黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

スウェーデン方式は、どうだったのか

2024-02-29 09:59:32 | 新型コロナ感染症

             スウェーデン方式は、どうだったのか

世界はもう新型コロナウイルスのパンデミックは終わり、平常に戻っている。日本はその後遺症で、未だにマスクをしている人が少なくない。

 

        スウェーデン方式は、どうだったか。

 

 日本は、ロックダウンはできず、国民の協力に依拠した活動自粛策しかおこなうことが出来なかった。この結果、米欧に比べて人の移動を完全に制限することができず、新型コロナが流行する余地を残すことになった。それにもかかわらず、新型コロナによる死亡者は米欧に比べると圧倒的に少ない。

先ず、スウェーデン方式とは、―いろいろな記事を集めましたが―

                            結論は最後にします。

〇上昌弘2020/5/15

感染が終息するには、人口の6~7割が免疫を獲得するしかない。それをワクチンで獲得しようとした。

(→集団免役戦略は間違いだった。しかし、スウェーデンが取ったかどうかは判らない)

☆スウェーデン方式は、

 高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の制限は課さなかった。

 一時期、高校や大学は休校としたが、小中学校は休校しなかった。

 50名以上の集会禁止、不要不急の旅行の禁止、小売店やショッピングモールへの入店者数の制限を課したものの、多くの店舗やレストランは閉鎖しなかった。

 ボルボの自動車工場は一時期閉鎖されたが、その後、再開された。

〇2020/5/6現在 ヤフーニュース

コロナ感染症の死亡率12.2%、抗体保有率25%、100万人あたり死者数465人

ストックホルムでの1000人の検査で、抗体保有率は25%だった。

〇2020/5/15 週刊金曜日

2月下旬、集会やイベントでの人数を規制し、海外への不要不急な渡航に対して自粛要請を始めた。

その後、衛生管理、集会の規制―50名以上の集会禁止、社会的距離、テレワーク、リスクグループに属する人との接触回避など、

飲食業や商業施設は通常通り営業し、図書館などの公共施設も利用できる状態だ。

高校や大学はオンライン教育に切り替え、小中学校はアウトドアでの活動を増やしながら授業を継続している。

外出規制や警察の特別巡回もない。自由に出歩ける。

政府は「各自の良識ある判断に任せる」方針

〇2020/5/11 現在 感染者数2万6670人、死者数3256人。PCR検査数は週5万~10万件ほど。ストックホルムでの死亡者の約半数は、老人ホームでの感染。テグネルは、これは既存の介護システムが原因だという。

医療装備の不足や、老人ホームの民営化による規制緩和の方に問題があると思うという。

〇日経サイエンス2020/9月号

 スウェーデンはロックダウンを行わない対策をとった。

 当局は外出規制や飲食店の休業要請はしない一方で、大規模な集会の禁止や、店内の客の密集を避けるための規制を設けた。小学校や幼稚園は継続しつつ、感染時のリスクが高い高齢者に対しては公共交通機関の利用やスーパーの買い物などを避ける事を推奨した。

 保健社会相テグネルは、「命を守ることとアウトブレイクを緩やかにすることが対策の目的だ」説明した。

〇スウェーデン/メディア「THE LOCAL」2020/6/3

 高齢者を保護するために、介護施設への訪問禁止措置はとられていたものの、感染拡大を防ぐことはできず、死亡した70歳以上の高齢者の約半数は介護施設の住人だったという。

 スウェーデンは、ロックダウンや休業措置をとっていつでも抑圧政策に移行できる法体系は整っているのだが、いきなり実行はせずに、まず3月の段階で高齢者介護施設への訪問を禁じ、また50人以上の公共の集会を制限するなどの措置をとった。

 テグネル博士は「スウェーデンは、段階的な措置をとった数少ない国の1つだ。他国は一度に多くの措置をとったが、その場合の問題点は,どの対策に効果があったのか判らないことだ。

〇2020/6/6 デイリー新潮(電子版)

  首都ストックホルムではマスクさえつけずにカフェで寛ぐ人々の姿が散見される。

 6月3日時点での感染者数は約3万8千人にのぼり、死者は4403人を数える。

 

スウェーデン在住、スウェーデン移住チャンネルの吉沢智哉さんは「批判的意見が有ることは知っています。ただ、スウェーデンの政策は合理的だし、情報公開にも積極的なので多くの国民が政府に信頼を寄せているのです。」

 「こちらでは毎日14時に公衆衛生局が会見を開き、感染者数や死者数だけでなく、重症患者用の病床数や占有率まで発表される。きちんと情報を伝えて、あとは国民の判断に委ねるという姿勢が一貫しています。もちろん、規制が全く存在しないわけではなく、50人以上の集会や高齢者施設への訪問は禁止されているのですが、それ以外の外出はほぼ自由。国内旅行も車で1~2時間で移動できる範囲なら問題ありません。」

 

特別支援学校の教員を務めるサリネンれい子さんは、「高校や大学はオンライン授業ですが、幼稚園や保育園、小中学校は平常通り開いています。学校を一律に閉鎖しないのは、教育を受ける権利を奪ってはいけないという考え方が浸透しているから。加えて、スウェーデンはもともと学校を欠席しやすい環境なんですね。親が12歳未満の子どもの看病で仕事を休んでも、給与の約8割が保障されます。」

学校生活での変化は手洗いの推奨や、卒業式などの催しが縮小、もしくはオンライン化された程度。

〇2020/7/2 AFPBBニュース

 スウェーデンは、他のほとんどの国と異なり、新型コロナ拡大を抑制するためのロックダウン(都市封鎖)は実施しなかった。カフェやバー、レストラン、大部分の企業と16歳未満を対象とした学校は平常通りだった。

だが同時に、可能な限り在宅勤務をすること、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と衛生ガイドラインを順守すること、70歳以上の高齢者とリスクが高い人々に家で過ごすことを求めていた。

 

「集団免役の獲得を待つ戦略は科学的根拠に乏しい」とノーベル財団の会長以下2千人超の研究者が、2020年3月末、猛烈に批判し、厳格な措置を講じるように求めた。

スウェーデンのローベン首相は、「私たちは個人として責任を負わなければならない。全てを立法化し禁止することはできない。常識の問題だ。大人である私たちは、まさに大人として行動する必要がある」という。

 

〇スウェーデン・カロリンスカ大学病院泌尿器科医宮川絢子 2020/7

 ・スウェーデンはコロナ対策として集団免役を目指した事実はない。

 ・カロリンスカ大学病院は、ストックホルムの入院患者の約40%を受け入れ、泌尿器外科医も治療を担当した。

 ・スウェーデンは、集団免役獲得ではなく、「長期間持続可能な方法で感染のピークを抑え、医療崩壊を来さないようにする」ことを主目的とした。その為、持続可能が難しい完全なロックダウンという方法を取らずに、高リスク者(群)を守ると明言したわけである。

 ・法律で禁止しているのは、「50人以上の集会」と「介護施設への訪問」のみである。

・高校・大学・成人学校は閉鎖してオンラインによる遠隔授業となったが、保育園・小中学校は平常通りでした。

 ・その他、「社会的距離を取る」、「少しでも症状があれば自宅療養する」、「リモートワークを推進する」等の勧告により結果としては部分的ロックダウンの形になったが、国が法律で個人の行動を規制することはなかった。渡航制限もない。

 ・スウェーデンは、政府や中央省庁への国民の信頼が厚い。今回のパンデミックでも、政府を信頼していると答えた国民は60~70%で推移している。パンデミックの政策の主導権は、各省庁の専門家グループに委ねられている。毎日午後2時に各省庁の代表者が合同記者会見を開いて感染状況を提示し、今後のプランを述べることが行われている。核種統計は開示され、徹底した情報の透明性が担保されている。

 ・大病院のほとんどが公立であり、大病院の中で役割り分担し、カロリンスカ大学病院はコロナ野ためにICU病床を5倍の200床にふやし、ストックホルム市内では4つの病院がコロナ診療に当たり、日常診療を他の病院で受け入れた。PCR検査は入院が必要な重症者に限定して行われた。入院の必要のない軽症者はPCR検査を行わずに自宅療養となった。

 コロナ患者の病床確保や救急の場合には、国全体で調整された。ピーク時には500人近いコロナ患者がカロリンスカ大学病院に入院し、ICUには150人を超えていた。この診療に泌尿器科医もあたり、医師や看護師の配置換えが行われ、これらのスタッフは給与支給額が220%に引き上げられた。

 ・ICU病床が満床になることはなく、医療崩壊は起こっていない。トリアージ(患者の選別)も従来からの延長でコクミンの理解が得られているものである。それは「救える命に医療資源を使う」、「無駄な延命治療は行わない」など。治療の決定はエビデンスに基づいて行われ、効果がほとんど期待できない治療は、患者や家族の希望があったとしても行われることはない。治療を拒否する権利はあっても、治療が受けられないことを拒否する権利はないのである。

〇同上  後編  2020/8

 ・スウェーデンがロックダウンをできなかった大きな理由は、憲法において、「国民の移動の自由」が守られており、国が国民の行動を規制することが許されていないからだ。

 また専門家グループが属する省庁などの公共機関は政府の影響を受けず、独立性が有ることを憲法で規定されている。感染症対策は公衆衛生庁であり、コロナ対策を指揮したのは公衆衛生庁の疫学者テグネル氏であった。

 ・保育園や小中学校の運営が平常通りなのは、子どもに感染しても症状が比較的軽く、死亡するケースがほとんどないということ、それに加えて子どもが学校で学ぶ権利、とくに家庭環境が良好でない子どもたちにとって学校はセーフティネットでもあり、閉鎖するとさまざまな弊害が起こりうることに基づいている。

 ・学校閉鎖により、医療従事者の約10%にあたる4万3千人が働くことが出来なくなると試算され、そうなれば医療現場を維持するのが難しい事態が予想された。

 ・スウェーデンの新型コロナによる人口あたりの死亡者は世界的に高いと言われているが、なぜか。死亡者に高齢者が占める割合は非常に高く、およそ90%が70歳以上である。70歳以上の死亡者のうち、50%が介護施設に居住していた。

 もともと重症の高齢者が多数住む介護施設でクラスターが多発したこと。

 70歳以上の死亡者のうち要介護者が占める割合は76%になる。

☆詳細を略して、

 つまり介護施設でクラスターが発生したのは、感染症対策自体の失敗ではなく、スウェーデンの介護システムが抱える長年の問題点や、スウェーデン社会が抱える脆弱性を新型コロナにつつかれたためである。

〇2022年2月9日、スウェーデンはほぼすべての規制を撤廃した。

 2020年から2021年にかけての超過死亡率は、ヨーロッパの中では、ノルウェー、デンマーク、フィンランドに次ぐ低い国である。スウェーデンの公衆衛生庁は、「根拠が不確かなマスク着用より,ソーシャルディスタンスを優先した。現在でも、マスクはあくまで補助的な役割と認識されている。

 2020年末に新規感染者数が1日あたり1万人を超えた時には、公共交通機関内や、ショッピングセンターなどでマスク着用が「推奨」されるようになったが、それでも屋内での着用率は高い時でも過半数程度であり、屋外ではマスク着用は少数派であった。

〇マスクが感染防止に有効だという科学的根拠はないと考え得るのが国際的なコンセンサスだった。

 ロックダウンについても、感染拡大を防ぐという科学的根拠はないとされていた。テグネル氏は「ロックダウンをしない」というのが欧州の疫学者たちのコンセンサスであったにもかかわらず、各国は次々とロックダウンを採用して行った。ノルウェーとデンマークは、専門家の意見を無視して、政治的に決められた。イギリスは当初しないはずが、数理疫学者(日本では8割おじさんの西浦教授もこれ)のファガーソンがマスコミに騒ぎ立て、政府は慌てて、遅れてロックダウンしたが、その後修正してロックダウン政策をやめた。

スウェーデンは、感染に脆弱な高齢者などの高リスクグループを保護することを対策の柱とした。

 子どもたちが通常の生活を送れるようにすることが重視された。保育園と小中学校は平常通りでした。マスク着用義務も黙食義務もなく、子どもたちはほぼ通常の生活を送ってきた。

〇医療崩壊を回避することが最も大きな政策の柱であった。ICU病床は2倍に増やし、多くの一般病棟が感染病棟になった。ストックホルムの国際会議場には、野戦病院が設営され600床のベッドが用意された。これは使われることはなかった。

 医学部6年生の学生の動員や休職状態にあるスカンジナビア航空のキャビンアテンダントを再教育し労働力をシフトするなど多様な対応がなされた。

 マスクの使用は勧められてはいない。マスクにエビデンスが確立された訳ではなく、ソーシャルディスタンスを取ることが第一であると考えられた。病院でも手術などの処置以外でマスクをしていない。

〇スウェーデンでは、手洗いも手が触れる場所の消毒もせず、するなら今までの常識程度でよく、マスクも推奨。ソーシャルディスタンスのみ。

 ロックダウンもせず。

 

◎その結果、政府公衆衛生担当の責任者テグネル氏は2023年4月にWHOへ招かれて移籍したと言う。

 結果は明白である。WHOの多数派はスウェーデン方式が良かったと選択した。

 

ついでに言えば、ファガーソンという理論疫学者によってロックダウンしなければ25万人が死亡すると警告されて一時かき回されたイギリスは、政府の緊急時科学助言グループの当初の方針に戻り、ロックダウンを解除した。その後は予定通りスウェーデンと同じ路線を取った。

日本の西浦博京大教授もファガーソンと同じ理論疫学で、8割おじさんと呼ばれた当時の北大教授。結局理論疫学は当たらなかったが、出世した。

 

コメント
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「ウイルス学者の絶望」を読んで

2023-04-04 15:52:21 | 新型コロナ感染症

           「ウイルス学者の絶望」を読んで

抄録と感想です。私は、免疫生物学としては、国際医療福祉大学の高橋泰教授の理論に近く、さらに

れに加えて、50年の小児科医の経験と勉強、心療内科学と精神神経免疫学、ルネ・デュボスの適応理論をもって考えてきました。世界では,ネオヒポクラテス学派と言うそうです。

      「ウイルス学者の絶望」を読んで(抄録と私見)  2023.3.31.

