黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

紫外線をあびるのはもうやめましょう -日焼けと光老化の話-

2019-04-07 16:09:20 | 子どもの病気と犯罪の予防
       紫外線防御の話
 少し遅れましたが、ご容赦ください。図のスキャンに手こずったためです。
紫外線はどんどん強くなっています。女性の悩みのしわ、しみ、ソバカスはすべて光による皮膚の老化です。外へほとんど出ない仕事の人は、少ないです。気をつけないといけないのは、外へ出なくても散乱線や反射光をあびますし、自動車に乗っているとエアコンをつければ暑くないが紫外線を浴びています。
 もっと言えば、子どもに教えなければいけないことです。人生、一生の間にあびる紫外線の半分を18~20歳までにあびていて、年をとってからしみ、しわ、そばかすなどの光老化現象が出てくることです。
 子どもに教育しなければいけない時代になりました。
 私は前にいた吹上共立診療所時代から書いていましたが、最近書き直したのです。それで「Ⅱ版」としました。



日焼けするのはもうやめましょう  Ⅱ版
   -日焼けと光による皮膚の老化の話-

人間は日光の下で進化し、地球の気温の維持、食物の間接的源泉など多くのめぐみを日光から受けてきています。人間の目、皮膚、血管、ホルモン系などは日光に反応し、紫外線により皮膚でビタミンDが作られますし、毎日のバイオリズムは日光の周期的変動に依存しています。日光は最強の消毒をしてくれます。ウイルスも細菌も殺します。インフルエンザウイルスは、1メートル離れていたら、直射日光下では感染しません。にもかかわらず、日光は有害です。日焼けをきたし、DNAを障害し免疫機能を低下させ、皮膚ガンを発生させ、皮膚にしわを作り老化させ、目に炎症を起こし、白内障をもたらします。

☆紫外線は環境の中でもっとも危険なものの1つです
 1980年頃から光線に対する皮膚の反応の研究が進み、日光のもついろいろな働きが明らかになりました。皮膚は、人間とその環境(外界)との境界であって、この皮膚に直接作用する物理的要因の代表が日光です。
 紫外線もまた生体の細胞に対して、遺伝子の突然変異をはじめ多くの傷害をひきおこすことが判っています。その大部分は光にあたっていない時に、修復酵素によって修復されるとはいっても、わずかな異常は長年の間に蓄積されます。その結果が光による老化と皮膚ガンなのです。
 また妊娠初期に強烈な紫外線(人工太陽光線も)をあびると、必須ビタミンBである葉酸塩の血中濃度が低下し、胎児の脊椎などの神経管異常の発生率が高くなることが判っています。葉酸塩の破壊も紫外線の悪影響の一つに加わりました。他の原因での葉酸塩の低下でも同じで他に男性の不妊症にも関与するようです。

☆日光浴はもうやめよう
 従来、日光はクル病を防ぐ健康光線として、日光浴が薦められましたが、現在の日本では、普通の食生活をしている限り、ビタミンDの不足が起こることはないし、たとえ不足しても、食物からも、薬によっても補うことができます。所が最近になり、ビタミンDの不足の子どもが出ています。なぜか判りませんが、一つは離乳の遅れがあると思います。離乳の遅れは乳児に必要なビタミンがC、D、K(これは薬で補給しています)、鉄分、カロリーの順に不足して行きますから母乳しか与えない乳児にはまずC、Dが不足するでしょう。
日光浴への幻想は、皮膚の早期の老化を招き、皮膚ガンの原因になっています。日光が皮膚にあたって起きるか、またはそれに関連して起きる病気は25以上にもなります。


☆日光浴をするなら、紫外線を遮断(サンスクリーン)しましょう
 白人の社会では、10歳までは日焼けしないように薦めて、教育しています。平均的日本人も、白人と同じように日に焼かない方がよいです。だから長時間の日光照射を受ける場合には日焼け予防が必要になります。
元東北大皮膚科教授田上医師は1991年、日本医事新報に「オゾン層の消失が環境保護の面から騒がれる最大の理由は、この紫外線照射による皮膚障害、皮膚癌発生が増す可能性を恐れてのことであり、今後、私たち医師は過度の日光照射の害を一般人に説かなければなりません。また、長時間の日光照射を受ける場合にはサンスクリーン・クリームを使用する必要性があることを、子どもの時代から学校で教育されなければならないです。」と書いています。
個人の一生の間にあびる日光曝露時間の約半分は18歳までに起きますので、子どもに日光の有害性を教えることが重要です。子ども時代に日光を浴びることが皮膚の早期の老化の原因なのです。

