黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

いじめによる自殺は、子どものうつ病です

2019-12-17 14:22:17 | 子どもの死亡を減らすために
     いじめによる自殺は子どものうつ病
        今、いじめによる子どもの自殺が話題になっています。


 そもそも自殺ができるのは、心の病気つまりうつ病か統合失調症です。一時的なうつ反応やうつ状態になっても、自殺はできますが、いずれにせよ病気なのです。
 だから、リストカットは自殺しようとしてもできない症状なのです。自殺願望であったり、自分へのこらしめ的なのもの、自分を痛めつけるもので、自殺未遂とは言いかねます。
 少なくともうつにならないと自殺できません。統合失調症は思春期に好発しますが、子どものうつ病は低年齢からあります。
 私の診療した子どものうつ病の最少年齢は6歳、小学一年生の女の子でした。当時は国立埼玉病院小児科に勤務していましたので、まだ心療内科や精神科の勉強をしていなかったので、精神科医と併診の形で診療しました。たまたま私の医学部時代の同級で懇意にしていた精神科医が、神経内科の研修のために来ていたので、一緒に診療にあたりました。
 今から45年くらい前のことでした。その子の異常を見つけて小児科に連れてきたのは、親ではなく、その子が通っていた教会の牧師さんだったのです。親は半信半疑でした。
 原因は担任教師のいじめであり、その子は「死にたい、死にたい」と言い、子どものうつ病でした。親は気づいていなかったのです。ちょうど学区域の境にあったので、隣の学校へ転向させることで解決しました。それはすべて私たちのアドバイスで牧師さんが、教育委員会などへかけあって実現させたのです。
 
 いじめで子どもがうつ病になっても、親や周りの人たちが気が付いてくれないことが問題なのです。
もちろん、いじめられても平気な子もいます。わずかな意地悪でも落ち込む子もいます。それは受け取る側の個性なのです。私の子でも、いじめられても平気で知らんぷりしてやり過ごした子も、いじめられて大変だった子もいました。もちろん私は双方に、それなりに対応しました。
私の子は私立だったので、すぐ担任が対応してくれました。もちろん、私には数多くの弁護士の友人たちがいましたから、「法的に対応します」と告げたこともあったかも知れません。すぐ相手の子の親が連絡してきて何回か話し合い収まりました。
うつ病になる前に対応できました

自殺する前に、これは誰でも(大人でも)必ず周りの人の誰かに、「死にたい」と言います。「まさか」はありません。冗談でもありません。この時点で止めることができないと、実行されてしまいます。実行されてから、学校のせいにしたり、いじめの相手のせいにしてもなかなか解決は難しいし、自殺した子は元に戻りません。
かならず誰かに言いますから、それを聞いた方は、かならず親に話して対処しないと本当に自殺します。
都会では屋上からの飛び降り自殺が一時は多かったのですが、今はどうでしようか。首吊り自殺はテレビなどではきれいに写されていますが、実際は便や尿を垂れ流すので汚いですからやめましょう。

ここで、子どものうつ病の基準を載せます。いじめへの対処よりも、うつ病への治療を優先します。いつ自殺するか分からないからです。治療を始めてから、原因であるいじめへの対処をします。

