黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

原発事故と子どもの健康5

2011-06-05 08:00:16 | 健康・病気

 つづき

 4)女性より男性の方が、発がん率が高い。これは自然発生のがんに比例する為である。

 5)累積線量ー短期間には線量は累積されるが、時間と共に生物学的半減期つまり体外へ排泄されてしまうので、通常は線量を累積するのではなく、被ばくした時の月齢、年齢での、被ばくによる発がん率を計算して、発がん率を累積していく。連続して被ばくする場合には、被ばく総線量を測定するしかない。

 6)女性は乳がんになる確率が重視され、それは近年乳がんが増加していることと、被ばく線量と乳がん発生の定量的データがある。また子どもの時の被ばくによる乳がんは、他のがんが誘発される以前に出現し始める。

 7)甲状腺は、がんおよび良性腫瘍が放射線によって誘発され、良性腫瘍はもちろん、甲状腺がんも死亡率は低い(チェルノブイリは除き)のが特徴で、腫瘍発生率とがん死亡率の差が大きく、他のがんと違う。特に10歳以下は甲状腺がんと甲状腺腫の増加が大きい。チェルノブイリでは、発見の遅れから(社会経済的と医学的な状況のため)、見つかる甲状腺がんの子どもの4分の1は、既に転移があるという(広河による)。転移があれば死亡率は高くなる。

 8)潜伏期―白血病は被ばく後3年で現れ始める。他の臓器の固形がんは被ばく後10を経て、自然発生以上に現れ始め、その後しだいに増加し、被ばく後40年後が最大で、以後減少していく。乳幼児の白血病とがんの発生は3年以内から始まる。                胎児が被ばくした場合は、被ばく後1年以内に、白血病を始め、がんが現れる。また被ばくで、他の発がん物質と同様に、先天的異常も発生する。胎児の場合、10~20ミリシーベルトの被ばくでも、乳幼児期の白血病とがんの発生率を50~100%増加させる。

 9)白血病は、20歳以上は年齢依存性はなく、高齢になっても発病する。

 10)藤岡独協医大放射線科名誉教授は、1ミリシーベルトで1万人に発がんは6.5人で、致死がんの確率は5人だという。ICRP(国際放射線防護委員会)は1万人に0.5~1人という。

 ICRPは、日本の放射線総合医学研究所と同じく、原子力容認派である。世界の放射線科医の組織だからである。ちなみに、IAEAは、国際原子力機関と言い、原子力の平和的利用のための組織で、原発推進派である。だから、この機関は、チェルノブイリでも、福島でも被害を小さく見せようとしている。これに反発して欧州では科学者や市民で、ECRR(欧州放射線リスク委員会)が作られ、原発の危険性を訴えている。

 広河隆一さんが小学館から「暴走する原発」を出版しました。是非お読みください。また、広河さんと共に「未来の福島こども基金」(仮称)を立ち上げ、市民放射能検査所を立ち上げます。資金がたりないので応援をお願いします。口座は、後ほどお知らせします。「母乳調査・母子支援ネットワーク」(HPあり)も、私も発起人の一人に入っています。こちらもよろしく応援して下さい。

つづく

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原発事故と子どもの健康4

2011-06-03 17:57:36 | 健康・病気

遺伝的影響つづき

遺伝子突然変異 突然変異(細胞分裂における間違い)率は被ばくする生殖細胞(精子、卵子)の発達段階、吸収線量、線量率などにより異なる。そこに修復機構や間違った細胞を殺してしまうシステムが免疫機構としてあり、その働きは個人で異なる。私の病原環境論でいけば、良い環境に置かれ、のびのび育った人の方が、そのシステムが免疫機構がよく働いてくれる。②倍加線量 自然突然変異率を倍にするのに必要な線量を「倍加線量」と言い、0.3シーベルト(300ミリシーベルト)である。③染色体異常 発生頻度は高くない。染色体の切断部位の再結合による修復が可能なためと考えられている。④遺伝と淘汰 致命的な変異ならば子孫に伝わらない。不完全致死で、その個体が成長すれば、その遺伝子は子孫に伝わる場合が生じる。しかし、確率的には低い。⑤集団と遺伝 個体としてはきわめて低い線量であっても、集団全体が個々人として浴びれば、集団の大きさに比例して、特定の個人に対する影響も大きく出る。どの個人に出るかは、環境に適応できない状況や性質、性格によって決まる。

