黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

新型コロナウイルス感染症(第六報)   ―感染を防御する自然免疫の仕組み―

2020-06-05 10:09:00 | 新型コロナ感染症
新型コロナウイルス感染症の感染して発病する仕組み(第六報)

  ではなく、感染を防ぐ自然防御の仕組み

新型コロナウイルス感染症が感染して発病する仕組み (第六報)
  ではなく感染を防ぐ自然防御の仕組み
                               2020.6.5.
◇今の報道では、ウイルスに遭遇したら、そして気道(鼻やのどや気管)の粘膜に付着したら、すべて感染して発病するように思われるでしょうが、そんなことはありません。
 健康な人間は自然免疫の仕組みと、それを突破されたあとに続く獲得免疫(適応免疫)の仕組みによって、めったに病気にならないようになっています。だから毎年インフルエンザが流行しても、人口の10%前後しか発病しませんし、開業医が多数のインフルエンザの患者さんを診療していても、めったに発病することがない理由なのです。また、私のお薦めの子育てをすると、子どもが病気をしません。自然免疫の働きを活性化させる育て方と自負しています。
◇多くの感染症の理論は、どうして感染し発病するかしか書かれていません。感染症の専門家たちは、そこにしか興味がないからです。
 私は「どうして人間は病気になるのか」を研究し、その結果「どうして病気にならないのか」にたどり着きました。第四報で書いた、2009年の新型インフルエンザの流行時の最初に集団感染した中高一貫校の全生徒教職員のデータで、血液中に抗体もできずに感染もしなかった84%の人は、どんな仕組みでそうなったのかを説明したいと思います。
 これはふだん多くの健康な人が、めったに病気をしない理由でもあるのです。
 ここで研究者ではないが、感染症の臨床の場にいる小児科医として、「免疫生物学」という本からの引用でお話しします。

◎ 感染の仕組みは、
 まず感染し発病した患者から放出されたウイルス粒子が体内に侵入し、主に気道の粘膜に生着することが必要です。
 人間の体は、多くの病原微生物(ウイルスなどで、判りやすく以下はウイルスと略します)による感染にさらされています。ウイルスは、まず人と接触し、病気を起こすには感染して病巣を作ることが必要です。ウイルスなどはそれぞれによって大きく違いがあり、病気を起こす方法も違っているので、人の免疫系もそれに対応できるだけの多彩な防御反応を持っていることが必要です。ただし、ウイルスは細胞内でしか繁殖できないことが、細菌との違いです。
◇ウイルスは、それに続いて生体防御の最前線を突破しなければなりません。
 でも私たちの体の、生体防御の最初の段階は、生まれつき備わった、いかなる時も侵入者(ウイルスなど)に対抗できる生体防御メカニズムがあるのです。
 私たちの体は絶えず感染患者から排泄される微生物や、環境に存在している微生物に絶えずさらされています。外からの微生物は外界と接した上皮面、つまりコロナウイルスのような空気によって運ばれるウイルス粒子は気道の粘膜が侵入ルートになります。