       子どものうつ病とうつ状態       
◎警告する兆候や症状を見逃さないこと。
最も重要な2つの危険な兆候
 ①抑うつ気分
  悲しみ、ゆううつ、絶望、みじめさ、意気消沈、心配、苛立ちを感じる。
 ②快感消失(喜びのなさ)
スポーツ、趣味、あるいは友人や家族とのかかわりなどの、いつもの活動の大部分 に関心がなかったり、喜びを感じない。
その他の兆候は、
 1)食欲不振と体重減少、あるいはその反対に過食。
 2)不眠、悪夢、睡眠持続の不良、早朝の覚醒などの睡眠障害。または眠っても眠っても眠り足りないという過剰睡眠。
 3)家で横になっていたり、疲れたり、やる気がなく、疲労を感じたりなどで示されるエネルギーの欠如。
 4)落ち着きがなかったり、ソワソワしたり、静かに座っていられない、などで明らかになる精神身体的な興奮。
 5)自責または、過度のあるいは不適当な罪悪感。子どもは自分のまわりでうまくいかないすべてのことについて、自分自身を責める傾向がある。例えば両親のけんかについても自分のせいだと思ってしまいます。
 6)思考し集中する能力の減退。日常の話の中や、学校の成績の低下など。
 7)繰り返し、死や自殺を考えること、または自殺企図。その考えは子ども自身によって話されることが多いが、話しているうちにしだいにはっきりすることもあります。
 必ずどこかで「死にたい」と言います。
◎なにをしたらよいか。
①まず小児科専門医(内科・小児科医ではなく)に相談すること。しかし医師の中には、子どものうつ病の存在を認めない医師もいるので、取りあってくれなかったら、他の小児科専門医に相談すること。
 慶応出身の小児科医は、松尾教授の時代になって、小児精神科医の渡辺久子医師を講師にして、卒後教育に小児精神科の教育をしていますので、若手は対応できます。東大など他大学ではしていません。

一般の精神科医は、大人が専門なので、医師によっては不適当な取り扱いをする医師もいますから、最初に相談するには適切ではありません。小児専門精神科医は少なく、初診はほとんど予約制で1~6ヶ月待ちが普通です。 →→当院では、所長に相談して下さい。
②抑うつ的な子どもを、何か良い所を見つけて賞めたり、共感したり、共鳴したりしてあげましょう。親との愛情をもった関わりが必要であり、親や兄弟とより多くの時間を過すことを必要としています。
子どもの話をよく聞き、そして話をすること。しかし、すぐにこうしなさいとか、親の考える回答をしてはいけません。まず子どもと感情を共有すること。そしてよく話を聞きだすことです。
③「頑張れ」は禁句です。気楽に、好きなようにすること。悲しい時は泣けばよいのです。
 できるだけ、感情をそのまま表現するようにさせ、それに共感してあげること。もし自分に同じような経験があれば、その時のことを話してあげましょう。
④「まさかうちの子が」と思ってはいけません。まさかと思ったら、親の落ち度です。それで他人を責めることはできません。あなたの責任です。
                     以上です。


うつ病に対処してから、いじめに対処します。場合によったら転向するなども視野に入れなければならないこともあります。それだけ、いじめに対する認識は甘いですから。

いじめへの対応の仕方は、まず父親が対応しなければいけません。日本は男社会ですから、女では対応が甘いです。男が出ると対応が変わります。父親でなくても、私の例のように牧師さんでも、叔父さんなどの親戚でも、近所の仲良くされている方でも、とにかく男が前面に出ることが大切です。
次に必要なことは、担任教師に任せないことです。担任に話をするのは一回だけです。それで担任に動きがないか、対応がおかしければ、即座に、ちゅうちょすることなく、教頭ではなく校長と交渉することです。
校長でだめなら教育委員会へ行くことが必要です。その時には、弁護士を探すことも必要になります。弁護士も医師と同じく当たりはずれがありますから、誰でもよいわけではありません。わからなければ弁護士会の事務所に相談することです。
そのくらいの覚悟をしないと子どもを救えません。私から見れば、学校や教育委員会に任せるのは、親馬鹿です。子どもを救えません。

 いじめであるかどうかを認定するのに基準を設けるのは、おかしいです。
 それは個人、つまり一人一人によって受け取り方が違うからです。

 現代の医学医療は、個人の違いを認めず、誰でも同じと考えています。誰でもみんな同じ病気になる可能性があると信じています。私にはそれは信仰としかいいようがありません。
 それは一人ひとりが遺伝的にも、かつ生まれてから(正確には授精してから)の33~36か月にどのような環境にあったかとか、どのように育てられたかによっても、違ってくるからです。
 同じ環境、食生活でも、一卵性双生児でも、違います。二卵性、三卵性なら全く違います。
環境が変われば、かかる病気も違います。一卵性双生児の研究は世界でいくつも行われ、違いが明らかになっています。
 
 それをいじめの認定を、担任教師がしたり、基準を設けたりするのはおかしいのです。
なぜ精神科学会、特に児童精神科学会や小児科学会がものを言わないのでしょうか。
 

コメント (4)
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