黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

福島県いわき市に健診センター兼診療所をつくりました。

2017-07-16 11:12:31 | 健康・病気
いわき市にある市民放射能測定室「たらちね」に
検診センター兼診療所をつくりました。

 今まで、チェルノブイリ原発事故の後もできなかった検診の積み上げを、福島原発事故後の子どもたちを対象にしたいと考えていました。
 チェルノブイリでは、検診の積み重ねをできなかったので、データがありません。その為依然として放射能の影響の計算は、広島と長崎の被爆者での数字を使っています。
 その後の大規模な被曝はないからです。
 チェルノブイリ原発事故後の影響に様々な健康被害が出ていますが、それらはカウントされていませんし、発がんも甲状腺がんしか認められていません。
 私の立場は、アメリカのゴフマン博士、日本の中川保雄氏たちの立場を取り、かつ環境医学のアメリカのルネ・デュボス教授の考え方を取っています。
 それで、ICRPや国際的な原子力関係の機関を批判し、原爆被爆だけでなく、原発事故
被曝のデータを積み重ねたいと考えています。また、現実的に原発事故で被災した子どもたちの健康を守ろうと考えてのことでもあります。
 今、ベラルーシやウクライナの被曝した子どもたちや、更にその子どもたちから生まれた子どもたちの健康被害は広がり、健康な子どもは20%しかいないと言われています。
 福島とその周辺の被災地も、30年後はそうなることが予想され、それをデータとして残すことと、少しでもそういう状況を私(すなわちルネ・デュボス)の理論である病原環境論(適応説)で改善していきたいと思い、いわき市にある市民放射能測定室「たらちね」に健診センター兼診療所を立ち上げました。
 それには、たらちねの監事の木村肇二郎医師(私と共に41青医連慶応支部で戦った親友)、北海道で頑張っていた西尾正道医師とその仲間たちの医師、私の後輩で優れた児童精神科医の渡辺久子医師、献身的に協力してくれた藤田操医師(所長になりました)、島根から応援して下さる野宗医師とその協力医師たち、さらにそれを支えてくれているたらちねのスタッフの女性たち(その中心は鈴木薫さん)、その人たちの協力と支援がなければできませんでした。これから、協力してくれる医師たちを増やして行きます。
 また大人の検診や診療もして行きます。将来は仮設住宅にいる人たちの検診や診療へと広げていきたいと思います。
 今年の6月から始ったばかりですが、これからは福島県にある唯一の被災者特に子どもたちのための健診センターであり、診療所も兼ねています。料金は、日本全国からの個人、企業、団体からの募金と海外からの募金で成り立ち、原則的に子どもは無料ですが、自己負担での検診もしています。そのためいつまで財政的に続くか心配ですが、きっとこころある方たちが支援し続けてくれることを信じて開設しました。
 従来からの甲状腺検診は、土日の出張検診で続けていきますが、平日はたらちねクリニックで行なっています。
 私は、第二と第四の木曜日一日診療と相談、講演に行きます。小児科と心療内科を担当します。子どものアレルギー疾患は治すことができます。環境を変えることで治ります。子どもたちに制限をせずに、のびのびと暮らせることが第一で、その為の保養もあります。経済的に困っている方は、別途ご相談下さい。




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育児とゲノムの話

2017-07-11 15:49:23 | 予防接種、育児法
私の読書の抄録です。少しは判りやすく書いたのですが、まだまだ難しく、大変ですが、興味のある方はお読みください。

 最初は、「遺伝子ゲノムの話」、次は「育児とゲノムの話」です。


  遺伝子ゲノムと病気の話

 最近、ヒトのゲノム(遺伝子)の解明ができたようです。しかし、まだまだ、機能までは判っていず、言わばコンピューターのハードは判ったけれども、ソフトがまだ判らないことが多い状態なのです。でも今後、次第に解明されて行くでしょう。
 よくDNA検査という言葉を使いますが、実際に調べているのは、そのごく一部ですべてではありません。確率的に99%程度になる範囲での検査です。すべてを検査したら、膨大で高額な費用と時間がかかります。ですから、DNA検査をして、違う鑑定が出てもおかしくないのです。
 現実に、あなたのDNA、ゲノムを調べることはできますが、がんの遺伝子を持っていても、環境やストレス対策をすれば発病する訳ではないし、定期的に検査してもよいのですから、まずそれよりも、遺伝的関係のある親族の病気を調べれば、どんな病気にかかるか大体のことが判ります。
 ほとんどの医師は、すべての人が、すべての病気にかかる可能性があると考えていますが、そうではありません。遺伝的素質プラス環境要因で発病しますから、同じ遺伝子を持っていても、発病するとは限りません。それは、あなたしだいです。その遺伝的素質の話をします。

ヒトの体は約60兆個の細胞をもっています。1個の精子と1個の卵子が結合して1個の細胞を作り、それが倍々と分裂して増え、60兆の細胞になってヒトとなります。そしてそれぞれに同じDNAをもちます。生殖細胞(精子と卵子)のDNAは遺伝し、突然変異も遺伝します。体細胞の突然変異は遺伝しません。
 ヒトの卵母細胞は出生時200万、45歳では3万4千個で、毎月成熟して卵子となり排卵します。精子は1回の射精で5億個あり、その約半数は欠陥をもっていますが、何らかの監視機構が働いて欠陥のない1個の精子が受精します。だから普通は正常の精子が受精しますが、監視機構がうまく働かず、欠陥がある精子が受精すると流死産することが多いのです。卵子にも監視機構が働いている可能性があります。そして間違って生まれても乳児期に死亡します。
これが歴史の中で繰り返され、先天性の病気を持った子が生存できるようになってから100年たっても、先天性異常の子の生まれる率は殆んど変わっていません。精子と卵子の欠陥のある細胞をはじき出す監視機構はまだ判っていませんが、その存在が推定され、その働きがうまくいかないのは環境因子によると考えられています。

 ねずみの実験では、密集して飼育されているメスは妊娠しにくく、適度に個体が離れて飼育されていると妊娠します。ヒトの女性の10%が不妊に悩んでいるといいますが、そこには何らかの環境因子(自然環境、社会環境、感情または情緒的環境、ストレス)が作用していることが考えられます。そこを変えようとせずに、人工授精や体外受精やさらには他人の子宮で成育させることをするのは、おかしいと思います。子どもが欲しければ、まず第一に、環境を変えることですし、それが難しければ、養子を貰えばよいと思います。徳川15代の将軍家では養子が少なくありません。

DNAは、体細胞では60億塩基対、生殖細胞では30億塩基対あります。(AとT、GとCが対。詳細略)
細胞分裂のたびに、10億塩基対に1回くらいの間違い、つまり体細胞では6箇所くらいの間違い(突然変異)が生じます。紫外線、放射線、化学物質などの影響を受けて突然変異を生じ蓄積していきます。またフリーラジカルによっても損傷を受けます。体細胞に対しても監視機構が働いていて、欠陥細胞を破壊します。このシステムが免疫系にあります。この監視機構が働かないか、突破された時に病気になります。その原因に環境因子が働いていると考えられています。前述のように体細胞の突然変異は遺伝しません。一代限りです。
生殖細胞1個におきる塩基の置換(複製の際の間違いなどによる)は600万箇所にのぼり、代々子孫に伝えられます。だから代々変化して伝えられています。