私と似たような主張をされている本があると遺伝学者の友人が教えてくれました。

この書と私との違いは、ウイルス感染症の同時流行がないことに対する解釈の違いと、細胞免疫についての考え方、そして精神神経免疫学をご存じないことなどです。

 細分化された学問領域での研究者であり、ウイルス学者ですが、臨床医や疫学者ではなく、科学史も知らないようです。大筋では政府の感染症審議会のしている対策の批判は、的を得ていることが多いので、抄録を作り、私の意見を追加しました。

               〇印は、同意。 △印は、不同意、異論あり。( )内は私見。

第一章 ウイルス学者の絶望

〇感染症法上の扱いを2類相当にし続けることは「違法」の可能性も

 オミクロン変異体(俗称オミクロン株)は、既にCOVID-19に該当せず、新たな種類ですから、それを5類にするかしないかという議論をすべきなのです。2022年12月の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料でも、2022年5~6月の段階で全年齢層において重症化率,致死率が季節性インフルエンザを下回っていました。

〇今回のワクチンは「企画倒れ」

 スパイクワクチンでは当座しのぎで変異には対応できません。感染を予防できない。

繰り返し同じ抗原(株)に対応したワクチンを接種すると「抗原原罪」を起こして、最初の株に対する抗体しか作らず、新たな株への抗体を作らないことがある。変異に対抗できない現象。スパイクに対するワクチンでは、予防できないし、変異株にも対応できないし、逆に「抗原原罪」という現象で、悪化させることもあります。ヒトコロナウイルスは全く同じウイルスに再感染します。(ちなみに、麻疹ウイルスも風疹ウイルスなどの他のウイルスもすべて再感染します。今までは市中に常在していたので、再感染しても発病せず、追加免役となり気が付かなかっただけです。ワクチンが普及して発病者がいなくなると経年劣化で抗体価が低下し、再感染します。でも免役記憶が残っていますから、軽く済みます。)

〇ワクチン被害はなぜ「因果関係が証明できない」とされるか

 完全証明ができないから、「因果関係があるかどうかは証明できない」と片付けられてしまうのです。(新しいワクチンなので、すべてが新しく、根拠となるデータがないためです。)

 (それはアメリカとスウェーデンの共同研究で、ワクチン後6か月以内の原因が判らない症状や死亡者を副反応疑いとしていました。それで明らかな原因が認められない人の調査を徹底してすべきなのに、していません。病理解剖をして心臓や血管系、脳血管などの異常を調べるべきで、個別には難しくても、多数に同じ傾向が見られれば、それと判断できます。)

〇3回目以降の接種はリスクを高める

 (90%以上の人にワクチンを接種した)イスラエルで感染拡大が起きて、ワクチンによる予防効果がないことがわかりました。(それはmRNAワクチンという形でスパイクに対するワクチンなので、のどや気道の粘膜細胞に免疫を作るはずが、作らなかったのです。) mRNAワクチンの感染予防効果は低いことが明確になっています。

 2回目以降のブースター(追加)接種で、先の2回でできた免疫で、3回目に作ったスパイク蛋白質を持った細胞が,ウイルスを持った細胞と誤認されて攻撃される危険があるというのです。(多数の人にワクチン接種していたのだから、コロナウイルス感染症で亡くなった人の病理解剖所見が必要です。それをせずに因果関係不明としています。)

〇「ワクチンは血流に入らない」を否定するデータ

 ラットの実験では、肝臓,脾臓、副腎、卵巣に入っています。(そもそもリンパ節に入るのに,血流に入らないはずはありません。)

〇正常細胞が免疫に攻撃されるリスク

 自己免疫製肝炎が出ています。抗体依存性細胞傷害(ADCC)という現象です。抗体と一緒になってウイルス感染細胞を攻撃できるのですが、3回目接種すると(2回目でも可能性あり)株が変化していると、スパイクワクチンの入った細胞を誤認して攻撃してしまう危険性です。

〇激増する超過死亡

  ワクチンを接種したことによって、コロナで死にやすくなったとも考えられる。

〇mRNAワクチンの「3回目接種」は回避したかった

 塩野義製薬野ワクチンはコンポート(組み換え蛋白質)ワクチンなので、mRNAワクチンよりも安全性が高い。しかしADEの危険性は残ります。新型コロナウイルスに対するワクチンの接種は基本的には高齢者や基礎疾患をもった人だけで良かったと思います。また、ウイルスは時間とともに弱毒化するはずなので、ワクチンはいずれ不要になります。

〇接種前のN(核)抗体の調査はなぜスルーされたのか

 「N抗体を持っている人は、mRNAワクチンを接種してはいけない」とするべきだと思います。

△ワクチンが感染を阻止することが難しい理由

 ワクチンについてテレビなどで聞かれると、最初から「自分は打ちません」と話していました。・・・テレビで「mRNAワクチンは危ないから」とは言えないので、・・・。

 (大筋ではよいのですが、誤解されている所もあります。作られるのは、ウイルスの表面のスパイクに対する抗体なので、粘膜細胞の表面にその抗体ができることで感染を予防しようというもので、それが血中に増えても予防することも重症化を防ぐこともできません。自然に感染したり、生ワクチンの場合には、ウイルスの核に対する抗体ができるので、スパイク部分が変異しても効果があります。)

△インフルエンザワクチンとの同時接種のリスクは不明

 同時接種の安全性は、生ワクチンや不活化ワクチンでいえることであって、今迄存在しなかった遺伝子ワクチンでどうかということは、全く判っていません。(しかも、インフルエンザワクチンの有効性すら疑わしいワクチンなので、効果よりも危険性の方が高いのです。3月になってようやく経鼻噴霧の弱毒生インフルエンザワクチンが認可されました。その効果は期待されていますが、実際のところは判りません。)

〇ワクチンの危険性に対する情報の乏しさ

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)のワクチン審査部でも、危険性として「抗体依存性増強(ADE)」と呼吸器疾患増強をあげています。(判っていないワクチンを接種するのですから、ワクチンの副反応としては、明らかに違うという根拠があるものだけ除外し、残りはすべてカウントすべきはずです。薬剤ではそうしていたはずです。)

〇誰もがコロナに感染する

 私(著者)が批判していたのは、政府の過剰で的外れな感染対策でした。初期の新型コロナウイルスは比較的病原性の高いものでした。それでも高齢者や基礎疾患のある人だけ守ればよく、多くの人たちはいつもどおりに過ごして経済を動かし、・・・。だから私は「過度な自粛をやめてくれ」と言っていました。なぜ一斉に店を休業させなければいけなかったのでしょうか。そもそも新型コロナウイルスはなくなるものではありません。

〇「Go Toトラベル」は悪者ではない

〇政府の対策はただの「責任逃れ」

 

第二章 新型コロナウイルスの正体

〇決して未知のウイルスではない

 新型コロナウイルスも含む「オルトコロナウイルス亜科」には数十種類のウイルスが存在します。サーズウイルスと同じ系統で、元々キクガシラコウモリが持っていたウイルスです。

〇発生直後に「ウィズコロナ」切り抜けられると確信

(私も2020年2月には、独自の見解を発表しました。それは今でも変わらないものでした。)

△「100分の1作戦」で感染対策は十分だった

 (換気、マスク、手洗いで充分というが、これはおかしい。換気と言っても、室内を風がぐるぐる回り、室内に充満するだけです。未熟児室の換気は、横に流れる様に、部屋の片側から水平に流して、反対側へ吸い込ませる方式で換気をします。インフルエンザと同様に、マスクの効果は多少は少なくするだけです。手洗いの意味はありません。)

 エアロゾル(空気)感染は当然です。(最初に流行した武漢のデータを読めば判るはずで、多くのデータが発表されています。中国では武漢市がもっとも医療水準が高い所です。)

〇ソーシャルディスタンスという拷問

〇接触感染についてはあまり考えなくてよい

〇ほとんどがエアロゾル感染

〇マスクで感染を防ぐには限界がある

〇無意味な感染対策

〇ほとんどのウイルスは人間と共存している

〇一定数以上の微小飛沫粒子を吸わないと感染しない

 コンピューターや、物理実験でのデータで感染すると言いますがそんなことはなく、実際には、感染が成立するにはウイルスの「量(数)」が必要なのです。(細菌も同じです。その上に、活性があることが必要です。そこまでで、著者が誤解しているのは、ウイルスが10キロ先まで飛ぶなどは、架空の話です。実際に感染した例は、インフルエンザの場合に、パナマ沖で待機していた貨物船の例からはせいぜい2キロ程度です。しかも、晴れたら直射日光で活性を失いますから、成層圏では感染が成立しません。直射日光下では、2メートル離れれば感染しません。室内では別です。武漢では患者さんの風上の200メートル先でも、ウイルスを検出しています。)

〇子どもはワクチンより感染で免役を

 ワクチンではスパイク蛋白質に対する免役しかできませんが、感染するとコロナウイルスの多種類の蛋白質(?―私は核だと思います)に対する免疫ができます。(だから、変異しても短時間で変異株の抗核抗体を作ることができ、重症化しないのです。)

〇欧州の子どもたちの多くは自然感染で免役をつけた

 

第三章 無知という大罪

〇抗原検査とPCR検査の違い

 抗原検査は、ウイルスのN蛋白質を直接検出します。N蛋白質は変異しにくく、大量に含まれるので、PCR検査より、あてになります。N蛋白質は変異体であってもほとんど変わらないのです。PCR検査はウイルスのmRNAのN蛋白質をコードする(設計する)遺伝子領域の一部を調べているだけです。(だから、時々いろいろなものから陽性がでたりします。活性を失っていても陽性になります。)

〇検査陽性と感染性は別問題

 検出されたRNAに感染性があるかどうかは判らないのです。

 (PCR検査を開発した人は、これを診断に使ってはいけないと警告していました。)

〇1回のPCR検査で判断することは「異常事態」

 (それなのに1回のPCR検査で診断しています)

〇陽性者を「全員隔離」の大罪

〇「無知」が招いた大混乱

〇短時間で安価に行える「より確実な」検査方法があった

 国内企業のキャノンメディカルシステムズが開発したLAMP法は、誤診断が起こりにくく、コストも低く、実用化されていました。20分ほどの短時間で検査出来るのも特徴です。

〇病原性はスパイクでは決まらない

〇重症者は減って死亡者数が増える怪現象

〇数理疫学者とウイルス学者のいう「感染性」は異なる

〇コロナウイルスは「変異が速い」という嘘

〇人類はずっとウィズコロナだった

 コロナウイルスは昔から(少なくとも百数十年前から)存在していたことは明らかです。

また分子時計で調べると、計算上は鎌倉時代からあった可能性が高いのです。現在、普通の風邪を起こすヒトコロナウイルスは新型コロナウイルスの他に4種類あります。(当初から、福岡伸一さんたちも、きっと2009年に流行した新型インフルエンザウイルスが今は在来型になったように、新型コロナウイルスもそうなるだろうと予測していました。)

 

第四章 ウイルスと免疫の基礎知識

△自然免役と獲得免役

 私(著者)は、自然免疫だけでもほとんどのウィルスからの感染・発病を防いでいると考えています。(同感)

 (「ウイルス干渉によるもの」の理解が違います。ウイルス同士は、同じ場所で同時に繁殖できないのです。だから一瞬でも早く繁殖を始めたウイルスだけが繁殖し、後から入ったウイルスはじっと待っているのです。これは過去の麻疹や風疹、水痘の感染例から判っていることです。インフルエンザとコロナは同時に同じ人間の体内で繁殖しません。)

△「バカは風邪をひかない」の真意

 自然免疫の応答性はどんどん高まっていきます。(それは人間の抗体産生能力は、1億ともそれ以上とも言われていて、新しい抗原(ウイルスや細菌など)が侵入したらすぐに抗体を作ろうとするのですが、それに時間がかかります。それを短縮できるだけです。それを訓練免役というのでしょうか。またBCGの感染予防の有効性は世界的に否定されています。)

 自然免疫がうまく対応しています。(そうですが、その次の「日常的に雑多なウイルスを浴びていると自然免疫が鍛えられて」という所が間違いです。人間は自然免疫の壁を何重にもはりめぐらせていて、反応性は高まることはないのです。)

 「バカは風邪をひかない」というのは、(私に言わせれば、くよくよしない人、おおらかな人は、病気をしないということで、著者は、精神神経免疫学を知らず、取り違えています。)

△5種類の抗体

 (日本脳炎に対して認識不足です。日本脳炎はワクチンで日本人の発病が押さえられた訳ではありません。著者は適応理論も知らないようです。動物は、環境に適応して進化しました。だから地球の寒冷期に進化しました。現在は病原性のほとんどない日和見感染症のウイルスや細菌も、昔は病気を起こしていたのではないでしょうか。)

△IgA抗体が誘導されにくい人は新型コロナに感染しやすい

 (著者は、mRNAワクチンが誘導しにくいことと、誘導されにくい人がいることと混同している。先天性異常でない限り、そんな人はごく少数です。) インドで認可されたワクチンは、粘膜ワクチンです。粘膜に免疫をつけるので効果が確実です。

△IgG抗体を上げても感染予防効果は期待できない

 確かに、主戦場は、肺や気道だから,血中のIgG抗体値を上げても効果は期待出来ません。

(でも細胞内で増殖したウイルスが、細胞を破壊して外へでてきたら抗体が作用します。そこで作用するので、重症化を防げます。毛細血管を経て血液と細胞は接触しています。でも抗体は細胞内には入れません。肺炎は肺胞内の炎症です。肺胞の表面に血液は接触していて、血液中のガス交換をしています。ウイルスが細胞外へ出たら抗体の作用を受けます。)

△なぜ抗体価が高い人のほうが重症化しているのか

 (IgG抗体が最初に上がってくるということは、文献をあたれず検証はできませんでした。その後の東京都の文献(39)に出てくるのが、S(スパイク)抗体とN(核)抗体です。それを見るとS抗体(+)は96%前後ですが、N抗体(+)は3%前後です。これは調査を受けた人がワクチン接種者多いとのことで、当然ワクチン接種者が多いことを示しており、自然感染したのはN抗体(+)の人だけです。

ウイルスに曝露(接触)しても自然免疫で撃退し、血中に入らなければ、抗体は陽性になりません。多くの感染症専門家たちは抗体陽性を問題にしていますが、抗体は血液中までウイルスが侵入して初めてできますから、体内に侵入しても免疫システムで撃退されていれば抗体はできないです。抗体を感染の指標とするから判断を間違うのです。

ウイルス特異抗体が高いと言いますが、それはS抗体なのか、N抗体なのか文献が入手できなかったので判りませんが、S抗体が高くても変異体であれば侵入し、抗原原罪と抗体依存性増強によって、ワクチン接種者だけは重症化することがあるのです。自然感染ではあり得ません。)

〇抗体依存性増強(ADE)はなぜ起きる?

