職員室通信・600字の教育学

小高進の職員室通信 ①教育コミュニティ編 ②教師の授業修業編 ③日常行事編 ④主任会トピックス編 ⑤あれこれ特集記事編

「あなたは今、希望を語ることができますか?」顔面蒼白の青年がたずねた。「おれには語るべき希望なんて

2010-10-23 20:08:19 | Weblog

10.10.23 この「まなざし」が消滅すると、わたしも消滅する

      ☆大盛況の文化祭・IS展示。教育の可能性を黙示。撮影は乱氏。

◆喫茶店で見知らぬ青年からナイフを脇腹に突きつけられた。
 「あなたは今、希望を語ることができますか?」
 顔面蒼白の青年がたずねた。
 何が起きたのかわからぬ困惑のなかで、
 「おれには語るべき希望なんてひとつもないよ」
 と、蜷川(幸雄)さんは答えた。
 「ああ、よかった。僕はずっとあなたの芝居を見てきましたし、影響も受けてきました。あなたが希望を語ったら、刺すつもりでした」
 青年は店を出ていった。
 学生運動が下火に向かい、多くの若者に喪失感と虚無感が漂いはじめた時期である。
 蜷川さんはいまも演出しているとき、青年の視線を感じるという。
「彼のまなざしに拮抗できる舞台をつくらねばならない」と。(讀賣・編集手帳から引用)

◆旧DAKA古書店解体に伴い、古書店内の壁に掛けてあった掲示板を、(少し前に紹介した)開かれた孤独感を味わうことができる「隅っこ」に移動した。
 この掲示板の最上部に、上記の「喫茶店で見知らぬ青年からナイフを脇腹に突きつけられた」が、ピンで留められていた。

 蜷川氏が、いまも演出しているときに感じる「彼のまなざし」。
 こういう「まなざし」が、わたしにも存在する。
 幾人かの「まなざし」が、傍らに存在し、それは片時も忘れたことがない。
 これらの「まなざし」に拮抗できる、精神の枠組みを創出しなくてはならない……と思いつづけているのだが……。(この「まなざし」が消滅すると、まちがいなく、このわたしも消滅する。)

 この「創出」の一環として、HPをマイナーチェンジした^^;。

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極端な閉所恐怖症だが、(いや、閉所恐怖症だから……かもしれないが)隅っこが大好きである
会議のあと、授業技量アップをねらい、模擬授業大会をやった。授業者は、佐鷹T(理科)、今江田T(国語)

 バハハハハハッ。乱氏のまなざし

     ☆大盛況の文化祭・IS展示。ここから教育改革の道筋が見える。撮影はIS部員。

◆午前中、佐甲研修主任と、今年度の研修計画進捗状況について話し合う。
 研修の内容については、本校全体としては(1)「授業力のアップ」に特化すること。
 他の内容については(2)教職員各個の国・県・市等の研修の活用、および各個の研修計画に委ねること。
 また(3)研修案内、および各個の研修成果の伝達については研修部がコーディネートすること……となっている。

 きょうの佐甲研修主任との話し合いは、(1)の進捗状況、すなわち、目標「授業研究および模擬授業研究を校内全体で年間100回実施して……本校設定の『生徒による授業評価(5段階)』および『保護者による授業評価(5段階)』の評価5=80%を……」の前段「100回」について、現在、何回、実施したのか?という確認だった^^;。
 結論。
 1学期末で33回。
 現時点で54回。
 目標の100回は、ちょっと厳しいか、あるいは、ギリギリ達成というところだろうか……。
 指導案を作成し、授業を公開し、研究協議をもつ、各種の公開授業は、すべてカウントする。
 参観日も(研究協議はないが、保護者授業評価&アンケートを実施し、データ分析するので)カウントする。
 もちろん、これらに加えて「模擬授業大会」もカウントする。

◆ひきつづき、乱教務主任と、本校の教育改革の「戦略」について話し合う。(現在、進んでいる県立高校入試改革の問題点の背後にある教育哲学欠如に関する話題にも及んだが、こちらは、乱教務主任の授業開始時間になり、中途でやめる。)