遺伝子は環境条件に左右されます。ある種の環境でなら、ある形で発現します。遺伝子は、特定性(発達や環境に左右されない)と可塑性(環境の変化に適切に対応する能力)をもっています。遺伝子と環境は相互に影響しあうのです。
遺伝子は、1世代で100の変異を蓄積しています。
遺伝子発現に、強力な調節システムが存在しています。

アレルギーは10人に一人がもっています。しかし、喘息は生活そのものなのです。喘息の遺伝子候補は15個みつかっていますが、第5染色体上に8、第6染色体に2、第12染色体に2、第11、13、14染色体に各1あります。IgEを構成する二つの部分が、第1染色体の2個の遺伝子によって作られています。最近の研究では喘息遺伝子候補は3個にしぼられ、特に1個が有力だといいます。しかし、遺伝子をもっているだけでは病気になりません。病気の候補生に過ぎないのです。

 遺伝子には、調節領域があり、ここに入力されて遺伝子にオン・オフの情報が入り、出力蛋白質の領域で蛋白質が作られ、蛋白質が出力されて出て行きます。
だから遺伝子は、あるだけでは働かないのです。遺伝子にスイッチが入ると機能するのです。遺伝子にスイッチを入れるのは、外部の環境や自由意志による行動にあります。
ストレスが遺伝子のスイッチをオンにします。その働きをしているのが、ジャンク(がらくた)遺伝子と呼ばれていた、働きの判らない多数の遺伝子と考えられるようになりました。その遺伝子を動かすのが、環境要因(外部の自然環境、社会環境、内部の心理的、情緒的環境、さらに自分の意志)です。

一卵性双生児は全く同じDNAを持つのに、ほとんどの場合、統合失調症、躁うつ病、若年性糖尿病などの遺伝的要因が強い病気に、1人がかかっても、もう1人はかからないのです。
気管支喘息の研究では、一卵性双生児の一人がなった時に、もう一人がなる確率は25%と言われています。他のアレルギー疾患も同じと考えられています。現在先進国の喘息は、人口の10~20%と言われています。現代で増えているというアトピー性皮膚炎も、最大で30%~10%という数字が出されています。調査集団によって違うので、やはり環境要因によって異なるのではないかと考えられます。しかし、最大でも30%で、それ以上はならないですから、誰でもなるわけではありません。
別の双子の研究では、成人病または生活習慣病もそうで、これらはもっと環境因子に左右されています。糖尿病は、遺伝的要因がある人が、体重を増やし過ぎた時に発病します。

遺伝子をもっているとそのまま病気になる場合もあれば、遺伝子をもっていてもスイッチがオンにならないと病気にならないものもあります。また精子と卵子から、遺伝子をもらい、同じものが2個になると発現し病気となり、1個だと発現しないが、ある種の病気に抵抗力を生じるものもあります。(アフリカ黒人の鎌形赤血球症で、マラリアに抵抗力を生じます。アメリカの黒人にも受け継がれています。)
また、ある遺伝子が壊れているために引き起こされる病気があります。
それから、遺伝子のスイッチが切れると病気になる場合もあります。とにかく遺伝子単独で病気を起こしている訳ではないのです。

遺伝子は、発達と環境の要因によって、病気を発現しまる。(これで病原環境説ないし適応説が有力な味方を得ました。)
ゲノムと脳と身体は、お互いにコントロールしています。ヒトの遺伝子のスイッチのオン・オフは外からの作用(ストレスなど)に影響される場合もあります。また、自然にその指令が遺伝子そのものに組み込まれている場合もあります。その場合は、その条件になると自然に遺伝子が切れたり、発現したりします。
ストレスへの感受性の個人差もあります。ストレスが遺伝子のスイッチをオンにします。遺伝子のスイッチを入れる何かが、外部の環境やストレス、自由意志による行動にあるのです。意図的に笑うと幸福中枢が亢進します。だから、笑いは大切です。笑うことによって、幸福感が得られるのです。
行動や社会的地位が、遺伝子の発現に影響を与えるし、遺伝子の形質発現を変化させます。よく、相撲の世界で、地位が人を作ると言います。つまり、横綱になると、自然に横綱らしくなって行くのです。
知能の遺伝子は、環境による刺激が必要です。IQは教育によって変化しうるのです。それには、教育心理学者の実験がありますが、ここでは省略します。ただし、教育する時期が大切なようです。

子宮内の事象の影響は、その後の影響の3倍だといいます。胎教といいますが、実際は母親の精神的、心理的、情緒的、身体的な要素が大きいのです。母親の環境への反応の倍以上に、胎児は反応します。子どもは母親のラウドスピーカーで、母親の心理を拡大して影響を受けます。だから、妊娠後半から乳児期にかけて、母親が恐怖や強い不安の感情をもつと、子どもは臆病になるといいます。私の観察でも、臆病な子は母親がそういう体験をしていることを確認しています。

 ダーウィンの提唱したパラダイム(概念)の3番目の概念は、適応です。進化論学者たちも「進化論も進化する」といいます。しかし、元々ダーウィンは、適応した形態についても述べています。
 遺伝子間では、競争進化があります。性に関しても、拮抗遺伝子があります。ヒトでは(哺乳類や蝿も、他はまた別)男は染色体がXYで、女は染色体がXXです。Y染色体上にある男性になる遺伝子(spy)により男性になるのですが、X染色体上にあるDAXという遺伝子が二つあるとspyに勝ち女性化してしまいます。また性染色体(spy)が駆動して(スイッチが入って動き出すと)男性になるのですが、それが妨げられると女性になります(これらが性同一性障害の一つであるのです)。
 胎盤は胎児にある父親の遺伝子による寄生体と考えられています。もちろん陣痛も、胎児によって起きると考えられています。

 遺伝子は利己的で、全体を考えてはいません。遺伝子同士の競争があります。身体は遺伝子にとっての使い捨ての乗り物なのです。利己的DNAによる、遺伝子の働きの妨害や、先祖返りの変異が起きるのです。
 ヒトでは変異の700回に1回が転移遺伝子によるものといいます。
血液型は、いずれとも相関がないようです。
しかし、遺伝子とも適応とも無関係の揺らぎ(その内に明らかになるでしょう)があるようです。
 血液型と下痢との関係
  A型 ある菌で小児期の下痢
  B型 別の菌で小児期の下痢
  O型 コレラに感染しやすい。また別の研究では、梅毒にかかりにくいようです。
  AB型 コレラに免疫がある程度。
コレラへの耐性は、AB、A、Bの順。
 O型は、僅かだがマラリアに対する耐性があるようです。また癌にかかりにくいように見えます。
マラリアへの耐性は、鎌状赤血球貧血(前述)、サラセミア(地中海貧血)にもあるし、最大で12個の遺伝子の変化で得られます。血友病は「LINE-1」と「Alu」という遺伝性の寄生体が血液凝固遺伝子に侵入した時になるのです。前述のように、鎌状赤血球貧血は変異二つだと致命的で、一つだとマラリアへの耐性をもつのです。