発がんと遺伝的影響のリスク ①放射線被ばくによる遺伝的影響と発がんとの発生確率は普通1対5であり、放射線影響のリスクは発がんの方が大きい。これには年齢が大きな要素となる。 ②すべての臓器のがんが放射線に誘発される可能性がある。 ③白血病発生のリスクより高い、胃・肺・結腸がんがあり、乳がんは白血病のリスクより低い。

3)胎児への影響(子宮内被ばくの影響)ー先天的影響ー妊婦へのお腹の子への影響     小頭症、知恵遅れ、乳幼児期の発がん性、染色体異常などが今まで知られてきたが、その詳細は近年明らかにされつつある。放射線のリスクは、器官形成期と胎児期初期がもっとも顕著であり、妊娠4~6ケ月では幾分小さくなり、7ケ月以降では最低となる。

①中枢神経系に対する影響  受胎後8~25週間は、中枢神経系が放射線に対して特に敏感である。約100ミリグレイ(皮膚線量では約100ミリシーベルトだが、胎児に達する線量とするとその3.3倍の皮膚線量)を超える胎児線量は、知能指数の低下(知恵遅れ)をもたらす確率が高い。1グレイ(1000ミリグレイ)程度の胎児線量を受けると、重篤な精神遅延が高い確率で起こる。感受性は、受胎後8~15週の期間が最も高い。中枢神経系は、妊娠16~25週ではこれらの影響に対して低感受性となり、それ以降はむしろ抵抗性となる。

白血病および小児がんのリスク  放射線は、成人と小児の両方に対して、白血病および多くのタイプのがんの原因となることが示されている。妊娠のほぼ全期間を通して、胎児は小児とほぼ同じ程度に、潜在的がん誘発効果のリスクがあると推定されている。小児がんの自然発生率は約0.2~0.3%と低く、約10ミリグレイの胎児被ばく(妊婦の皮膚線量では33ミリシーベルト)での相対リスクが1.4倍で、子宮被ばく後における個人レベルでの小児がんの確率はきわめて小さいと考えられる。しかし、集団レベルでは別である。胎児1000人に4.2人が発生する確率となる。

(2)放射線の発がん性   放射線被ばくの影響の基礎データは、広島、長崎の原爆被爆者の調査が主であるが、医療被ばくによる影響や、スリーマイル島原発事故後の調査、イギリスのウィンズケールの原発火災、イギリスのセラフィールド原発とドーンレイ原発の周辺の調査、ウラルの核廃棄物処分場での爆発事故(キシュチュム市)や、チェルノブイリ事故後の調査も加えられている。特にウラルやチェルノブイリの事故は、当初隠された。チェルノブイリは、ソ連崩壊後のベラルーシやウクライナの研究者により調査され、公表されているが、正確な情報と調査が広島と長崎より少ない。

 1)放射線などの発がん物質は、新種のがんを生じさせるのではなく、既存のがんの「数」を増加させる。その増加する率が、どんな低い線量に対しても直線関係で正比例する。だから、すべての種類のがんは、放射線によって確実に増加する。

 2)放射線による発がん性は臓器による差はなく、自然発生のがんに比例して増加する。だからがんの多い臓器に多く、少ない臓器に少ない。がん死亡率の増加する割合(率)はすべての種類の自然のがんの率と同じである。

 3)同じ線量では、成人より子どもの方が、がん死亡率が高い。被ばくした時の年齢が1年違えば、同じ線量では若い人の方が、発がん率が高くなる。特に20歳以下であったかどうかが大きな決め手になる。それは、「原発事故と子どもの健康2の続き」の図を参照して下さい。被ばく年齢が56歳以上は、放射線によるがん誘発の感受性が極めて小さくなる。ただしこれは低線量被ばくでの話である。原発作業員たちの高線量被ばくは、当てはまらない。

 つづく

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