☆B紫外線が悪役
 紫外線は波長により、A紫外線(長波長紫外線、UVA)、B紫外線(日焼けスペクトル-短中波長、UVB)、オゾン層で吸収され地表には届かないC紫外線(殺菌線-短波長、UVC)に分けられます。太陽光線の中でも、日光放射エネルギーの3%を占めるB紫外線全部およびA紫外線の一部が、皮膚に対する障害(日焼け、皮膚ガン)をもたらします。C紫外線の大部分は、角化層の死んだ細胞層によって吸収されます。
B紫外線は大部分表皮で吸収され、その程度は皮膚のメラニン色素の沈着の程度に左右されます。白人は85~90%、色の黒い人は90~95%表皮で吸収され、残りが真皮に到達します。表皮を通過した紫外線は、血管内に侵入し、血液内のリンパ球を障害し、単核球の活動性を失わせます。紫外線のもっとも有害な効果は、細胞を殺すことで、その他に、突然変異をひきおこし、発ガン性、DNA・RNA・蛋白合成の障害または抑制、免疫の障害などがあります。B紫外線はそのほとんどをおこし、さらに日焼け、皮膚の黒化、ビタミンD合成、角化増殖、皮膚の老化もおこします。
長波長のA紫外線や可視光線は真皮に深く達し、障害は少ないです。A紫外線による障害は、B紫外線の800 ~1000分の1です。

☆日焼けと黒化
 日に焼ける反応には、紫外線が当たって皮膚が赤くなる紅斑反応(サンバーン現象)と引き続いて起こる色素沈着つまり黒化(サンタン現象)の2つがあります。紅斑反応は、赤くなり、むくみ、時には水ぶくれができ、広範囲だと熱や痛みが出る反応です。これは皮膚が痛めつけられた状態で、やけどと同じで、日光皮膚炎とも言います。黒化は、色素沈着で色が黒くなることをいいます。

☆日焼け反応(感受性)の分類(ハリソン「内科書」より)
これを日本では白人の分類と言いますが、アメリカ先住民は私たちと同じモンゴロイドでアメリカには全人種がいますから、私はこれを採用します。
皮膚型 -夏の日光を45分あびた後の、紅斑反応(日焼け)と黒化の仕方-(日本人での%)
Ⅰ 常にすぐ紅斑になるが、決して黒化することなく、しばしば剥脱する。(ケルト人) (18)
Ⅱ 常に紅斑になり、時に軽度黒化する。                  (28)
 Ⅲ 常に紅斑になり、いつも中等度黒化する。(平均的白人種--平均的日本人も) (30)
 Ⅳ 時に紅斑になり、余りならず(最小限度)、常に黒化する。(オリーブ色の皮膚)(16)
 Ⅴ まれに紅斑になり(滅多にならず)、容易に黒化し、持続する。(褐色の皮膚) (7)
 Ⅵ 決して紅斑にならず、高度に黒化する。(黒人)               (1)

☆紅斑反応
 これは紫外線に当たり続けると30分程度から起こり、気づかれるのは数時間後で、12~24時間後がピークとなり消退して行きます。
☆日焼けによる黒化(サンタン現象)は、紫外線に対する防御反応で、1つは色素黒化で、表皮で既に生成されている色素の速やかな黒化で、第2はメラニン新生で、通常紅斑反応の3~4日後にみられます。
 メラニン新生は、①表皮下層のメラニン細胞の増加 ②メラニン細胞の樹枝状の枝分れの増加 ③褐色のメラニン色素の増加 ④メラニン色素を表皮細胞に転送する、という過程があり、その結果肌が褐色に変化するには、日にあたってから7日かかります。この反応は7~10日後に減少し、30~60日で正常に戻り、日焼けによる皮膚の黒化も2ヵ月たつとうすれます。この黒化する程度は、遺伝的に決定されています。

☆☆重症の日焼けの治療
急性日焼け反応により高度の紅斑、浮腫、水疱、疼痛を示す人は、副腎皮質ステロイド内服が有効です。経口的に、プレドニンを40~60mgから始め、4~8日ごとに減少すれば、コントロールすることができます。