結核への耐性は、2つの遺伝子の変化で得られます。その一つはビタミンD受容体の遺伝子で、これは、骨粗しょう症の罹患性に影響します。
人間の5人に1人は、ABO血液型蛋白質を唾液などの体液に放出できません。この非分泌型個体は、髄膜炎、酵母菌感染、再発性尿路感染(膀胱炎など)にかかりやすいのです。しかし、インフルエンザやRSウイルス(普通のかぜのウイルスで約200種類くらいある)には感染しにくいのです。
ゲノムはわれわれの病理学的な過去が収められた記録です。ゲノムは過去の疫病の歴史が綴られた聖書で、遺伝子にプログラムされています。遺伝的耐性は、あくまでも最後の切り札です。病気に打ち勝つ手段にはいろいろありますが、・・・戦場はゲノムだけではありません。
このことは、人が病気と戦うのにはいろいろな方法があり、それには環境を変えたり、薬やワクチンを使ったり、人の栄養状態やストレスをなくすなどがあり、最後の方法が遺伝的に耐性を作ることであるということです。(これが病原環境論または適応説なのです)
過去に大流行した病気は、その痕跡を後世の人間の遺伝子に残しました。ペスト、麻疹、天然痘、発疹チフス、インフルエンザ、梅毒、腸チフス、水痘などがあります。ゲノムは人類の病理学的な過去が収められた記録というのです。それでかからなくなるか、かかっても軽く済むようになるのです。(私は、現代の若い日本人には、日本脳炎もこの中に入ると考えています)
過去に流行した病気によって、人間に耐性を与える変異ができた反面、犠牲も多く払われました。

 関係が示唆される病気とウイルスなどの関係は
  胃潰瘍        ヘリコバクター・ピロリ  大抵子どもの頃に感染している
  心臓病        クラミジア、ヘルペスウイルス
  各種関節炎      様々なウイルスと
  うつ病、統合失調症  ボルナ病ウイルス(普通は馬や猫の病気)
心臓病などへの遺伝的耐性に個人差があることは証明されています。
ゲノムが感染への耐性にかかわっている可能性があります。

第6染色体が、免疫系の自己を明確に認識し、寄生体の侵入を検知する役割をもち、とてつもなく多様であるといいます。
ヒトゲノムプロジェクトは誤解の上に成り立っています。ゲノムは変化します。ゲノムが変化しないことが前提の現在のゲノム理論は、今後変わらざるを得ず、ゲノムの学問も進化していくでしよう。
生物の身体には繁殖年齢以後は、「老化」という計画的衰退が始まるように設計されています。身体は、遺伝子にとっては使い捨ての乗り物なのです。もちろん、生物に寿命があるのは、雌雄に分かれた生物だけです。
ダーウィンの仮説の一つ「適応の概念」(進化を指す)は、現在は裏付けられたと考えられています。
人間のもつ複雑な適応形態は、いまや自然選択が現実に機能している証拠とみなされています。言語本能もその一つです。
第六染色体上のMHC遺伝子群は、免疫系が自己を明確に認識し、寄生体の侵入を検知する役割をもっています。この遺伝子群はとてつもなく多様なのです。
脳(こころ)と身体とゲノムの三位一体であり、「ゲノム」と「脳(こころ)と身体」とはお互いにコントロールしています。
そしてヒト遺伝子のスイッチのオン・オフは外からの作用に影響される場合があります。

ストレスへの感受性に個人差があります。ストレスが遺伝子のスイッチをオンにします。
遺伝子のスイッチを入れるのが、外部や自由意志による行動です。行動や社会的地位が、遺伝子の発現に影響を与えますし、遺伝子の形質発現を変化させます。行動が生命現象を操るのです。
心臓病などへの遺伝的耐性に個人差があることも証明されました。これは感染への耐性にかかわっている可能性があります。また心臓病は支配力の喪失に起因する症状とも言えます。行動が生命現象を操るのです。

精神が肉体に先立つといいます。心が身体を動かし、体がゲノムを駆動させているのです。脳は遺伝子によって作られ、経験によって修正できるように設計されていることが、遺伝子に記されています。
ヒトの脳は、塩基数は数十億、シナプスは何兆個で、アナログで三次元で、デジタルで一次元になっています。
生まれたばかりの脳は、細胞同士の結合が余分に有り過ぎる状態にあり、生長するうちに多くの結合が失われていきます。脳細胞同士に新しい結合を生み出すプロセスも、古い結合を失うプロセスも「学習」と言えます。不要な結合が弱まる時に、シナプスの結合が失われる時に、関係する脳細胞が死んでいきます。ヒトは一日に100万個の脳細胞を失っています。そうしないと思考できるようにならないのです。
 TP53というゲノムはガン化を止めるスイッチです。DNAにダメージを与えるとガン化します。
 腫瘍ウイルスには腫瘍遺伝子src.があります。これはヒトにも存在します。腫瘍遺伝子の働きは、細胞の成長を促進することで、これがあるから子宮内で成長し、傷も治るのです。その遺伝子のスイッチが一生のほとんどの期間オフになっています。誤ってオンになると「ガン化」するのです。
第一染色体にラクターゼの遺伝子があり、ラクトースの消化をしています。大部分の哺乳類では、幼少期にこのスイッチはオフになります。人間もなります。しかし、変異でオフにせず、ラクターゼの生成がしなくなることがあります。西ヨーロッパ人は70%以上も牛乳を消化できます。大人はラクターゼの少ないチーズは消化できます。牛乳の消化能力を持つ人間の割合が高い民族は牧畜の歴史をもっています。羊や牛やヤギを飼う歴史があります。だから牛乳を飲めない人がいるのは当然であり、すべての人に牛乳を強制するのは間違いです。

遺伝子による疾患(位置的候補遺伝子―遺伝子がある場所がわかっているもの)
 アルツハイマー病        家族性黒色腫        多発性内分泌腺腫症
 マルファン症候群        悪性低体温症
 網膜色素変性症         シャルコー・マリー・トゥース病
 遺伝性非腺腫性大腸がん     ワールデンブルグ症候群
第22染色体長腕にあるもの
 猫の目症候群、 ディジョージ症候群、 統合失調症にかかりやすい形質
 脊髄小脳変性症10
既に同定された遺伝性病因遺伝子
 筋ジストロフィー(デュシェンヌ型)  網膜芽細胞腫     嚢(のう)胞性繊維症
 神経線維腫症   ウィルムス腫瘍   無虹彩症     家族性大腸ポリポーシス
 脆弱X症候群   筋緊張性ジストロフィー        ハンチントン病
 結節硬化症    フォン・ヒッペル・リンドウ病     軟骨無形成症
 若年性乳がん/卵巣がん        多発性のう胞腎  脊髄性筋萎縮症
        
伴性劣性遺伝
 男性は遺伝子を1個もつだけで発病、女性は遺伝子を一対もつ(ホモ接合体)と発病するのでまれ。1万人から10万人に一人
 血友病 (70%は遺伝、30%は突然変異、保因者の女性の息子が発病)
 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(女性の保因者によって遺伝、突然変異率も高い)
染色体異常
 受精時に50%はあり、ほとんどは妊娠と気づかれる前に失われる
 全受胎例の約7.5%にあり、自然流産の50%にある。出産児の0.7%に見られる。
 ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーが生存可能、その他。
多因子疾患(複数の遺伝子と環境因子によって発病)
 口唇口蓋裂、先天性心疾患、無脳症、脊椎分離症、幽門狭窄症、多指症、
 糖尿病(25%は突然変異)、高血圧、慢性関節リウマチ、通風、高脂血症、動脈硬化、統合失調症、がん
新奇性追求遺伝子をもつ人は、新奇性追求の意欲が強い。白人3割、日本人不明。

