たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

ハナント山は何とも形容のしがたい山だった

2012年01月08日 | 近所じゃない栃木県の山
◎2012年1月7日(土)

<笠丸の林道駐車地(7:45)……粟野中央尾根合流(8:33)……459mピーク(8:59)……手前630mピーク(9:50)……ハナント山(10:11~10:25)……林道合流(10:41)……528mピーク(10:58)……480mピーク(11:09)……送電線鉄塔(11:13~11:23)……林道(11:27)……県道(11:45)……駐車地(12:38)>

 一昨年の暮れに二股山に行った際、ピーク手前の展望盤を眺めていたら「ハナント山」という名前の山があった。どっしりしていて、周囲の山よりもなかなか存在感のある山で、いずれ行ってみたいと思っていたが、帰宅後に調べると、ネットでは、お歴々ご三方の記録があるのみ。記事を拝見すると、皆さん、「粟野中央尾根」縦走の一環としてハナント山のピークを踏んでいらっしゃる。こちらは、ハナント山に行くことだけで十分だ。ヤブっぽい尾根の通しの縦走を考慮に入れてはいない。中央尾根を少しばかり歩いて気分を味わえればそれでいい。そんな気持ちのまま足が向かないでいたが、10日ほど前に、野球親爺さんがハナント山に行かれた記事を拝見し、重くなりつつある腰を上げることにした。野球親爺さんがいずれは行かれるだろうことは予想していた。バスの便が悪いので別の山にしたと、ブログにちらっと触れていらしたこともあった。なるほど、中粟野側から入るといった発想も可能なわけだ。当初、野球親爺さんの丸写しで歩こうとも思ったが、これでは芸が無さ過ぎなので、中央尾根に緩く、短時間で到達でき、かつまた、車道歩きが延々とならないルートを探した。中柏尾側の笠丸という地区から北東に林道が延びている。この林道と先に続く破線を追って<高原山探訪>氏が歩かれているが、これを参考にした。その林道の南側の412mピークを通る尾根が緩そうである。三角点の413.5mを通過はできない。残念だが致し方がない。さて、まったく話は違うが、<高原山探訪>氏とは一度お会いしているようだ。太郎山の寒沢宿探しに行った際、早々に追い越されている。むろん、後で知ったことだ。氏は、その日、寒沢宿を経て、小真名、大真名山まで行かれたようだ。何ともはやの方である。

(二股山から見た双耳峰。あれがハナント山だと思っていたが…)

(すぐに枝尾根に合流)

(あれがハナント山らしい)


 林道の路肩に車を駐める。日陰で寒い林道だ。右手の目の前に目的の小尾根があった。高くないところで切れてもいる。この小尾根を使うことには疑心悪鬼だったが、地形図通りの様相だ。当初、末端からと思っていたが、民家の裏からになり敬遠した。小沢を渡り取り付く。すぐに小尾根に上がった。その先は植林帯になっている。そのためか、作業道らしき踏み跡が尾根伝いに続いている。ただ、最近は人が入らないのか、しばらくはうるさいヤブが続いた。顔にかなりキズをつけた。早速、左の林の切れ目に双耳峰が見えた。あれがハナント山だろう。今回、事前調べで気になったことがある。ハナント山の姿である。二股山の展望地から、展望盤に合わせて見えたハナント山は鋭角的な姿をしていたが、野球親爺さんのハナント山はなだらかになっている。そして、ここから見るハナント山もなだらか。二股山で見たハナント山は何だったのだろう。特定間違いだったのだろうか。結局、これは最後まで解決しなかった。下に来てからも見えず、この林の隙間から見えただけだった。いずれ、高谷山あたりまで行って確実な姿を見るしかあるまい。

(アップで二股山)


 412mピークを8時17分に通過。一気に下り、登る。これが2回ほど。標石が出てくる。そして、上に中央尾根が見えてきた。合流点は標高450m程度だから、ハナント山頂までは標高差220mくらいのもの。尾根通しだから、むしろ楽な部類だろう。確かに急なところはあまりない。この区間に関しては単調な尾根になっている。それでも身体が汗ばんできた。今日は風も冷たくない。この尾根も植林帯。踏み跡はしっかりしている。最近、間伐を施したような、新しい切り株が目立つ。右手に遠く二股山が見えてきた。安蘇の山塊を歩く機会は多いが、いまだに山の位置関係がよく分からない。さらに分からないのが平行して北西に向かう何本もの県道の配置だ。今日通ってきた県道だけは足尾の柏尾峠に出て、その先は122号線に出られることだけは知っている。安蘇の山々も、この県道にタイアップしたかのような存在だ。いつもナビ頼りで来ているから、余計に、どの道を行けば何山に行けるのかさえ分からなくなってしまっている。横道にそれたが、二股山だけは、その山容からして判別はできる。二股山から見ると、今歩いているあたりは、鋭角に突き上げるような、傾斜の強いところなのだろうか。どうも違うような気がする。相変わらず、すっきりした展望に恵まれないままだ。

