。石だらけなのだが、その石も浮石だらけで、固定しているように見えても、不用意につかむとズルッといく。緊張の連続。最初のピークは脊戸山と呼ぶようだ。続いて金龍山への上り。脊戸山ほどではないが、かなり危険。この区間が商工会コースに紹介されていないのは、やはり危険さゆえであろう。不思議に、脊戸山も金龍山も、山頂には草木があるのに、その下は全くの裸である。

 金龍山の山頂は南北に長い。しばらく休んでいよいよ帰り仕度。857mピークを過ぎてコースミス。右に寄って歩いてしまい、断崖の上に立つ。元に戻り、左の尾根伝いに下りる。尾根は、今までとは違って、気持の良いハイキングコースのおとなしい尾根になった。松の林を下る。右手に送電線。その下には巡視路が通り、その延長は通洞駅に向かっていたが、たいした時間も違わないだろうと、平行した山道歩きを楽しむことにする。もう、すっかりと曇り空になってしまった。祠を見かけ、中を覗いてみれば、犬に乗った首なしの石仏なのか石神か(後日知ったことだが、これは金龍を祀った祠らしい)。フィニッシュにしては興ざめな気分。やがて寺の門前に出た。ここにも、登山口の表示はまったくなかった。町の中を歩くので鈴をザックから外す。通洞駅には下りの気動車が止まっていた。タイミング良く写真が撮れた。

 通洞駅で休む。もう高校卒業以来だから、駅そのものは35年ぶりか。ここから2時間近くかけて、桐生まで通った。すぐ右の路地に入る。ここも懐かしい道。13時23分、歴史館の駐車場到着。久しぶりに満喫の山だった。

 帰りは桐生の湯ららに寄る。平日600円、休日700円。何となく高い気がするが仕方ない。途中の水沼温泉には1回しか行ったことがない。ぬるかった印象が強くて、すいてはいたが行く気が起きなかった。

※掲載写真の、簀の子橋堆積場の上にある山は備前楯山ではなく、おそらく、三吉山か備後楯山だろう。備前楯山は、さらに右後ろにあって、つまり、備前楯山からは、この沈殿池も見えないはず。

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5 コメント

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相変わらず (俺だ)
2008-03-22 08:17:41
マイナーだ。
で、代休?
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相変わらず (俺だ)
2008-03-22 08:19:55
マイナーだな。代休が取れてうらやましい。
麹屋薬局へ日曜日に行ってきた。主人のアドレスを
送っておく。
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俺ださん (mailaddress-1234)
2008-03-24 12:58:52
相変わらずの毒舌ですなぁ。minorの反対語はmajor。つまりは百名山ということですか。俺ださんも、もう老境ですかね。私は、現実な話として年寄りが行く山を、いわゆる「メジャーな山」と思っておりましたが。まだ足腰も衰えず杖もついておりませんので、しばらくはマイナー山行を続けますわ。それから、この時期、メジャーな山は雪崩が恐いですよ。俺ださんほどに、技術レベルも高くありませんしねぇ。俺ださんは、メジャーな山として、とりあえずは筑波山か天城山ですか?そうそう、九州のお山に行かれた話、ブログアップを楽しみにしているのですが、今のところ動きがありませんね。
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ブログアップ (俺だ)
2008-03-26 22:38:58
孫の子守が忙しい、と言いたいところだが、年度末をむかえ、とにかく多忙だ。山のチャンネルが休止状態になってる。いやみの一つくらいは言ってみたくなるよ。すまんが許してくれ。
M山が、近所に現場を持っていて、よろしく、とのことだ。
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びっくり (ぶなじろう)
2009-02-17 22:32:13
いきなり飛び込んできた写真は、合成写真かと思いました。
そら恐ろしい光景です。
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