 人のデング熱ウイルスのワクチン製作中に分かったことですが、抗体によってかえって感染が増強され、病態も増悪することがあるのです。これがコロナウイルスでも起きるようです。(これはワクチンだけで、自然には起こりません。そこに何らかの秘密があるのでしょう。だから自然感染して免疫をつける方がよいのです。)

〇ウイルス感染におけるガンマ(γ)デルタ(δ)T細胞の役割

 (ここはまだ解明されていない所です。)

〇専門知を総合知にできる人材の必要性

 (感染症の専門家といえども,専門領域が細分化され、知らないことや根拠のないことを平気で言うのです。私は啓蒙者で、他人の研究を使って分かり易く説明しています。)

 

第五章 コロナワクチンの限界と危険性

〇「mRNAワクチン」とは何か

△新型コロナウイルスにワクチンが効果的でない理由

 生ワクチンは軽く感染することなので安全で、効果があります。不活化ワクチンは安全ではありますが、最先端の侵入する場所の粘膜細胞の免疫ができません。中国の新型ワクチンは不活化ワクチンです。不活化ワクチンによる抗体が悪さをすることがあるのです。

 (細胞免疫や抗体、不活化ワクチンについての評価が私と違います。)

〇ウイルス特性によって変化するワクチン戦略

 コロナワクチンの抗体は悪さをすることがあります。抗体依存性増強(ADE)や病態増悪を起こすリスクがあります。

〇「ADEは心配しなくてよい」は本当か

 同じコロナウイルスのマーズやサーズではADEが起きるのに、Covid-19で起きないはずがなく、ワクチン接種後の死者やワクチン接種してコロナに感染して亡くなった人の病理解剖やADEの検査をしていないからでしょう。証明が難しいのです(本当ではないのです)。

〇抗原抗体複合体 

 抗体による病態増悪

〇大阪大学の2つの研究成果

1)抗体がウイルスのスパイクに結合して、ウイルスの感染性を高めるというのです。

2)武漢型ワクチンでは、オミクロン株に対するADE活性が観察されています。

 そこでmRNAワクチンの接種で誘導される抗体によって,感染増強が起こることがあり得る。また、抗原抗体複合体によって病態増悪もあり得るという結論です。

〇2回接種者のほうが未接種者より陽性になりやすいというデータ

 2回接種者の感染予防効果がほとんどの年代でマイナスに転じる結果になっている。

だから1か月後くらいから、PCR検査陽性者が、未接種者よりワクチン接種者の方が多いという結果がでたのです。「発症しやすくなった」と解釈しています。

〇スパイク蛋白質をターゲットにした失敗

 インドで粘膜ワクチンが承認されました。これが一番よい方法であることは最初からわかっていたことです。

〇細胞性免疫の誘導は強ければ強いほどよいのか?

 (よくないです)mRNAワクチンは「ワクチンのLNP(脂質ナノ粒子)が一般の細胞にもmRNAを導入してしまう」ので、それを自分の免役システムが「感染細胞」と認識してしまい、攻撃されることが起こり得るのです。実際に自己免疫疾患類似の副反応が出ています。

〇ブースター接種が逆効果になることも

 ブースター接種で誘導した抗体の効果は、中和抗体による感染予防効果や病態増悪を引き算して考える必要があります。それ以前の型に対応していたワクチンが、変異体に対しては、逆効果になるということは結論が出ています。

〇ウイルスよりもワクチンが怖い

 今は致死率が0.1%ですから、重症化しにくい世代までワクチンを打たなければいけないのか。日本で10~20代のワクチン接種者で2021年末までに281人の心筋炎疑い例が出ています。

〇ブースター接種は自己ダメージが大きい

 一度感染した人はワクチンを接種する必要はないし、未感染者は2回接種したらそれでお終いでよいのです。

〇子どもにmRNAワクチンを接種してよいのか?

 ワクチン接種後に心筋炎を起こしています。「子どもにワクチンを打ってよいのか」とよく聞かれますが、よくないと思います(著者)。

〇妊娠初期にmRNAワクチンを接種してよいのか?

 避けた方がよいのです。危険性はあります。

〇妊娠後期でもワクチンの危険性は拭いえない

〇「安全」の理由がわからない

〇コロナ騒動は医療利権と政治が招いた災禍

 (私は、これは2009年の新型インフルエンザの騒ぎから世界的に広がった産官学の癒着だと思います。日本も顕著です。)

第六章 私が声を上げ続ける理由

 略。麻疹ウイルスも牛から。

第七章 ウイルス学者を悩ませた16の質問

 略

  以上、宝島社新書「ウイルス学者の絶望」(宮沢孝幸京大医生物学研究所准教授著)より

 

 最後に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックはすでに終わりました。今回のパンデミックをあおったのは、感染症を知らない医師たちが怖がり、それで医療関係者や葬儀業者たちが怖がり、一般の人たちに恐怖感をあおったのです。著者も言うように、メディアも報道規制され、コロナ恐怖とワクチン安全論が支配的で、ネットでしか反論が見られませんでした。私は,当初からスウェーデン派でした。結果の検証は、別にします。

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新型コロナ感染症の日本の奇跡 Ⅱ

2021-08-03 17:05:43 | 新型コロナ感染症
新型コロナ感染症の日本の奇跡 Ⅱ

 新型コロナ(COVID-19)の感染率と死亡率が日本を始め東アジア諸国で世界レベルより一桁低い実態が騒がれています。特に日本は中国や英仏みたいな厳格な都市封鎖も営業停止もせず、国民にお願いするという中途半端な緊急事態宣言で済ませています。それでも8割おじさんと呼ばれた西浦京大教授(当時北大教授)が「都市封鎖しなければ、感染者85万人、死者42万人出てしまう」と言ったのに、世界11位の1.2億人の人口で、7月末で90万人の感染者と1.5万人の死者で済んでいます。この日本の奇跡とか、コロナ対策のジャパン・モデルなどと言われたものの実態は、日本が世界の中で絶対的貧困層が少ないからです。
 新型コロナ(COVID-19)パンデミックは、第一次世界大戦とロシア革命に続いて起きたスペイン風邪のパンデミックの時と世界が同じ状況になった為に起きたのです。
それは社会経済的格差が世界中に広がり、貧困にあえぐ人々が世界の人口の半数を占めています。世界では77億人の人口の1割の8億人が、一日200円以下で暮らす絶対的貧困層であり、半数が相対的貧困です。
貧困は健康を損ない、病気を生みます。日本、韓国、マレーシアは1960~70年代の「成長の奇跡」と言われる急成長を遂げ、人口のほぼ大部分が富裕層と中間層になり、絶対的貧困層が少なく、それで新型コロナウイルスの感染者や重症者、死者が少ないのです。
ハーヴェイによれば、新自由主義化の程度の少ない国々、中国、韓国、台湾、シンガポールがこれまでのところ、イタリアよりも良好な形で世界的な大流行を切り抜けたことである。(世界、2020.6.)

 昨年1年間のコロナ死者は3466名で、そのうち約3000人は高齢者のうちサルコペニアやフレイルの人たちで、残りがそれ以外の人たちと言われています。
 ハーバード大公衆衛生学の吉川由紀らの2021年2月の政府データからの研究でも、「日本の47都道府県のデータを解析した結果、世帯収入が少ないなど社会経済的水準が低い地域で、新型コナイルスの感染および死亡リスクが高かった」という。これは米国やヨーロッパで観察されたのと同様のパターンでした。それが日本のファクターXだったのです。日本では所得が年間200万円以下の人が1100万人、生活保護者が200万人です。それで当初は死者が少なく、時間と共に高齢者の要介護者とコロナ禍によって失業した非正規労働者と零細自営業者やアルバイト生活の学生たちを直撃しています。
 「富と感染リスクの逆進性」(寺島実郎、「世界」2020.9.)が起こっているのです。コロナは「格差と貧困」という問題を顕在化させており、所得分配の公正という問題を提起しています。日本も世界の先進国を追いかけて格差社会が進行していて、高齢者の多くは富裕層と中間層ですがそれも団塊の世代までで、その下の氷河期世代と呼ばれる1970年代生まれとその前後の世代に、格差と貧困が広がっています。アメリカは富裕層10%、中間層43%(2014)で、それ以下の相対的貧困層と絶対的貧困層が47%で年収300万円以下です。医療保険に入れない人も5000万人います。主に黒人、ヒスパニックにプアーホワイトで、そこにコロナの死者が集中しています。イギリスやドイツでも、バングラデシュ人などの有色人種とプアーホワイトの労働者たちにコロナ死者が集中しています。スウェーデンやスペインでは、介護施設にいる高齢者が病院に行けずに施設内で亡くなっています。日本も施設や病院にいる高齢者たちと絶対的貧困層がコロナ死をしています。私も今年4月にコロナ肺炎にかかり、3週間某大学病院救命センターに入院しました。実際にかかって見て突然重症化することを実感し、その時に酸素が供給されないと死です。またそこで判ったことは、コロナ恐怖が病状を悪化させ、回復を長引かせ、後遺症を生んでいます。ワクチンはインフルエンザワクチンと同じで麻疹ワクチンほどの効果は期待できませんが、コロナ恐怖には有効です。
この状態があと1年以上は続き、今の社会がこれからの社会になります。もう元の社会には戻りません。
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新型コロナ感染症の日本の奇跡

2021-08-03 17:00:10 | 新型コロナ感染症
        新型コロナ感染症の日本の奇跡



これは「チェルノブイリ子ども基金のニュースレターⅡ載せたものです。

世界では、中国で始まった新型コロナが、すぐヨーロッパに飛び火し、急速に広がったのに、なぜか隣国の日本や韓国、台湾、マレーシアでは広がらないことが奇跡と言われた。
 特に日本は特別なことをせず、ロックダウン(都市封鎖)も中途半端であり、国民に自粛を要請する形に近いものであった。また今回の非常事態宣言も飲食店への規制だけで、これも中途半端でしかない。それでも、他に国に比べたら感染者は少ない。
 日本で感染者数が少ない理由はなぜか。
 ピーター・テミンはその「中間層はなぜ没落したか」で、マンチェスター大ルイス教授によると、発展途上国はいわゆる二重経済をもち、それを「資本主義」部門と、「生存」部門と名付けた。資本主義部門は、資本と労働の両方を利用した近代的生産の拠点で、その発展は資本の量によった。生存部門は貧しい農民からなり、その人口は土地や自然資源の量に比べてあまりにも大きい為、最貧の農民一人当たりの生産性はゼロに近かった。ルイスが考えたのはアジア、アフリカ、中南米の国々で最大の国は中国であった。多数の農民が小規模農業に従事し、生存部門を構成していた。ほとんどの発展途上国はそうした二重経済であったが、日本、韓国、マレーシアは1960・70年代に急成長を遂げ、人口のほぼ全体が資本主義部門へ組み込まれた「成長の奇跡」として知られているという。この国々がコロナの少ない国である。
「人新世の資本論」の著者斉藤幸平は、日本人の大多数は世界の裕福な上位10%に入るという。世界銀行は一日一人1.9ドル(約200円)以下で生活している人を貧困と定義していて、世界の人口77億人の約一割の7億3千万人が絶対的貧困層である。
日本では年収200万円以下の貧困層は、2018年では約1100万人で、人口の約8.5%である。失業率は2019年2.3%。これがコロナ直前の状況であった。貧富の格差指数も、失業率も、世界の中で北欧並みの数字である。また日本では内戦や政治的紛争が起きていないし、難民も受け入れていない。それがコロナウイルスに感染しても発病しない状況を作っている。
国際医療福祉大の高橋泰教授に言わせれば、日本人はまだ自然免疫の段階でコロナウイルスを防御している。だから抗体検査をしても、欧米に比べて二桁低い数字しか出ていないという。抗体は、ウイルスが血液中に侵入し、獲得免疫まで発揮されないとできない。自然免疫の段階つまり、侵入する気道の粘膜細胞での細胞性免疫で闘って勝利していれば、抗体はできない。アメリカのウィルキンソンとピケットがその著「格差は心を壊す。比較という呪縛」で「格差の小さな国はうまくいっている」。アメリカは「世界で最も経済格差の大きな国」。「所得の不平等がもっとも小さな日本」とし、日本が健康や社会問題の指標(平均寿命、乳幼児死亡率、薬物・アルコール依存症、殺人犯罪率、未成年出産など)において世界でいちばんいいという。それが日本人の多くの人が自然免疫を発揮できている要因ではないか。
そのためこれだけコロナが騒がれていても、抗体検査では昨年12月の調査で東京は0.9%(6月は0.1%)しかなかった。昨年5月スウェーデンのストックホルムで25%、ロンドンで17%、ニューヨークで12%、モスクワで10%、オランダで3%、ドイツのガンゲルトで15%という抗体保有率であることと比べて極端に低い。ここから考えても、自然免疫段階で対処している人が多いと考えられる。これが日本の奇跡であった。
だから有効性と安全性に問題のあるワクチンは、日本では接種を急ぐ必要性はないと思う。コロナワクチンは、インフルエンザワクチンと同じ程度のものと考えて良い。

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グレートバリントン宣言

2021-08-03 16:54:13 | 新型コロナ感染症
         グレートバリントン宣言

        