◎ 日焼けの防御対策
☆上手に日焼けして肌を守るには
 平均的日本人はⅢ型であり、白人と同じで、紫外線を強くあびない方がよいです。上手に日焼けするには、紫外線の弱い2月頃から、少しずつ太陽光線を浴びて、その時間を増やしていき、メラニンを増やして色が黒くなると、紫外線に抵抗性が増すのですが、黒くなる程度は遺伝ですから、ある程度しか期待できません。だから夏の直射日光には当らない方がよいでしょう。

☆強い紫外線を避けましょう
(1)効率のよい日光遮断物質(日焼け止め製剤)を使って光線防御をおこないましょう。太陽の紫外線の影響は、紅斑になるだけでなく、皮膚がん、白内障や免疫機能低下があり、当面は紅斑が起こるような日焼けを避ける習慣を身につけましょう。
(2)紫外線の多い季節に、紫外線の多い時間、晴れた日射しの多い戸外に長時間出る時は、必ずつばの広い帽子をかぶり、袖の長い適当な衣服を着用しましょう。または日光遮断(サンスクリーン)剤の外用で防御するか、戸外に長時間出るのをさけましょう。
(3)年間で紫外線量は6月が最大ですが、雨や曇の日が多く、4月、5月の晴れた日は、紫外線量は8月、7月に匹敵しますが、暑さを感じない為、気づかれにくいようです。
(4)1日の紫外線量は午前9時から、午後3時までが多いです。
(5)夏と冬では、紫外線の強さは紅斑作用が4倍違います。夏が強いです。
(6)男性の方が女性より紫外線の感受性が強い。男は女より少ない紫外線量で日焼けします。
(7)50歳をすぎると次第に少ない紫外線量で紅斑になるので、高齢者は免疫機能も低下しますから60歳を過ぎたら日焼けに注意しましょう。
☆屋外での防御法
 (1)人の顔が浴びる紫外線量は、顔が太陽に向いているかが決定的です。
 太陽高度が50度以上では、直射紫外線量を100%とすると、頭上95%、正面45%で下からの反射は3%未満です。従来、「10~14時の時間帯は紫外線に注意」と言うのは、「太陽高度50度以上の時間帯は注意」に変更しましょう。太陽高度45度のときに自分の影の長さは身長に等しく、50度は影の長さが身長より短くなった時間帯です。
(2)太陽高度が低い冬には直射紫外線量は夏の 1/2程度になりますが、70%以上が反射され、顔があびる紫外線量夏より強いです。雪面では反射紫外線対策が必須です。
 (3)木陰で避けること。しかし散乱光は日向と同じ程度があるので、太陽の反対方向を向くこと。
(4)帽子
帽子はつばの長さであり、キャップタイプのたばの長さ7cmで約60%、全周タイプのつば13cmで90%の防御効果があり、散乱線は防御できない。通学、通勤の短い時間では帽子で日焼けを防御できます。雪面では散乱、反射を防御できません。
(5)日傘と布
日傘では、B紫外線は布地の色の違いはほとんどなく、50%程度の防御効果です。
真夏に帽子をかぶり日傘をさすのは、夏の強い日差しをさける熱線防御と熱中症予防とまぶしさカットが主目的です。色は白がよい。
布の紫外線防御能は、素材、織り、色に依存します。反射率が高いほど紫外線防御します。
① 綿、ナイロンは紫外線を透過します。ポリエステルはB紫外線を吸収するので、B紫外
線は防御できます。②目が密なほど反射率が高い。綾織りは平織りに比べ反射率が高い。③紫外線防御は色が濃いほど大きい。特に黄色は優れた防御をします。④UVカット加工は効果なし。⑤有色布は紫外線を吸収し、黒色布は赤外線(熱線)も吸収します。
○日本の夏は、綾織りの白がお勧めです。
☆UPF(紫外線防御指標)、2006年国際証明委員会による布の紫外線防御指標
  15~24  防御良好
  25~39  大変良い防御
  40~    非常に良い防御

☆効果的な紫外線防御対策
 日傘:日射は90%以上カット、紫外線は50%カット、表は白、裏は色つき、
 衣服:UPF15以上、白か薄い色、綾織り、長袖
 帽子:つば7cm以上、表は白、裏は色つき、
サングラス:UV-B、UV-Aカット、
サンスクリーン:SPF、PA共に適正使用

