職員室通信・600字の教育学

小高進の職員室通信 ①教育コミュニティ編 ②教師の授業修業編 ③日常行事編 ④主任会トピックス編 ⑤あれこれ特集記事編

★書架中段にあった『素顔』(三浦哲郎)が目に止まった。「酒場まで」を読む。「うまい」と思った!

2018-10-25 20:36:16 | 僕のモンマルトル日記

★夕刻、残りの僕の人生の、既にかなり狭まってしまった【活路】を見いだそうとして見いだせず、苦しんでいるとき、DAKA古書店跡のいちばん奥の書架中段にあった『素顔』(三浦哲郎)が目に止まった。

 書物を手に取り、適当に開いたところから読みはじめた。
 「郷里の匂い」の章、残り3ページのところだった。
 その3ページを読み終え、次の章「酒場まで」。
 冒頭――
 《ふと、すすり泣きの声を聞いたような気がして、馬淵は、マッチを擦ろうとしていた手を止めた。
 こんな真夜中に、すすり泣きなんかするのは、いったい誰だ。》
 妻の菊枝か?
 三女の七重か?
 次女の志穂か?
 長女の珠子か?

 グイグイと引き込まれ、その章を一気に読み切った。
 うまい!と思った。

 その「酒場まで」の最後の場面――
 《「はい。お嬢さんには、なにがいいでしょうね」
 馬淵は、珠子(=すすり泣きの主)と顔を見合わせた。
 すると珠子は、ちょっと顎を引いて、上目になって笑ってみせた。
 そんなところは菊枝(=馬淵の妻)にそっくりだったが、
 「よく似てらっしゃいますね、お父さまに」
 と、カウンターのなかからお紺さん(=酒場のママ)がいった。
 馬淵は思いがけなくて、
 「僕にですか」
 「ええ、そっくりですよ、まだ詰襟の学生服を着てらっしゃったころに」
 「そうかなぁ」》(後略)
 
 しびれたしまったよ。(庄野潤三より上かなぁ~。)
 
★画像=『素顔』(三浦哲郎)の表紙。
 購入した書店(三日町の伊吉)に充満していた空気、当時の僕の境遇、書物を手に取ったときの僕の心境は、はっきりと覚えているが、書物の中味を読んだ記憶はない。

★僕の公式ホームページにもぜひおいでください。

 


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