◆その「戦略」の話。
 本校の経営の重点は、
(1)「学びの喜びと確かな学力の保証をめざし、知的で楽しい授業を創る基礎・基本の修業を徹底する。〈プロ教師への道〉」と、
(2)「学校・家庭・地域が協働できる教育システムづくりをめざし、みなみ小・中PTAを核にすこやかみなみネット事業を推進する。〈学社連携・融合の推進〉」である。
 この2つが表と裏、または裏と表の関係になっている。
 現在、公立中学校は、授業、生徒指導、部活動、その他の指導と……朝から晩まで教育全体を丸抱えするようなカタチに陥っている。
 だから、粗くいえば、「知的で楽しい授業を創る」ための教材研究時間確保のためには、なんとしても「学校・家庭・地域のバランスがとれた教育システム」を開発し、丸抱え状態から脱却しなくてはならない……ということだ。

 この重点は、ずっと変わっていない。
 「10年間変わっていない」
 話が、この「10年間変わっていない」に及んだとき、そのことをよく知っている乱Tは豪快にバハハハハハッと笑った。
 しかし、同時に、バハハハハハッの奥に、乱Tのわたしに対するいたわりの「まなざし」を感じた。

◆たしかに「10年間変わっていない」。
 しかし、それは「戦略」のことで、「戦術」はほうは、めまぐるしく変わっている。

 「戦術」――
 たとえば〈10年前〉の学校部活動方針の一部……。
 ①部活動は年間通して(午後6時以降の)延長活動は行わない。
 ②長期休業中の土・日の活動は行わない。
 ③すみやかに部活動任意加入制に移行する。
 ……というようなものだった。

 〈現在〉の学校部活動方針の一部……。
 教職員は、学社連携・融合コーディネーター機能を発揮しよう。
 教育は、単に学校だけで行われるものではない。
 家庭や地域社会が、教育の場として十分な機能を発揮することなしに、子供の健やかな成長はあり得ない。
 いわゆる「生きる力」についても、学校において組織的、計画的に学習しつつ、家庭や地域社会において、親子の触れ合い、友達との遊び、地域の人々との交流などの様々な活動を通じて根づいていくものである。
 しかし、実際の本校生徒の生活は、感覚的には左図(省略)のようになっている。
 これをわたし流にいえば「学校の教育独占体制」あるいは「学校の教育丸抱え体制」(われわれがこの体制を望んだわけではないが……)である。
 なんとしてもこれを改めたい。

 ただし、だからといって、学校側の判断のみで無制限にダムの水を放流するように丸抱え体制を解除することはできない。
 大混乱が目に見えている。
 そこで(以前にも述べたが)抱えている側(われわれ学校側)のコーディネーター機能(調整)が重要である。
 次の点に留意し、(ダムの放流口の)調整機能を十分に発揮してほしい。
 ①学年・学級(学年教員)で、あるいは、部活動(顧問)で、個々の生徒の社会教育活動(学習塾・稽古塾を含む)の実態を、可能な限り把握する。そのうえで、個々の生徒の社会教育活動が円滑に行われるように配慮する。
 ②地域で行われる社会教育活動や公的な社会教育活動への参加を奨励する。部活動と重なる場合も多いと思うが、各部顧問は、ここで充分、学社コーディネート力を発揮してほしい。(子どもたちは学校教育ではとても育てられない力を社会教育で獲得する可能性がある。)
 ③部活動の休止日については、これまでの通り(①第1・3日曜日 ②他の週については、土・日のいずれかを休止日とする)であるが、長期休業中の土・日は可能な限り休止日とし、教職員も自身の家庭や地域で過ごすようにする。(「戦術」の話、以上)

◆要するに(つぶさに読んでいただければおわかりになるように)「わし」は、沈没寸前の戦艦のように、満身創痍(=全身傷だらけであること。転じて、徹底的にいためつけられること)の状態なのだ^^;。
 戦術の変更はまちがっているとは思わないが、乱Tのバハハハッの裏にこめられている、「(わたしへの)いたわりのまなざし」は、「変更」という「後退・退歩」をせざるを得なかったことに対するものなのだ。

 なお、小中PTAの連携・融合を基盤・核にした学社連携・融合推進の具体的施策としての「すこやかみなみネット事業」の展開そのものについては、学校・家庭・地域が協働できる教育システムづくりに向けて着実にばく進中であると自負している。
 これは、PTAの48やんのおかげだ。
 また、48やん他、小中PTA幹部、また地域のリーダーたちとの出会いの賜だと考えている。
 コツコツやっていると、世の中、捨てたものではない。
 しびれるくらい、いや、ふるえるくらい、いいこともあるものだと心より感謝している。

      ☆展示開始前から列を作る小学生たち。撮影は乱氏。


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