☆太陽紫外線防御の基本
・紫外線は散乱光、赤外線は直射光という認識
・紫外線と気温は無関係という認識
・4月から9月の期間は、雨の日以外は注意
・晴れの日は、正午をはさんで2~3時間は注意
・日中の戸外活動(車の運転中も)には防御対策
・素肌と目を紫外線にさらさない工夫:日陰、帽子、日傘、サングラス、日焼け止めを活用、
・真夏には、熱中症予防も
紫外線の変動
紫外線の1日の変動量(時)         紫外線の年間変動量(月)

☆日光遮断剤(サンスクリーン)
 日光遮断剤は、皮膚に到達する紫外線を減らすことによって、紫外線による皮膚ガンと光による老化の危険を低下させることができます。普通の日光遮断剤はB紫外線を防御するようにできていて、広域スペクトル日光遮断剤はBおよびA紫外線を遮断できると考えられています。
◇サン・ケア指数とは何か
 日光遮断剤(サン・ケア化粧品)の効果は、日光遮断因子(SPF)で表示され、SPFは紫外線B波の防御効果をあらわす指標です。数字が大きいほど皮膚防御効果も大きいです。平均的な日本人の皮膚は夏の日光に約20分当ると赤くなってしまいますが、日焼け止めクリームをつけると、その時間が何倍に延びるかが数字で示してあります。日本人用のクリームにSPF12とあれば、その有効時間は20分の12倍の4時間だから、4時間おきにぬる必要があります。SPFはメーカーによって実験方法が異なるため、同じ数値でも紫外線のカット効果に差があります。輸入品もまた異なります。サン・ケア化粧品の日光防御効果の決定的要因は、それが皮膚に残留する能力すなわち持続性(安定性)です。
数字が高いほど防御効果が強いのではなく、持続時間が長いだけです。
PAは紫外線A波の防御効果を表し、+の数が多い程効果が高い。+~+++までの3段階あります。

◇日光遮断剤の選択
 もっとも重要なのは、日光に対する反応の個人差です。皮膚の色が白く、すぐ赤くなり、余り黒化しない人(皮膚のⅡ型)はSPF10~12以上を使うべきですし、中等度または軽度に赤くはなるが、よく黒化する人(皮膚のⅢおよびⅣ型)は、SPF6~8がよいといいます。
通常、日光にさらされる場所、たとえば顔、首、腕、手などは非油性のローションで日中防護すべきです。長時間の日光浴や水浴後には、再度日光遮断剤を使用すべきです。
急性日焼け反応により高度の紅斑、浮腫、水疱、疼痛を示す人は、副腎皮質ステロイド内服が有効です。

◇ 日焼け止めクリーム選び
① 紫外線散乱剤配合 ②石けんで落ちるもの ③SPFは20以下(20でも6時間40分効果が持続)④発がん性が報告されている酸化防止剤のBHT、TEAが配合されていないもの。   
どんな商品が良いか。以上の条件を満たすものを選ぶこと。手元の資料は2002年のものなので、参考にするくらい。新しい商品も出ているはずです。ぬる前に腕に塗って赤くかぶれないことを試します。うすくのばしてぬるのがよいです。
「すべすべみるるUVローション10」明治乳業と「ジョンソンベビーローションUV」ジョンソン・エンド・ジョンソンは3ヶ月頃から。
「ニベアSUNキンダーM」花王は幼児以上。
SPF30まで広げると、「サンカットベビー&ファミリーA」和光堂6ヶ月以上、
「すべすべみるるUVローション30」明治乳業3ヶ月以上、
「ニベアSUNキンダーC」花王は幼児以上が該当するようです。

紫外線による光老化
☆日光により引き起こされるガン
 B紫外線により皮膚ガンや前ガン状態がおきます。白人では、皮膚ガンは顔、頭、首(頚部)、腕と手、などの習慣的に日光にさらされる場所(特に鼻、頬、眼瞼、手指)に限られています。(色白の日本人も同じと考えられます。)
黒人や褐色の皮膚の人は皮膚ガンの発生に抵抗性があります。人種の肌の色の違いは、紫外線に対する強さの違いであり、熱帯地方の住民の皮膚の色は黒く、紫外線が表皮層内に侵入するのを防いでいます。熱帯下でもアフリカでは人類の誕生から200万年という長い年月をかけて適応して真っ黒に黒化したのです。日本人に近い皮膚をしているチベット人やアンデスの先住民(インディオ)では、3~5000メートルの高地で紫外線が強い土地に住んでいるのに、未だに適応できずに、高地の強い紫外線の影響がすでに幼児から生じ、20歳前後では日本人の40~50歳の農民や漁民のような、光による老化現象の強い皮膚をして皮膚が褐色になり、しわだらけになり、50歳頃にはかなりの老人に見えます。
またメラニン色素の少ない白人でも赤毛や金髪の人たちは、幼児期からソバカス(雀卵斑)が無数に生じています。この人たちは強い紫外線のもとでは皮膚がんが高い発生率です。