不安神経質傾向が強くなる遺伝子―s型遺伝子をもつ人は、白人67.7%、日本人98.3%。このことは、別の本では、単独の遺伝子ではなく、遺伝子の回路が、同じ組み合わせを繰り返す回数で決まるとも言います。





ゲノムから見た育児と子ども
                リドレ―「ゲノムが語る23の物語」より
 ゲノム学者の定義は「性格」は個人的、「性質」は普遍的としています。(精神科医は、「気質」は先天的、「性格」は後天的としています。)
適切な育児によって、子どもの先天的な性格を変えることができるといいます。内気な性格、「引っ込み思案」は4ヶ月で見分けられます。(だがそれを少しでも変えたければ、それを言葉に出して子どもに伝えてはなりません。「自分は引っ込み思案だ」と思うとますますそうなってしまいます。)
脳内のいくつか決まった部位の細胞でスイッチが入り、ドーパミンやセロトニンなどの化学物質を出し、それが性格に影響します。例えば、ドーパミンが不足するとパーキンソン病になり、ドーパミンが過剰だと統合失調症になります。セロトニンが多いと強迫観念や神経質になり、セロトニンが少ないと、衝動的傾向を示します。

脳内では刻印つきの遺伝子が活性化しています。まだヒトでは判っていないのですが、マウスでは前脳のかなりの部分(思考を制御する役目)が母親の遺伝子によって形成され、脳の基底にある部分(感情を制御する役目)の大部分は、父親の遺伝子によって形成されるといいます。父親に由来する細胞は、脳内に少なく、筋肉に多いのです。
ヒトとマウスが同じなら、母親の思考と父親の感情に基づいて行動していることになります。ただし、思考や感情が、どのていど遺伝性に由来するかによるのですが。
雌のマウスの母性的行動を決定する遺伝子は、父親から受け継がれます。母親からのものは発現しないのです。
父親が性別を決定します(Y染色体が雄です)。だから父親由来のX染色体が、雌の特性として求められる行動を生み出すのです。
母性的行動は父親の刻印で植え付けられます。

X染色体のどこかに、父親由来のものだけがスイッチオンになる遺伝子があり、他人の感情を理解する能力など社会的適応性の向上を促します。そのため、
① 社会的障害(自閉症、失語症、言語障害)が男子に多い。
② 性差は生まれつき
遺伝子の影響は、人生における学習経験にも影響しあいます。
ゲノムは、自然選択を通じて外界から有用な情報を抽出し、その情報を自らの設計に組み込みます。しかし、一つの変化には何世代もかかります。
ボールドウィンによると、意識の主な働きは、遺伝を通して自然には伝えられないことを「子どもに」学習させることにあるといいます。
生まれたばかりの脳は、細胞同士の結合が余分にありすぎる状態にあり、生長するうちに多くの結合が失われていきます。脳細胞同士の新しい結合を生み出す過程も、古い結合を失う過程も、「学習」と言えます。不要な結合が失われる時に関係する脳細胞が死んでいきます。ヒトは一日に100万個の脳細胞を失っています。そうしないと思考できるようにならないのです。不要な細胞は、ある遺伝子の刺激によって集団自殺するのです。
 以上、断片的に書きましたが、いろいろな本から、病気に関係する部分を抜書きしたためです。
                             文責 黒部信一
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ヒトには、抗体産生の能力がある、 免疫遺伝学の話

2017-07-11 15:41:19 | 免疫の仕組み
 私の知る知識の中で、免疫に関する遺伝学の情報をお知らせします。

その第一は、利根川進さんの理論です。

 「利根川理論」と病原環境論または適応説

  クォーク1987.12「利根川理論のすべて」(平松啓一監修)より

 ワトソンとクリック以来の原理は、「体の細胞にあるDNAの遺伝情報はすべての生命現象の基本、一定不変のものである。肝臓や筋肉など、分化した細胞に機能や構造の違いがあるのは、そのどの遺伝子が発現し、どの遺伝子が発現しないかの違いによる。」
利根川理論は
免疫に携わる細胞がどうやって外敵である病原体をやっつける抗体を作り出すかというメカニズムを明らかにした。
 DNAは生物の体の中で、不変なものではなく、つねに変化し動きまわるダイナミックな存在である。
抗体はあらゆる抗原とそれぞれに対応する。自然界に存在する抗原の数は数億にのぼる。哺乳類ではDNAに含まれる遺伝子はせいぜい数万である。数万の遺伝子から数億の抗体の蛋白質ができる。それは遺伝子が免疫細胞の中で縦横無尽に変化するからである。
抗体の構造
抗体は免疫グロブリンで、他の蛋白質と同じように、20種類のアミノ酸が鎖状に連なったポリペプチドから構成されている。最も基本的なタイプである免疫グロブリンGでは、4本のポリペプチド鎖からなり、このうちの2本の短い鎖をL鎖、長い鎖をH鎖という。それぞれの鎖は可変部と不変部からなっていて、このうちの抗原と結びつくのは、Y字形の先端部分、すなわち可変部(V)である。不変部(C)は、どの抗体でもアミノ酸の配列は一定である。
利根川博士は、抗体のL鎖の可変領域の遺伝子はVとJの二つからなり、H鎖はV・D・Jの3種類からなることをつきとめた。そして、未成熟な細胞のDNAではV・D・J・Cの各遺伝子の断片が、遠く離れて存在しているが、リンパ球が成熟していく過程で、それぞれから一つずつ選ばれて、組み合わさって抗体が作られる事を証明した。これが遺伝子の再構成である。
マウスのDNAの場合、遺伝子のH鎖のV領域の遺伝子は数百個、J遺伝子は4個、D遺伝子は12個ぐらいある。この3種類の組み合わせで1万種類以上になり、さらにH鎖とL鎖の組み合わせがあるから、1億以上の抗体の産生が可能になる。
以上が利根川理論である。
また、最近の研究では、V領域では非常に頻繁に突然変異が起きていることも判った。そのため、人間の体は、限られたDNA情報を使って、無限の種類の抗体を作る事ができる仕組みになっている。こうしてできたDNAの持つ遺伝子情報は、子孫に伝えられ、歴史的に人間は、いろいろな病気が登場しても何代か経つうちに、克服してきたのである。しかし、単純でないのは、病気を起こす細菌、ウイルス、リケッチヤ―などの微生物や寄生虫も、変化していく。
それぞれの生存がかかっているからで、最終的にはお互いに適応しあって、共存の道を選ぶ事によって生き延びていくのである。しかし、うまく適応できない種は、絶滅していく。変化した環境に適応できなければ、種は絶える。
適応できた種は生き残り、できなかった種は滅びていく。人間の歴史はそれを物語っている。そしてそれは、人間と疫病との関係の歴史でもある。
微生物や寄生虫は、生きていくための餌を求めている。