ハーバード大学クルドルフ教授、オックスフォード大学グプタ教授、スタンフォード大学バタタリヤ教授の3人の感染症の疫学者が2020.10.4に署名。共同署名者多数(これは要約です。)
グレートバリントン宣言―私たちは感染症疫学者および公衆衛生科学者として、現行の新型コロナウイルス政策により人々の身体的および精神的健康が害されることを深刻に懸念している。ここに、「集中的保護」という手法を提言する。
 現行のロックダウン政策は、公衆衛生に破滅的影響を与える。その結果、・・・労働者階級や社会の若者たちが最も重い負担を負うことになる。学生たちを学校に行かせないのは重大な不正義である。
 これらの政策を実施続ければ、修復不能な損害となり、貧しい人々が不平等に被害を受ける。
 新型コロナウイルスによる死亡に対する脆弱性は、若者に比べ高齢者で1000倍高い。事実、子どもにとっては、新型コロナウイルスはインフルエンザなどの多くの脅威に比べ危険が低い。
 人々の間で免疫がつくにつれ、ウイルスに対する弱者も含め社会全体の感染リスクは下がる。すべての集団において、最終的には集団免疫(群れの免疫)を獲得する(つまり新規感染率が安定する時期に到る)ことは周知の事実であり、これはワクチンにより補うことができる(ワクチンに頼るのではない)。したがって、集団免疫(群れの免疫)を獲得するまでの間、死亡率と社会的損害を最小限にすることを目標にすべきだ。
最も思慮深い方法としては、死亡リスクの低い人々には普通の生活を許し、自然感染を通してウイルスに対する免疫を獲得するようにし、一方リスクが最も高い人々は保護するのが良い。私たちは、これを「集中的保護」と呼ぶ。
 ウイルスに対する弱者を保護する対策をとることは、新型コロナウイルスの対する公衆衛生対策の重点項目であるべきである。例としては、
 老人ホームは、獲得免疫をつけたスタッフを雇い、その他のスタッフや訪問者には頻繁に検査を実施する。また、スタッフの入れ替わりは最小限にする。自宅に住む退職者は食料品やその他の生活必需品を配達してもらう。可能であれば、家族との面会も室内より屋外で行なうようにする。などがあげられる。
  ウイルスに対する弱者ではない人々は即急に普段の生活に戻るべきである。手洗いや風邪をひいたときの自宅待機などの簡易的な衛生対策を社会全体で行なうことで集団免疫閾値を下げることができる。学校や大学は開校して対面授業をすべきである。スポーツなどの課外活動も再開すべきである。若くてリスクが低い大人は通常通り働くべきである。レストランやその他の商売も開けるべきである。美術、音楽、スポーツなどの文化活動も再開すべきである。リスクが高い人々も希望すればこれらの活動に参加してもよいが、社会全体としては、集団免疫を獲得することによりウイルスに対する弱者を保護するのがよい。以上
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新型コロナウイルス肺炎感染記

2021-08-03 16:45:56 | 新型コロナ感染症
           新型コロナウイルス肺炎感染記


    新型コロナ肺炎に感染した「コロナ研究者の開業医」の反省


「あっしまった。もしかしたら新型コロナウイルスに(COVID-19)にかかってしまったのかな」と思ったのが4月21日の昼でした。朝から何となく体調がいつもの違う感じがしたが、体温を測っても36.8℃で、のどの痛みも咳もなく、疲れているわけでもありませんでした。 
その日は昼頃に仕事が終わり、大分疲れたのでもしかしたらと思って体温を測ったら38.3℃あり、すぐその場で新型コロナの抗原検査をし、やはり陽性でした。
 新型コロナウイルス肺炎が昨年一月から始まり、小児科医なので感染症に強い私はずっとコロナを追いかけ、先ずどんな病気か、どうして始まったか、なぜ感染したのか、なぜパンデミックになったのかの私の考えをその時々に応じてブログに載せました。
 1918年のインフルエンザパンデミックと同じで、完全な予防策などなく、今政府のしている予防策は広がりを時間的に引き延ばすだけです。自分の健康状態を良く保つことが最大の予防策と思っていました。それで自分は感染しないと高をくくっていたのです。
 私自身は年齢70歳代後半、中年から高血圧があり、64歳時に一過性脳虚血発作を起こし、その時大動脈弁逆流症が見つかり、それ以来大学病院に通院している身です。自分で高血圧の薬を飲んでいたために、失敗した結果でしたが、またやってしまいました。

 私は、以前から病原環境論(又は適応説)を採って感染症学者たちとは一線を画し、新型コロナウイルス肺炎に対する考え方や対処法なども違っていました。クリストフ・ボヌイユらの「人新世とは何か」によれば、世界の周縁部分に追いやられている「ネオ・ヒポクラテス医学」の一派ということになります。だから医学は社会科学だとも言ってきました。「人新世とは何か」には、人文社会科学と自然科学は1850年頃から分離されてきたが、その統合が必要だと書かれていて、私の考えを裏付けてくれ、それを期待しています。
 
 すぐ保健所に届けて自宅待機していましたが、保健所は接触経路や二次感染者の調査に追われていて、なかなか連絡が来ません。連絡が来たら「70歳以上で症状のある人は入院が必要です」と言われ、「入院先は東京都全体の入院調整本部で探しますから待機して下さい。今(午後4時過ぎ)は、すぐには見つからないので明朝連絡します。明日午前10時頃出発する用意をしておいて下さい」と言われた。しかし、入院先が見つかり、入院したのは2日後の4月23日の昼前でした。
 症状は発熱だけで、のどの痛みもなく、咳も僅かで、味覚もあり、このまま観察入院で済むかと思っていました。入院後、息が苦しくないのに酸素吸入をさせられました。その理由は「ハッピーな低酸素症」と言われる状態で、酸素濃度SpO2 が89%でしたからです。睡眠時無呼吸症候群の人によくあるようで、私もそれがありました。低酸素でも苦しく感じなかったのです。
入院時の胸部CTには新型コロナ肺炎像と間質性肺炎もあり、それを見せられて「もしかしたら中等症で済まず、重症になるかもしれない」ということが頭をよぎりました。
 主治医からは、「進行して重症化したらどうするか」聞かれ、「気管内挿管はして欲しいが、エクモはしないで欲しい」と答え、主治医に「ここでは緊急時の気管内挿管できないので転院先を探します」と言われ、やっと見つかって三日目の4月26日に救命センターに転院しました。
 発病後5日目で、救命センターについたらすぐ高流量経鼻カニュラ酸素療法つまり酸素を濃度50%流量50L/分で鼻のカニョーラで流す人工呼吸を開始されました。それでも酸素濃度SpO2が90%を超えず、そこの救急科では二人目という「伏(腹)臥位呼吸法」(※1)をしたらすぐSpO2が99%になり、気管内挿管せずに済みました。幸運なことに急に重症化した日に救命センターへ転院できたのです。その後3日間それを続けていて、酸素濃度が維持できていたので峠を越え、以後は回復に向かいました。

 コロナ肺炎にかかって判ったことは、まず病気そのものがすべて初めての経験で、治療法から経過も合併症も後遺症も確定的なことが判っておらず、世界中の医師たちはすべて手探りの状態で情報交換しながら治療をしているということでした。しかも、医療スタッフは全員完全感染防御の体制で、昔見た伝染病棟や今の無菌室の比ではなく、頭からつま先まですべて二重に防御し、予防衣の上にさらに雨合羽のような白衣をかぶり、フェイスマスクをつけ、目だけが見える状態でした。手袋も二重で、一枚は処置をするたびに交換し、患者に使ったものはすべて一回で処分していました。これでは出入りするのも大変で、時間もかかります。さらに救命センターの一部の6床をコロナ専用にしている為にスタッフも掛け持ちのようでした。スウェーデンのように、病院ごと、病棟ごとにコロナ専門と一般に分ければもっと楽に対応できたと思います。
これは日本の医療制度の欠陥から来ています。医療費の支払いが国民皆保険で公的制度になっているのに、国公立病院が少なく、医療の供給の大半が私的病院に委ねられているという矛盾から来ています。医療の疲弊が叫ばれていますが、現在の医療供給体制で十分間に合うはずなのに、それを緊急の事態に対応させることができなかったからです。企業や高額所得者への税制を優遇し、医療や福祉への予算の縮小を図ってきたからです。また政治家が中国のように、機敏に対応できないこともありました。

私が入院した時は、既にパンデミックが始まって一年以上たっていて、重症化するのは私のような高齢者と判ってきましたからまだしも、流行当初の医療スタッフの気苦労は大変だったと思います。
 私は肺のほかに肝臓、腎臓、膵臓なども侵されていました。また心臓まで侵されることもあるようで、下腿は静脈血栓症予防のタイツをはかされました。一度だけですが食前の血糖値が250を超えて、インスリンを注射されました。また脱水があり腎不全状態になりましたし、肝臓も膵臓も検査値はひどく悪かったのです。肺機能が最悪で、あの時救命センターに入っていなければ一命を落としていたかも知れません。そのくらい一日のうちに重症化しました。入院後進行は止まりましたが回復せず、いつまでも酸素療法を続けました。
今までの肺の病気では、酸素が必要になるのは片肺以上が侵された時でかなり進行しないと酸素吸入をしませんが、コロナはあっという間に重症化するのを実感しました。
ほかの症状は38℃台の発熱で、解熱剤を拒否したので解熱剤を使いませんでしたが37.5℃に下がることもあり、ステロイド療法の開始後は完全に下がりました。でも転院前日に再び38.5℃となり、呼吸状態も悪化しました。ほかは痰と咳で、鼻水は出ず。味覚も落ちず、嗅覚はアレルギー性鼻炎の為昔からほとんどなく、息が苦しいこともありませんでした。
私が入院したことで一番つらかったのは細君だったと思います。とにかく救命センターに入院した私や主治医と全く連絡がとれなかったのです。重症だった三日間を過ぎ、病気の山を越えて救命センター内の個室に移された時に、やっと細君の電話を取り次いでもらえましたが、それまでは私が病院でどんな状態であるか全くわからなかったからです。

 新型コロナウイルスは、今の世界の状況、つまり資本主義の終わりを告げており、新しい社会の構築が必要なことを教えてくれました。斉藤幸平さんの「人新世の資本論」を読むまでは知らなかったのですが、世界では多くの若手学者たちのマルクスの再評価が進んでいます。それはマルクスの研究ノートを含む書き残した総てを、100巻をこえる「マルクス大全集」として発刊中であるということからも明らかです。また遺伝子分析から、古代からの多くの歴史遺跡の年代が確定し、歴史の再検討も進んでいます。また自然科学と人文社会科学の再統合も始まりました。気候学も同じで、現在の自然生態系の回復には単にCO2の問題ではなく、社会の仕組みの改革が必要なのです。

 高流量の酸素療法とステロイドとアクテムラ(※2)の治療で進行も止まり、それを一週間続けていると、肺も回復に向かい、酸素量を漸減できるようになりました。回復して頭と手足は元気が出て、本を読み、ベッド上で勝手にリハビリし、呼吸法のリハビリ指導を受けて入院後21日で退院できました。入院中、医師だと知られていましたが、日経サイエンスやニュートンなどコロナ関係の本や「人新世とは何か」などを読んでいたので、変な人と思われたでしょう。アビガン(※3)は、使用して一日で肝機能が悪化したために中止しました。

 退院後4週間過ぎると、自宅マンションの4階の階段もゆっくり歩けば休まずに登れ、長い距離も歩けるようになりました。肺機能も順調に回復し、退院直後は長い電話も、長い会話も息が苦しくなったのに、今はそれを忘れるくらいで、外に出られないので毎日ラジオ体操とスクワットなどの室内の運動をしています。階段も以前と同じように登れます。
大学病院の呼吸器内科を受診し、胸部レントゲンでは下肺野に小さい影が残るだけでした。しかも入院時に間質性肺炎があると言われたのに、その時には無くなっていました。
 
日産のゴーンさんの事件で明らかになったことは、日本も敗戦後アメリカによって解体された財閥が復活しつつあり、高額納税者番付はいつの間にか公表されず、時間給も医師や教授などの高額所得者の給与も含めて計算し、格差を隠すようになっています。私の大学時代の経済学部同期生に聞きますと、今は社長などの重役たちの給与は、昔とけた違いのようです。日本でも格差は進み、一億総中産階級の時代から、格差社会が進行して中間層が減少しています。年収400万円が境で所得の二分化が始まっているようです。また団塊の世代より上の世代は、豊かに過ごせる人が8割と言われます。そのあとの世代から格差が広がり、社会的貧困が迫っています。斉藤幸平さんの言うように、生活レベルを落としていくしかありません。今の日本人の多くは、世界の人口77億人の上から1割に入る富裕層です。格差をあらわすジニ係数も低く、北欧諸国に近いです。だから日本人がコロナにも強いのだと思います。今コロナの犠牲になっているのは主に、サルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(心身の衰弱)と呼ばれる高齢者で介護を要する人たちや食に困るほどの最底辺の貧困世帯の人たちだと思います。

 学生時代はアイスホッケー、40歳半ばからスキーとジョギングなどをして、体力には自信があったのが災いして、つい高をくくり、無理をしてしまいました。皆さまも決して無理をせず、疲れたらすぐ休息をとるようにして下さい。無理をした一週間後に発病したのです。
最後に、私から他の人に感染させてしまうことが保健所で問題にされました。まず細君ですが、実は私の発熱の前に二日間37.5℃から38.4℃の熱を出していたのです。熱しかなくSpO2も99なのでコロナと思っていませんでした。私がコロナと判った時には熱も下がって元気で、体調不良からは10日経っており、保健師には「検査するかどうかは自分で判断して下さい」と言われ、それで終わりました。
それから、午前中外来診療をした患者さんたちですが、内科の患者さんの多くは私の考えに共鳴してコロナを怖がっていない人だけが来て、怖い人は薬だけになっていましたし、心療内科の人はみなコロナ恐怖症ではありません。外来では双方がマスクしていますから、心配していませんでした。不安があると抵抗力が落ちますから。その後の話では、保健所が大騒ぎして全員検査したようですが一人も陽性者は出ませんでした。職場でもPCR陽性者が一人出ましたが無症状でした。結局体調管理が悪かった私だけがコロナ肺炎になったのです。医者としては、自分の健康管理のまずさを反省しています。職場にはコロナ恐怖症がいましたから大騒ぎにしてしまったことも反省です。一人も私から感染させた人を出さなかったことが幸いでした。
 