☆日光による皮膚の老化
 顔や手の甲に見られる年寄りのシミやシワは、日光に含まれる紫外線に長年さらされて生じます。しかし、顔に深いシワがあり、シミを沢山もつ老人でも、お尻の皮膚を見るときれいな白い皮膚をしていて、せいぜい腕、下腿、上胸部、上背部にシワやシミがみられる程度で、常に外に出ている顔や手の甲ほどの変化は、衣服で覆われている部分の皮膚にはまず認められません。表皮自体は、細胞が絶えず生まれ変わるから、老化しませんが、長い間紫外線を受け続けると、表皮下の真皮がダメージを受けて深いシワを作ります。シワの刻まれた皮膚では、表皮はうすく扁平になり、異常細胞が多く、配列も乱れています。真皮では正常のコラーゲン繊維が減少または消失し、不規則な弾力繊維が増加し、置き換わっていきます。この変化は、光による老化であり、日光によっておきる皮膚の変性です。
 日光変性は、長い年月、日光にさらされた場所の皮膚の変化で、しわ、しみ、萎縮、メラニン沈着、脱色素斑、毛細血管拡張、黄色斑と丘疹、角化増殖を含みます。この変化は不可逆性で、その唯一の原因は日光ですが、日光遮断(サンスクリーン)剤の外用で最小限にとどめることはできます。
☆活性ビタミンAと光による老化
◇近年、アメリカや日本で、活性ビタミンAを6ヵ月以上塗布すると、シワが減り、滑らかな皮膚にする効果があることが確かめられました。また活性ビタミンAの塗布は、日光性角化症を減少させ、さらにその癌への進展を抑える効果もあるといいます。
 活性ビタミンAの外用は、皮膚の若返りだけでなく、皮膚ガンへの効果も期待され、今後が待たれます。(現在は先進国では、日本だけ発売されていません。しかし、並行輸入で輸入され美容整形外科などにはあるようですが、高価です。)

☆☆活性ビタミンA(レチノイン酸)と光老化
◇活性ビタミンAの外用剤が、中年の座瘡(ニキビ)患者に使っていて、座瘡が改善するだけでなく、皮膚のシワが減り滑らかになることが世界では知られています。でも日本では発売されていません。
◇長時間の紫外線照射を続けて作ったヘアレス・マウスの日光性弾力繊維症の皮膚に、活性ビタミンAの外用を行うと、真皮上層を新しいコラーゲン繊維の層で再び置き換えることが確かめられました。
◇1988年ミシガン大学のボーリース教授の実験で、人でも6ヵ月以上活性ビタミンAを外用するとシワが減ることが確かめられました。
◇田上らも、中年の日本人女性を対象に、活性ビタミンAの長期塗布によって、刺激性を上手に避ければ、小ジワを減少させ、皮表の角層の水分含有量を増し、滑らかな皮膚にする効果があることを確かめています。
◇活性ビタミンAを含むレチノイド一般に発癌抑制作用が認められています。活性ビタミンAの塗布は、前癌状態の日光性角化症の癌への進展を抑えるだけでなく、日光性角化症を減少させる効果もあります。
→→→→こうして活性ビタミンA(レチノイン酸)を含むレチノイドの外用は皮膚の若返りだけでなく、紫外線照射による発癌に対する大きな武器になることが予想されています。

◎現在、日本では軟膏は発売されていません。注射薬だけが白血病の治療に使われています。
その理由は、
1. 日本人(黄色人種)には、皮膚がんとひどいにきびが少ないこと。市場価値が少ない。
2. 厚生労働省は、日本人は白人と違うとして、欧米諸国のデータでは薬の有効性を認め
ず日本人のデータを要求するために、利益の少ない薬は製薬メーカーが手を出さないです。(しかし厚生労働省は、新型インフルエンザワクチン、バイアグラ、HPV子宮頸がんワクチンなどは承認しています。)
3. 同じように欧米では使われているが日本では使えない薬や、日本で承認されている薬
でも、病気の種類によって保険が適用されない薬は少なくありません。

