長らくお待たせいたしました。
昨秋の連続例会最後の回のご報告です。
トリは代表理事・井上が講師をつとめました「町家の借り方セミナー」でした。
学生さんや工務店さん、大家さん、町家でお商売したい方、長期滞在しているうちに京都で暮らしたくなってきた方などヴァラエティに富んだ参加者の方が15名ご参加くださいました。
先の仕舞屋例会やらりぃマップから興味を持ってくださった方もおられて、スタッフ一同嬉しく思いました。
会場は京都西陣町家スタジオ。一間洋館や奥庭に蔵のある面白い町家です。
まずは共催の(財)京都市景観・まちづくりセンター高木氏から貸し町家をめぐる状況についてのお話しがありました。
ついで講師・井上のセミナー。
町家の定義など貸し方セミナーと重なる部分もありましたが、実情にもとづいた詳細な解説もありなかなか内容の濃いものとなりました(個人的には、活かすことができるのが次回以降の引越ということになるのは悔やまれますが・・・)。
セミナーは、町家に暮らすためのステップ(探す→物件を見る→契約→改修→引越)に沿って進みました。
まずは物件探しから!ということで、町家かどうかの判別ポイントをいろいろと。
実際のところは基礎を見ないと確実にはわからないのですが、外から判別する目安として2階の軒裏の木組みをチェックすることも有効だそうです。
物件チェックに際してのポイントについては写真を使って説明。
みなさん真剣に見入っておられました。
白蟻害や軒裏の雨漏りの跡など見覚えのある写真が次々と・・・。
知っていれば入居前に直したのに(雨漏り、赤水経験済み)・・・というようなポイントがごろごろ紹介されました。
また、水道口径の話などお商売をされる方に重要なポイントにも触れました。
写真を見ながら実感したのは壁でも柱でも覆ってしまうと中が傷んでいてもわからない、ということ。
配管なども壁に埋設してしまうと工事や修繕の際大変になります。
不便さは住んでいるうちに慣れるので住みながら直すということも悪くはないのですが、一旦暮らし始めると、家具や設備を動かすのが面倒になったり一時的にインフラが使えなかったりですぐ修繕に踏み切れないのも事実。具合の悪いところは事前に直しておくほうがベターなものもありますよ!
気に入った物件についても多少の粗探し(?)は必要ですね。
一見借主負担と思われるような箇所も、ときには家主さんが直してくれることもあります。これは入居後も同じことで修繕義務の有無にかかわらず、不具合は家主さんに言うてみる価値ありだとか。逆に言わずに放っておくと、補償の問題にもなりかねないそうです。
契約については、費用負担や課税などのポイントに加え定期借家契約と従来の借家契約とを比較。
定期借家契約の期間についても詳細に説明がありました。
お商売向けの契約期間は一般的に住居専用の場合より長く、物販・事務所でだいたい10年、飲食などでは15~20年というケースが多いそうです。改修も大規模になりがちなことと商売上すぐ移転というのも具合が悪い、というのがその理由。
また定期借家契約、普通の契約に関わらず「更新は最初と同条件で」ということは念押ししておくべきと。これは重要。
ほかにあまり一般的には知られていない改修についてのポイントを建築基準法との絡みからも説明いたしました。
建築確認が必要となるのはどの程度の改修の場合であるかなども、お店をされる方には興味ぶかかったのではないでしょうか。
最後に改修、引越時の注意点。
ご近所へのご挨拶は必須です。
工事や引越の車が駐車することなどでご迷惑がかかりますので。
引っ越すまでは近所のかたに家のことを気にかけてもらうしかないですしね。
最後の質疑応答も参加者のかたに応じてさまざまでした。
Q:バリアフリーにするのは難しいですか?
A:土間からのあがり口以外の部屋間はもともとほぼフラットなのでやりやすいと思います。
Q:柱に白蟻や根腐れがあった場合の使用限界の見極めは?
A:柱自体の重要度(大黒柱など)や被害の程度にもよりますが、根継ぎができるので一本まるまる取替えということはほとんどないと思います。
Q::市内で井戸は掘れますか?
A:上京から中京の上のほうでは今でも水が出ます。飲用には向かないかもしれませんが生活用水やったらほぼいけると思います。それより下では地下鉄や阪急が通った関係で涸れてしもたとこが多いみたいですね。
災害時のことを考えると、井戸があればトイレの水等に使えますし、消防署でも登録制度を設けています。
セミナー終了後もあちらこちらでスタッフと参加者の方が語らっている姿が見受けられました。
町家暮らしに重点をおいた3つの例会を通して、町家に暮らそうとお考えの方がお知りになりたいことは一問一答に絞られるようなものではないということがうっすらとわかってきたような気がします(よもやま例会の人気の秘密?)。
今回はどちらかというと「暮らす」ことを中心に据えた借り方講座となりました。
年末の運営会議でも意見が出ていたのですが、お商売をされたい方向けに絞ったセミナーも今後企画していきたいと思います。
お楽しみに!
