落語会の余韻もさめやらぬ翌17日、第2回例会「改修前西陣京町家を見てもらおう会」が行なわれました。
お子たちや非会員の方を含め、それぞれに町家への想いをお持ちの方々が15名ご参加くださいました。
心配された京の底冷えもさほどではなく、また着工間近であったため電気・水道も開線していただいていたので、
建物の細部までご覧いただくことができました。
以下、詳細です。
まずは店の間で㈱千本銘木商会・中川さんから、お商売と建材や細工を中心とした家の造りのお話をうかがいました。
金糸屋さんということで糸屋格子の切子は3本?と思いきや、こちらのお宅は2本。これは問屋さんのしるしだとか。
京町家は栂-とが-作りのお家が多いのですが、会場となったお宅は檜作り。
それだけでもかなり贅沢な作りであるということがわかるそうです
次いで細部の説明を聞きながら家の中をゆっくり廻っていきます。
みなさんご自分の気になるポイントをじっくり見ておられました。
なかでもお仕事で町家を扱っておられる年長のおふたかたが
楽しそう~に探索してらしたのが印象的でした。
戦前すでに自家用車をお持ちだったというお家だけあり、
随所で分限者ぶりを目にすることができました。
堅い桜の木の敷居、柾目の長~い松の廊下、
一枚ガラスの引き戸から床の間の細工まで
贅を尽くすというのはこういうこと…という見本のようでした。
一見、何気ないようでいて、実は洒落っ気十分な
銘木の取り合わせ方であったり、
わざとこうと(地味)にみせる木の削り方をしていたり…。
京都では、繊維に関するお商売(主に問屋)のことを「糸偏-いとへん-」と
総称します。
床の間には綾文様、敢えて継いである桟・・・と
「糸へん」を散りばめた細工が施され、お商売と関連づけてあります。
柾目は木の半径でしか採ることができません。
ではこの縁にはられた松の原木の直径は・・・!
樹齢は500年を下らないそうです。
「今、これだけの板を採れる木は千年杉といわれる
屋久杉くらいしかないでしょうね~」と中川さん。
一同、ため息でした。
最後はお茶をいただきつつ質疑応答のお時間です。
お菓子は局長セレクトの千本玉寿軒さん御製の西陣風味でした。
Q「たいていの場合、だいぶ改修が必要になりますか?」
A「程度によりますが・・・。まず、ライフラインは要チェック。水道が土管なら交換。電気も容量の問題がありますね。
最低限のところだけ住む前に施工して、あとは住みながら直していく方もいらっしゃいます」
Q「電気の配線は?」
A「このお宅の場合、建具が多く壁が少ないので、壁に這わして差込口は柱につけるという形になるでしょう。
建物に馴染むようにしたいですが」
Q「床下を通らせて敷居などに出す、というようにはしないんですか?」
A「見た目にはいいんですが、それが今結構火災(トラッキング)の原因になってるんですよ。
綿ごみや埃が差し込み口にどうしても入ってしまうので、大変に危険です。蓋つきのコンセントにすればよいですが」
Q「ここはガラス戸が多いですが、夏はやっぱり夏建具にしてらしたんでしょうか」
A「夏だから必ず夏建具にするわけでもないんです。
お商売上、直射日光や乾燥を嫌う場合もありますし。特にこちらは金糸銀糸を扱こうてられたので
(金糸銀糸は直射日光に弱いのです)、替えてらっしゃらなかったかもしれません」
Q「冬の暖房はどんなのが適していますか?うちはガスです。」
A「石油ストーブはこのお宅だと(ガラス戸が多く機密性が高いので)結露の問題があります。ガスは配管次第。
昔ながらのコタツが一番いいのかもしれないですね。町家にすでにお暮らしの方が、ぜひ寒さ対策のお知恵を伝授してあげてください!」
「でも、町家に暮すと不便になる、というわけではなく、おのずと暮し方が自然に変わっていくんですよね~。そういう方が多いです」
などなどたくさんの質問が飛び交いました。
「町家には地域とひとがつくってきた物語があります。それに想いを寄せて大事にしながら暮していただきたいです」
と中川さんは結ばれました。
大工さんや工務店さんには接する機会が何かとみなさんおありでしょうが、銘木商さんの目からみた町家の話は耳に新しかったのではないでしょうか?