 また活性ビタミンD3 外用剤を皮膚に塗布すると、その角層の水分結合能を上昇させる作用があることも見出されています。皮膚の表面を覆っている角層は、水分含有量が低下すると、乾燥し、ヒビ割れや鱗屑を生じてきます。その水分含有量が増せば、柔らかく、滑らかな皮膚となるので、今後外用剤として期待されています。 





 日焼け止めクリームのぬり方
①適量を手に取り、五点に置きます。②顔の中心から外側へのばしてぬります。
③骨格が出っ張っている所にぬります。④首や首の後ろ周り、鎖骨までぬります。

                              

太陽高度が50度より高い時間帯は紫外線に注意



太陽光線、紫外線
       UV-B             UV-A







 
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

病気になった時に(2) 熱の話

2019-04-03 06:18:56 | 病気になった時に
 子どもでも大人でも熱が出るのは嫌なものです。特に大人や高齢者は熱を嫌う方が少なくありません。それは熱に対する考え方が思い違いをしており、悪いものと思うためから来ています。

 それまで(今も知らない医師がいますが)病気の症状は外から入って来たウイルスや細菌、異物などが体内で引き起こす異常なもの、悪いものと思われていたのですが、1990年頃から、熱を始めにその仕組みが判ったら、症状は逆にウイルスや細菌、異物に対する人間の身体の防御反応でした。だから、できるだけその症状を抑えない方が良いことが判ったのです。
 まず熱から判ったのです。

               熱 の 話
1.熱は
 よく熱を出すことがあります。特に子どもに多く、アメリカの家庭医学書に38~39℃
は、子どもの普通の熱と呼び、高い熱とは言いません。日本では39℃だと「熱が高い」
と言う医者が多いので、皆さまがあわてるのも、無理はありません。
 大人に比べて、子どもは熱に強く、熱があってもその割に元気で食欲もあることが多く、さわったら熱かったので体温を測ったら熱があったなどということもよくあります。大人に比べて、熱に対する感じ方が1℃くらい違います。だから39.5~40℃くらいにならないと、冷やすのを嫌がります。頭やおでこを冷やすのは気持ちよくするためですから、無理に冷やすことはありません。氷などで冷やすより、むしろ人肌程度の温度を気持ちよく感じるようで、熱が高くなると母親にぴったりくっつく方が気持ちがよいようです。
 大人では、気持ちよくなるなら冷やして構いません。体に良いことは、気持ちよくなるように、人間の身体はできているのです。ただし、薬を使わないですることだけです。
 大人では、熱が出ると自分で熱感を感じますから、体温を測りましょう。
 病気の重い軽いは、熱のあるか無いかや、熱の高さで見るのではなく、熱が高くても元気があり、遊んだり笑ったりできれば心配ありません。また普通の熱なら、一晩様子を見ても構いません。翌日も続くなら医者に見てもらって下さい。熱が問題ではなく、熱の原因(病気)が何であるかが問題です。

◎2.なぜ熱が出るのか(熱の出るしくみ)
 1990年頃から判ってきたことですが、熱が出るのは外部から体内に入ってきたウィルスや細菌と戦うしくみです。難しく言うと、発熱(体内温の上昇)は生体防御反応の一つであり、「発熱をともなう生体の応答(発熱症候群)」で、人体に有利な反応です。(1989~90年小児科学会雑誌より)
◇ 外部からウィルスや細菌や異物などが体内に入ってくると、体内をパトロールをしている白血球の一部(単球やマクロファージなど)がこれを見つけて活動を開始し、ある種の信号(インターロイキン1などで、内因性発熱物質とかサイトカインという)を出し、血液中に放出します。
 この信号による情報が血流にのって全身をまわり、脳の中の間脳にある、視床下部にある体温調節中枢の自動調節機構に作用し、そこに設定してある温度(セットポイント)を上昇させます。エア・コンの温度を操作する様な仕組みです。
 セットポイントが上昇すると、血管運動中枢が働き、皮膚の血管が収縮し、皮膚色は蒼白になり、汗腺を閉じ、体内の温度が外へ逃げないようにし、小さい起毛筋が収縮して鳥肌が立ち、大きい筋肉が収縮して体が震え、筋肉の運動で熱を産生するのです。この時、寒気がし、寒ければ暖かくしてあげて下さい。
◇熱が上がって必要な体温を確保できると、皮膚の血管が拡張し、顔色は真っ赤になり、からだをさわると熱くなっています。心臓はドキドキして血流が早くなり、骨髄で作った白血球をどんどん戦いの場へ送りこんでいきます。
 細菌やウィルスとの戦いに勝つと、信号(インターロイキン1など)が出なくなり、設定温度(セットポイント)が下がって、汗腺を開いて汗を出し、皮膚から熱を放散し、熱が下がっていきます。この時は冷やして構いません。