 私の考えでは、コロナ感染で重症化するサイトカインストームも、ワクチンによるアナフィラキシーショックも、コロナ感染後の後遺症もすべて心理的要因が強く関与していると思います。サイトカインストームには解熱剤の使用にも疑いがあります。解熱剤の免疫抑制作用が医師の間には知られていません。後遺症と言われる症状のほとんどは、心療内科でも取り扱う心身症としてはよくある症状です。帯状疱疹の後遺症と同じと考えられます。
 九大心療内科池見酉次郎教授の論文「いわゆるアレルギー疾患の精神身体医学」によると、説得療法と心理的脱感作療法で、接触性皮膚炎、蕁麻疹、気管支喘息などの81名に治療し、79名は治癒し、2名は軽快したと言います。
 私も日頃アレルギ―性疾患を診ると、説得療法と環境を変えること、原因となるストレスを探すことなどして治療し、子どもでは治すことができました。大人では短い外来の診療時間では効果を得ることは難しく、一部の改善にとどまっています。
 昔、蜂刺されによるショックに対して長野県青木村小川原辰雄氏の「蜂刺症11年間663例の観察」からステロイド剤内服の効果があることを学び、私もゴルフ場に勤務する蜂刺症になったことのある3人にステロイド剤を持たせ、刺されたらすぐ飲むようにさせたら、蜂を恐れなくなったせいか、刺されなくなるか刺されても軽く済んだという報告を得ています。

 そういう心理的条件や環境の影響の調査が現代医学では行なわれていないので証拠はないですが、コロナワクチンによるアナフィラキシーなどの症状が出るのは、ワクチンを嫌う人に出ていると考えています。日本では医療や福祉関係者は、ワクチンを半ば強制され、ワクチンをしないと職場にいられなくなる環境にあることが原因で海外よりワクチンの副反応が多いのだと思います。職場でのワクチン接種も同じです。同調圧力でなかなかワクチンを拒否できないのが日本人ですから。

今回、自分が新型コロナ肺炎にかかったことで、いろいろなことに気付かされました。医師をはじめ多くの人が、感染症は治ると信じていること、解熱剤が免疫を抑制することを知らないこと、ワクチンは副作用が出たら補償してくれるという思い込み、専門家信仰などです。新型コロナへの恐怖を抱いていて、ワクチンはすべて有効だと思っている人、逆に楽観的な人、その中間で揺れ動いている人と、国民はほぼ3分割されています。
手洗いも三密を避けることもソーシャルディスタンスも、マスクすらも感染予防効果の科学的データがありません。本来は臨床での感染実験データが必要ですが、物理的データだけです。昨年10月アメリカの公衆衛生学者たちが「グレートバリントン宣言」を出しました。これはスウェーデン式と近く、私も集団免疫のこと以外は賛同します。社会としては防げないのですから、前述の死亡リスクの高い高齢者と社会的弱者たちを守ればよいと思います。
日本では感染者が少ないという理由が、マスクと手洗いの文化があるからというのは勘違いです。それがない韓国、台湾、マレーシアなどの東アジア諸国ではなぜ日本と同じように感染者が少ないのでしょうか。
格差社会と貧困が感染率を左右しているのです。日本人の間でも、当初に集団発生した横浜のクルーズ船乗船者の発病率や死亡率が低いのは、裕福な人たちだからです。世界の中では、生存ラインぎりぎりの貧困層が少ないことが日本の感染率の低い理由です。
国際医療福祉大の高橋泰教授の推定では、少なくとも昨年一年間のコロナ死者の3400人のうち、3000人は前述のような高齢者で、残りの400人がそれ以外の人ではないかと言います。それ以後の死者に関しては、いろいろな要因が絡んでいるようですが、大きな傾向は変わらないと思います。最後に、スウェーデンと日本の違いは、政治の違いです。そういう政治家、政党を選びましょう。できなければ、身の回りから、自分でしましょう。

※1 伏(腹)臥位呼吸法 ベッド上でうつぶせになって寝る体位で、そのまま呼吸する方法です。マッサージや鍼灸の時の体位なので、すぐなれました。肺の容量が広がるからとも言い、侵されていない部分へ酸素を吸い込む方法とも思いました。
※2、アクテムラ― リウマチの薬、免疫抑制剤
※3、アビガン― インフルエンザの治療薬、抗ウイルス剤
                             以上、月刊「むすぶ」に掲載した原稿です。
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新型コロナ感染症情報 第10報

2021-03-06 10:17:45 | 新型コロナ感染症
             新型コロナウイルス感染症の日本の奇跡

   なぜ日本は欧米諸国に比べて、新型コロナ感染症の感染者や死者がけた違いに少ないのか


  新型コロナウイルス感染症の日本の奇跡
 世界では、中国で始まった新型コロナが、すぐヨーロッパに飛び火し、急速に広がったのに、なぜか隣国の日本や韓国、台湾、マレーシアでは広がらないことが奇跡と言われた。
 特に日本は特別なことをせず、ロックダウン(都市封鎖)も中途半端であり、国民に自粛を要請する形に近いものであった。また今回の非常事態宣言も飲食店への規制だけで、これも中途半端でしかない。それでも、他に国に比べたら感染者は少ない。
 日本で感染者数が少ない理由はなぜか。
 ピーター・テミンはその「中間層はなぜ没落したか」で、マンチェスター大ルイス教授によると、発展途上国はいわゆる二重経済をもち、それを「資本主義」部門と、「生存」部門と名付けた。資本主義部門は、資本と労働の両方を利用した近代的生産の拠点で、その発展は資本の量によった。生存部門は貧しい農民からなり、その人口は土地や自然資源の量に比べてあまりにも大きい為、最貧の農民一人当たりの生産性はゼロに近かった。ルイスが考えたのはアジア、アフリカ、中南米の国々で最大の国は中国であった。多数の農民が小規模農業に従事し、生存部門を構成していた。ほとんどの発展途上国はそうした二重経済であったが、日本、韓国、マレーシアは1960・70年代に急成長を遂げ、人口のほぼ全体が資本主義部門へ組み込まれた「成長の奇跡」として知られているという。この国々がコロナの少ない国である。
「人新世の資本論」の著者斉藤幸平は、日本人の大多数は世界の裕福な上位10%に入るという。世界銀行は一日一人1.9ドル(約200円)以下で生活している人を貧困と定義していて、世界の人口77億人の約一割の7億3千万人が絶対的貧困層である。
日本では年収200万円以下の貧困層は、2018年では約1100万人で、人口の約8.5%である。失業率は2019年2.3%。これがコロナ直前の状況であった。貧富の格差指数も、失業率も、世界の中で北欧並みの数字である。また日本では内戦や政治的紛争が起きていないし、難民も受け入れていない。それがコロナウイルスに感染しても発病しない状況を作っている。
国際医療福祉大の高橋泰教授に言わせれば、日本人はまだ自然免疫の段階でコロナウイルスを防御している。だから抗体検査をしても、欧米に比べて二桁低い数字しか出ていないという。抗体は、ウイルスが血液中に侵入し、獲得免疫まで発揮されないとできない。自然免疫の段階つまり、侵入する気道の粘膜細胞での細胞性免疫で闘って勝利していれば、抗体はできない。アメリカのウィルキンソンとピケットがその著「格差は心を壊す。比較という呪縛」で「格差の小さな国はうまくいっている」。アメリカは「世界で最も経済格差の大きな国」。「所得の不平等がもっとも小さな日本」とし、日本が健康や社会問題の指標(平均寿命、乳幼児死亡率、薬物・アルコール依存症、殺人犯罪率、未成年出産など)において世界でいちばんいいという。それが日本人の多くの人が自然免疫を発揮できている要因ではないか。
そのためこれだけコロナが騒がれていても、抗体検査では昨年12月の調査で東京は0.9%(6月は0.1%)しかなかった。昨年5月スウェーデンのストックホルムで25%、ロンドンで17%、ニューヨークで12%、モスクワで10%、オランダで3%、ドイツのガンゲルトで15%という抗体保有率であることと比べて極端に低い。ここから考えても、自然免疫段階で対処している人が多いと考えられる。これが日本の奇跡であった。
だから有効性と安全性に問題のあるワクチンは、日本では接種を急ぐ必要性はないと思う。コロナワクチンは、インフルエンザワクチンと同じ程度のものと考えて良い。
 

 これは「チェルノブイリ子ども基金」のニュースレターに載せたものです。
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コロナウイルス感染症の重症化はなぜ起きたか  第九報

2021-02-08 02:55:56 | 新型コロナ感染症
新型コロナウイルスの重症化はなぜ起きたか

新型コロナウイルス感染症情報 第九報


1.遺伝子型の変化はウイルスの病原性を強めるか。
つまり、遺伝子型が変化して強毒性になるのでしょうか。答えは、No(否)です。
 人間の体内でも、ウイルスでも常に遺伝子の突然変異は起きています。しかし、それは大きな変化ではないです。
またインフルエンザウイルスは毎年流行株が変化しているし、10年に一度くらいに大きな変化があり、さらに30年程度で大変化がありますが、臨床上の症状の変化はほとんどないです。だから宿主となる人間の側の違いの方がもっと重要です。
 新型コロナウイルス感染症も同じです。普通のコロナウイルスによって生じるのは、風邪の症状で自然治癒することがほとんどです。それから大きく変化したサーズやマーズが、重症化しましたが、それよりはるかに弱毒の今の新型コロナウイルスが、小さな変異をしても毒性に変化はほとんどないのです。
 現在、重症化している人が増えていることを、遺伝子の変化が原因として片づけています。しかしそうではありません。人間の側が変化しているのです。
2.人間の側の免疫を低下させる要因は何か。
 ウイルスの側の変異が重症化要因ではないとすると、昨年11月過ぎて急速に重症者が増え、年始の2021年1月1日午前0時までの死者が3554人となったのはなぜか。(12月22日が2944人で、1月16日では4488人、1月24日には5077人です。2月になり6000人を突破しました。)
 問題は、人間の側にあります。重症化するといいますが、かかられた人の免疫が低下していたのではないでしょうか。特に第一次の緊急事態宣言が出た時に比べて、現在特に昨年11月以降から、重症化が進み、死亡者も急速に増加し、医療崩壊が叫ばれています。
 その原因は、コロナに打撃を受けた約1100万人の年収200万円以下(2018年)の人たちで、主にパートやアルバイトなど非正規で働く人たちが、コロナで仕事を失い、さらに追い詰められているからです。一部は住む家を失い始めています。
△その原因としては、
1)貧困と更なる追い打ちのコロナ失業
 貧困は、先ず快適な居住場所を得られず、食糧にもこと欠きます。現実に、女性の一人親家庭では、子どもには一日二食食べさせているが、親は一日一食しか食べていない家庭も出ています。給食が子どもの栄養源になっていたのですが、それが粗末な給食になっています。
 2018年の統計で、年収が200万円以下の世帯が1098万人でした。2019年には全雇用者数のうち非正規は38%の2165万人でした。その後コロナで、主に非正規、特に女性が解雇されています。「世界」の雨宮処凛の報告では、7月には前年対比で非正規が131万人減(失業)でその内女性が81万人。8月に減った(失業した)パート・アルバイトの74万人の内女性は63万人。
 そんな非正規女性の2018年の平均年収は154万円。2019年には貯蓄ゼロは単身世帯で38%。その人たちがコロナで失業し、家賃が払えず、生活費もなくなっています。
 さらに自殺者が増えていますし、住宅ローンが払えない人も出ています。しかも低年齢化で、20代から30代の人がメールでSOSを出し、40代の世代も多いといいます。コロナ失業とコロナによるホームレス化が増加しているのです。失業しても失業保険ももらえない人も少なくなく、もらえても生活できるだけの金額ではなく、食を切りつめるしかないのです。
コロナに感染して、自宅待機させられている人では、外出もできず、一食すら満足に食べていない人が出ています。食料の買い置きがつきてしまうからです。
 「年越し大人食堂2021(四谷)」でも、200人を予想したのが340人も来て、用意した食事では足りず、緊急買い出しをして間に合わせたとのことでした。特徴は、年齢層が30代から70代で、女性が2割を占めたことです。過去にはほとんどが男性でした。
 貧困は、居住環境を奪い、食にもこと欠くために、免疫を低下させる最大の原因です。
 2)過重労働
 貧困者は、仕事をかけもちしたりしていますし、超過勤務で収入を増やしていたりしています。失業して職が見つからず、貯金も使い果たして、「新型コロナ災害緊急アクション」へ電話相談してくる人も増えています。そこで緊急の宿泊や生活保護申請を援助しています。
医療従事者の感染も原因は過労です。大病院の勤務医や看護師は、日常的にも過重労働でブラック企業並みです。看護師の夜勤は、16時間連続勤務ですし、医師の宿直勤務は36時間連続勤務です。そこへコロナ感染者を収容すると日常業務以外の仕事が過大に増え、労働時間が長くなります。それでコロナの感染者が出ています。
また女性は非常勤が多く、コロナで失業し、男性の仕事に入ったり、風俗産業で働く人も増えていますが、風俗業も仕事が減っています。ホスト業も男性の風俗業で、労働条件も住環境も良くありません。そこにコロナ感染者が増えるのは当然のことです。
仕事がある人は、失業しないために懸命に働きます。特に歩合制の職場は仕事の取り合いにすらなります。
 3)居住環境
 貧困者は日常的に、貧しい食生活で、過重労働をしています。しかも、劣悪な環境に住んでいます。ホームレスの増加が表面化していませんが、その代りにカプセルホテルやドヤ街、ネットカフェが宿泊場所となり、今年は政府も昨年4月の緊急事態宣言の時のようにネットカフェを営業停止させられなかったのです。ネットカフェを宿泊場所にしている人が全国で4000人とも言われています。また家賃が払えずにホームレス化も始まっています。
 日本ではなかなか移民や亡命者を認めず、学生、研究生、研修生として入国するために難民が隠されています。外国籍の多くの人たちは、狭い部屋に大勢で住んでいます。
 4)解熱剤の使用
 感染した人や、感染を疑われる人が、解熱剤を使用していることが疑われます。かぜ薬つまり総合感冒薬にも解熱剤は入っています。
 解熱剤とステロイド剤は、早期から使うと重症化しやすいことは中国での経験で判っています。しかし、日本の多くの医師はまだ解熱剤を対症療法と称して処方します。また感染した時に、熱があると早く治そうとして解熱剤やかぜ薬を飲む人が多いし、またコロナと診断されて出勤停止になると困る人たちは飲んでいます。
 そういう人たちが重症化しているのではないでしょうか。なかなか部外者には、個人情報だからと知ることができません。1月になり、練馬保健所長から医師会へ、解熱剤の一週間分以上の処方が要請されました。しかし、解熱剤は保険上では屯用(頓服)で使用するように指導されています。長期連続の解熱剤の使用は、重症化の最大の要因です。
 熱が出た時に、コロナ感染も否定できませんから、決して解熱剤や市販のかぜ薬を飲まないで下さい。在宅で待機している人に解熱剤を処方して、症状を隠してしまうと、短期に重症化するのではないかと思います。
 5)コロナ恐怖症
 精神的な要因も悪化する原因です。重症者や死者の話ばかり報道されているので、感染したら自分もそうなると思い込む人が少なくありません。
 私の実感として、コロナを怖がる人が三分の一、平気な人が三分の一、その間で揺れる人が三分の一程度だと思います。特に、怖がっている人は、外出すらしなかったりします。半年の間外出していない人を知っています。
 ストレスが免疫を低下させることも判っています。だから神経質な人ほど病気にかかりやすいし、かかると不安で病気が悪化します。「死ぬ、死ぬ」と自分で自己暗示をかけると死にやすくなります。現実にパニックになって自殺者も増えています。
 適切な治療を受ければ、コロナで重症化するかどうかは、その人の健康状態によります。
3. 医師や芸能人や議員が感染する訳は、
過労と解熱剤使用ではないかと推定しています。
だからかかったと思ったり、熱が出ても決して解熱剤は使ってはいけません。体の症状は、体の出している防衛反応です。熱を出して、ウイルスと戦っているのですから、それ(免疫システムの働き)を抑えると、病気が悪化します。軽い病気なら、それでも済みますが、インフルエンザや麻疹、水痘などでは重症化します。しかし、小児科医以外では、それを知らない医師が多く、解熱剤を処方します。小児科医でも解熱剤を使う医師はいます。 
4.なぜ感染者数で判断するのでしょうか。
そもそもPCR法で陽性はどういう意味でしょうか。
 PCR法は遺伝子の一部を拾っているので、死んでいても陽性になりますし、同じ遺伝子配列を持っていると、他のものでも陽性に出ることがあります。だから、感染症の診断に使ってはいけないと、この検査法の開発者は言っていたのです。
 PCR法陽性者数だけを発表するのはおかしいです。症状が出た人だけ発表すべきです。
 また若い人たちはほとんど軽症で済みますが、過重労働者たちは免疫が低下し、重症化しやすいです。
 アメリカ企業のPCR検査キットには、インフルエンザ、マイコプラズマ、アデノウイルス、RSウイルス、クラミジア等に反応する可能性があると記載されています。
 また、タンザニアの大統領が国立研究所のPCR検査の検体に密かに様々なものを混ぜ、パパイヤ、ヤギ、ウズラの卵でも陽性判定が出たことも報じられています。
 そういう限界のある検査法で、陽性者を感染者として判断し、感染者と判断されると保健所の管轄になり、医療機関つまり医師の管理からはずされてしまうことも問題です。
 感染者とか濃厚接触者ではなく、症状のある発病者を管理すればよいのではないかと思います。
5.日本の医療崩壊は、なぜ起きたか。
感染症は無くなったとして、伝染病棟をなくし、僅かに結核病棟が残され、感染症ベッド
をなくしてしまったのです。もちろんエボラ出血熱対策の病床は作られてはいましたが、僅かなものです。厚生労働省の調査でも、感染症病床は1995年の9974床から、2018年は1882床までに減少しています。2018年の総病床数約 164万病床のうち、一般病床57.6%、精神病床21.3%に対し、感染症病床は 0.1%です。不採算とされる感染症病床の9割近くを公立や公的病院が担っています。その国立、公立、公的病院の統廃合を求め続けてきたのです。
 コロナ感染症の流行に対し、政府や都道府県は、自らの責任で中国政府のしたような、緊急に感染症病棟を作らずに、ベッド数制限をして縮小させ、満床にするよう指導していた一般病院に頼っています。これでは急激に増加する患者数を収容するのには足りませんし、一般患者に移されては困ると一般病院側が受け入れを拒むことも当然です。
 元々都立病院の前身は、伝染病院でした。戦前から戦後にかけて伝染病の流行で都民がパニックになったために、それを抑えるために、隔離するためだけの伝染病院を作り、患者を 隔離したのです。当時は抗生物質もなく、隔離するしか方法が無かったのです。コロナ対策も同じではないでしょうか。
すぐ収容力の大きな感染症専門病棟を作るべきであったのです。ホテルはまだしも、自宅待機は症状のある人に対しては、もってのほかです。
軽症でも、症状があれば定期的な診察は必要です。今、死亡者が急増しているのは、新型コロナ感染症と診断されると、病院から保健所に管轄が変わってしまうからです。保健所は医療をしません。だから在宅で放置されて重症化し、死亡者が増えているのです。
 まだ日本では医療が崩壊しているからと、年齢や持病でトリアージ(患者の選別)をされてはいませんが、今後は判りません。症状が出たら入院させて観察すべきですし、少なくとも医師の管理下に置くべきです。それを自宅に放置していることが問題なのです。保健所は数も職員数も減らされて、対応できないのです。
 感染者を一般病院に入院させることも問題です。一般病院にしわ寄せが行っています。
 そして最後には、社会的弱者と貧困者がしわ寄せを受けるのです。
6.ロックダウンや営業停止すると、
営業時間短縮や県境移動禁止などによって、職を失ったり、収入を減らされたりして、ホームレスが増えていますし、母子家庭を直撃しています。コロナによって女性の失業率は9%にものぼります。その多くは、その仕事で生計を立てている人たちで、失業しなくても非常勤のために労働時間が減らされると、収入減で生活が成り立たなくなります。
昔は、非常勤の仕事は夫のいる女性が副業でしていましたが、今は生業でしていても、生活の都合で非常勤としてしか働けないのです。その人たちがコロナで打撃を受けています。
7.ワクチンに期待はできません。
 入手できた情報によると、ほぼインフルエンザワクチンと同じようです。良くて30~50%の予防効果で、接種しても感染します。また初期のインフルエンザワクチンと同じように副作用も強く、死者も出ています。ワクチンと後遺症については別に詳細を出す予定です。
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新型コロナウイルスのパンデミックはなぜ起きたか-2