「免疫生物学」より
利根川進
「Ig可変部の遺伝子が、遺伝子断片の組として遺伝され、それぞれの断片はIg分子を構成するポリペプチドの一部をコードしていること」を発見。
 遺伝子断片はDNA組み換えにより、不可逆的に結合され、1本のDNAになり、それが可変部全体をコードする。
 数百の遺伝子断片から、何千ものレセプター鎖ができる。
 二つの可変部をもつ鎖の組み合わせ、結合する際の追加、除去  により、100万レベルの特異性抗原レセプターができる
 各個体には少なくとも1億レベルの異なる特異性をもつリンパ球が存在する。

 免疫生物学と上記の本をお読み下さい。以上は、それらからの私の抄録です。

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ワクチンの同時接種の安全性について

2017-07-11 15:29:24 | 免疫の仕組み
     ワクチンの同時接種の安全性の根拠が薄弱です

 私の知る限りでの、ワクチンの同時接種の根拠について、お話しします。せいぜい二種類の生ワクチンの接種か、経口生ワクチンと不活化ワクチンやトキソイドとの同時接種に関して、安全だとは言われていましたが、それ以上にはありません。
 根拠なくしているに過ぎません。二種類の接種を多数の同時接種に拡大して理解しているのではないでしょうか。

   予防接種の同時接種の理論

 日本では、DPT三種混合とDT二種混合しか、いくつかのワクチンの同時接種をして来ませんでした。その後アメリカのMMRワクチンに啓発されて、日本製のMMRワクチンを製造しましたが、失敗しています。
 故木村三生夫氏も麻疹風疹混合ワクチンならよいが、麻疹ワクチンと風疹ワクチンを別々の腕に同時に接種することはお勧めしないと言っていました。(予防接種の手引き10版)
 その後、新型インフルエンザの流行で世界のグローバル企業にワクチン業界も巻き込まれてしまい、研究者たちも業界と官僚たちに支配されています。

 同時接種が安全であると言う根拠は、

1. 人間の体内、いや血液中で二つのウイルスが同時に繁殖できないこと。
それは、以前に報告されたことですが(どこに載っていたか失念しました)、ある子ども
が麻疹にかかり隔離されていましたが、発疹が消えて治ったと思い退院する間際に、今度は
おたふくかぜを発病したのです。潜伏期間を考えると、入院中に感染したとは考えにくく、
入院する前に感染して、麻疹が治ったら続いておたふく風邪ウイルスが繁殖を始めたと考えられたのです。
 ウイルス性疾患の発疹は、ウイルス(抗原)とそれに対して体内で産生された抗体との、抗原抗体反応の結果生じると、「Infectious of the children」に書かれています。
 発疹が消えることは、ウイルスも消えることを意味していると私は考えます。ウイルスが血液中になくなるから(抗体があれば抗原抗体反応の結果としての発疹が出ますから)、発疹が消えたと考えます。
 それでその後次のウイルスが繁殖したと考えるのです。

2. 同時に接種するとなぜよいのか。
それは、同時に感染すると強いウイルスから繁殖し、次に別のウイルスが繁殖して行くと
考えられます。
確か、アメリカでは当初、いろいろな感染症が流行していたので、ワクチン接種後のすぐあとに別の感染症にかかるよりは、同時に接種する方がよいとのことだったように記憶しています。
アメリカのMMRワクチンは、私の記憶では、麻疹ウイルスの量を減らしていたと思いますが、日本は減らしていません。それで麻疹ワクチン(ウイルス)の影響で免疫力が低下し、続いて増殖したムンプスウイルスの副作用が強く出たことと、もう一つの要因として接種を受けた子どもの免疫状態が低下していたという二つの理由があったと思います。
 つまり、三種のウイルスを同時に接種しても、強いウイルスから次々と繁殖し、時間差をもって抗体が産生されると考えられます。つまり、その間繁殖中のウイルスがいると、他のウイルスはじっとしていて、繁殖が終わると次のウイルスが繁殖します。
 麻疹ウイルスに感染し、治っても免疫状態が低下している時に、次のウイルスを接種すると、そのウイルスの合併症が出やすいが、同時に接種すれば、最初に繁殖したウイルスが繁殖を終えなければつぎのウイルスが繁殖できないからというものです。
 昔の論文か本に書かれていたことです。
 しかし、これは生ワクチンにしか言えません。次々といくつかのワクチンを短い間隔で接種するよりは、同時に接種する方が、そういう理由で、体内では同時に繁殖せず、次々と順番に繁殖し、次々と免疫つまり血液中の抗体が産生されるから、その方が安全であると言う理論なのです。
 しかし、感染局所の細胞免疫に関しては、成立することは証明されていませんし、できないと考えられます。現代では、細胞免疫はツベルクリン反応でしか、証明できません。
 それで液性免疫である抗体産生で代用しているに過ぎません。しかし、ワクチンの専門家と称する小児科医たちは、抗体産生で免疫ができていると称していますが、正確には細胞免疫でないと発病を完全には止められないのです。
 ポリオ生ワクチンは、腸管の細胞免疫を作るので有効であり、ポリオ不活化ワクチンは細胞免疫を作らないので、有効性に疑問が残るのです。
 弱毒化したウイルスの先祖帰りという理論には、私は間違いであると考えます。その証明をして下さい。私の理論の原点のルネ・デュボスは、結核菌を調べて、重症化した患者さんの結核菌と軽く済んだ患者さんの結核菌に違いがないと言う結論を出し、そこから人間の側の抵抗力、免疫に違いがあると言う結論に達して、適応説を唱え、それを私が病原環境論と唱えたのです。
 そこから考えると、明確な証明のない先祖帰りは、仮設でしかありません。
 それと同時に、生ワクチンを接種してもつかないことを、ワクチンの失敗(ファースト・フェイラー)と言っていますが、私の理論では人間の持つ自然免疫が生きたウイルスを接種しても、跳ね返してしまうと考えます。
 注射をしたり、採血した時に、一過性の菌血症が生じ、すぐ消えてしまうことが報告されていますが、それと同じではないかと考えます。それは低年齢で健康な子どもほど、免疫ができない率が高く、最近の報告では水痘ワクチンを定期の1歳から2歳の間に接種すると、抗体産生率は50%前後のため、2回接種するのです。
 水痘ワクチンが健康児に接種を認められてからは、一回接種で5~8%が免疫ができないと言う報告もあり、実際に私の所でも同じ結果でした。
 また、おたふくかぜの研究では、過去に追跡調査をし、四歳までは不顕性感染があり、五歳以上はすべて発症したといいます。確か60数例の追跡調査でした。ワクチンせずに毎年抗体の検査をしたのです。もうそういう研究はできないでしょう。
水痘も四歳頃までは軽く済みます。

3. ウイルスと細菌とは同時に繁殖します。また二種の細菌も同時に繁殖します。
それで、細菌性ワクチンであるヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種に問題が起き
やすいと考えています。特にこれらのワクチンは外国製で日本国内の治験を経ていないまま許可されて海外のデータだけで論議されています。だから添加されたアジュバンドや他の物質の量が多いのではないかと思います。ですから、ヒブと肺炎球菌の二つの細菌性ワクチンは、生菌ワクチンでなくても、同時接種の安全性は保証されていません。
 もしその安全性を保障する理論や根拠になる論文や野外実験のデータを持っていたら教えて下さい。
 前から、ポリオ生ワクチンとDPT三種混合とは同時接種がアメリカでされていましたし、日本でもしてよいと言われていました。それは、ポリオ生ワクチンの生きたウイルスは、当面腸管の粘膜で交替を作ることになり、三種混合は血液中で作用するので、少なくともかなりの時間差を生じますから問題にならなかったのだと思います。

