セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「鍵」

2012-06-13 23:17:50 | 外国映画
 「鍵」(「The Key」1958年・英)
   監督 キャロル・リード
   脚本 カール・フォアマン 
   原作 ヤン・デ・ハルトグ 「ステラ」
   出演 ウィリアム・ホールデン
       ソフィア・ローレン
       トレヴァー・ハワード

 この作品の感想を書くべきか、随分、迷いました。
 16歳頃、日曜洋画劇場の吹き替え版を一度観ただけ、記憶もかなり
曖昧。
 もしかしたら、ただの大甘メロドラマだったのかもしれない。
 そんなもので書いていいのか・・・。
 案の定、記憶だけで書いた「あらすじ」は見事に記憶違いでした。

 ただ、元々、知名度が低く、作品を知る人、見た人がどんどん少なくな
っていく現在、知ってる人間の一人として書き残しておいた方が良いと思
ったのです。
 僕がイタリアの代表的女優ソフィア・ローレンを知った作品で、僕にとっ
ては「ふたりの女」、「昨日・今日・明日」、「ひまわり」を押しのけて一番印
象に残っている作品。
 よく欧米では、賃貸で家具付きのアパートって有りますよね、ここでは家
具の他に女が一人付いてるアパートが舞台で、「鍵」のタイトルの意味は、
その部屋の「鍵」のことです。
 こう書くだけで、女性の方々から猛反発を受けそうな映画です。

 まず、その記憶違いで書いた「あらすじ」を載せます。

 第二次大戦下の軍港。
 女の住んでるアパートへ一人の若い船長が訪ねてきます。
 別の船長から「俺に何かあったら、彼女を宜しく頼む」との約束で訪ねて
きた男、何度も繰り返された事で一目見て何が起きたかを理解する女。
 女は、多分、高級士官の為の娼婦だったと思います、日本でも「(士官
以上が相手の)オンリーさん」と呼ばれた人達がいました(一般婦女子に
レイプなどの被害を及ぼさない為、なんて都合の良い理由の元、募集され
ました)。
 ソフィア・ローレンが演じる娼婦は、気は強いんだけど真っ直ぐで聖母の
ように純粋な所がある。
 男は、最初は娼婦と思っていても、次第に、その人柄を愛し、掛け替え
のない女になってしまう、女もまた、そんな男を愛してしまう。
 戦場に出掛ける時、男は自分が戦死した時、その職柄から、酷い男、
不誠実な男の元へ行かされないよう、この男ならと信じられる男に部屋の
鍵を渡していく。
 女は、その度に傷付き、心は既にボロボロ。
 この女は、ある意味「死神」でもあるんですね、当人も代々の男も、それ
を自覚してるんです、でも、やっぱり、愛し合ってしまう。
 訪ねて来た男も、知ってるから肉体関係なしで親友との約束を守ろうと
するし、女も、もう二度と御免だと思って邪険にする。
 それでも、同じ本を読み返すように、同じ道を辿ってしまう。
 それが切なくて、15,6の何も知らないアンチャンの記憶に残ってしまっ
たんです。
 ラストは、当時、何度も使われたシチュエーションの中で展開していきま
す、ヘプバーンの映画でも、このパターンが一回ありました、でも、僕は、
こっちの作品の方が印象強いですね。

 で、本当は・・・。
 記事をUPする前に、念のためgooで検索して映画の内容を読んだら、
女は娼婦じゃなく堅気の女でした、ラストも思い違いをしている。
 あちゃちゃ~・・・。
 でも、考えてみると僕より映画の方がオカシイ気がするんですよね。
 だって、代々の船長が皆、独身というのが変です。
 軍艦とも呼べないような小さな小さな曳航船とはいえ、船長クラスなら妻
帯者が居ても変じゃないのに、揃いも揃って独身。
 (非常に危険な任務の為、独身者をあてたとも考えられますが、ホール
デンの前は「第三の男」のT・ハワードですからねぇ)
 裏読みすれば、オンリーさんの存在は戦勝国にとってタブーとまではい
かなくても、触れたくない、表に出したくない存在(女性も観る訳ですから)、
だから、女を堅気にしたのではないか。
 ヒロインのステラはスイスから来たことになってるけど、枢軸国側の女
性だし。
 この映画は原作モノだから、原作がそうなってるのかもしれませんが、
ちょっと考えると結構、無理筋なんです。
 
 そんなこんなで、僕としては、いつかもう一度、しっかり見直してみたい
作品になりました。
 (これがなくても、再見したい映画だったんですけどね~笑)
 

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2 コメント

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ネットの映画情報 (大阪在住)
2012-06-14 19:42:46
先日の(素晴らしい映画と出会わせてくれた事)お礼を何か
したいと思っていたので、良い機会と思い、書かせて頂きます。

>記事をUPする前に、念のためgooで検索して映画の内容を読んだら、

この映画については、分かりませんが、
今まで何度も、goo映画とウイッキには騙されてきました。
両方とも違う事を書いてあった映画もありました。

全然違う内容を書いてある時もあったし、
この映画のように、重要人物の職業等が違っていたことも、何度もです。

ですので、この映画についても、ご記憶と、ネットの情報と、
どちらが正しいのかは(現実問題)分からないと思います。
実際・今すぐに再見出来ないなら、ご記憶を大切になさっては如何でしょうか?

もし余計な事でしたら、ごめんなさい。 お邪魔いたしました。
返信する
お気遣い頂いて、ありがとうございます (鉦鼓亭)
2012-06-15 00:37:02
 大阪在住さん

コメント、ありがとうございます。
日曜洋画劇場の放映リストを調べたら、‘71年なんですね放映されたの。
41年前(15の時)に一度、観ただけですから、なんとも記憶が曖昧で、そのクセ、妙に印象に残ってる作品なんです。
ここにUPする記事は、基本、映画館で観た作品にしていたんですけど、段々、ネタが無くなってきて・・・。(笑)
(ホントは曖昧なものを載せちゃ、マズイんですけど)
この作品を観た方の記事を今日、調べたのですが、
内容を細かく言及してるサイトは殆んど有りませんでした。
(僕と同じに娼婦と思ってる人が一人いましたが、どうも、この件に関してはgooに軍配があがりそうです)

ご記憶を大切に>そうですね、ン十年掛かって頭ん中に出来たイメージですから、再見するまでは、そう簡単にイメージ変わらないと思います。

僕はアマチュア評論家でも批評家でもありません、アマチュアのミーハー(当時は監督ではなく女優さんを見てました)なんです。
だから、いつでも、ご遠慮なく遊びに来てください。
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