2020-11-26 12:28:32 | 新型コロナ感染症
新型コロナウイルスのパンデミックはなぜ起きたか


1. 新型コロナウイルスはスペイン風邪の再来だ

☆ 主役は新型コロナウイルスだ。インフルエンザウイルスに代わって登場した。
 その舞台は、人種差別と貧困と格差社会の世界情勢にある。その為に人々の免疫は低下している。
 そしてウイルスの繁殖する気候も整った。
 それでパンデミックになった。
2.  伝染病学者バーネットは、インフルエンザの流行を分析し、
「パンデミック(世界的大流行)の起きる条件は、まず第1に適当な気候条件、第2には住民の大多数の免疫水準が低いこと、そして第3にそこに適当な型のウイルスが存在することである」という。
3. まさにスペイン風邪はそれに該当した。世界中の人々の免疫水準が低下していた。そこに変異したA型インフルエンザウイルスが出現し、冬から始まった。
スペイン風邪のパンデミックは1918年に起きた。その時に世界中の人々は免疫が低下した状況に置かれていた。1914~1918年は世界第一次大戦だったし、前年の1917年10月にロシア革命は起き、ソヴィエト政権が成立した。中国では辛亥革命1911年、オスマン帝国の青年トルコ革命1908年、メキシコ革命1910年、アジアでの民族運動が起こり、南アフリカ連邦が成立した。日本でも米騒動が起きた。世界中が戦乱、騒乱と飢えにさらされていた。戦争に動員されたり、革命に参加した若者たちがスペイン風邪で命を落とした。それで若者の死亡率が高かった。
4. 第二次世界大戦の時は、感染症が流行したが、パンデミックを起こすような適当なウイルスは登場しなかった。
その後もアジア風邪、ベトナム戦後の香港風邪、ロシア風邪、2009年の新型インフルエンザなどが流行したが、舞台が整っていなかったので、パンデミックにはならなかった。
エボラ出血熱やサーズは致死率が高い為に、パンデミックにならなかった。

5. スペイン風邪が流行した時の世界の人々の苦難の状況が、今起きている

☆ 今スペイン風邪の時の世界情勢が成立した。
 第1に、異常な気候。北半球の温暖化でシベリアの凍土や北極の氷、アルプスの氷河などが溶けだしている。同時にアメリカ大陸(アメリカ西海岸―カリフォルニア、オレゴン―とアマゾン―主にブラジル―)とオーストラリアの森林火災。中国の1/4とアメリカ北西部の砂漠化。中国と極東アジア、バングラデシュの集中豪雨と洪水。サバクトビバッタのケニア、エチオピア、ソマリア、イエメン、パキスタン、インドで大発生。それらがもたらす飢饉。
 海流も変化し、海の生態系も変化している。
 そして冬12月の武漢から始まった。
 第2に、世界中に「ブラックライブズマター(黒人の命は大切)」が広がり、共感を呼んだのは、人種差別と貧困と格差社会が世界に広がり、都市の貧困層の圧倒的な拡大が進んでいること。そして内戦、干渉戦争、内乱、政治的経済的混乱が広がっていた。それによって大量の移民、難民、農村からの出稼ぎ労働者が都市労働者の貧困層を形成していた。それが世界的に形成されてグローバル化していた。そのために自然免疫の低下した人々が大量に発生していた。
 第3に、そこに新型コロナウイルスが登場した。適度に強くて、致死率が高くなくその為に感染力が強い、未だ遭遇しなかったウイルスが。



 第1に、異常な気候。北半球の温暖化でシベリアの凍土や北極の氷、アルプスの氷河などが溶けだしている。同時にアメリカ大陸(アメリカ西海岸―カリフォルニア、オレゴン―とアマゾン―主にブラジル―)とオーストラリアの森林火災。中国の1/4とアメリカ北西部の砂漠化。中国と極東アジア、バングラデシュの集中豪雨と洪水。サバクトビバッタがケニア、エチオピア、ソマリア、イエメン、パキスタン、インドで大発生。それらがもたらす飢饉。
 海流も変化し、海の生態系も変化している。
 そして冬12月の武漢から始まった。
 第2に、世界中に「ブラックライブズマター(黒人の命は大切)」が広がり、共感を呼んだのは、人種差別と貧困と格差社会が世界に広がり、都市の貧困層の圧倒的な拡大が進んでいたから。そして内戦、干渉戦争、内乱、政治的経済的混乱が広がっていた。それによって大量の移民、難民、農村からの出稼ぎ労働者が都市労働者の貧困層を形成していた。それが世界的に形成されてグローバル化していた。そのために自然免疫の低下した人々が大量に発生していた。
 第3に、そこに新型コロナウイルスが登場した。適度に強くて、致死率が高くなくその為に感染力が強い、未だ遭遇しなかったウイルスが。

(1)なぜ気候変動が起き、異常気象が発生したか。
style="font-size:24px;">
7.新型コロナウイルスは現実の世界を明らかにした
style="font-size:18px;"> style="font-size:24px;">8.COVID-19が明らかにした世界の現実は、

1) アメリカは最大の感染症の温床国
☆アメリカでは近年感染症のアウトブレイク(地域的流行)が起きている
〇 アメリカでは、年間所得が1万5千ドル(170万円)未満の世帯数が増加し、都市に住む100万人以上になっていて年々増加している(主にヒスパニックと黒人)。アメリカ人(現在は3億3千万人)の半数は年収300万円以下という。アメリカでは2016年頃から、感染症のアウトブレイク(地域的流行)が起きている。A型肝炎はデトロイト他4州、二ヨークのレジオネラ症、ほかにクラミジア、サイクロスポーラ症、C型肝炎、梅毒、淋病、それに小児の感染症であるはずの百日咳やおたふくかぜが成人にも流行している。
〇 アメリカでのCOVID-19によるニューヨーク市の死者数は、ヒスパニック系34%、黒人28%、白人27%、アジア系7%でした。
 アメリカの貧困層は、黒人とヒスパニック系が半数弱で、過半数は白人です。
〇 アメリカは最大の移民受け入れ国で過去5年間に477万人になるという。
〇 また中南米からの移民が従来の黒人と共に都市の貧困層を形成していて、英語が話せない国民が1割に達するとも言う。1918年のスペイン風邪の時に、アメリカでは識字率の低い地域に死者が多かったと言う。
       以上、「温床と化す米国の大都市」(日経サイエンス別冊2018.10.)より
☆アメリカでは貧困と拡大する所得格差が進行している。
       「なぜ中間層は没落したのか――アメリカ二重経済のジレンマ」より
〇格差拡大の歴史
 奴隷制とその後遺症である。今までアメリカでは貧困者を黒人と同一視したが、貧困層の半数は白人であり、残りの半数が黒人と褐色人種(ラテン系アメリカ人)である。
 トランプの「偉大な」とは「白人の」の婉曲表現で、人種差別は富裕層の道具で、貧しい白人に、経済的窮状から目をそらさせている。
〇アメリカは二重経済である。裕福な部門と貧しい部門の別々の部門があり、別々の経済発展をしている。マンチェスター大学教授ルイスは経済発展の理論を提示した。それによると、発展途上国はいわゆる二重経済をもち、それを「資本主義」部門と、「生存」部門と名付けた。資本主義部門は、資本と労働の両方を利用した近代的生産の拠点で、その発展は資本の量によった。生存部門は貧しい農民からなり、その人口は土地や自然資源の量に比べてあまりにも大きい為、最貧の農民一人当たりの生産性はゼロに近かった。ルイスが考えたのは、アジア、アフリカ、中南米の国々で最大の国は中国であった。多数の農民が小規模農業に従事し、生存部門を構成していた。ほとんどの発展途上国はそうした二重経済であったが、日本、韓国、マレーシア(私はその頃発展した台湾、香港、シンガポールを加える)は1960・70年代に急成長を遂げ、人口のほぼ全体が資本主義部門へ組み込まれた「成長の奇跡」として知られているという。(この国々がコロナの少ない国。日本がコロナの少ない理由である)
〇アメリカの富裕層、社会の上層は人口(3億2千万人)の20%で約6400万人、トップ1%のさらに1割の資産は増え続け、1978年以来、3倍に増加し、1916年の水準に近い。トップ1%の年収の下限は33万ドルで資産の下限は400万ドルである。収入がトップ10%に入るアメリカ人の所得は10万ドル以上である。人口のトップ1%の中のさらに1%、3万人が金融・実業分野の経営者と考えられる。さらにその1%がアメリカで最も富裕な人々として毎年公表される「フォーブス四〇〇」のリストに入る。その中の1%四人 の一人がトランプ大統領である。アメリカの人口の30%(約1億人)は年収3万ドル以下である。
〇最大の見えざる政策は「大量投獄」の拡大である。その多くは黒人であるが囚人の多数ではない。それがシングルマザーを生み、貧困層の最底辺を形成している。多くの州で「三振即アウト」法を制定した。これは重罪の前科が二度ある者による再犯は軽犯罪でも終身刑とする法律である。これが1990年代に広まり、アメリカの囚人人口は、50万人以下から現在の200万人以上へと急上昇し、薬物の罪が過半数を占めた。黒人男性の三人に一人は、一生の間に刑務所を経験することになる。ラテン系男性は六人に一人、貧しい白人男性17人に一人である。白人と黒人の薬物使用率は同じであるのだが。
ブラッククライブズマター運動は今年5月の警官による黒人圧殺事件が契機であったが、2008年から2015年までの間にシカゴ警察に撃たれた400名の4分の3が黒人であった。
たった一人の黒人圧殺事件が広がったのは、その背景があるのだ。
〇アメリカは、ジョンソン大統領の時の「貧困との闘い」を、ニクソンが「薬物との闘い」へとすり替えた。これで黒人やラテン系アメリカ人は、大量投獄に会うことになる。
アメリカでは獄中投票はない。アメリカの「個人の自由」は「反労働組合」の婉曲表現である。「すべての人間」と言ったら「すべての白人男性」のことである。
 「黒」は「他者」の隠語であり、黒人だけでなく、ラテン系アメリカ人や貧困層の過半数を占める貧しい白人を示すこともあるという。
 だから今度の大統領選挙は、隠された南北戦争でもあった。アメリカでは「南北戦争」はタブーだ。しかしトランプの勝った州は、南北戦争の時の「南部連合」の州とミシシッピー川の上流地域だった。まだ奴隷制の後遺症は続いている。(これは日本でいまだに続く朝鮮人差別と同じ構造である)