(最初の破線合流部)


 459mピークの先は尾根の十字路のようなものだ。ここで、つい、右・東側の尾根に下ってしまった。50mほど下り、さらに下りが続いているのが気になり、コンパスを見ると、違う方向に下っていた。まぁ、この程度で気づいてよかった。中央尾根に合流してから、459mあたりは要注意だろうなと思い、ハナント山の手前ピークにコンパスをセットしていたから、まだよかった。低山の単調な尾根でもへたをすれば大変なことになる。元に戻り、北西~北に下る。野球親爺さんのブログ写真にもあったが、下って後ろを見上げると、素地は急な岩場になっていた。その先のピークから正面に、ハナント山の手前ピークが見えた。大分近づいた。尾根はヤセ気味の下りになる。そして鞍部に到着。ここは、地形図上で破線が東西に通っているところだが、右をみても左を見ても、左にかすかな作業道らしき踏み跡があるだけで、それもすぐに消え、先は沢に落ちていた。

(ハナント山の手前ピーク)

(そして、次の破線合流点付近)


 今日一番の上りが始まる。前ピークまで200mの標高差。伐採の木がそのままになったりして多少歩きづらい。ワイヤーの束を見かけた。そして、「栃木縣・境界標」の標石が出てくる。この尾根、元々、粟野町と鹿沼市の境だったのだろう。一登りで素っ気ない感じの手前ピークに到着。何もない。小さな標石とポールがあるだけ。この先、一旦下り、また上りになるが、この鞍部もまた地形図では破線が通っている。跡形は発見できなかった。一時的に疎林になり、右手は植林、左が雑木となる。明るいが、展望はない。

(石祠)

(山頂)

(横根山)

(男体山を撮ったつもりだが)


 緩やかに登って行くと、また薄暗い植林帯に入った。この繰り返しはたまらんなと思いながら歩を進めると、石祠があった。東を向いている。年代は不明。カーブするように登るとまた疎林になり、ハナント山に到着した。山名板は飛ばされたのか何もなく、三角点があるだけ。赤テープを確認。「2010 12/31 山ベ」とあった。北から東の一角にだけが開けてはいるが、樹間越しの展望となる。送電線が二本走っていた。地形図を確認すると描かれているのは1系統のみ。ここからの下りは送電鉄塔を頼りにして林道に出るつもりでいるから、ちょっとあわててしまった。後で知ったが、新栃木線と南いわき線らしい。なだらかな横根山だけは確認できるが、男体山はようやく見える程度。ガスが巻いている。ハナント山は眺望のいい山ではないようだ。

 このハナント山という名称だが、野球親爺さんのブログには、倉持裕至氏の著書に、古文書の記載では万葉仮名で「波奈能登夜」だったものが、ハナントヤ→ハナント山になったようだと記されているとのこと。なるほどといたく感心した。素っ気なくカタカナ表記になった山よりも、変体仮名で表した方が情感もあふれるというものだ。そんないにしえから命名された由緒ある山でもあるのだ。日光開山以前ではないか。「ハナント山」表記は気の毒だ。

(下ると、右手に伐採地と林道。粟野の集落も見える。右奥に二股山)

(林道合流点は三叉路になっている)


 意外にあっけなく着いてしまったハナント山だが、これから先が長い。車道歩きが待っている。この時点では、送電鉄塔から先まで行って、ハナント山の姿を拝むつもりでいた。西から北の尾根を下る。コンパスを528mポイントに合わせる。東斜面は伐採地になっていて、林道が通っている。この林道は柏尾と粟野を結んでいる林道のようだが、この林道を使えば、ハナント山には最短距離だろう。歩いても20分程度のものだ。それにしても、ネットの記事が少ないのはどういうことだろう。つまりは、地元の方も行かないくらいの、大した山ではないということか。尾根伝いに来ると、それなりに登り応えのある山ではあったが。下り切ると林道に出た。ある意味でほっとした。迷ってもここに出れば帰れるといった安心感だろう。悪路の林道がここから南に向かって分岐している。看板があり、「羽遠線林道(自動車道2級)起点」と書かれている。東西を通る林道は舗装され、分岐の林道は未舗装でゲートが閉ざされている。羽遠線はいずれの林道のことを指しているのだろう。

(送電鉄塔が近づいた)


 林道を渡り、向かいの尾根に取り付く。ゴミだらけになっている。粗大ゴミではなく、缶、ペットボトルの類だ。入口付近だけかと思ったが、先まで続いている。すぐに528mピーク。尾根は二股になり、野球親爺さんはここを北東に下られている。自分は北西に向かい、480mピークに向かう。間近に石裂山が見えた。あの山、25年ほど前に行ったことはあるが、バス利用で行ったという記憶しか残っていない。最近になって、久しぶりに訪ねてみたいと思うようになっている。石裂山からならハナント山もよく見えるかも。アップダウンが続く。植林帯なのか自然林なのか不明の感じで、比較的に明るい。鉄塔が近くに見えてくる。ポールがずっと50m間隔程度に続いている。これも境界線だろうか。480mから下ると送電鉄塔に到着した。新栃木線197号。

(高谷山だろう)

(再び林道に出る)


 鉄塔で休憩。ここの眺めも悪い。南西だけ切れている。高谷山らしき山が先に見える。山頂が丸くなっている山がそうだろう。この先どうしようか。中央尾根をさらに北西に行くとして、その方向を見上げると、樹林帯になっていて、展望を期待できそうにはない。ハナント山を振り返って見られるといった期待はかなり薄いようだ。どうせここまで戻るつもりでいたが、やめておこう。そうと決まればさっさと下りる。明瞭な巡視路を下って行くと林道に出た。林道下部はガードレールまで付いている。

(そして、別の林道が合流する)

(県道に出る)


 途中、他の未舗装林道と合流する。舗装林道の方の入口には「車両通行止め」の看板に「休工中」が貼られていた。つまり、車で通ってもいいということだろう。県道に出ると、林道入口にも「この先全面工事中」とあるが、通行止めの標示はなく、ゲートもない。粟野側の林道状況は知らないが、ハナント山の取り付きまでは車で入られるようだ。ここからは嫌な車道歩きだ。帰ってから調べると、ここに来るまでの林道歩きは1.6km、県道は3.5kmだった。景色を眺めながらといきたいが、谷あいの歩きでは景色が広がっているわけでもない。黙々と歩くだけ。バス停の時刻表を見た。鹿沼駅に向かうのは一日3本。6、7時台に各1本、18時台が1本。これでは、中央尾根を縦走してバスで戻るのは大変だ。バスに頼ったら、逆に歩くしか仕方があるまい。

(右手に見えた地蔵堂)

(田原忠綱神社)

(そして駐車地の林道に入る)


 ハナント山方向にコブが2つある山が見えた。まさかとは思う。如何せん近すぎる。敢えて、写真で出すのは控えておこう。恥をかくことにもなりかねない。とぼとぼ歩いていると、左手に「田原忠綱神社」というのがあった。中に入ってみた。古そうに見えたが、大正六年に再建された神社のようだ。入口に庚申塔を含めた石塔が3基。享保と万延の年号が刻まれていた。田原忠綱なる人物を知らない。帰宅してから調べた。源平の頃の武将のようだ。ようやく駐車地の林道入口にさしかかる。「林道開鑿記念碑 昭和六年 延長七百八十間」の石碑があった。一間=1.8mとして1.4kmとなる。古い林道だ。駐車地に到着。作業車だろうか、軽トラが2台奥に入って行った。相変わらず陽が差し込まずに寒いが、せっかく買って来たカップラーメンを食べずにいた。ここでつくって食べる。セブンイレブン特製のとんこつは見つからなかった。代わりに天ぷらソバを買ってきた。この手になると、マルちゃんの緑のタヌキもセブンたぬきも味の違いが分からなくなる。同じ味がする。

 帰路、未練たらしく、旧道の大越路峠に向かってみた。あそこからなら展望もいいだろうし、ハナント山も臨めるかもしれない。ところが、すぐに全面通行止めになっていて、柵が置かれていた。やはり、ハナント山の山容を見るためだけに近くの山にまた登らなきゃいけないか。

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4 コメント

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Unknown (野球親爺)
2012-01-08 21:39:35
たそがれオヤジさん こんばんは。
早速歩かれましたね。
二股山から見える山がハナント山なのかさっぱりわかりません。
登る山というよりは眺める山ということでしょうか。
野球親爺さん (たそがれオヤジ)
2012-01-09 05:52:42
おはようございます。野球親爺さんに触発されて早速行って参りました。
確かに眺めている限りは存在感のある山でしたが、実際に歩いてみると、あまりきつさもなく、手応えを感じなかったところが本音のところでしょうか。
でも、部分部分ではありますけど、静かでのどかな雰囲気を味わえました。渋くもあり、ああいうところが、安蘇の山の特徴なのでしょうね。
ハナント山 (ハイトス)
2012-01-09 21:15:35
こんばんは。
今週も同じような山域に行かれたのですねぇ。
恥ずかしながらこの山は野球親爺さんのブログで初めて知りました。
と思ったらたそがれさんが速攻で歩かれる。
自分は二股山もまだ行っていないのでその時にでも眺めて来ることにしましょう。
約5時間のこれといって特徴は無いが、のどかな里山散策が楽しめたようですね。
記事を拝見する限り結構自分好みかもしれないな等と思っております。
ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2012-01-10 05:26:20
私も野球親爺さんが行かれなかったら、まだ行かないままになっていたでしょう。
ハイトスさんのお好みかどうか。あまりにも渋すぎる山でしたよ。危険個所もありませんし、展望もよろしくない。
はたしてお気に召すかどうか。

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