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スカイフィッシュは時速300kmで空を飛べるか?

2005年06月10日 | 雑記
 『絶対少年』でスカイフィッシュの話が出て来ました。90年代になって発見された未知の飛行生命体と言われてるけど、実は近くを横切った昆虫の残像が写ってただけって現実的な話でした。
 このスカイフィッシュという生物、何か最近どこかで聞いたような名前だな……と思ってたら『交響詩篇エウレカセブン』で出て来てたんですね。それも実在の生物として大量に空を飛んでました。
 ……いや、別にどっちがどっちって話をしたいわけじゃないんですけど、実際にスカイフィッシュという生物がいたらどうやって空を飛んでいるのかということを検証してみたいと思います。

 一般的なスカイフィッシュの特徴とされているのは、ビデオに1コマぐらいしか写ってないことから推定して、体長1~数メートル、時速300km程度の速度で飛行しているとされています。
 時速300kmというと山陽新幹線の500系のぞみの最高速度より少し速い程度ですが、線路脇の少し離れたところに1メートルくらいの長さのタオルなり布切れをたなびかせてたとして、通過する500系のぞみの窓からは肉眼では見えないものなのでしょうか? 少し気になるところですが、保護色で見えにくくなってるとか、プラズマ生命体なので物質的には希薄だとかいろいろな説があるので、置いておきましょう。

 検証していく上でひとつ問題となるのは、スカイフィッシュが静止状態で常時空中に浮かんでいる生物なのか、それとも陸上に足がかりを持って、飛行時のみ空中に存在する生物なのかということです。空中に常駐する生物なら体は極めて軽量な構造で出来てるはずだし、陸上から飛翔して高速で飛ぶなら強度な肉体組織が必要です。
 『エウレカセブン』の世界ではリフと呼ばれるスポーツがあって、まるで海でサーフィンをするかのようにボードで風に乗って飛ぶということが行われています。主人公のレントンのいた町ではあまりリフに都合の良い風は吹いてなかったようですが、おそらく強力な谷間風の吹くあんな渓谷地帯が一帯に散在しているためにそのようなスポーツが生まれたのでしょう。
 その谷間風が時速300kmぐらいで吹いてるなら、スカイフィッシュは多少の揚力さえ体で生み出せれば、風に乗ってるだけでそれだけの速度で飛ぶことが出来ます。ま、あの世界であればスカイフィッシュは現実に存在しえる合理的な生物であるとは言えます。渓谷内で風に乗って漂ってる範囲では問題はありません。
 ところが、この世界ではしばしば突風が吹きます。突風に乗って渓谷地帯を離れて平原にまで出てしまうと、風は拡散されて弱まり、速度が落ちてしまいます。スカイフィッシュがここまで流されて来ると、自力で飛べない限りは地表に落下し、二度と浮かび上がることが出来なくなってしまいます。

 さて、現実の世界に目を向けてみると、リフで空を飛べるような強力な風が常時吹いてるような渓谷地帯は存在しません。また、スカイフィッシュの目撃例も地表付近で、しかも特に強い風が吹いてるという気象条件でもないのです。すなわち、現実世界のスカイフィッシュは強風に乗って漂っているわけではないということです。それならば、自力で飛んでいるとしか思えません。
 地表付近を時速300kmで飛ぶためには、それなりの加速装置が必要です。簡単に考えるなら、何か付近の高いビルか何かから落下してきて、地表付近で水平飛行に切り替えるということが思い付きます。地球重力を利用するわけですから難しくはありません。
 初速度を0として、自由落下で時速300kmに達するまでに8.5秒。この間の落下距離は354メートルになるので、東京タワーより高い位置から落下する必要がありますが、原理的には可能です。ただ、多くの目撃情報では付近にそんな高い構造物等は確認されていません。
 自由落下が無理なら、やはり自分の力を使って時速300kmに到達しているとしか考えられません。肉眼で確認されていない以上、人間の視野の及ぶ範囲では絶えずこの速度で飛んでいるとしか考えられませんが……地上付近を時速300kmで長距離を飛べる生物というのは存在するのでしょうか? ハヤブサが獲物を狙うときの瞬間的降下速度が時速180km、一般的な鳥類の巡航速度は時速30km~80km程度のようですから、自力で飛んでいるにしても鳥が羽ばたくのとは異なる仕組みで飛んでいるはずです。
 これは水中での話ですが、ある種のイカは体内に貯めた海水を一気に吐き出してジェット推進のように高速で泳いでいます。スカイフィッシュの場合もある種の生体ジェットを使って大気を吐き出して瞬発力に利用しているとしたら、時速300kmで飛ぶことが可能なのでしょうか?
 自由落下で時速300kmに達するのに8.5秒かかっています。もし、ジェット推進で重力加速度並みの加速力が得られるにしても、8.5秒間ジェットを吐き続けなければなりません。呼気を吐き続ける程度のことではありません。推進力に見合うだけの圧力を持った大気を大量に吐き続けなければならないのです。
 もし、それだけの噴出物を一度に体内に貯めて置くなら、相当な体積が必要であり、たとえ高速で飛んでるにしても人の目に触れる確率は高いでしょう。ジェット機のように噴出大気はエアインテークから取り込みながら噴出し続けるという仕組みもありますが、一方で噴出しながらもう一方で取り込んだ大気に噴出するための圧力を加えるというのは、ほとんど航空機のジェットエンジン並みの高度な機関を備えてないと困難と言えるでしょう。生物学的にそこまで無理して時速300kmで飛ぶという意味がありません。