2)中国も貧困層の拡大が進む格差社会だった
なぜ武漢から始まったかを調べて判ったこと
〇 なぜなら武漢市には中国一の循環器医療を誇る大学があり、先日も日本で手術を受けた心臓病の女性が飛行機で送られた先は武漢市でした。ウイルス研究も中国のトップでしたから、武漢での謀略説も出ました。なぜ武漢から始まったかが謎でした。武漢市のある湖北省には長江(揚子江)のダムもあり、今コロナ後に最も人の集まる中国最大の観光地だそうです。政府もGoto 武漢のキャンペーンをしたりしています。
〇 武漢は、中国の四大経済圏の一つの中心地で、中国内で一番急速に人口拡大が進んでいます。武漢市は2000年804万人、2017年1090万人(常住人口)で、2019年にはさらに100万人増えたと言う。そのほとんどが農民工つまり農村からの出稼ぎ労働者です。農村の人民公社は崩壊し、1割以下しか残っていないと言う。
 中国の都市には農村から農民工が殺到し、都市の周辺にスラムを形成しています。農村から離れた農民たちが職を求めて出て来て形成したのです。
〇 中国は毛沢東の作った戸籍制で、都市籍の都市労働者と農村籍の農民に分けられています。医療保険も違うし、雇用形態も違うと言います。農民工には保険が任意で、強制加入の都市労働者と格差があります。農民工の半数が医療にかかれない状況にあると言う。 
2003年でも必要なのに入院ができない人は1/5の最下層の40%だったという。都市籍と農村籍の労働者の格差がひどい。農民工は出稼ぎ労働者で、中国の戸籍制度と保険制度の為に出身地の農民の保険で支払われ、償還払いの為に医療にかかりにくい。 
〇 中国の医療機関は殆どが国営または公営ですが、階層化され、病院は都市にあり、病院への公費負担は少なく稼がなければならない。医師の給与も低く成功報酬制という。その為医療費も高騰しているし、医療モラルも低下し、医療費は出来高払い制の為に薬漬け、検査漬けで高騰しているという。
出来高払い制と、国公立の医療機関への補助金が低く抑えられ、医師は低賃金で歩合制給与の為に中国の医療は崩壊しているという。薬漬け、検査漬けは元より、あるジャーナリストが患者を装い10か所の病院を訪問し、尿検査で尿の代わりにお茶を提出した所、6つの病院が「潜血」があるとして薬剤を処方したことを英紙フィナンシャルタイムスが紹介しているという。
〇今年5月の第13回全国人民代表大会は、貧困脱出闘争(政策)の最終年であり、人民日報記者の質問への李克強総理は、「中国国民1人当たりの平均年収は3万元(約45万円)ですが、月収1000元(1.5万円)の人たちが6億人います(中国総人口は14億人)。1000元では中都市でさえも住宅の賃借が困難であるのに、今は感染症の蔓延に直面して苦しんでいますが、感染症の蔓延が終わった後に人々の生活を守ることは重要な課題になります。」という。
〇2019年の北京師範大の研究チームは、月収500元以下の人口は2.2億人という。
為替換算差があるから一概に比較は難しいが、アメリカと共に貧困大国ではないだろうか。
 それがパンデミックの起点となってもおかしくはない。
〇しかし、なぜ武漢(湖北省)だけで感染拡大が止まったかは謎でした。しかし、「世界」10月号の「分水嶺」とい記事によると、中国はやると決めたら迅速に徹底して、積極的に情報開示をして、激しい封鎖をし、感染の押さえ込みをした。また報道では、道路、鉄道、航空など一切の交通を遮断したという。また中国全土では55都市も都市封鎖したという。それで感染の拡大が抑えられたようだ。だが未感染者が多数いる以上は、今後再流行することが懸念される。

3)貧困と格差社会の進む大国、BRICS(ブリックス)諸国
〇 米国に次いで貧困と格差社会が進行する人口大国のブリックス諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)にコロナウイルス感染者と死者が広がっています。
 2020/11/20現在の、コロナ感染者数はアメリカ、インド、ブラジル、フランス、ロシアと続き、なぜか南アフリカは途中から増えなくなり、中国も止まっています。
〇 ブラジルのリオデジャネイロの貧民街に持ち込まれたのは、富裕層がイタリアのリゾート地で感染し、帰国してメイドや使用人を介して貧民街へ広がったと言われています。
〇 米国だけでなく、ロシアや中国、インド、ブラジルなどの様々な国で富の不平等が危機的なスピードで進行しています。2018年には世界人口の最富裕層1%が全世界の家計資産の47.2%を保有しているという。
〇 「多くの国で富の不平等が危機的スピードで拡大している。米国は先進諸国のなかで最も貧富の差が大きいとみられる」。資本主義は、対等な商取引をしていても、市場経済に内在する不平等によって富の分配の不平等は、必然的に拡大すると言う。それを数理モデルで証明した人たちがいます。「その自由市場経済に関するいくつかの数理モデルは、複雑なマクロ物理系に生じる相転移や対称性の破れ、双対性といった特徴を示している」と言う。つまり資本主義社会では必然的に、富の不平等が生じて、加速度的に進行すると言う数理モデルによって証明された。

4)中低所得諸国の経済の低迷
〇 続いてコロナ感染者の多いのが、スペイン、イギリス、アルゼンチン、イタリア、コロンビア、メキシコ、ペルー、ドイツ、イランと続きます。(EU諸国は後述)
〇 世界では1日1人200円(1.9ドル)以下で暮らす人が7.3億人(1割)もいるという。つい最近2020.10.の国連統計でも、7億人という。
世界銀行の定めた貧困の定義は、1日1.9ドル以下で生活している人(絶対的貧困)で、その国の国民一人当たりの平均所得の半分以下の所得の人を相対的貧困と言います。
 世界人口の貧しいほうから半分、35億人を合わせた資産総額と同等の富が26人によって、保有されている。
〇 アサド・レーマンのいうグローバルノース(私は先進国という)では最も貧しく脆弱な有色人種のコミュニティ(移民や難民のコミュニティ)ができている。グローバルサウス(同、発展途上国)では、半数の人がすでに貧困に陥っている。アフリカ、中南米、南アジア。
〇 第二次世界大戦後に労働者が獲得したものを解体するのが、新自由主義です。新自由主義に反対することは階級闘争です。「新自由主義は、第二次世界大戦後に労働者が獲得したものを解体するための《資本の側からの》階級闘争だ」(ナオミ・クライン)
〇 第二次大戦後に、一部の国は社会主義化し、またアジア、アフリカの多くの植民地が独立しました。そのほとんどの国の指導者たちは官僚体制を作り、権力を握って私腹を肥やし、腐敗してきた。
その国々、中南米諸国はメキシコ、コロンビア、チリ、ペルー、アルゼンチン、ベネズエラなどの国々。南アジアはバングラデシュ、インド、パキスタン、アフガニスタン。それに加えてイラン、イラクとトルコとサウジアラビア。アフリカ全域、特に中央アフリカから以南。(マグレブ諸国=北アフリカ諸国を除く)
 発展途上国は、どこも工業化が進み、農業は衰退し、農民たちが都市へ職を求めて集まり、メガポリスを形成し、スラムを形成している。急速な工業化は公害を生じている。

5)なぜヨーロッパ(EU諸国)が感染者や死者が多いのか
 ① 若者の失業率が高いのは、スペイン33%、イタリア20%、フランス22%。
特に経済的にもスペインとイタリアは悪化している。
  イタリア北部工業地帯には多数の中国人労働者がいて、春節から帰って広めたという。
  特にイタリアは病院を合理化し、病床数も職員数も削減したために、医療従事者が疲弊し、ベッドも足りずに医療崩壊しているという。
 ②難民の受け入れはドイツが最大で114万人です。(東京新聞、国連人口統計)
  ドイツは当初の対応は良かったが、ここにきて死者も増えているようだ。
 ③イギリスは政府の緊急時科学助言グループ(SAGE)の助言でロックダウン(都市封鎖)をしない方針でしたが、委員の一人の理論疫学者(ファガーソン)が自説を取り上げられないので、「政府の方針では25万人が死亡する」との自説をマスコミに流して世論が沸騰し、政府が方針転換したのです。イギリスは11/20現在死者は52,745人です。(日本の理論疫学者の北大西浦教授(今は京大教授に栄転)も「都市封鎖しなければ、死者は42万人になる」(文芸春秋2020.7.)と言っていました。日本は11/22現在、死者2000人超です。)
イギリスでは新型コロナウイルスによる重体患者の35%がバングラデシュ人と黒人その他の少数人種だという。しかし、残りは白人。しかもイギリスはアメリカに次ぐ格差社会である。医療従事者の死亡が当初多かったのは、国営の医療企業の運営が合理化され、マスク、グローブ、ガウンなど用品管理が民営化され、緊急時の要求に対応できなかったためと聞いている。それではエボラ出血熱で亡くなったコンゴの医療従事者と同じではないか。
 ④ スペインを始め、欧州の死亡率の高さは、介護老人施設での年齢によるトリアージだという。多くの高齢者は施設の中で死に、医療機関へ行っていないという。
 スペイン、フランス、イギリスの死者の7割は介護施設で亡くなっているという報告もある。

