12月6日。初冬のピンとした空気の西山の麓で第22回例会「京都西山・苔香居でぬくぬくおくどさんのごはん満喫day♪」が行なわれました。
ご参加いただいたみなさま、会場提供をご快諾くださった、文化庁国登録有形文化財山口家住宅・「苔香居」ご当主・山口さま、お世話くださったまつや古河さまご夫妻、ご後援いただきました(財)京都市景観・まちづくりセンターさまにこの場を借りまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
ご参加くださったのはお子たち含め14名の方々。
初めておくどさんを見るという方から、若かりし頃に使ってました…という方まではば広い年齢層の方がお集まり下さいました。
まずは今回の会場、文化庁国登録有形文化財山口家住宅・「苔香居」ご当主・山口氏より山口家の暮らしとおくどさんについてのお話をうかがいました。
明治期に新調されたというこちらのおくどさんは5つ竈。
一番奥の大きなおくどさんには竈の神さんを祀ってあります。
敬意を表してお釜を1段あげてあるのですが、1年に1度、お正月のお餅(糯米を蒸す)を作る際にはおろすそうです。
それぞれの穴の大きさは違っていて、それに応じた大きさのお釜の指定席になっているのですが、鉄輪をお釜の羽にひっかけることで他のお釜にも対応できるようになっています。
5つのおくどさんは鈎型に並んでいます。お世話をする人はそれに囲まれるようなかたちで火の調節をするのですが、焚口に角度があるため座ったままでもすべてのおくどさんの火加減がよく見えるようになっています。
「意外と機能的なんですね」と参加者の方。
「じゃぁ、炊いていきましょうか」という山口さんのお声に促され、
薪割りとおくどさんチームにまずは分れました。
薪はご用意くださった分を今回使わせていただくので、補充用に割っておきます。
経験者の方のご指導でこんな小さいお子も上手に割っていました。
昔はこどもの仕事やったよね・・・というみなさんのお話にも納得。
一方おくどさんでは・・・
山口氏と古河氏のご指導のもと、火を扱います。
お米と同量のお水が入った釜をかけて、まずは焚きつけ。
「お釜の底に火がくるように薪は組んでくださいね」
煙が羽釜とおくどさんの間からじわ~っと洩れてきました。
やや煙い…!ですが時間がたつにつれ視界がクリアに。
見ると火袋辺りが煙っていました。
意匠として見たことはあっても「火袋」として機能している場面を見られることはそうありません。
このおくどさんは煙突のついた改良型ですが、それ以前のものは焚口からも煙が出てくるわけですから相当煙たかったことだと思います。
通りにわや火袋がないと家中に煙が回って大変なことになるやろうな、と実感でき
る貴重な体験となりました。
そのうち木くずや火吹き竹の力も借りて火の勢いが強くなってきました。
種火ができたらほかの竈に移していきます。
「ずっと強火でいきますよ」と古河氏。
火が熾るまでは時間がかかったような気がしていたのですが、ここからが速い!
洩れていた煙がぴたりと収まり、今度はお釜と木蓋の隙間からほんのりお米の香りのする白い湯気が上がってきました。
「湯気に手を当ててみてください」と山口氏。
「湿っぽいでしょう?これが乾いてくると炊きあがり。」
ごはんのお釜の隣には湯沸かし用のお釜、その横には大きなお鍋がかけられ、お味噌汁が作られていきます。
火加減は消すのではなく焚口から焚口へと火を移して行われるため、何かを作らなくても調節用として複数の竈で火を焚いておくそうです。
古河氏の見事な火ばさみさばき!
たき火も難しくなった昨今、実際に火をつかむ火ばさみを見るのは久しぶり。
三つの竈で火を焚いているにもかかわらず、煉瓦はほんのり暖かい程度。煙突もそれほど熱くはありませんでした。なるほどフル稼働した場合の火にも耐えられるはずです。
そのうち湯気が乾いてピチピチとお焦げのできる音がし始めて炊きあがり!
ものすご~く時間がたった、と思いきや作業に入ってから30分ほどでした。
湯気が立ち込めてよく見えないお釜の中をざっとかきまぜて、お椀によそいます。
お味噌汁、自家製の梅干しを添えていただきま~す!