4. DPT三種混合の理論は、百日咳ワクチンのアジュバンドとして破傷風トキソイド
が働いているという訳です。それで単独よりも混合した方が、免疫効果が高いということで、三種混合製剤になったのです。
 もちろん、ジフテリアトキソイドと破傷風トキソイドは、単独でも十分効果があります。百日咳ワクチンの効果を高める為に、トキソイドを混合しています。
 同じ理由で、初期のヒブワクチンには、ジフテリアトキソイドが使われました。その後破傷風トキソイドに変わりました。ですから今のアクトヒブには、破傷風トキソイドが入っています。

5.ワクチンの同時接種の安全性の証明はありません。
  ということで理解して下さい。ただ便宜的に同時接種して、副作用が出なかったと言う個々の少数の報告だけです。しかし、多数のワクチン接種がされて行き、結果的に同時接種の方に死亡例や後遺症の出る例が多いことも明らかになりました。
 
 これを原因が判らないなどとして救済しなかったり、反省して同時接種をやめるようにはなぜならないのでしょうか。

 最後になりましたが、科学史の世界では、麻疹の一度しかすすらないと言うのは間違いと言うことになっています。それは、太平洋の島で航海での交通の時代に、二つの島でそれぞれ40年後と50年後に麻疹が流行し、片方の島では過去にかかった人が再度感染していたと言います。
 また、インフルエンザウイルスに関しては、昔パナマに来て、陸上で流行しているので沖合に停泊して待っていたが、2km以上離れていたのに船上で感染者が出たと言います、曇りの日には、そのくらいは飛んでいくようです。日光下では、2m離れれば感染しません。

 水痘に関しては、私の上司の某小児科医が高齢になり、非常勤で国立埼玉病院に来ていた時に、水痘に感染していたのに、数個の水疱だけだったのに私に言ってくれず、入院していた白血病の子どもの部屋に入ってしまい、その子は水痘になり、亡くなりました。確かにみたら水痘で、帯状疱疹ではなかったのです。全身に僅かに散在していました。
 二度無し病は、間違いで、再感染してブースター効果で、かからなかったということが今では通説になってきましたが、それが正しいと思います。
 また、どこから感染したか判らないように、いろいろな病気の流行が始まります。
 昔から人口が30万人いたら、麻疹は常在していると言われていました。その理由は、もしかして麻疹にも健康なキャリアーがいるのではないかと思います。他のウイルスも同じです。水痘ウイルスが脊髄の神経節に生き残ったり、単純性ヘルペスウイルスが口唇の皮膚粘膜移行部の細胞に潜伏していることなども、それを示唆しているのではないでしょうか。

 科学史の世界に入り、いろいろなことを学びました。皆さんも興味がある方にはお教えします。

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獲得免疫の話

2017-07-10 07:42:24 | 免疫の仕組み
     獲得免疫の話(適応免疫系)

 なかなか分かりやすく書くことができずに、載せていなかったのですが、とりあえず載せておきます。獲得免疫が予防接種の原理なのですが。とりあえず載せたものは、私のメモ的文章でもあるので、専門家はもっとわかりやすく書けるのでしょうが、私にはすらすらとは書けずに申し訳ありません。遺伝子の話は後日載せます。

自然免疫および適応免疫の原理

○多数の細菌が自然免疫を活性化し炎症反応を引き起こします
 マクロファージは細菌を認識し、細菌と結合し、それを取り込んで食べる(貪食する)と共に、サイトカイン(サイトカインの受容体{レセプター}を有する細胞に影響を与える物質)とケモカイン(好中球や単球を血中から遊走させる物質)を分泌します。これらは補体(免疫細胞の補助物質)の活性化によって局所的炎症を引き起こします。
炎症は、サイトカインの感染局所の血管に対する影響の反映です。白血球はサイトカインにより感染巣へ遊走し、感染した局所で作用します。その主な白血球は好中球であり、大量に動員されます。好中球は侵入した微生物を貪食し、微生物を破壊する主たる細胞です。まもなく単球が遊走し、マクロファージに分化します。好中球とマクロファージは炎症細胞と呼ばれます。
炎症反応は、抗原および抗原保有細胞を含むリンパ液のリンパ組織への流入を増加させる一方で、微生物表面の補体と微生物を取り込んだ細胞に誘導された変化は、その微生物の抗原だけに(特異的に)結合する受容体(レセプター)を有したリンパ球を活性化します。樹状細胞は、Tリンパ球に抗原を知らせ(抗原提示を行ない)、適応免疫応答を起こします。

○特殊化した(侵入してきた微生物に対してそれだけに対応する)抗原提示細胞(それが抗原つまり病原体であることを知らせる細胞)の活性化するのは適応免疫を始めるため(誘導の)の最初の段階に必須です。
 未熟な樹状細胞が病原体を取り込むと適応免疫反応(応答)が始まります。樹状細胞はほとんどの組織に定着しており、これがリンパ液によって運ばれて局所のリンパ節へと遊走し、循環しているリンパ球と相互反応します。未熟な樹状細胞は、多数の細菌種に共通した表面レセプター(受容体)を有し、レセプターに細菌が結合すると、レセプターが活性化され、病原体を取り込み、分解します。同時に周囲に存在しているウイルス粒子や細菌などを含む細胞外の物質を、レセプターを介さない機序(マクロピノサイトーシス)により、持続的に取り込みます。樹状細胞の機能は、病原体を取り込み活性化され、リンパ節へと運搬し、Tリンパ球へ提示する抗原提示細胞へと成熟します。活性化した樹状細胞はサイトカインを分泌します。サイトカインは自然および適応免疫応答に影響を与えます。

○抗原により活性化されたリンパ球は適応免疫にかかわる抗原特異細胞のクローンを産生します。

○リンパ球のクローン選択は適応免疫の中心的原理です。

○抗体分子の構造はリンパ球抗原レセプターの多様性があることの問題を示しています。

○発生する各リンパ球はレセプター遺伝子の再編成により特異的なレセプターを生み出します。

○利根川理論「免疫グロブリン可変部の遺伝子が遺伝子断片の組として遺伝され、それぞれの断片は免疫グロブリン分子を構成するポリペプチドの一部をコードしていること。
 第一に、限られた数の遺伝子断片により非常に多様性のある蛋白の生成が可能になること。
第二に、各細胞は異なる遺伝子断片の組み合わせを使うことから、発現される抗原レセプターの特異性は細胞ごとに異なること。
第三に、遺伝子再編成が細胞のDNAに不可逆的な変化をもたらすことから、その細胞を前駆体として増殖する細胞はすべて同一の特異性を有することです。
 こうした組み合わせによる多様性を通して、各タイプの何千もの異なる鎖が組み合わされ、100万レベルの異なる特異性の抗原レセプターが生み出されます。各個体には随時少なくとも1億レベルの異なる特異性をもつリンパ球が存在するといわれています。