6)スウェーデン政府の政策をどう評価するか
 スウェーデンを始め、北欧諸国は元々感染症の少ない国です。伝統的にマルクスの作った社会民主党が強く、福祉政策を強力に進めていました。そのため、貧富の格差の最も少ない国々になったからです。スウェーデンは第二次大戦後すぐに広い労働者住宅を作り、最近は高齢者の一人暮らしを支援しています。スウェーデンだけが、エビデンスのないロックダウンもマスク着用もとらなかったのです。でも高齢者の外出制限とソーシャルディスタンスは取っています。集会はまだ50人以下です。
 スウェーデン在住の日本人医師宮川絢子さんに言わせれば、政府は当初から死者は6千人出ると予測していたと言います。6/14には死者は4874人(2/3は高齢者施設内か在宅診療を受けていた人たち)で、9/1現在も5821人です。その後はまた増えたために、制限強化をしたようです。
 北欧5か国とドイツ、ベルギー、スイス、オーストリアはジニ係数(収入不平等指数)が20%台のAクラスで、最低がスウェーデン。最も格差の少ない社会という(2013年CIAワールドファクトブック)。
7)戦争と内戦が世界中で続いています
世界では発展途上国やシリア、ウクライナなどの内戦と、干渉戦争、先進国での政治的紛争が広がり、世界の秩序は大きく変動している。
難民を受け入れているのは、トルコ、コロンビア、パキスタン、ウガンダ、ドイツなどで1000万人、他にバングラデシュ、イラン、ヨルダン、スーダン、レバノン、エチオピアなどが受け入れ。難民の出身国は、シリア、ベネズエラ、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマー、エチオピアなど3000万人。国内難民は、シリア、コンゴ、コロンビア、アフガニスタン、イエメン、ナイジェリア、ソマリア、スーダン、エチオピア、南スーダンなど4570万人。
 2016年現在での武力紛争国は、シリア、イラク、アフガニスタン、メキシコ、ソマリア、ナイジェリア、スーダン、南スーダン、リビア、トルコ、パキスタン、エジプト、コンゴ民主共和国(キンシャサ)、イエメン、エチオピア、ウクライナ、インド、イスラエル、パレスチナ、ミャンマー、ベネズエラ他。
8)日本それも東京で、なぜ夜の街か。
 東京は世界的には、メガポリスと言われ、東京を中心とする川崎、横浜と埼玉および千葉の一部で、人口3400万人とも言われています。そして山谷は無くなったが、横浜の寿町は未だ残っています。スラムは無くなるも、ネットカフェや簡易ホテルが広がり、ホームレスもいます。しかもそのすぐ上に、ぎりぎりで生活している貧困家庭、多くは母子家庭が貧困です。子どもの貧困は、親の貧困です。
 日本でも年間所得が200万円以下の人が、1000万人いると言います。(東京新聞) 
 ホストクラブ、キャバクラ、飲み屋街に働く人たちの実態はどうか。ほとんどが日銭商売で、雇用関係がはっきりしない仕事の人が多く、最底辺の人々だと思います。そこに集中するのは仕方のないことです。ブラック企業や3K職場、ウーバーイーツや出前館しか見つからない仕事。そんな人々の集まる街だから。
 女性の貧困は、キャバクラ、ソープランド、高級デリヘル、パパ活などの「風俗」の仕事しか見つからず、そこに現役女子大生すら働いているのです。女性にはもっと仕事が見つからないのです。奨学金というローンと生活費の為に。
 日本経済も「大恐慌以降では最大の経済危機が来る」という。
9)だから、感染症対策の第一は、仕事を与え、清潔な住環境を確保することです。
 マスクも手洗いも、社会的隔離もエビデンス(科学的根拠)はありません。インフルエンザの流行の時にしましたか?。それなのになぜ世界的に広まったのでしょうか。北欧諸国がなぜ感染症の少ない国なのでしょうか。
 当初飛沫感染だけで、空気感染(エアロゾル感染)はないと言われましたが、実際に中国武漢でのデータではありますし、従来型のコロナウイルスではやインフルエンザウイルスでは空気感染がありますから、おかしいと思っていましたが、やはり最近になり空気感染もあるようです。
10)ワクチンも血漿療法も危険を伴い、重体の人にしか使えません。
 まだ新型コロナウイルス感染症の重症化要因が判っていません。初期の解熱剤やステロイド剤の使用は重症化の危険があります。サイトカインストームも薬や精神的な因子を排除できていません。
 デング熱のように、抗体依存性感染増強(抗体がある方が重症化しやすい)の疑いが消えないのです。まだ不明のことが多い病気です。
11) 世界の不思議とされる日本や韓国、台湾、マレーシアの感染者数、死者数の少なさ。
 それを私は、国内の二重経済のないことと、格差の最も少ない国であることと考えます。
 シンガポールは国外から雇い入れた低賃金労働者が被害に遭い感染者と死者の大部分を占めたため、この中に入りませんが、もう感染しつくして新規には出ないと思います。だから統計上高いですが、現在は日本などと並んで低いです。
 この理由はアメリカの項で述べた、アメリカでは貧困と格差社会の拡大、二重経済の形成があるが、日本ね韓国、マレーシア(それに台湾)は1960・70年代に急成長を遂げ、人口のほぼ全体が資本主義部門へ組み込まれた「成長の奇跡」として知られている。つまり二重経済がなく、かつ格差が比較的に少ないことにあると考えます。
12) 日本特に東京は感染症対策をおろそかにしていました。元々、都立病院は戦前の伝染病院が母体です。それを作ったのは、伝染病に対するパニックを鎮めるためでした。旧都立清瀬小児病院は小児結核療養所でした。国立療養所の多くは結核と精神、それにハンセン病対策で作られました。国民を安心させるためでした。
厚生労働省は伝染病棟を閉鎖し、保健所を減らし、感染症対策をワクチンにすり替えました。ワクチンではなく、隔離病床を残して置くべきだったのです。空床がもっとも費用のかからない状態の隔離病床です。しかし、収入はありません。それを予算削減で無くしました。保健政策の末端を支えていた保健所も予算を削減してきました。日本人の健康と長寿命を支えたのは、末端の保健師たちです。それを減らしたのです。
 その結果が現状です。でも二重経済にならずに済み、まだアメリカほどの格差社会にならず、貧困家庭は1000万人という程で済んでいるから、コロナの広がりも少ないのでしょう。
13) 「世界」12月号「分水嶺」での記事によると、3月の勉強会で岡部信彦川崎市健康安全研究所所長は、「ロックダウンやそれに近い話が出るが、そういうことを強烈にやるとこの病気に対する不安は大きく膨らみ、失業する人だけでなく、絶望感からうつ状態や自殺者が多く出てしまう可能性も考えなくてはいけない。感染症による直接の重症化、最悪の死と、感染症を防ぐためとはいえ強烈な方法によるマイナスの部分とは、天秤にかけて図る必要がある。」と話したという。
14)これからの対策は、母子家庭を始め一人親家庭の経済支援。学生ローンの凍結又は棒引き。貧困者とコロナ対策で職を失った人たちへの経済補償。制限してきた生活保護の拡充。
 コロナ対策の為に打撃を受けたサービス産業への経済補償。
元々緊急事態宣言はすべきではなかったのです。緊急事態宣言による経済的損失のすべての補償を個人と企業にすべきなのです。
15)最後に
 日本はそれだけの免疫水準の高さがありました。それは横浜のクルーズ船の乗船者3711人のデータで見ると、感染率19%、発病率(症状が出たのは)10%、死亡率は感染者の1.8%でした。これは裕福な人の数字ですが、多くが60歳以上で、70歳以上が2000人もいたデータです。この時点で予測がついたはずです。貧困家庭を救済すれば、流行しても重症化を防げることを。病気になっても仕事を休めないか、経済的に医者にかかれない人もいるのです。
 高齢者が危ないのではなく、生活に困った人たちが危ないのです。貧困と過重労働が重症化するキーワードだと思います。


文献
1)F.M.バーネット「伝染病の生態学」1962
2)(感染症の)「温床と化す米国の大都市(American epidemic)」(日経サイエンス別冊2018/10――サイエンティフィック・アメリカン編集部論文)
3)「中国の医療格差と医療制度改革」(環太平洋ビジネス情報2009)
4)「中国の都市化―加速、変容と期待」(富士通総研.経済研究所2016/11)
5)「数理が語る格差拡大のメカニズム」日経サイエンス2020.9月号
6)BBCニュース(www.bbc.com/)所収、英国集中治療全国監査研究センターの統計
7)「コロナと風俗と『貧困女子』」、「困窮する外国人労働者」文芸春秋2020.7.月号
8)「新型コロナと経済危機」特集、週間金曜日2020.5.15.
9)「違う世界に通じる入口へ」アルンダティ・ロイとナオミ・クライン、世界2020.9月号
10)「人間の尊厳と生命権は不可分」、世界2020.9月号
11)ルネ・デュボス「人間と適応」みすず書房
12)ハンス・セリエ「現代社会とストレス」法政大学出版局
13)ヒポクラテス「古い医術について」岩波文庫
14)ブレイディみかこ他「そろそろ左派は<経済>を語ろう」亜紀書房
15)シゲリスト「文明と病気」上・下、岩波新書850
16) ピーター・テミン「なぜ中間層は没落したのか」慶応義塾大学出版会
17) 斉藤幸平編「未来への大分岐」集英社新書
18) 斉藤幸平「人新世の『資本論』」集英社新書
19) リチャード・ウイルキンソン「格差は心を壊す」東洋経済
20) 「世界」9,10,11、12月号収載論文
21) 「文芸春秋」9,10、11月号収載論文
22) 「日経サイエンス」5、8、9、10、11、12月号収載論文
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新型コロナとインフルエンザの同時流行はあり得ません ( 第八報 )

2020-10-15 08:57:36 | 新型コロナ感染症
            新型コロナとインフルエンザの同時流行はあり得ません

   ウイルスの干渉作用で同時に大流行はしません



 第一に、一人の人に関して言うと、二種類のウイルスが同時感染して、同時に体内の同じ場所(呼吸器官や血液中)で繁殖することはありません。
 先行して感染したウイルスが先に繁殖して、後から入って来たウイルスの繁殖を抑制してしまいます。そしてそのウイルスが繁殖を終えると、待機していたウイルスが繁殖を始めます。だから同時に繁殖して同時にそのピークを迎えることはありません。しかし連続して発病をします。その為一部の人は同時に感染して、連続して発病しますが、時間差が出るので新型コロナの流行中には、インフルエンザは大流行には至らないのです。散発することはあるかも知れません。
 
Newtonの11月号には、今年の南半球の冬(7~9月)でのインフルエンザの流行が無かった理由について、一つは新型コロナの感染対策がインフルエンザの予防にも有効だったということ。二つ目は、新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスに「干渉」した結果、インフルエンザの流行がおさえられたというもの、と書かれていました。確かに今回コロナウイルスがインフルエンザウイルスに干渉したことを証明する研究は出ていませんが、過去の経験から当然なのです。今でも新型コロナは南半球でも増え続けていますから、新型コロナ対策がインフルエンザに有効で新型コロナには効果が無いということもおかしな話です。
武漢では115例の新型コロナの患者のうち、5例がインフルエンザにも感染したと言う報告がありますが、時間をおいて感染したことは考えられますが、同時にピークを持って感染したとは言えません。その論文を見てはいませんが、回復後に検査して分かったのだと思います。

 昔、まだ麻疹が流行していた時代に、小児病棟内で麻疹が発生した時や、麻疹による肺炎を起こしたために入院させた時に、麻疹の子は隔離病室に入室させました。そして感染しなくなる時、つまり全身に発疹ができて赤みが取れて色素沈着になった時までは、隔離するか家での外出禁止にして退院させていました。だから他の子に接触する機会がないはずなのですが、その子たちの中にしばしば外出禁止が解ける前に風疹や水痘、おたふくかぜを発病する子が出たのです。
中に一人だけ麻疹の後、水痘にかかり、その後おたふくかぜにかかった子を診ました。麻疹も水痘もおたふくかぜも臨床的に診断が確定できる症状がありますので、潜伏期間の間に感染したとしか考えられませんが、隔離していたのでそれはあり得ません。(そこから判った潜伏期間は最大21日間です。)
 その間に接触していないのに感染したとは考えられず、結論は麻疹で入院する前に水痘やおたふくかぜに感染していたが、先に感染した方が先に体内で繁殖して発病し、その間じっと体内のどこかに潜んでいて、繁殖が終わるとそれに交代して繁殖を始めて発病するとしか考えられなかったのです。二種類のウイルスに感染しても同時に発病するなどということは、私には考え付かないことです。
 もし同時に感染したら、少しでも先に感染した方が発病し、それが治ったら次のウイルスが発病するのです。

 ですから同じ呼吸器官(気道)内で、コロナウイルスとインフルエンザウイルスが同時に繁殖することはないのです。同時に二種類のウイルスが、次々と人に感染して流行すること、つまり同時流行することはあり得ないのです。

 それを証明するのは、例年ですと冬が先に来る南半球のインフルエンザの流行を見て、北半球の流行を予測するのですが、今年の冬が終わった南半球のオーストラリア、南アフリカ、チリでは、コロナが流行し、インフルエンザはほとんど出ませんでした。このことはNewton11月号にも書かれていました。それをコロナ対策がインフルエンザの流行を抑えたと言う見解も出されていますが、それであればコロナウイルスの流行も抑えられるはずですが、抑えられずにコロナの流行は続いています。だから違うのです。

 二つのウイルス感染症の同時の世界的大流行つまりツインデミックはあり得ないのです。

 今の感染症学者たちは、同時流行が起きると騒いでいます。私は新型コロナが流行している間は、インフルエンザの流行は無いと思います。
 もちろん、ウイルスと細菌とは同時に体内で繁殖することはあります。スペイン風邪の時の死亡の原因の多くは、インフルエンザの感染と同時にインフルエンザ桿菌が繁殖し、細菌感染によって死亡することが多かったのです。
 また細菌は、繁殖する体内の場所によって、同時の体内感染はあります。
麻疹、水痘、おたふくかぜなどの全身感染症はウイルスが血液中に入ります。その場合には、同じ血液中では繁殖できません。

インフルエンザワクチンも予防できるほどの効果もありません
 インフルエンザウイルスは呼吸器内でしか繁殖しないようです。まず腸内には、「胃液の壁」と言いますが、強酸性の胃液の中を生きて通過することが困難なのです。胃液の中で生きていられるのはピロリ菌の他はごく少数です。だからほとんどの細菌は胃の中で死滅し、小腸まで通過して行けないのです。だから胃液の壁が出来上がるのが6~8歳と言われており、その年齢以後は下痢をすることはありません。大人では腸内にインフルエンザウイルスもコロナウイルスも、例外を除いては繁殖できません。
 またインフルエンザウイルスの血液中での繁殖も確認されていません。インフルエンザ脳症が起きることもありますが、脳内にインフルエンザウイルスを確認されてはいないのです。確認されたのはインフルエンザウイルスのゲノムの一部でした。それでインフルエンザウイルス脳症の原因として解熱剤の使用が疑われています。もちろんコロナウイルスもその危険性が心配されます。かかったと疑われたら決して解熱剤を使ってはいけません。
 
 それでコロナウイルスも血液中で繁殖できるかどうかが疑われています。もしできなければ、インフルエンザワクチンと同様に、コロナウイルスワクチンも、麻疹や風疹ワクチンのような感染を防ぐ効果は期待できないこととなります。
 それはワクチンをしても、全身状態が悪ければ死亡することもあり得るということです。

 インフルエンザワクチンは、それ程有効性の高いものではありません。厚生労働省もそのホームページではそれを認めています。しかし、表ではそうは言いません。
 それは、今世界では製薬企業がワクチンを製造していて、製薬企業が寡占状態ですので、ほとんどの国の薬を支配しています。メディアつまりテレビ、新聞、インターネットなどの広告を見たら、ほとんどが製薬業界のCMだと判るでしょう。つまり世界のメディアは製薬企業に支配されています。
 昔インフルエンザワクチンは効かないと発言して、翌日インフルエンザワクチンを打つ場面を放映させられたニュースキャスターがいました。(電通などの広告会社を通して製薬業界から圧力がかかったからです。テレビやネットを見ればよく分かりますが、製薬業界は大きなお得意様で広告を止められたら経営が成り立たないのです。)
 
 血液中の抗体を作っても、呼吸器内の感染を防ぐことはできません。気道の粘膜細胞の免疫が必要なのですが、インフルエンザワクチンも新型コロナウイルスのワクチンもそれを期待できません。一部の学者は細胞免疫もできると言いますが、証明はできないと思います。
 期待できるのは、死亡率を減らしたり、入院率を減らすことができるだけです。

コロナワクチンができてもインフルエンザワクチンと同じで、感染を防ぐ効果は期待きませんし、副作用が心配です
 マスコミからはワクチンへの過大な期待が寄せられ、政府は大量のワクチンを買いこむそうですが、阪神大震災の時も、2009年の新型インフルエンザ流行の時も、買い付けたワクチンは大量に余り、一部は廃棄され、一部はメーカーに買い取らせました。2009年の時は国内産のインフルエンザワクチンだけで十分間に合い、海外製のワクチンはすべて余ってしまったのです。しかもその見返りに子宮頸がんワクチンやヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンなどを国内の臨床実験なしに買い入れたのです。

今後、コロナワクチンについても、その効果と副作用について警戒すべきだと思います。
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