 以上の検証はスカイフィッシュが一般的な普通の炭素系生物だと仮定しての話です。スカイフィッシュはプラズマ生命体だから飛行に当たっては既存の生物のような物理制限は受けないという話もあります。
 プラズマ生命体というのが何を指して生命体と言ってるのかがよくわかりませんが、体組織がプラズマで構成された生物のような存在ということにしておきます。プラズマとは原子が分離して正イオンと電子が混在したガスの状態になったものです。つまり、荷電粒子によって構成された気体状態といっても良いでしょう。

 一般的に地表付近では物体を構成する分子は安定して存在し、この環境で著しい相変化を見せる「水」も固体と液体と気体の間を変化するだけで、分子が分離したりプラズマ化することはほとんどありません。逆に言えば地表付近ではプラズマ状態が安定して存在することは無いということです。プラズマ生命体というものが仮に地球上に存在するにしても、それは地上付近ではなく、電離層付近まで行かないと安定して存在できません。
 ま、そんなことを言っては話が進まないので、仮にスカイフィッシュがプラズマ生命体だった場合、時速300kmで飛べるのでしょうか? プラズマ自体は原子すら分離してる状態ですから密度は極めて希薄です。電離層付近なら運動を妨げるような力学的作用はほとんど受けないでしょう。ただ、プラズマを構成するのは荷電粒子なので、電界や磁場の影響は大きく受けます。普通の炭素系生物ならほとんど意識すらしない地球磁場や太陽風の影響によって運動が左右されてしまうのです。
 また、プラズマというのは極めてエントロピーの高い状態です。プラズマ生命体の構成要素は絶えず拡散膨張を続けようと作用をしているはずで、一個の生命体としてのカテゴリーを維持することすら極めて困難な状態だと思われます。これはプラズマではなくただの気体の場合ですが、東宝特撮映画の名作『ガス人間第一号』では、ガス人間は自己の意思によって任意にガス状の生態と人間形態を使い分けていましたが、普通ならガス人間化した時点で体組織はどんどん拡散し、周囲の大気と混合してしまって、構成分子の1個1個に意思が伝わってでもいない限り二度と人間形態には戻れないはずなのです。
 そう考えていくと、プラズマ生命体を炭素生命体のような個体認識で把握しようとしている限り、プラズマ生命体であるスカイフィッシュは時速300kmで飛ぶ以前に、スカイフィッシュとしての個体を維持することが困難かと思います。また、力学作用から時速300kmの推進力を生み出そうにも、それを受け留め外部に作用し続けるための確固たる基盤が存在しません。
 力学的に時速300kmを生み出すことは無理でも、電磁気学を利用すれば可能かも知れません。一方方向に電位差を生み出せば電界が発生し、プラズマはその作用を受けて移動します。密度が極めて低くいから、多少の電位差でも大きな加速度を生み出すことが出来るので時速300kmも無理ではないでしょう。でも、問題がひとつあります。その加速のための電場をスカイフィッシュは自ら生み出すことは出来ないだろうし、電位差によって加速されるということは、プラズマを構成する正イオンと電子は逆向きに加速され、分離させられてしまうということです。こうなればスカイフィッシュもくそもあったものではありません。
 要するに、プラズマ生命体というものが仮にいるとしても、炭素系生物のような個体認識で把握することは無理ということです。プラズマ層全体にわたって拡散してるか、そもそも個体という概念が無く、ネットワークが存在してるだけの生命体というのが妥当でしょう。そうなると、目に見えるスカイフィッシュというものは存在しなく、ビデオに映像が写っても、それはスカイフィッシュの姿ではなく、何らかの状況で発生した現象の様相ということにしかなりません。その現象の様相が仮に時速300kmで動いて見えたとしても、それはもはやスカイフィッシュという生命体が時速300kmで動いたかどうかとは無関係な事象に過ぎなくなってしまうということです。

 以上のように、『エウレカセブン』の世界では存在しうるスカイフィッシュも現実世界では甚だ実在性が疑わしい存在だと思われます。もっとも、時速300kmで飛んでるという前提が違えば、実在の可能性も違ってくるわけですか……
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