◇体温調節中枢の自動調節機構に設定してある体内温度は、平常時は36.0~37.8℃の範囲にあります。ただしこれは深部温で、口の中(舌下、婦人体温計がそれを測る)や肛門内の温度であり、脇の下で測る皮膚温はこれより 0.5℃以上低いようです。
◇解熱剤はこのセットポイントを下げるので、一時的に熱が下がりますが、病気との戦いに勝っていなければ、薬の作用がきれるとまた熱が上がります。
 昔から麻疹(はしか)に解熱剤を使うと「内攻する」(悪くなる)と言われていましたが、それが正しかったのです。インフルエンザでも、デング熱でも悪くなります。

3.発熱は身体に有利な反応なのです。
 ①体温が上昇すると、細菌やウィルスの増殖が抑制されます。36℃でのウィルスの繁殖を 100とすると、39℃では3%程度に減りますし、細菌も13~15%に繁殖が減ります。
 ②細菌やウィルスと戦う力(細胞免疫)が活発になります。白血球の働きが活発になり、移動性が増し、食作用が亢進します。
 ③免疫の働きを促進させ、37℃よりも39℃の方が、リンパ球のT細胞(細菌やウィルスと戦う)が増殖し、活性化します。B細胞(抗体を作る)も活性化します。
◇こうして熱は、人間の身体が病気に対抗する働きから出ているのであり、熱自体にウィルスや細菌の感染から回復を促進する作用があります。だから抵抗力のない新生児、未熟児や高齢者では、肺炎でも熱が出ないことがあります。

4.熱による不利な作用はどうか。
①体内温(深部温)の上限は41.5℃であり(皮膚温は41.1℃)、42℃をこえると死に至
る危険があります。しかし体温調節機構がこわれない限りそこまで上昇しません。そこ
まで上昇するのは、熱射病(熱中症)と脊髄損傷などです。脳炎では行きません。
②熱によってひきつけるのは、子どもの内の1割程度で、その3分の2は1回で終わり
ます。繰り返しひきつける場合には、ひきつけ止めの薬を使います。
③よく高熱で脳がやられると言いますが、それは間違いで、子どもは脳炎、脳症、髄膜炎などの病気が起きやすく、起きていたのを見落とされていたために、「熱が下がったら脳がやられていた」などということになるのです。小児科専門医では見落とすことはまれですから、子どもは必ず小児科専門医にかかりましょう。
 大人では、そういうことはありませんから、熱が出てもあわてず、一晩くらいは様子をみても構いません。熱よりも全身状態で、それが悪ければ医者にかかりましょう。
 熱があっても、元気が残っていれば急ぐ必要はありません。

5.インターロイキン1など
(内因性発熱物質とかサイトカインという)の作用
① 神経内分泌系の反応
 インターロイキン1などの作用で、副腎皮質ホルモン、β
エンドルフィンのほか4種類のホルモンが分泌されます。β
-エンドルフィンはハイな気分になるホルモンで気持ちがよくなります。他のホルモンは発熱を抑制する働きをしています。
② 細菌感染に対する多様な液性反応が起きます。
血中の鉄濃度の減少(細菌の発育抑制)、CRPやフィブリノーゲンなどの蛋白が合成されます。
③ T細胞(細菌やウィルスと戦う)から、B細胞(抗体産生)、NK(ナチュラルキ
ラー)細胞(異常細胞を破壊する)などの免疫反応がひき起こされ、免疫グロブリン産生も促進されます。
 ④行動上の反応
 睡眠、食欲不振、活動低下、抑うつ状態などが起きます。
④ プロスタグランジンの合成
 骨格筋でのプロスタグランジンの産生が増加し、蛋白分解が促進されます。これが筋肉痛の原因の一つと見られます。プロスタグランジンは白血球を増加させたり、設定温度を上昇させる時に関与しています。

