例会・イベントのご案内とご報告

特定非営利活動法人 京町家・風の会

第3回例会 町家セミナー「町家貸さはりませんか~町家賃貸借のポイント」

2008-02-26 09:10:13 | 例会・イベントのご報告
遅くなりました第三回例会のご報告です。


2月20日(水)13時半より京都府庁NPOパートナーシップセンター会議室にて第3回例会「町家貸さはりませんか~町家賃貸借のポイント」を開催いたしました。

今回は大家さん向けの講座です。講師は当会代表理事・井上信行が務めさせていただきました。

風の会の例会には珍しく、非会員ばかり5名の方にご参加いただきました。

冬の中休みのような暖かな日で、会議室も暖房が効いてぬくぬく
話しがつまらなかったら寝てしまいそうやな・・・、という心配をよそに
参加者の皆さま熱心に質問を交えながら耳を傾けておられました。


以下詳細です。

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1)町家、京町家とは?

戦前の木造住宅(昭和25年の建築基準法施行以前の)を指しますが、今の木造住宅との違いが数点あります。

町家・・・というと、思い浮かぶのはその意匠だと思いますがそれは現在でも再現可能なこと。
当時はできても現行法で規制がかかるのは構造なんだそうです。


ひとつ石の上に柱が、かずら石の上に土台があるのが町家。
いくら外観が「らしく」ても基礎が違うと町家とは呼べないんですね。
また、登記簿上の土地の地番と建物家屋番号が相違しているのも見分けるポイントとなるそうです。

2)貸すための準備

これはトラブルを防ぐためのもので所有関係の整理や物件状態・設備の確認、そして大事な賃貸条件の設定などがこれにあたります。
特に、町家の場合注意すべきなのが物件状態のチェック。
躯体の傾きや、床や壁など家本体はもちろんのこと、ガス・電気・水道等ライフラインも要注意です。
不具合を知らずに生活を始められると、大変なことになる場合はやはり事前に直しておいたほうがよさそうです。

具体的には
・ガス・・・漏れがないか
・電気・・・容量(昔と今とでは生活の消費電力が違います!)
・水道・・・上水道の錆、下水管が陶管(ずれたりすると汚水漏れや詰まりの原因となる)
・テレビアンテナ・・・あっても映らない場合もあり。

また、要注意なのが、床下、縁の下のゴミ!
なんでも放り込んで出て行くかたもいるそうで・・・。
新しく入居する側も契約前にチェックして処理をお願いしたほうがよさそうです。

3)改修許容範囲、費用負担の設定
町家の貸借ならでは、のポイントかもしれません。
大方は法律でも定められていることで、契約書に明示しておけばトラブルは避けられます。
具体的には家をもたすための最低限ラインが基準で、飲食店なら屋根のみ、物販店や居住専用なら屋根と給排水設備、となっているようです。
電気やガスは借主さんのお商売によって配管・配線や容量が異なるので貸主さんが事前に整備しても無駄になる・・・ということもあり、借主さん負担になる場合が多いようですね。

しかし!借主が持つ分やさかい・・・、と放っておくと家が傷んでしまう場合も。
それでは本末転倒!
また借主さんも「お金使いたくないし・・・」とだましだましやっていくのはあきません。
不良箇所によっては貸主負担や折半ということもあるので借主は家の具合の悪い箇所に気づいたら家主さんに連絡してください(不良箇所通知義務)。


最後に2000年から新たに加わった借家契約「定期借家」について従来の借家契約との違いをあげながら説明いたしました。

定期借家契約は契約期間が満了になると、再契約はないんです・・・。
(聞いているうちに心配になり帰宅後すぐに契約書を確認しました。普通の更新ありの契約だったので、ホッ。
しかし、双方にもメリットがあるのでこのかたちを取り入れる大家さんも結構あるようです。

結びのなかに「貸主、借主双方ともに『借りてもろてる、貸してもろてる』という意識を持つことが大切」ということばがありました。

損得ではなくて、家のため、ということを念頭に置けばおのずと家主―借主関係も円滑に行くのではないか、と感じる講座でした。