○リンパ球の発生と生存は抗原レセプターを介するシグナルに依存しています。

○リンパ球は末梢リンパ組織(リンパ節、扁桃、虫垂など)で抗原に反応して増殖し、エフェクター細胞と免疫記憶を生み出します。

○リンパ球の活性化には抗原とともに他の細胞との相互作用が必要です。
初期に起きる自然免疫系は、非常に重要ですが、多数の病原体がこの系を撃ち破り、くぐりぬけてしまうし、この段階では免疫記憶は成立しません。

    適応免疫の認識およびエフェクター機構

○抗体は細胞外病原体とその毒素を処理します。ですから、細胞内には入らず、細胞内病原体には効果はありません。それで、抗体免疫で、ワクチンの効果を判定するのはおかしいと思います。細胞免疫が必要です。

○細胞内病原体の制御とほとんどの抗原に対するB細胞の活性化にはT細胞を必要とします。

○T細胞は主要組織適合遺伝子複合体蛋白に結合したペプチド断片として外来抗原を認識します。

○2種類のT細胞はそれぞれ異なるMHC分子に結合したペプチドを認識します。
 細胞傷害性T細胞(ウイルスペプチドを結合したMHCクラスⅠ分子を認識し、感染細胞を破壊)とTH1細胞やTH2細胞(マクロファージ内で生存する病原体やB細胞に取り込まれた病原体由来のペプチド結合したMHCクラスⅡ分子を認識する)の2種でこれらをエフェクターT細胞と呼ぶ。

○免疫不全や病原体の作用で特殊な感染症が発症します。

○適応免疫の理解はアレルギーや自己免疫疾患、臓器移植片拒絶の制御やワクチンにとって重要です。

○ワクチン接種は感染予防の最も効果的な方法です。もちろん有効性のあるワクチンです。
その多くは、生ワクチンとトキソイドです。

      第2部 適応免疫応答
 ☆T細胞を介する免疫系
    武装化エフェクターT細胞の産生

○T細胞応答は末梢リンパ組織で抗原提示細胞と出会って始まります。
 適応免疫応答は、局所感染巣ではなく、ナイーブT細胞が常に流れている末梢リンパ組織で始まります。

○ナイーブT細胞は、抗原提示細胞表面のMHC・ペプチド複合体との結合を試しながら末梢リンパ組織内を移動していきます。

○リンパ球の遊走、活性化およびエフェクター機能の発現には細胞接着分子を介した細胞間相互作用が必要です。

○T細胞と抗原提示細胞の最初の結合は細胞接着分子によります。

○ナイーブT細胞のクローン増殖には抗原提示細胞からの抗原特異的シグナルと補助刺激シグナルの両方が必要です。

○樹状細胞は抗原の取り込みとナイーブT細胞の活性化を専門としています。

○マクロファージはスカベンジャーであるが、病原体によってナイーブT細胞への外来抗原提示能も獲得します。

○B細胞は細胞表面の免疫グロブリンに結合する抗原を効率よくT細胞に提示します。

○活性化T細胞はT細胞増殖因子インターロイキン2とそのレセプターを合成します。

○補助刺激シグナルがIL-2の合成と分泌に必須です。

○抗原を認識しても補助刺激シグナルが伝達されない場合、T細胞は寛容状態となります。

○武装化エフェクター細胞へと分化したT細胞はその作用に補助刺激因子を必要としません。

○CD4T細胞の文化の方向(TH1あるいはTH2)は、その後の免疫応答における体液性免疫と細胞性免疫の比重を決定します。

○ナイーブCD8T細胞から武装化細胞傷害性エフェクター細胞への活性化機構は数種類あります。


         まとめ

 適応免疫応答誘導のための決定的段階は、抗原特異的なナイーブT細胞の活性化である。これは、ナイーブT細胞が常に循環しているリンパ組織や臓器で起こる。抗原提示細胞の特徴は補助刺激分子の発言であり、このうちB7.1、B7.2分子が知られている。ナイーブT細胞は、一つの抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ、B細胞の一つ)が、対応する。
 組織樹状細胞は貪食およびマクロピノサイトーシスにより抗原を取り込み、感染刺激により局所リンパ装置に遊走し、そこで成熟樹状細胞となって補助刺激活性を獲得する。樹状細胞はナイーブT細胞を最も強力に活性化する。
 マクロファージは細菌のような粒子抗原を効率的に貪食し、感染由来成分によりMHCクラスⅡ分子と補助刺激分子を発現するようになる。
 B細胞の特徴は、表面のレセプターを介して可溶性抗原を捕捉し、その抗原に特異的なT細胞を活性化することであるが、これには補助刺激分子の発現誘導が必要である。
 3種すべての抗原提示細胞において、感染の存在を知らせる自然免疫機構のレセプターシグナルによって、補助刺激分子の発現が活性化される。
 T細胞は、抗原刺激細胞により活性化されると増殖し、武装化エフェクターT細胞へと分化する。T細胞の増殖と分化は、T細胞増殖因子IL-2と、活性化T細胞上の高親和性IL-2レセプターが結合すると始まる。T細胞性レセプターが抗原を認識しても補助刺激シグナルが供給されないとIL-2産生は誘導されず、T細胞はアネルギー状態なるか死ぬ。このようにナイーブT細胞の活性化には抗原認識と補助刺激分子による二つのシグナルが入ることが必要であるが、この機構は同時にナイーブT細胞が末梢組織の自己抗原と反応して活性化するのを防いでいる。末梢組織細胞は補助刺激分子を発現しないからである。分裂増殖を始めたナイーブT細胞は武装化エフェクターT細胞となる。この家庭は適応免疫応答には欠くことができない。
 ある抗原に特異的なT細胞クローンが増殖しエフェクター細胞へと分化すると、これらの武装化エフェクターT細胞は、特異抗原を発現するあらゆる細胞を標的として作用することができる。エフェクターT細胞は種々の機能をもつが、中でも細胞傷害性CD8T細胞による感染細胞の破壊、TH1細胞によるマクロファージの活性化が重要である。これらはともに細胞性免疫の主体をなしている。B細胞は、TH-1およびTH-2細胞により活性化され、異なるタイプの抗体を産生し、体液性免疫で中心的な役割を果たしている。
武装化エフェクターT細胞の一般的性状
8-15エフェクターT細胞と標的細胞との相互作用は抗原非特異的な接着分子を介して始まる。
8-16T細胞レセプターからのシグナルによりエフェクター分子が標的細胞に向けて分泌される
8-17T細胞のエフェクター機能は、エフェクター分子によって決定される
8-18サイトカインは局所でも遠隔からも有効に働く
8-19サイトカインとそのレセプターはその構造により分類される
    ヘマトポエチン、インターフェロン、ケモカイン、TNFファミリー
8-20TNFファミリーのサイトカインは三量体の細胞表面に結合していることが多い
まとめ
武装化エフェクターT細胞と標的細胞の相互作用は細胞間の一過性の非特異接着によって始まる。T細胞のエフェクター機能は、T細胞のレセプターが標的細胞表面にペプチド・MHC複合体を認識したときのみ発揮される。この抗原認識によって、武装化エフェクターT細胞と抗原をもつ標的細胞の接着がより強固になり、標的細胞に向かって直接サイトカインを分泌し、標的細胞に死をもたらすのである。武装化エフェクターT細胞の抗原認識によってもたらされた結果は、主に特異的標的細胞に接着したときに放出されるサイトカインの組み合わせによって決定される。CD8細胞傷害性T細胞はサイトトキシンを前もって特別な傷害顆粒の中に貯蔵しており、この顆粒の放出は、感染した標的細胞との接触部位だけに厳密に限定されている。サイトカインと、いくつかあるTNFファミリーの膜結合型エフェクター分子は、3種類すべてのエフェクターT細胞によって新規に生合成される。TH2細胞はB細胞活性化因子を発現しており、TH1細胞はマクロファージ活性化分子を発現する。CD8T細胞は膜結合型のFasリガンド発現しており、Fas発現細胞との結合によりプログラム細胞死をもたらす。CD8T細胞はまたIFN-γを生産する。膜結合型分子はその特異的レセプターを発現している細胞のみにシグナルを伝達するが、可溶性サイトカインは局所の標的細胞上のサイトカインレセプターを介しても作用するし、遠隔にある造血細胞にも作用する。サイトカインと膜結合型エフェクター分子の作用は、それぞれの特異レセプターと、CD8T細胞によって放出されるサイトトキシンを介して起こり、これらでT細胞のエフェクター機能をほとんど説明できる。
T細胞による細胞傷害
8-21細胞傷害性T細胞により標的細胞はプログラム細胞死にいたる
8-22アポトーシスを誘導する細胞障害性エフェクター蛋白はCD8細胞傷害性T細胞の顆粒内に貯蔵されている
8-23活性化CD8T細胞および一部のCD4エフェクターT細胞もFasリガンドを発現し、アポトーシス誘導能がある
8-24細胞傷害性T細胞は特異抗原を発現する標的細胞を、順次、選択的に傷害する
8-25細胞傷害性T細胞はサイトカインの分泌を介しても作用する
武装化CD4TH1細胞によるマクロファージの活性化
結核やハンセン病の原因となるミコバクテリア属の細菌のように、マクロファージの食胞内で増殖する病原体は、抗体や細胞傷害性の攻撃を免れることができる。・・・その結果、これらの病原体は、マクロファージの殺菌作用を免れ寄生し続けることができる。しかしマクロファージがTH1細胞により活性化されると、これらの病原体をも排除できる。
8-26武装化TH1細胞はマクロファージ活性化に中心的働きを果たしている
8-27武装化CD4TH1細胞によるサイトカインおよび膜結合型エフェクター分子の発現には、そのmRNAと蛋白を新規合成する必要がある
8-28武装化TH1細胞によるマクロファージ活性化では、殺菌効果促進とともに組織破壊回避のための厳密な制御が必要である
8-29TH1細胞は、細胞内寄生性の病原体に対する宿主の免疫応答を統括している
まとめ
・・・このようにTH1細胞は、ある種の細胞内細菌に対する宿主の防御機構を統合的に制御する役割を果たしている。成人エイズ患者では、この機構が傷害されるため、細胞内感染が重篤な結果にいたると考えられる。