6.解熱剤は病気の回復を遅らせる。
 解熱剤で熱を下げることは、まだ病気に勝っていないのに、病気と戦う人間のからだの働き(上記3.と5.)を抑えてしまい、体内でのウィルスや細菌などがどんどん増殖し、活動を活発にしますから、身体にとってマイナスになり、かえって病気が長引きます。下熱剤を使うと一時的に熱が下がりますが、薬がきれるとまた熱を上げて一生懸命病気と戦い、熱を下げている時間以上の時間、病気が長引くことになります。

7.熱が出たら、どうするか。
 熱は、病気の徴候の一つで、何らかの病気にかかったことを表現しているのですから、放置してはいけません。しかし、あわてることもありません。
①まず、熱の原因を確かめることです。熱の原因の9割は、上気道炎またはかぜ症候群、(いわゆる「かぜ」)から来ています。
 それを確かめるには、まず咳、鼻水が出ているか、のどの痛みがあるかを聞くか注意して見ましょう。それからできれば、口を開けて「アーン」と言わせてのど(咽頭)と扁桃を見ましょう。そこで、咳や鼻水があったり、のどの痛みがあるかまたは、のどや扁桃が赤くなっていれば、広い意味での「かぜ」にかかったから熱が出たのだと考えて良く、一日くらいは様子を見てもよいです。

②熱が出たが、「かぜ」の症状がない時には、他の症状が出ているか探しましょう。
口の中が痛くないか、どこかに湿疹や水疱が出ていないか、耳の中や、耳の下を痛くないか、おしっこが近いかおしっこの時に痛くないか、吐いたり下痢をしたりしていないか、傷や化膿している所はないか、リンパ節がはれていないか、いろいろ見て下さい。
 症状があれば、その病気のための熱ですから心配はありませんが、薬を飲むと早く治る病気と、特効薬がなくじっと治るのを待つしかない病気とありますから、医者にかかって診断を受けて下さい。元気があれば、あわてることはなく、夜熱が出ても、翌朝医者にかかればよいでしょう。
③熱が出たが、どうしても他に症状が見つからない場合、6ヶ月過ぎの乳児では突発性発疹症があります。元気がそれ程落ちないのが特徴です。夜になってしまっていたら、元気があれば、翌朝かかればよいです。例外は新生児と乳児早期(6か月未満)の熱ですが、診てもらう医者も小児科専門医でなければいけません。
④ 乳児早期(生後6か月未満)でなければ、子どもが熱を出しても元気があれば、様
子を見てよいですが、熱が下がらなければ3日目には必ず医者にかかりましょう。熱が5日も続いたら、検査や、場合によったら入院が必要になることもあります。これは大人でも同じです。三日異常続く発熱は、その原因を確かめなくてはいけません。

 生後3~4ヶ月の38℃を超えるときは、必ず小児科専門医にかかり、検査が必要なことがあります。白血球数とCRPで、その検査で軽い病気か、重い病気が判ります。
 高齢者でも同じです。やはり、白血球数とCRPで、重症度を判断します。
 白血球の方が、先に反応します。というより、四六時中変動しています。傷があったり、軽いかぜでも反応します。微生物と闘う最前線で働いているのです。
⑤人間には、免疫以前に、体の外界との接点で、多くの微生物が共棲していて、外来の微生物と闘ってくれています。だから無菌にしなければいけないと思わないで下さい。
 ここで、まず外来の細菌やウイルスを排除します。そこを突破されると次の防御機構が働きます。だから、最近は傷をしても消毒ではなく、まず洗浄です。洗い流すことが第一です。
 それをしても、最近やウイルスが体内に入ると、まず自然免疫が働き、それを突破されると適応免疫が働きます。
この段階で白血球が増え、ついでCRPが上昇します。血沈も遅れて上昇します。血沈で判ることもいろいろありますが、今はしなくなりました。
 これらの働きで、病気に勝つと自然に熱は下がります。病気の程度によって、熱を出さずに戦いに勝てば、熱はでません。
 また、体内に常在している細菌でも、時々免疫力が落ちたり、常在している場所からしていない場所に入ると、病気を起こすことがあります。
⑥熱は、解熱剤で下げるのではなく、なぜ熱が出たのか、熱の出た原因となる病気の診断をすることが大切です。解熱剤で一時的に熱を下げると、病気の診断を誤ることがあ
りますから、解熱剤を使わないで下さい。その上、解熱剤には重大な副作用もあり、できるだけ使わないで下さい。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする