たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

ヤブルートで歩いてみた足尾・二子山

2011年04月17日 | 足尾の山
◎2011年4月17日(日)

<塔の沢登山口駐車場(7:00)……1180m尾根合流(7:57)……県境尾根合流(9:13)……台石山(9:38~9:55)……二子山(10:11)……一般ルート合流(10:43)……寝釈迦(11:35)……駐車場(12:15)>

 二子山へは沢入トンネルから県境を忠実に歩いたことがある。気持ちの良い尾根だった。以前、「オッサンの山旅」を拝読していたら、袈裟丸山の塔ノ沢登山口から小尾根に取り付き、県境尾根に達した記録を目にし、以来、いつか、このルートを辿ってみたいと思っていた。山もそろそろ春の装いになってきたし、庚申山ほどの残雪もなかろう。歩いてみることにした。本当は昨日行くつもりでいたが、二次投薬でようやくピロリ菌とおさらばでき、その開放感から、金曜日の夜に一人で祝酒を飲み過ぎてしまい、二日酔いでダウンだった次第。胃潰瘍と診断された時の、我が身を見つめ直す謙虚さは酒に飲まれ、すでに消え去っていた。さて、おそらくはオッサンさんの丸写しルートになるだろう。オリジナル版で、国道122号線の大澤寺付近から尾根を直に登ってみようかなとも考えたが、戻るのが大変そうで、結局、オッサンさんルートになってしまった。

(二子山が見えた)


 塔の沢から賽の河原に至るルートはぶなじろうさんが嫌悪される「関東ふれあいの道・寝釈迦のみち」に組み込まれている。駐車場には地元ナンバーが1台。やがてもう1台やってきて、単独氏がさっさと林道を先に歩いて行った。ウグイスが鳴いている。陽気がいい。ハイキングコースに入りすぐに河原に下りる。ちょうどよく、木を2本渡していて、これを渡る。先ずは1209mポイントを目指す。適当に小尾根を見つけて取り付く。なかなか手応えのある尾根だ。すぐに息が上がる。枯れた灌木だらけで、やたらと枝が顔にあたり、ザックに括りつけた杖を引っ張ってくれるが、ヤブは今のところさほどうるさいというほどでもない。このぐらいは普通のヤブだろう。小尾根には、至る処にかすかな踏み跡がある。ケモノ道だろうが、これを追うと、下って行ったりする。上に向かう踏み跡をうまく拾って追う。錆びたワイヤーが放置されたりしているから、この踏み跡は作業道の名残かもしれない。

(あの大岩ピークが目印)

(ヤブトンネルの中)

(大岩ピークに到着)


 前方に大岩を抱えたピークが見え、右手には草木ダムが見え、東西に高圧線が走っている。そして左側に二子山。同時に、ササのヤブが始まった。これがなかなか獰猛で、背丈を超えるところもある。密集し、左、西側からの風が強いためか、左から斜めに生えている。左手で波を食い止めながらの進むようで、何とも歩きづらい。しかし、このヤブの下にはしっかりしとした踏み跡があり、トンネル状になっている。このヤブには手こずった。ただ、トンネルは長くはなく、解放される安楽スポットが何か所もあり、もぐっては休むといった繰り返し。ピークの大岩が良い目印になる。スポットで見上げる度に大岩はどんどん大きくなる。そして、大岩に達した時にはほっとした。もうヤブはない。この大岩、地形図でいえば、1209mポイント南側の1180m付近。ここで、県境尾根への本尾根に合流した。ここは広くて、気持ちの良い展望が臨まれる。身体、頭、ザックから、大量に木や葉のクズを落とした。余談だが、秩父の和名倉山に、秩父湖から登ると、こんな、ヤブトンネルがあるらしい。和名倉山には行ったことがない。いずれ、このトンネルを経験してみたいところだ。

(気持ちの良い尾根が広がっていた)


 大岩が次々に現れる、尾根は広く、さっきまでのヤブ尾根とは打って変わって歩き安い。標石がずっと置かれている。この標石、よく見ると、古河のマークが刻されている。足尾でもないのに、県境を越え、この辺一帯も古河の山なのだろうか。古河といえば、先月の地震で足尾銅山の堆積場から土砂が渡良瀬川に流れ出たようだ。何十年経っても、公害の影響は衰えることなく、地元住民の末代まで続く。原発もしかりだろう。これはともかく、この標石のお陰で迷わずに行けそうだ。テープやらリボンはまったくない。振り返ると富士山が見えた。富士山だけは永遠にと願うところ。こんな気持ちとは裏腹に、いきなり便意をもよおした。年に数人通う尾根、人の心配はまったくないものの、熊の心配は大いにあった。ザックの鈴を外し、ずっと振り続けて用を足した。

(こんな感じの尾根歩き)

(県境尾根に合流)


 相変わらず、大きなごころごろ岩が多い雑木の尾根を進み、ようやく赤テープを見つけた。そして、すぐに県境尾根に合流。この合流部分、以前、来た時は雪の中だったため、風景が全然違う。今日のルートも、もっと鬱蒼とした樹林帯に見えていた。正面に二子山が見えるのだけは同じ。台石山から二子山にかけての稜線に雪が見える。ワカンとアイゼンは持参しているが、出来れば使いたくはない。二子山からの景色はたいしたことはないことを知っている。台石山を先行する。県境尾根から分かれ、トラバース気味に両山の鞍部に向かう。台石山は完全に足尾の山だ。さて、二子山という名称だが、台石山と合わせて二子山というのだと思っていたが、どうも違うようだ。この辺はどんなものだろうか。地形図上では、台石山の存在を無視して二子山の表示がなされている。それよりも、台石山そのものの表記がない。

(台石山山頂)

(皇海山)

(日光白根、男体山)


 雪は若干あるものの、上に向かうとすぐに消え、台石山に到着。これで2回目となる。袈裟丸から男体山にかけての眺めがすごくいい。小法師尾根も丸見え。以前、餅ヶ瀬林道から続く中尾根を利用して、直に中袈裟に登ったことがあるが、直下はかなりの曲者だった。ひどい思いをした。死ぬかと思った。それが、ここからの眺めを見る限り、すんなりと尾根が中袈裟に向かっている。この景色に騙されて中尾根を歩いたのだったよなぁ。小法師尾根も、ここからは至っておとなしく見える。決して強者には見えないから不思議だ。ササのヤブ地獄なんざ、ここからはとうてい想像できない。

(二子山へは、この雪道は避けて左を行った)

(二子山山頂)

(防火帯=県境尾根ルート)


 しばらく景色を楽しんで、二子山に向かう。鞍部からは雪が一面にある。ここで、ようやく、杖を出し、スパッツを付ける。まっとうに行けば、雪の上の歩きになるが、ここは鞍部からトラバース。雪庇を見ると1mくらいはある。雪のないところを遠回りして行く。二子山の山頂には雪がなかった。相変わらず、台石山からの眺望を楽しんだ後ではつまらない。さっさと県境尾根を西に向かう。防火帯の林の中を歩く。ここもまた気持ちの良い歩き。雪がずっと続いているが、もうかなり浅くなっていて、踏み抜くことはない。やや深いところでも、大分前のワカンの跡が1つあって、これを辿ればいい。さすが、ここは赤テープも続いている。こんなところ、間違い歩きもないと思うのだが。

(一般道に合流)

(賽の河原)


 袈裟丸山への一般道に合流。残雪は、あったりなかったりといったところ。小丸山まで足を延ばしてもいいのだが、「小丸山まで1.2km」の標識。山の標識は最低2倍の体感距離と思えばいい。やめた。まして、当初から、その先の前袈裟まで行くことも想定すらしてはいなかった。迷わず、「賽の河原0.5km」の方を選んだ。残雪がかなりある。歩行に影響はなく歩ける。踏み抜きも、抜いた前例を避ければ回避できる。女性を含めた3人組がやってくる。やたらと大きな声を出している。どこに行くかは知れないが、袈裟丸まで行くとすればすごいね。先週の庚申山の時に比べて、雪の上の足跡は多い。賽の河原着。ここだけは雪がない。

 ここからは塔の沢登山口に下る。「80分」の標識(余計にも、ふれあいの道と記されている)に合わせて左に逸れる。あれっ、踏み跡がない。あるのは、数日前に歩いたような窪みだけ。やばいと思いながらも下ると、すぐに雪は消えた。出発の時にあった車の方はどこを歩いたのやら。そして、準備をしている時に歩いて行った方はここを通っていないのだろうか。すぐに小屋がある。古い方の小屋は中に布団があり、窓明かりもあるのだが、新しい方は何もなく、暗い。どっちを選ぶか迷うにしても、沢がすぐ近くを流れているから、使うには便利だろう。小丸山先のカマボコ小屋を使うよりはかなり快適だろう。さて、ここからが長い。沢沿いに歩けばいいだけのふれあい道だが、地震の後ゆえ、左右に大岩が点在している光景を目の当たりにすると、緊急時に逃げようがない感覚におちいってしまう。ただ、あんな大きな地震でも、びくともしなかったのだろうから、気にすることもないのだろうけど。地盤が緩くなっている可能性もある。岩のないところでしばらく休む。

(寝釈迦)


 寝釈迦に寄る。標識では「釈迦涅槃像」となっている。涅槃図の仏陀の姿をモデルにしたということか。勝道上人が彫り、空海が開眼したという伝説があるらしい。片や、江戸時代に足尾銅山で亡くなった囚人の冥福を祈って刻んだという説もあるようだ。勝道上人だとしたら、すでに1200年は経過しているから、雨ざらしの石彫刻、顔かたちもなくなっているだろう。江戸時代が正解ではなかろうか。賽の河原に弘法伝説があるから、無理にこじつけたとも思える。そんなことを思いながら、駐車場に着いた。自分より早い車はそのまま。後で来た車はなくなっていた。

 袈裟丸山界隈はツツジのきれいなスポットでもある。今日は、色のついたものを見つけることはできなかった。寝釈迦の足もとにあったツツジも、まだまだ、ようやく芽吹いたといったところだった。暖かい日が続いてはいるが、連休明けの開花だろう。

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5 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2011-04-18 21:41:00
今晩は。
いいコース、とお見受けしました。アルペンガイド「奥日光・足尾・那須」の地図でおおよそのコースがわかったような気がしています。
大岩がいい感じです。二子山北東方向に二つの小ピークが地図にあります。どちらかが台石山なのでしょうかね。う~ん、またいきたい所が増えてしまったような・・・。
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二子山 (ハイトス)
2011-04-19 00:23:53
二子山は行きたい候補のベスト3の一つです。
自分の場合はまずは沢入トンネルから県境をたどるルートでと考えています。
実は今回たそがれさんが採られたこのルートはオッサンの記録を見たときに面白そうだなとは感じていました。
ぶなさんと同様に大岩あたりが見てみたい場所ですね。
いい感じです。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2011-04-19 05:51:15
確かにいいコースでした。ヤブ部分を除けばですが。ヤブも酔狂と思えば、その先のコースの良さが身に浸みます。
地形図を改めて見ると、確かに、北東方面に小ピークが2つありますね。手前ピークが台石山です。いつか、その先まで下りてみたいと思っているのですけど。
以前、来た時、ハンターだと思うのですが、雪の上、点々と下っているトレースがありました。餅ヶ瀬林道に取り付きがあるような気がします。でも、これは冒険ですね。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2011-04-19 05:56:52
袈裟丸山へのコースから外れた、二子山に向かう県境尾根の歩きはお薦めです。
意外に広く、尾根形もはっきりしていて、迷うところはありません。
ただ、まずは、沢入トンネルから歩いてみてください。一部、ヤセがあります。最初のうちは薄暗い感じがしますけど、後は気分のいい歩きになります。
強いて、危険箇所をいえば、沢入トンネルからの取り付きです。馬頭観音の石塔から、トンネル上にかけては、見下ろすと、渡良瀬川への岸壁状になっいます。慎重に歩けば問題はないでしょう。
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ハイトスさん・その2 (たそがれオヤジ)
2011-04-19 08:59:34
ふと思ったのですが、私が当初考えた、大澤寺付近の尾根末端から登ってみるという手もありますね。別に下りで使ってもいいのですが。
これと県境尾根ルートの併用というのはいかがでしょうか。沢入トンネルとの距離は歩ける範囲ですよ。
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