夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

◆株主代表訴訟

2005年02月28日 18時01分15秒 | 企業法務学習日記
 株主代表訴訟とは,取締役や監査役(以下役員)が,何らかの責任を会社に負っているのにもかかわらず,会社がその責任を追及しない場合に,その会社の株主が会社に代わって役員の責任を追及するために提訴できる制度である。
 昭和25年にこの制度が導入されたが,平成3年迄の約40年間においての受理件数は僅か19件でしかない。平成5年の商法改正により,提起手続きに関する手数料が一律8,200円に軽減されたことを契機に,提起件数は増加の一途を辿っている。

◆民法 敷金契約

2005年02月27日 22時44分53秒 | 企業法務学習日記
① 敷金とは,不動産賃貸借契約において,賃料債務その他賃借人の債務を担保する目的で,賃借人から賃貸人に交付される金銭である。

② 敷金契約は,賃借人の債務不履行に基づくすべての損害を担保する目的で締結される,従たる契約である。

③ 敷金返還請求権は,賃借人が賃貸借目的物を明渡した時点で発生する(最判)。

④ 賃貸目的物の譲渡にともない,賃貸人たる地位が譲受人に移転した場合,敷金返還債務も承継する(最判)。

⑤ 賃貸借終了後に賃貸目的物が譲渡された場合であっても,賃貸人たる地位が賃貸目的物譲受人に移転していない限り,譲受人は,敷金返還債務を承継しない(最判)。

⑥ 適法な賃借権の譲渡がなされた場合,敷金返還請求権は,旧賃借人に残り新賃借人に承継されない(最判)。

◆著作権法 平成16年改正法の要旨

2005年02月26日 07時53分39秒 | 企業法務学習日記
 平成16年6月に改正された著作権法は,平成17年1月1日に施行された。

1.音楽レコードの還流防止措置(著作権法113条5項)

 国内販売目的の商用レコードと同一で,専ら国外で販売することを目的とした商用レコードを,情を知って(国内販売禁止を知っているのに),国内販売目的をもって輸入する行為,又は,国内販売目的で所有する行為は,権利者が得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合,著作権又は著作隣接権の侵害とみなすことになった。
 途上国で製造したものを日本で国内版よりも安く販売するという,いわゆる逆輸入版CD等を違法とする規定である。

2.書籍・雑誌の貸与権の付与(著作権法附則4条の2を廃止)

 これまでは,ビデオ・音楽レコードなどの著作物には貸与権が付与されていたが,書籍・雑誌については貸与権の適用がないこととされていた。今回の改正により,書籍・雑誌にも貸与権が付与されることとなった。

3.罰則の強化(著作権法119条~124条)

 著作権等の侵害についての罰則が強化された。

◆民法 民法の定義③ 債権総論

2005年02月25日 17時54分35秒 | 企業法務学習日記
① 更改
 更改とは,債権の要素を変更することにより旧債権を消滅させ新債権を成立させる契約である。債権者の交代による更改では,三面契約でないと成立しない(判例通説)。

② 並存的債務引受
 並存的債務引受とは,引受人が従来の債務者と併存して同一内容の債務を負担する契約である。連帯債務や保証に類似するので,債務者の同意は必要なく,かつ,債務者の意思に反している場合でも,引受人と債権者の合意で成立する。

③ 免責的債務引受
 免責的債務引受とは,引受人が債務者の債務を引き受けることで債務が引受人に移転し,旧債務者が責任を免れることを内容とする契約である。債権者・債務者・引受人の三面契約の他,債務者の意思に反しない限り,債権者と引受人の合意でも有効に成立する。さらに,債権者を害するおそれがあるため,引受人と債務者の合意で成立するか問題となるが,通説は,債権者の承認を条件として肯定する。この場合,承認は無権代理の追認と構成するようである。

④ 履行の引受
 履行の引受とは,債務者の負担する特定の債務の弁済義務を,引受人が債務者に対して負担する契約である。引受人と債務者の合意であり,債権者は関係しない。

⑤ 契約上の地位の移転
 契約上の地位の移転とは,契約の当事者たる地位の移転を目的とする契約である。契約の一方当事者の承諾があれば,譲渡人と譲受人の合意で成立する。

◆民法 民法の定義① 総則

2005年02月25日 15時09分22秒 | 企業法務学習日記
① 権利能力
 権利能力とは,私法上の権利義務の帰属主体となることができる地位をいう。自然人は,出生と同時に権利能力を有し,死亡により失う。民法上の法人は,主務官庁の許可により権利能力を有し,清算の結了により失う。会社は,設立登記により法人格を有する。

① 法定代理
 法定代理とは,本人の意思または信任によらず法律の規定により認められた代理をいう。
② 無権代理
 無権代理とは,代理人として行為した者に代理権がない場合をいう(有権代理の対義語)。
③ 復代理
 復代理とは,代理人が自分の権限の範囲内の行為を行わせるため,自己の名でさらに代理人を選任し,本人を代理させる場合である。
④ 共同代理
 共同代理とは,複数の代理人が全員で共同して本人を代理する場合である。
⑤ 双方代理
 双方代理とは,同一人が同一の法律行為につき当事者双方の代理人となる場合である。

① 条件
 条件とは,法律行為の効力の発生または消滅を成否未定の事実にかからせる法律行為の附款である。既成条件・不法条件・不能条件・純粋随意条件は,いずれも仮想条件として効力が否定される。
② 期限
 期限とは,法律行為の効力の発生及び消滅または債務の履行を将来到来することが確実な事実にかからせる法律行為の附款である。条件と期限の区別は,事実の発生が確実か否かによる。

◆個人情報保護法対策 その1 基本的な定義

2005年02月19日 15時14分13秒 | 企業法務学習日記
① 「個人情報」とは,生存する個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。

② 「個人情報データベース等」とは,個人情報を含む情報の集合物であって,次に掲げるものをいう。
1 特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
2 前号に掲げるもののほか,特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの(これに含まれる個人情報を一定の規則に従って整理することにより特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成した情報の集合物であって、目次、索引その他検索を容易にするためのものを有するものをいう。)

③ 「個人情報取扱事業者」とは,個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし,次に掲げる者を除く。1 国の機関 2 地方公共団体 3 独立行政法人等 4 地方独立行政法人 5 その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者(個人数が過去六月間継続して5000未満の者)

④ 「個人データ」とは、個人情報データベース等を構成する個人情報をいう。

⑤ 「保有個人データ」とは,個人情報取扱事業者が,開示,内容の訂正,追加又は削除,利用の停止,消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって,その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は一年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう。

⑥ 個人情報について「本人」とは、個人情報によって識別される特定の個人をいう。


参照法令

① 個人情報の保護に関する法律(平成十五年五月三十日法律第五十七号)
② 個人情報の保護に関する法律施行令(平成十五年十二月十日政令第五百七号)