何百年も生きてきた木の命をいただいて住まわせてもろてる…この大切な命を次の世代へぜひ引き継いでいったほしいと改めて思った一日でした。
お子たちや非会員の方を含め、それぞれに町家への想いをお持ちの方々が15名ご参加くださいました。
心配された京の底冷えもさほどではなく、また着工間近であったため電気・水道も開線していただいていたので、
建物の細部までご覧いただくことができました。
以下、詳細です。
まずは店の間で㈱千本銘木商会・中川さんから、お商売と建材や細工を中心とした家の造りのお話をうかがいました。
金糸屋さんということで糸屋格子の切子は3本?と思いきや、こちらのお宅は2本。これは問屋さんのしるしだとか。
京町家は栂-とが-作りのお家が多いのですが、会場となったお宅は檜作り。
それだけでもかなり贅沢な作りであるということがわかるそうです
次いで細部の説明を聞きながら家の中をゆっくり廻っていきます。
みなさんご自分の気になるポイントをじっくり見ておられました。
なかでもお仕事で町家を扱っておられる年長のおふたかたが
楽しそう~に探索してらしたのが印象的でした。
戦前すでに自家用車をお持ちだったというお家だけあり、
随所で分限者ぶりを目にすることができました。
堅い桜の木の敷居、柾目の長~い松の廊下、
一枚ガラスの引き戸から床の間の細工まで
贅を尽くすというのはこういうこと…という見本のようでした。
一見、何気ないようでいて、実は洒落っ気十分な
銘木の取り合わせ方であったり、
わざとこうと(地味)にみせる木の削り方をしていたり…。
京都では、繊維に関するお商売(主に問屋)のことを「糸偏-いとへん-」と
総称します。
床の間には綾文様、敢えて継いである桟・・・と
「糸へん」を散りばめた細工が施され、お商売と関連づけてあります。
柾目は木の半径でしか採ることができません。
ではこの縁にはられた松の原木の直径は・・・!
樹齢は500年を下らないそうです。
「今、これだけの板を採れる木は千年杉といわれる
屋久杉くらいしかないでしょうね~」と中川さん。
一同、ため息でした。
最後はお茶をいただきつつ質疑応答のお時間です。
お菓子は局長セレクトの千本玉寿軒さん御製の西陣風味でした。
Q「たいていの場合、だいぶ改修が必要になりますか?」
A「程度によりますが・・・。まず、ライフラインは要チェック。水道が土管なら交換。電気も容量の問題がありますね。
最低限のところだけ住む前に施工して、あとは住みながら直していく方もいらっしゃいます」
Q「電気の配線は?」
A「このお宅の場合、建具が多く壁が少ないので、壁に這わして差込口は柱につけるという形になるでしょう。
建物に馴染むようにしたいですが」
Q「床下を通らせて敷居などに出す、というようにはしないんですか?」
A「見た目にはいいんですが、それが今結構火災(トラッキング)の原因になってるんですよ。
綿ごみや埃が差し込み口にどうしても入ってしまうので、大変に危険です。蓋つきのコンセントにすればよいですが」
Q「ここはガラス戸が多いですが、夏はやっぱり夏建具にしてらしたんでしょうか」
A「夏だから必ず夏建具にするわけでもないんです。
お商売上、直射日光や乾燥を嫌う場合もありますし。特にこちらは金糸銀糸を扱こうてられたので
(金糸銀糸は直射日光に弱いのです)、替えてらっしゃらなかったかもしれません」
Q「冬の暖房はどんなのが適していますか?うちはガスです。」
A「石油ストーブはこのお宅だと(ガラス戸が多く機密性が高いので)結露の問題があります。ガスは配管次第。
昔ながらのコタツが一番いいのかもしれないですね。町家にすでにお暮らしの方が、ぜひ寒さ対策のお知恵を伝授してあげてください!」
「でも、町家に暮すと不便になる、というわけではなく、おのずと暮し方が自然に変わっていくんですよね~。そういう方が多いです」
などなどたくさんの質問が飛び交いました。
「町家には地域とひとがつくってきた物語があります。それに想いを寄せて大事にしながら暮していただきたいです」
と中川さんは結ばれました。
大工さんや工務店さんには接する機会が何かとみなさんおありでしょうが、銘木商さんの目からみた町家の話は耳に新しかったのではないでしょうか?
何百年も生きてきた木の命をいただいて住まわせてもろてる…この大切な命を次の世代へぜひ引き継いでいったほしいと改めて思った一日でした。