ピカピカほかほかのご飯はおかわり続出で、一升五合のごはんはまたたくまにみなさんのおなかへと消えて行きました。
直火炊きの醍醐味、おこげも争奪戦。
塩をかけていただいたり、ほうじ茶でお茶漬けにしたりと大人にも子たちにも大人気でした。
ごちそうさまの後はもちろんお片づけ。
洗い場担当の方には井戸水の暖かさも体験していただきました。
隣に水道水の蛇口もついていたので、よりはっきりと実感していただけたようです。
先ほどごはんの隣で沸かしていたお湯はご飯を炊いたお釜を洗うのに使います。
おくどさんの火の始末は火ばさみと火消壷で。
炭はまた次に使うそうです。無駄がないですね。
ひと段落したあとは、苔と落ち葉の紅葉が美しいお庭を見学して散会となりました。
まだ日が高いうちでしたので、辺りを散策された方もいらっしゃったようです。
本年はたくさんの皆様に例会にご参加いただきましてありがとうございました。
来年も楽しい例会をやっていきたいと考えております。
第1弾のお知らせは年が明けてからになります。みなさまお楽しみに~。
ご参加いただいたみなさま、会場提供をご快諾くださった、文化庁国登録有形文化財山口家住宅・「苔香居」ご当主・山口さま、お世話くださったまつや古河さまご夫妻、ご後援いただきました(財)京都市景観・まちづくりセンターさまにこの場を借りまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
ご参加くださったのはお子たち含め14名の方々。
初めておくどさんを見るという方から、若かりし頃に使ってました…という方まではば広い年齢層の方がお集まり下さいました。
まずは今回の会場、文化庁国登録有形文化財山口家住宅・「苔香居」ご当主・山口氏より山口家の暮らしとおくどさんについてのお話をうかがいました。
明治期に新調されたというこちらのおくどさんは5つ竈。
一番奥の大きなおくどさんには竈の神さんを祀ってあります。
敬意を表してお釜を1段あげてあるのですが、1年に1度、お正月のお餅(糯米を蒸す)を作る際にはおろすそうです。
それぞれの穴の大きさは違っていて、それに応じた大きさのお釜の指定席になっているのですが、鉄輪をお釜の羽にひっかけることで他のお釜にも対応できるようになっています。
5つのおくどさんは鈎型に並んでいます。お世話をする人はそれに囲まれるようなかたちで火の調節をするのですが、焚口に角度があるため座ったままでもすべてのおくどさんの火加減がよく見えるようになっています。
「意外と機能的なんですね」と参加者の方。
「じゃぁ、炊いていきましょうか」という山口さんのお声に促され、
薪割りとおくどさんチームにまずは分れました。
薪はご用意くださった分を今回使わせていただくので、補充用に割っておきます。
経験者の方のご指導でこんな小さいお子も上手に割っていました。
昔はこどもの仕事やったよね・・・というみなさんのお話にも納得。
一方おくどさんでは・・・
山口氏と古河氏のご指導のもと、火を扱います。
お米と同量のお水が入った釜をかけて、まずは焚きつけ。
「お釜の底に火がくるように薪は組んでくださいね」
煙が羽釜とおくどさんの間からじわ~っと洩れてきました。
やや煙い…!ですが時間がたつにつれ視界がクリアに。
見ると火袋辺りが煙っていました。
意匠として見たことはあっても「火袋」として機能している場面を見られることはそうありません。
このおくどさんは煙突のついた改良型ですが、それ以前のものは焚口からも煙が出てくるわけですから相当煙たかったことだと思います。
通りにわや火袋がないと家中に煙が回って大変なことになるやろうな、と実感でき
る貴重な体験となりました。
そのうち木くずや火吹き竹の力も借りて火の勢いが強くなってきました。
種火ができたらほかの竈に移していきます。
「ずっと強火でいきますよ」と古河氏。
火が熾るまでは時間がかかったような気がしていたのですが、ここからが速い!
洩れていた煙がぴたりと収まり、今度はお釜と木蓋の隙間からほんのりお米の香りのする白い湯気が上がってきました。
「湯気に手を当ててみてください」と山口氏。
「湿っぽいでしょう?これが乾いてくると炊きあがり。」
ごはんのお釜の隣には湯沸かし用のお釜、その横には大きなお鍋がかけられ、お味噌汁が作られていきます。
火加減は消すのではなく焚口から焚口へと火を移して行われるため、何かを作らなくても調節用として複数の竈で火を焚いておくそうです。
古河氏の見事な火ばさみさばき!
たき火も難しくなった昨今、実際に火をつかむ火ばさみを見るのは久しぶり。
三つの竈で火を焚いているにもかかわらず、煉瓦はほんのり暖かい程度。煙突もそれほど熱くはありませんでした。なるほどフル稼働した場合の火にも耐えられるはずです。
そのうち湯気が乾いてピチピチとお焦げのできる音がし始めて炊きあがり!
ものすご~く時間がたった、と思いきや作業に入ってから30分ほどでした。
湯気が立ち込めてよく見えないお釜の中をざっとかきまぜて、お椀によそいます。
お味噌汁、自家製の梅干しを添えていただきま~す!
ピカピカほかほかのご飯はおかわり続出で、一升五合のごはんはまたたくまにみなさんのおなかへと消えて行きました。
直火炊きの醍醐味、おこげも争奪戦。
塩をかけていただいたり、ほうじ茶でお茶漬けにしたりと大人にも子たちにも大人気でした。
ごちそうさまの後はもちろんお片づけ。
洗い場担当の方には井戸水の暖かさも体験していただきました。
隣に水道水の蛇口もついていたので、よりはっきりと実感していただけたようです。
先ほどごはんの隣で沸かしていたお湯はご飯を炊いたお釜を洗うのに使います。
おくどさんの火の始末は火ばさみと火消壷で。
炭はまた次に使うそうです。無駄がないですね。
ひと段落したあとは、苔と落ち葉の紅葉が美しいお庭を見学して散会となりました。
まだ日が高いうちでしたので、辺りを散策された方もいらっしゃったようです。
本年はたくさんの皆様に例会にご参加いただきましてありがとうございました。
来年も楽しい例会をやっていきたいと考えております。
第1弾のお知らせは年が明けてからになります。みなさまお楽しみに~。