夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

◆連結家計は縮まない,そうだ。

2006年06月23日 00時02分46秒 | 日記・書評
6月22日の日経朝刊1面のコラム,「消費をつかむ 第2部成熟時代の逆説1」が面白かった。サブタイトルは,「核家族は大家族」「連結家計は縮まない」。

少子高齢化時代にはすべてが縮小均衡を迫られて,家族も核家族以下の一人家族(ペットつき)が増えるのではないか。そんなことを考えていた。ところが,この記事によるとそうでもないらしい。

光が丘の団地に住むある66歳の男性は妻と三男と暮らしているが,独身の長男と既婚の次男が同じ棟の分譲住宅を購入し,近所に住むようになったという。1台のミニバンを共有し共に外出することも多いという。

また,ある不動産会社社長は,最近の売買の3割が家族の近居に関連したものだという。

こうした記事を読むと,最近は,同居という選択肢ではなく近居という選択肢を選ぶことで,自分たちの生活と親兄弟といった近しい家族との生活を両立させる人が増えているんだなと思わずにはいられない。記事は,消費者の行動をとらえて「拡家族」という言葉を使う。

面白いと感じたのは,「近居が各地で広がって,家計も企業会計のように単独から連結時代に移行し始めた。」という記事の見立てだ。

パラサイトシングルといった言葉で親世帯から独立しない子世帯が問題視されたこともあったが,見方を変えれば,家族という最小単位の社会における相互扶助ととらえることもできる。そう考えれば,単独で家計を考えるよりも連結された家族をトータルで考えた方がよい。なるほど,と思う。

もちろん,企業における会計とは異なるわけで,運用はなかなか大変ではあるだろうが,企業とは異なり利益の拡大が家族共同体の目的でもないだろうから,まあ赤が出てもそれはそれで問題ではないのかもしれない。

興味があるのは,「拡家族」がどこまで広がりを見せるのかだ。自分の息子や娘,親以外の親族にも広がるものだろうか。もしそうなったら,趣は多少異なるが戦前の大家族が復活したようなもので面白い。

◆五味広文金融庁長官

2006年06月13日 19時08分12秒 | 企業法務学習日記
日経夕刊に五味金融庁長官の人物像についての記事があった。それによれば,五味長官は自身のことをピルグリムファーザーズになぞらえるという。旧大蔵省から分離独立した金融監督庁に最初に乗り込んだメンバーという意味のようである。

最近の金融庁は,処分の多さと重さで世間の注目を浴びている。この記事にも書いてあるが,金融庁に勤める友人からも金融庁は最近は金融処分庁と呼ばれて業界サイドから恐れられているという話を聞いたことがある。

記事には,処分が重過ぎるという業界関係者の嘆きのような声が紹介されている。従来からの常識からするとその嘆きも肯ける面がある。ただ,大局的に見ればそれは従来の常識であったこととして置いて,業界関係者としても新しい常識への対応が必要のようにも思える。

記事にあるように,厳しい処分を受けた会社に共通する点は,会社内部の問題によって市場や顧客といった外部に多大な損害を及ぼしたということだ。業界や個々の企業の利益よりもまず利用者を中心とした全体の利益を擁護する。それが金融庁の姿勢のようだ。

「利用者保護の徹底は不良債権を処理していくことよりもきつい仕事」という五味長官の言葉は象徴的だ。これが新しい金融行政のあり方であるという意識に迷いはなさそうである。

◆ヤマハ発動機,社内にコンプラ特別委を設置

2006年06月12日 01時14分27秒 | 企業法務学習日記
報道によれば,6月9日にヤマハ発動機がコンプライアンス推進特別委員会を社内に設置する旨公表したという。

委員会は,麗沢大大学院の高巌教授を委員長として,大学教授や弁護士等専門家合計6名で構成される。6月12日に第一回の委員会を行い,来年1月まで月1回ペースで行う予定のようだ。

不正輸出事件を起こしたことで経済産業省から内部管理体制の問題を指摘されたことが設置の動機になっているとの報道だが,半年間の時限措置でどの程度問題点の解消につながるのか多少疑問もある。

コンプライアンスを十全にするためには,管理体制の構築と意識改革の双方が必要不可欠だと思うが,月1回・半年間のいわば諮問機関の設置では不十分とも思える。常設の内部監査機関の活動を定期的に外部の有識者にチェックしてもらう方式のほうが意味があるのではないだろうか。

◆WBS雑感 2007年問題への対応

2006年06月10日 01時12分27秒 | 企業法務学習日記
ワールドビジネスサテライトで2007年問題への対応についてのアンケート結果が報じられていた。最も多い回答は,退職者の再雇用。退職者雇用は2つの項目に分かれていたが,合計すると60%以上だった。それに対して,若年者や中年への技能承継と回答したのは17%程度。

これはどうなのだろうと思う。アンケート結果からすると,企業は,即効性ある解決策を選択しているように見える。今まで業務を行っていた人材を維持するのだから,最も手っ取り早い解決策だ。極端にいえば事務手続きをするだけで済む。それに比べれば,技能承継は時間も労力もお金も必要になる。

だが,長期的に見た場合,その選択が最終的な解決策にはなっていないことは明らかで,解決の先延ばしを行っているに過ぎないと考えられる。とりあえずしのげばいいという対処療法的な動き方になってしまっていはしないだろうか。

人材は,企業の力の源であり,また価値そのものでもあると思う。2007年問題への対応という意味では,技能承継を継続的に行い高い技能を有した人材を育成していくのが王道ではないだろうか。しかし,アンケート結果を見る限りにおいてではあるが,日本の企業には長期的に人材を育成する意識は乏しそうである。

◆鹿島建設,内部統制推進室を新設

2006年06月01日 01時11分47秒 | 企業法務学習日記
5月より施行された会社法による内部統制規整への対応として,鹿島建設は6月1日付で内部統制推進室の新設を含む組織改革を実施するという。

新設される内部統制推進室は,全社的なコンプライアンス及び企業倫理の徹底を推進する役割を担うものになるようだ。

また,コンプライアンス室を企業行動監理室に改称,従来コンプライアンス室が行っていたコンプライアンスの指導・推進業務を法務部に移管し,法務部をコンプライアンスの所管部署とする。

なお,現時点では情報不足のため,内部統制推進室がどの部署に属するのかは不明。

◆立法動向 消費者契約法の一部を改正する法律案:可決成立

2006年06月01日 01時04分09秒 | 企業法務学習日記
5月31日午前の参議院本会議において,消費者契約法の一部を改正する法律案は全会一致で可決成立した。施行は来年(H19)6月の予定という。

同法案は,3月3日に閣法として提出され4月28日に一部修正のうえ衆議院を全会一致で通過,5月30日,参議院内閣委員会を通過していた。

改正消費者契約法の骨子は,国が認定した適格消費者団体に対して差止請求権を認め,団体による提訴を可能とするもの。