昨秋の連続例会最後の回のご報告です。
トリは代表理事・井上が講師をつとめました「町家の借り方セミナー」でした。
学生さんや工務店さん、大家さん、町家でお商売したい方、長期滞在しているうちに京都で暮らしたくなってきた方などヴァラエティに富んだ参加者の方が15名ご参加くださいました。
先の仕舞屋例会やらりぃマップから興味を持ってくださった方もおられて、スタッフ一同嬉しく思いました。
会場は京都西陣町家スタジオ。一間洋館や奥庭に蔵のある面白い町家です。
まずは共催の(財)京都市景観・まちづくりセンター高木氏から貸し町家をめぐる状況についてのお話しがありました。
ついで講師・井上のセミナー。
町家の定義など貸し方セミナーと重なる部分もありましたが、実情にもとづいた詳細な解説もありなかなか内容の濃いものとなりました(個人的には、活かすことができるのが次回以降の引越ということになるのは悔やまれますが・・・)。
セミナーは、町家に暮らすためのステップ(探す→物件を見る→契約→改修→引越)に沿って進みました。
まずは物件探しから!ということで、町家かどうかの判別ポイントをいろいろと。
実際のところは基礎を見ないと確実にはわからないのですが、外から判別する目安として2階の軒裏の木組みをチェックすることも有効だそうです。
物件チェックに際してのポイントについては写真を使って説明。
みなさん真剣に見入っておられました。
白蟻害や軒裏の雨漏りの跡など見覚えのある写真が次々と・・・。
知っていれば入居前に直したのに(雨漏り、赤水経験済み)・・・というようなポイントがごろごろ紹介されました。
また、水道口径の話などお商売をされる方に重要なポイントにも触れました。
写真を見ながら実感したのは壁でも柱でも覆ってしまうと中が傷んでいてもわからない、ということ。
配管なども壁に埋設してしまうと工事や修繕の際大変になります。
不便さは住んでいるうちに慣れるので住みながら直すということも悪くはないのですが、一旦暮らし始めると、家具や設備を動かすのが面倒になったり一時的にインフラが使えなかったりですぐ修繕に踏み切れないのも事実。具合の悪いところは事前に直しておくほうがベターなものもありますよ!
気に入った物件についても多少の粗探し(?)は必要ですね。
一見借主負担と思われるような箇所も、ときには家主さんが直してくれることもあります。これは入居後も同じことで修繕義務の有無にかかわらず、不具合は家主さんに言うてみる価値ありだとか。逆に言わずに放っておくと、補償の問題にもなりかねないそうです。
契約については、費用負担や課税などのポイントに加え定期借家契約と従来の借家契約とを比較。
定期借家契約の期間についても詳細に説明がありました。
お商売向けの契約期間は一般的に住居専用の場合より長く、物販・事務所でだいたい10年、飲食などでは15~20年というケースが多いそうです。改修も大規模になりがちなことと商売上すぐ移転というのも具合が悪い、というのがその理由。
また定期借家契約、普通の契約に関わらず「更新は最初と同条件で」ということは念押ししておくべきと。これは重要。
ほかにあまり一般的には知られていない改修についてのポイントを建築基準法との絡みからも説明いたしました。
建築確認が必要となるのはどの程度の改修の場合であるかなども、お店をされる方には興味ぶかかったのではないでしょうか。
最後に改修、引越時の注意点。
ご近所へのご挨拶は必須です。
工事や引越の車が駐車することなどでご迷惑がかかりますので。
引っ越すまでは近所のかたに家のことを気にかけてもらうしかないですしね。
最後の質疑応答も参加者のかたに応じてさまざまでした。
Q:バリアフリーにするのは難しいですか?
A:土間からのあがり口以外の部屋間はもともとほぼフラットなのでやりやすいと思います。
Q:柱に白蟻や根腐れがあった場合の使用限界の見極めは?
A:柱自体の重要度(大黒柱など)や被害の程度にもよりますが、根継ぎができるので一本まるまる取替えということはほとんどないと思います。
Q::市内で井戸は掘れますか?
A:上京から中京の上のほうでは今でも水が出ます。飲用には向かないかもしれませんが生活用水やったらほぼいけると思います。それより下では地下鉄や阪急が通った関係で涸れてしもたとこが多いみたいですね。
災害時のことを考えると、井戸があればトイレの水等に使えますし、消防署でも登録制度を設けています。
セミナー終了後もあちらこちらでスタッフと参加者の方が語らっている姿が見受けられました。
町家暮らしに重点をおいた3つの例会を通して、町家に暮らそうとお考えの方がお知りになりたいことは一問一答に絞られるようなものではないということがうっすらとわかってきたような気がします(よもやま例会の人気の秘密?)。
今回はどちらかというと「暮らす」ことを中心に据えた借り方講座となりました。
年末の運営会議でも意見が出ていたのですが、お商売をされたい方向けに絞ったセミナーも今後企画していきたいと思います。
お楽しみに!