マックンのメモ日記

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ペルーのシリカで使われていた古代文明の網の袋と同じ原理だった!魔法の袋D-Boxが現代に蘇った!

2012-11-04 22:40:27 | 宇宙・サイエンス・科学技術
首都直下地震が起きたら23区の7割で震度6の地震が襲い、液状化現象も起きると言います。しかし先の東日本大震災で起きた液状化現象の対策は見つかっておらずまだ傾いたままの家も多いのです。特に浦安市辺りではその傾向が強いようです。ところがこの超軟弱地盤を強化する魔法の袋を開発した人がいるのです。メトリー技術研究所の野本太さんです。実はこの人は土木に関しては全くの素人で、本来は数学の研究者だったのです。何でそんな人が土木の仕事に関わるようになったのかと言うと、父の建設会社が倒産の危機に直面したことから数学者を辞めて跡を継いだのです。しかし前から何とかしなくてはと思っていたそうで、何か新しいことをしなければ難しいと考えていたのです。野本さんは言います。「みんながダメだと言うようなものに、逆に可能性がある」と。それが土嚢だったのです。

一見、何でもないような道路が茨城県神栖市にあります。しかし実は液状化現象で道路が波打っているのです。野本さんがここへ持ち込んだのが魔法の袋こと「D-Box」と呼ばれる土嚢です。袋の中には砂利や土が入っています。そして液状化した道路のコンクリートを剥がしてそこへ土嚢を敷き詰めるのです。ここに詰められる土嚢にはどのような効果があるのでしょう?その前に液状化現象のメカニズムとは、土嚢の共同研究者の名大松岡名誉教授はビーカーの中の砂を地盤に見立てて、ビーカーを叩くと砂が隙間なく詰まっていき表面は下がっていきます。ところが一般的には地下には水があるので、その時に砂の隙間にあった水が砂と一緒に勢いよく地表に吹き上がってくるのです。こうして地盤は液状化し上に載かっている家が傾いてしまうと言うわけです。

その威力を見せてもらうため群馬大学で実験をしてもらいました。土に見立てた上にコンクリートの板と新型の土嚢の両方を置き実験したところ、液状化させるとコンクリートはすぐ沈んでいき新型の土嚢は沈みませんでした。それは、コンクリートは水を通さないので吹き上がってきた砂や水はコンクリートを避け弱いところに吹き出てくるのです。その結果、コンクリートを支えきれなくなり傾いていくのです。一方、土嚢はフィルター効果で水は通すものの砂は通さないので地盤沈下が起こらないのです。この原理を利用して作った土嚢を習志野市の家で実際に修復工事をしたのですが、結果は見事成功し家の傾きは見事直ったのです。実際には傾いた土台すべての下を掘りそこへ土嚢を置きその上にジャッキで持ち上げたのです。

そんなことで大丈夫かと思うかもしれませんが、実はこの袋は信じられないほどの強度を持っているのです。土嚢を敷き詰めた上に70階建てのビルを建ててもその重さに耐えられるのです。超軟弱地盤でもこの土嚢で頑丈な地盤に生まれ変わるのです。さらに地震や騒音にも絶大な効果を発揮しているのです。まさに土木界の革命と言われる所以です。この土嚢を知ったのはある論文からだったのです。当時、会社が倒産の危機にあったので、土嚢の優れた能力を知り、すぐ松岡名誉教授の元に飛んで行ったのです。そのときこの土嚢の上に載って足踏みをしてみなさいと言われ、してみると、その土嚢はカチカチになったのです。それはアルミ棒をコピー用紙で巻いただけのものだったのですが紙は破れなかったのです。しかしこれには弱点があって下の地盤がある程度硬さがないとダメだったのです。そして言われたことはこれを数学的な考えで解決してみなさいという事だったのです。

そこで考えたのが吊り上げる方向に力が加われば自らの重みで締め付けられるのではと考えたのです。そして出来たのが袋の底に×印状に布を取り付けそれを上に持ってきて、真ん中で縛って吊り上げられるようにしたものです。それを吊り上げてみると、見事自分の重みで中の土や砂利が引き締まってカチカチになったのです。地面の上においてもカチカチのままだったのです。実はこの技術は4800年前のペルーにあるシクラスと言う遺跡で発掘されたときに発見されたものと原理は同じで、植物のツルで編んだ袋に大量の石が入っている袋が多数見つかったのです。これは神殿の重みで自然と締め付けられるようになっていたのです。当時、この辺りは地震が多かったのでこうした技術が発達したと考えられています。それが今から約5000年前にすでに野本さんが考えたものと同じような技術が使われていたという事に驚きを感じます。その技術を蘇らせた野本さんも凄いですが古代の人の知恵も凄いですね。

こういう話を聞くと何かロマンを感じさせますね。