夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

◆企業法務入門2 予防法務とは

2005年10月20日 20時15分09秒 | 企業法務学習日記
 予防法務とは,紛争を未然に防止するための法的業務,及び,法的紛争を未然に防止するための業務をいいます。予防法務については,最近ではコンプライアンスという言葉が流行しています。

 コンプライアンスは,一般には法令遵守と訳されています。文字通り,ルールを守ることで紛争の発生を防止するという活動です。法律はもちろんのこと就業規則といった社内規範も含めて,違法行為を行わないように事前に管理体制を構築し,経営陣はもちろん従業員に対しても十分な教育研修を行っていくことがコンプライアンスの中心的活動です。

 近時は,違法行為を行った企業に対する強い社会的非難が会社そのものを揺るがす事例が数多く発生しており,大企業に限らず中小企業においてもコンプライアンスの重要性が指摘されています。

 コンプライアンスも法務セクションが担当するのが通常ですが,権限の問題もあり,企業の中には,経営レベル直轄のコンプライアンス推進室といった名称で独立した1つのセクションを設けているところもあります。そうすることで,全社的なコンプライアンス活動を行っているようです。


◆企業法務入門1 企業法務とは

2005年10月15日 22時47分51秒 | 企業法務学習日記
 企業法務とは,常識的な線でいえば,企業の活動に関連する法的業務の総体を意味します。企業が活動していく中で発生する法的問題を処理するための活動の総体ということもできます。

 例えば,契約書の作成や事業部門に対する法的意見の提出はもちろん含まれますが,違法行為を行わないよう従業員を教育することや株主総会の運営,訴訟のための証拠収集や従業員の健康管理も広い意味では企業法務の活動といえます。

 しかし,これでは大雑把すぎて理解しにくいので,いくつかに分類して考えるのが理解に資すると思います。

 代表的な分類としては,企業法務の活動を紛争の予防と解決に分類し,前者を予防法務,後者を臨床法務といっています。これは,医学用語から来ているのでしょうが,法的活動の分類としては優れていると思います。

 ちなみに,世間的に企業法務というと,イコール予防法務というのが最近の傾向ではあります。

 近年,予防法務とセットで戦略法務という言葉がよく聞かれます。戦略法務というと何となく分かったような分からないような気がしますが,筆者の知る限り確立した定義はないように思います。ただ,一定の合意はあるといえ,経営レベルでの法務的活動を戦略法務といってよさそうです。

 そうすると,対概念のような感じで考えるべきは予防法務ではなく戦術法務ではないかとも思いますが,戦術法務という言葉は聞いた事がありません。

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 ということで,企業法務とは,企業活動における法的業務の総体であって,その主流は紛争を未然に防止する予防法務活動である,とまとめたいと思います。