セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「ボギー!俺も男だ」

2013-09-02 01:09:46 | 映画感想
 原題「Play it Again, Sam」から解かるように、「カサブランカ」のパロディみたいな
作品。
 (イルザがリックの酒場でピアノ弾きのサムに再会した時、サムに「As time go
se by」をせがむ時の台詞「Play it Sam」をもじった)
 W・アレンとD・キートンの映画初共演作。 

 「ボギー!俺も男だ」(「Play it Again, Sam」1972年・米)
   監督 ハーバート・ロス
   脚本 ウッディ・アレン
   出演 ウッディ・アレン
       ダイアン・キートン
       トニー・ロバーツ

 ボギーに心酔してる映画評論家のアラン(W・アレン)は、突然、妻に逃げられ
てしまう。
 友人のディック(T・ロバーツ)&リンダ(D・キートン)夫婦は、そんな彼を励まし
新しい女を紹介していく。
 ボギーの幻に「女の扱い方」を伝授されながら奮闘するアラン、しかし、そんな
古典的手法が現代に通じる訳もなく・・・。

 1974年5月に名画座で観て以来の再見。
 う~ん。もうちょっと面白かった気がしてたんだけど。
 W・アレンの脚本が演出より勝ったと言うか、H・ロスのスマートさが消えてる気
がします。
 こんなスチャラカ系のギャグが多い作品とは思ってなかった。
 アレンの笑いってアクが強くてクドイ感じがして(この頃は特に)、スマートでセン
スの良い笑いが好きな僕のタイプじゃないんです。
 例外的に、この作品だけは好きだったんだけど、今見ると、ちょっと泥臭い。

 「カサブランカ」だから着地点は決まってて、そこへどうやって持っていくかが勝
負なんだけど、何か無理がある気がします。
 大体「カサブランカ」と言う作品は、リックとイルザ、特にイルザの心境の変化に
解かり難い所があるんです。
 それを、二人の雰囲気とバーグマンの美貌で誤魔化してる、と言えない事もな
い。
 僕はファンだから、イルザやリックの心境のゆらめきを推測していく楽しさがあっ
て、あれで充分と思ってますけど、説明不足と感じる人の言い分も理解できます。
 で、それを現代のW・アレンとD・キートンがやると、あの雰囲気のオブラートが
ないから、人物の書き込み不足が露呈して、凄く唐突な感じを受けてしまうんです。
 これは「パロディ」なんだと割り切って見ないと、何か底の浅いドラマにしか見え
ない。
 ドラマ自体に納得のいく深みがあって、尚且つ、それが立派にパロディとして成
立している、それが理想なんだけど、残念ながら、この作品、其処までは行けなか
った。
 僕は、そう感じました。

※40年前、この作品で初めてW・アレンとD・キートンを知りました。
※「カサブランカ」を観る前に、この作品を観てしまったんだけど、その時の方が面
 白かったのは何でだろう。(笑)
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「吸血鬼ゴケミドロ」 | トップ | 「アイドルを探せ」 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
w・アレン (根保孝栄・石塚邦男)
2013-09-02 15:34:35
アレンの映画、あまり観てなかったのですが、この映画観ましたね。
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2013-09-02 23:26:54
 根保孝栄・石塚邦男さん、初めまして
 コメントありがとうございます

W・アレンは、この作品の頃からグッと伸びてきたんじゃないでしょうか。
面白いことは面白いんですけど、H・ロス風味というよりW・アレン風味の映画でした。
返信する
こんにちは☆ (miri)
2013-12-20 11:51:53
この映画を見ました☆

すっごく面白かったです♪

>大体「カサブランカ」と言う作品は、リックとイルザ、特にイルザの心境の変化に
解かり難い所があるんです。
>それを、二人の雰囲気とバーグマンの美貌で誤魔化してる、と言えない事もない。

私は「誤魔化している」「説明不足」と感じる人なので(笑)
「カサブランカ」の作品そのものは良くても、あの女が大嫌いなので・・・ご存知ですよね?(笑)

>で、それを現代のW・アレンとD・キートンがやると、あの雰囲気のオブラートが
>ないから、人物の書き込み不足が露呈して、凄く唐突な感じを受けてしまうんです。

この作品自体40年前ですので、現代では、もうすでにないような気が・・・(笑)。
要するに戦時と平時の違いかと・・・。

>これは「パロディ」なんだと割り切って見ないと、何か底の浅いドラマにしか見えない。

私は全然反対です。
かえって「カサブランカ」を見た事のない人にお薦めしたいくらい面白かったし、
「カサブランカ」を知っていれば、それはそれで、
色々と人によって「ツボ」が違っていて面白さもそれぞれ・・・だと思いました☆

ボギーの人も素敵で、言いたい放題、面白かったし
途中何度も入る妄想と最後の方の舞台と成行き・・・すっごく上手。

脚本が良いのだと思うし、ロス監督の良さはあんまり出ていなかったような感じだけど、
アレンが監督したらもっともっとウザくなったように思うし、
最近の彼のウザい映画よりはマシだと思ったし・・・

とにかくこの映画は「カサブランカ」を知らなくても面白いと思うし、
「カサブランカ」を好きではない人でも大笑い出来るように思います。
かえって「カサブランカ」大好きな方にはダメかも~???

(その点「新・サイコ」は、元の映画を未見でも既見でも、好きでも嫌いでも面白いと思います)

お返事は、体調が良くなってからで結構ですよ~☆


.
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2013-12-20 23:20:30
 miriさん、コメントありがとうございます

すっごく面白かったです♪>
良かった~、ホッとしました。

平時と戦時の違い>
そうですね、この言葉、凄く納得です。

miriさんのコメントを読んで、この作品、もしかしたら知らない人、本家と相性の悪い人の方がウケルのかなと思いました。
僕も初見の時は大好きだったんですよね(40年近く憶えてたくらい)。
その後、本家にゾッコンになったから、この作品を再見する前、昔の記憶と、今は本家を知ってるから、あの時より「もっと、楽しめる!」と期待値を上げ過ぎたのが敗因なのかも。
特に前半のアレンのウザいギャグが鼻につきました。
(「ヤング・フランケンシュタイン」の時も期待値を上げ過ぎた~数々のギャグが今は寒くて熱冷めた(笑))

「新・サイコ」>メル・ブルックスですよね・・・。
昔は好きでしたけど、今は、彼のギャグに笑えないんですよ。
「サイレント・ムービー」と「ヤング・フランケンシュタイン」を再見して、かなり懲りた苦い経験。(笑)
気が向いたら、チャレンジしてみます。

観て頂き、ありがとうございました。
身体の方は無事治りました、ご心配をお掛けしました。
(調子が悪くて眠りが浅く、ふとTVを点けたらカーリングのオリンピック最終予選の最終決戦をやっていて、これが僅差の劣勢・・・、結局、寝不足と興奮が悪化の原因(恥))
返信する

コメントを投稿

映画感想」カテゴリの最新記事