◇体の上皮面は多くの微生物に対して効果的な障壁として働き、傷ついてもすぐ修復されます。つまりウイルスによる上皮面への付着を阻止したり、抗菌酵素などを作ってウイルスを体内に入れないよう、集落や病巣を作らせないように、細胞表面での戦いによって体内に侵入させないようにしています。
◇ウイルスがこの壁を打ち破っても、白血球(組織のマクロファージ)が出てきて、いろいろな仕組みを介してそのウイルスを食べてしまいます。これは続いて炎症反応を引き起こし、体内を循環している白血球(好中球)たちがウイルスの感染している場所に集まってきます。この白血球(好中球)は、補体という補助作用を持つ物質の助けで、ウイルスなどを食べてしまう作用を持っています。
 この自然免疫は、体の持つ最前線の生体防御で、その作用の仕組みは、直接ウイルスと戦ったり、ウイルスと接触してすぐに作用するので、同じウイルスやそれと違ったウイルスが次にやってきても、それに対する対応は不変なのです。
 これらの仕組みでしばしば感染が成立するのを阻止することができるのです。
 以上が自然免疫なのです。
 自然免疫は、いくつもの仕組みで感染を阻止しています。もしそれがうまく行かなくても、ウイルスが適応免疫(獲得免疫)によって認識されるまでの間、持ちこたえる役割を果たしています。自然免疫に次いで、適応免疫が動き出しますが、そのつなぎに自然抗体ができます。IgM抗体は、自然抗体なのです。獲得免疫はIgG抗体です。だからIgM抗体はすぐに消えて行き、IgG抗体が長期間残っていきます。しかし長い年月で低下していきますが、免疫学的記憶が残りますから、侵入すれば速やかに抗体を作ることができ、潜伏期間も短くなり、症状も軽く済みます。「二度なし病」は思い違いで、そのことは科学史に書かれています。略。
 常在細菌(や他の常在微生物)は“見えざる同盟軍”
〇その前に、人間の体が外界に接触する部分には、多くの微生物が棲んでいて人間と共棲し、医学的には常在細菌などというのですが、細菌以外にも真菌(かび)やウイルスなどもいます。その場所は、人間の体が外界と接触する場所すなわち皮膚と粘膜です。だから、皮膚、目の結膜、鼻やのどの気道、口から肛門までの消化管(内部環境)、耳、泌尿器、性器のすべてです。例えば、1平方センチメートルの皮膚に約10万の微生物が住んでいます。気道の粘膜面もそうですし、胃腸の中にはもっと多く1gの腸内容物の中に数千億から1兆前後という腸内細菌が住んでいます。それが人間の同盟軍として外来の微生物の侵入を防いでくれています。沢山繁殖していて、外来の微生物が繁殖することを妨げています。
もしこれを清潔にして無菌状態にしたら、外来の微生物はどんどん繁殖してしまいます。だから手洗いはほどほどが良いです。またうがいでは、のどの常在細菌は落ちません。

◇新型コロナウイルス感染症の場合には、気道の上皮細胞は防御の最初の障壁です。
ウイルスは、先ず常在細菌の群れを突破し、のどや気管の粘膜の上皮面に到達しなければなりません。そこでまた上皮細胞の抵抗にあい、それを突破して細胞内に入り、そこで繁殖したり、そこを突破して進んでいかなければなりません。

◇感染症の専門家は、のどや気管の粘膜にウイルスや細菌が接触したら、すべて生着するというような説明をしますが、前記のように実際はいろいろな仕組みでそれを妨げていますし、たとえ付着に成功しても、上皮細胞内に入ることや、上皮面を突破することはなかなか難しいのです。
 単に付着しているならうがいで落ちますが、生着すると結合していますからうがいをしても落ちません。唾液、涙、鼻水などは洗い流す作用をし、特に唾液は殺菌作用があります。しかし、涙も唾液も鼻水も痰も寝ている間は止まっています。
               

 この図の#1、#2、#3が自然免疫で、多くはここで感染を阻止しています。
それを突破されると、次に#4へ進みます。そして適応免疫を誘導し、#5から抗体産生に入ります。ここで感染を阻止できると抗体陽性の無症状者になります。#5の次の段階へ進むと発症します。

◎新型コロナウイルスの抗体の測定では、適応免疫によって抗体ができた人たちだけが陽性になります。
 自然免疫の力で新型コロナウィルスを撃退した人たちは、抗体ができませんから抗体検査では陰性です。
 PCR検査では、ウイルスの遺伝子の一部の蛋白を検査しているので、陽性でも感染するとは限りません。それは死んでいても陽性になるからです。これが偽陽性です。
 検査万能と考えるのは、現代医学のおちいる悪い所です。検査すれば判るというのは思い込みです。それを助長しているのが、検査しないと収入が入らない医療費の仕組みがあるからです。厚生労働省は医師の診断の腕よりも、検査することにお金を支払います。つまり診断の能力の評価をしてくれません。だから医者はみんな検査をしたがるのです。
 新型コロナウイルス感染症も、検査陽性で隔離されてしまいます。何にも症状がなくても入院や隔離がされてしまいます。この人たちを感染者数として、騒いでいます。
 でも偽陰性も少なくありません。それで濃厚接触者(おかしな言い方です)はPCR陰性でも行動制限がされます。
 中国の武漢市の研究では、同じ室内で患者の枕元から4メートルの風上でもウイルスを検出しています。(第四報)だからソーシャルディスタンスなどというのは科学的な根拠はありません。精神的な安心を得るためだけです。

◇自然免疫の次の段階として、ウイルスが感染(侵入)した場所の上皮細胞内で、ウイルスが繁殖を始めますから、そこで闘います。(図#3)そこで勝てば、それで収まります。
そこで負けて繁殖を許してしまい、ウイルスが細胞内で繁殖すると、中にウイルスを持った細胞を異常細胞として認識して、NK細胞という防衛隊(白血球)がその細胞を見つけて、殺してしまいます。(NKとはナチュラルキラーと言い、キラーは英語で殺人者です)
補体も闘う手助けをする物質で、いろいろな働きをしますが略。
 また上皮を突破して組織内に入ると、マクロファージという名前の食細胞(相手をたべてしまう細胞)や好中球(いずれも白血球)が病原体を食べてしまいます。好中球が細菌を食べて死んだのが膿(うみ)です。これらの働きを補佐する補体が活動して、ウイルスに対する防御を行ないます。
 これが細胞性免疫です。これも記憶されます。いちど記憶されると、そのスピードが速く応答します。

◇そこを突破されると、次にはリンパ管内に誘導され、リンパ節に入り、そこで白血球のひとつであるリンパ球たちが闘います。(#4) 免疫の主役はリンパ組織です。リンパ液や血液に直接病原体が入ると、(#5)そこで抗体を作る細胞や全身の免疫組織に信号を送る細胞が働いて、それぞれ活動します。これが液性免疫です。ここで抗体を作る役割のリンパ球が抗体を作りだします。免疫学的記憶があれば速やかに抗体を作り、記憶が無いと新しく作るので時間がかかります。すでに抗体があるか、抗体が速やかに作れれば、発病しないかしても軽く済みます。
 記憶が無い場合には時間がかかり、発病します。その時間が潜伏期間と考えられます。
 ただし、過去に似たようなウイルスに感染した記憶があると、作りやすくなります。これが交差反応です。子どもにはこれがあるのではないかと言われています。
 さらに、ウイルス(抗原)と抗体が反応した結果で麻疹や風疹、突発性発疹、手足口病などの発疹ができます。発疹が出たら抗体ができているので、回復が始まっているのです。
 病気の症状は、代表的なのは熱ですが、すべての症状は人間の体の病原体(ウイルスなど)に対する防御反応です。だから対症療法というものは本来なら間違いです。つらいから多少和らげるだけにした方がよいのです。このことは1990年代に判ったので、まだ日本では半分くらいの医師しか知らないようです。

◇以上の自然免疫を突破され、適応免疫(獲得免疫)の段階に入り、液性免疫の闘いへ行く仕組みを感染症学者たちは解説していますが、その前の段階で闘いに勝てば良いのです。
 さらにそこで負けて重症化したり、死に到る状態は、医原性つまり医療による過誤によっても促進されている疑いが持たれています。

 私の友人からの情報やメディアの情報から、重症化しているのは解熱鎮痛剤やステロイドホルモン剤などの免疫システムを抑制する薬剤を使用している疑いがあります。病気の症状は、免疫システムによる人間の体の防衛反応であり、それを止めるから症状が取れて見かけ上は良くなったように思われるのかもしれません。しかし、内部ではウイルスが繁殖して進行し、重症化したり死に到る結末になるのではないでしょうか。
 インフルエンザに効くアビガンなどはすべて、初期のウイルスの繁殖を抑えるだけの働きであり、繁殖が進んでしまったら効果はありません。重症になったら使う意味はありません。
 ほかの薬もそうで、今薦められる薬はありません。
◇ワクチンや薬の登場を待つのは、おかしいです。社会経済的な弱者に集中しますから、弱者に優しい社会を作ることが必要なのです。スウェーデンは弱者に優しく、元々感染症の少ない社会です。その社会(国)の政策の成否を待ちたいと思います。ストックホルムで抗体陽性者が20%とか言われていますが、無症状者の中のことです。

◇抗体陽性というのは、あくまで感染して治癒した人に陽性と出るのであり、抗体は血液で検査し、液性免疫を表していると言います。つまり血液中に、獲得免疫で作られる抗体があるということです。獲得免疫は、感染症の治癒後やワクチン接種後に成立します。
 無症状で抗体陽性の人は、不顕性感染と言って症状が出ずに、液性免疫の段階まで進んで治っていたのです。軽くかかったが症状が出なかったのです。抗体産生が間に合ったのです。
しかし、自然免疫つまり生体防御システムと、続く細胞性免疫によって、病原体を排除した場合には、液性免疫による抗体はできません。これも無症状です。
しかし、細胞性免疫も記憶されますから、抗体がないからと言ってウイルスと接触していないとは言えません。その点が一般には明らかにされていません。

◎抗体陽性率とは
 もう一度2009年の新型インフルエンザ流行の時の集団感染今でいうクラスターになった大阪の中高一貫校の発生後3か月後のデータで見ると
 総数647人、うち抗体陽性者102人(16%)でした。その内18人(2.8%)は無症状でした。発病率は13%、抗体陽性率は16%でした。
今回の新型コロナウイルス感染症の横浜のクルーズ船のデータでは、
乗船者3711人の内、PCR陽性者(感染者)は712人(19%)、その内の無症状は331人(8.9%)、死者13人(0.35%)でした。3か月後の今、追跡して抗体を検査してもらうとその陽性率が重要なデータになります。発病率は10%でした。PCR陽性者のすべての人が抗体陽性になると仮定してみても、抗体陽性率は19%です。
これから見ると、抗体陽性率が20%なら、集団全体ではほぼ全員がウイルスと接触していたと仮定することもできます。実際には、PCR陽性でも抗体陰性や、PCR陰性でも抗体陽性者が出ると考えられます。本来はそのデータが求められていますが、ありません。
 
◎私の病原環境論または適応説は、元ロックフェラー大学の結核研究所所長だったルネ・デュボスが、重症から軽症までの結核患者の結核菌を検査して、どうしても結核菌に違いを見つけられず、原因は人間の体の側にあると考えたことから始まったのです。しかもそれはヒポクラテスの時代から言われてきたことでした。
 抗生物質の耐性菌の問題も違います。もちろん病院や施設内で常在菌をすべて無くしてしまうと、少数の耐性菌が繁殖する空白の場が生まれてしまいます。しかし、人間の体内を通過することで生じるという理論はおかしいのです。強い菌やウイルスはかかった人を殺してしまい、一緒に死に絶えます。弱い菌の方が生き続けて、その菌にかかった人が歩き回り、ばらまかれて繁殖しやすくなります。今回の新型コロナウイルス感染症のように。
 だから今でも、インドネシアの人の入らない森林の中で結核菌に感染すると耐性菌が多いという最近の情報がありました。人を経ると強毒化するというのは思い違いです。

 つまり感染症の起きる理論が違うのです。すべての人が同じように感染するのではないのに、病気の強さをウイルスの違いのせいにしています。重症度は、人間の側に違いがあるというのがルネ・デュボスの考えです。
 だから自分の健康管理をきちんとしていれば、かからないかかかっても軽く済むというのが私の考えです。
それで、ひとつの例えとしてインフルエンザによくかかるかどうかを取り上げました。
ふだんかからない人は、大丈夫です。でも不安になると免疫が低下しますから、安心を得てもらう為にも、この文を書きました。マスクも手洗いもうがいもソーシャルディスタンス(離れて座ること)も不安が取れるなら、して下さい。まずは安心を得ることです。
でも、息が苦しいのに我慢してマスクをしてはいけません。コロナにはかからなかったけれど、マスクで命を落とした子どもが中国で3人も出ています。
前にも言いましたが、マスクでは感染率を三分の一程度に減らすだけですから。医療用のNKマスクでも十分の一です。命を落とすよりはコロナにかかった方がましなのです。

コメント (2)
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