第8章 まとめ
 武装化エフェクターT細胞は、適応免疫応答全般にわたり、不可欠な役割を果たしている。適応免疫応答の始まりは、まずナイーブT細胞が、抗原提示細胞表面に発現された特異抗原と、活性化のための補助刺激分子B7.1とB7.2を認識することである。この抗原との最初の遭遇は、樹状細胞上で起こると考えられている。樹状細胞は感染部位で抗原を取り込んだ後、局所リンパ装置に移動して成熟し、そこで強力なナイーブT細胞活性化能を獲得する。活性化されたT細胞はIL-2を分泌し、IL-2はこれらのT細胞を増殖させ、武装化エフェクターT細胞へと分化させる。T細胞のエフェクター機能はすべて、細胞間の相互作用を介して発揮される。武装化エフェクターT細胞が標的細胞上の特異抗原を認識すると、標的細胞に直接作用しその働きを変化させる物質を分泌する。この武装化エフェクターT細胞の活性化は、抗原ペプチド。MHC分子複合体を介するシグナルのみで誘導され、補助シグナルを必要としないため、どんな感染標的細胞でもその作用を受けて活性化されるか破壊される。細胞傷害性CD8T細胞は、細胞質内寄生性の病原体に侵された標的細胞を破壊して病巣を排除する。CD4TH1細胞はマクロファージを活性化し、細胞内病原体を殺させる。CD4TH2細胞は、B細胞を活性化し、抗体を産生させるために必須である。抗体は、細胞外の病原体に対する体液性免疫応答において重要な役割を果たす。以上のようにエフェクターT細胞は、適応免疫応答で知られているほとんどすべてのエフェクター機構を統制している。
第9章 体液性免疫応答
 ヒトの感染症の原因となる多くの細菌は、体内の細胞外で増殖するし、細胞内病原体もその多くは細胞外組織液を介して細胞から細胞へと感染していく。体内の細胞外環境の防御にあたるのは体液性免疫応答であり、B細胞によって産生される抗体分子が細胞外微生物の破壊を誘導するとともに細胞内感染の拡大を防ぐ。B細胞の活性化と抗体産生細胞である形質細胞への分化は抗原によって誘導されるが、通常は更にヘルパーT細胞の助けを必要とする。ヘルパーT細胞とはB細胞の活性化を補助し得るエフェクターCD4細胞すべてを含むものとする。ヘルパーT細胞の役割はまだあるが略。
 抗体の免疫における役割
 ①ウイルスや細胞内細菌が細胞内に侵入するには、その標的細胞表面上の特異的な分子に結合しなければならない。病原体に対する抗体にはこのプロセスを阻害するものがあり、これを病原体の中和と呼ぶ。抗体による中和活性は、細菌毒素の細胞内侵入の阻害においても重要な役割を果たす。細胞外でぞうしょくする細菌に対して抗体は、主に殺菌能を有する食細胞への細菌の捕捉を促進することによってその防御に関与する。これには二つある。②一つは病原体の表面に結合した抗体分子が、その定常部に結合する食細胞上のFcレセプターによって認識される場合である。病原体の表面に抗体分子が結合することによって、食細胞の食作用が亢進される現象はオプソニン化と呼ぶ。③もう一つは、病原体の表面に結合した抗体分子による補体系の蛋白の活性化である。補体系の活性化によって、補体系蛋白が病原体の表面に結合し、食細胞上の補体レセプターによって病原体のオプソニン化がもたらされる。補体系の他の成分は、食細胞を感染局所へと動員するし、活性化された補体系の最終産物は一部の微生物の細胞膜にあなを開けることによって融解させる。
 このどれが働くかは、産生される抗体のイソタイプ (クラス)によって決定される。
B細胞の武装化ヘルパーT細胞による活性化
 B細胞抗原レセプター(BCR)としての表面(膜型)免疫グロブリンは、B細胞の活性化において二つの役割を持つ。①第一に、T細胞抗原レセプター同様、抗原と結合する゛ことによって細胞内に直接にシグナルを伝達する。②第二に、B細胞抗原レセプターは抗原を細胞内に取り込み分解し、MHCクラスⅡ分子に結合したペプチドの形で再度B細胞表面に戻す。このペプチドとMHCクラスⅡ分子の複合体は、抗原特異的な武装化ヘルパーT細胞によって認識され、その結果産生される蛋白によってB細胞の増殖とその抗体産生細胞への分化が誘導される。一部の微生物抗原は、T細胞の補助なしで直接B細胞を活性化する。B細胞がこのような微生物抗原に直接反応し得ることにより、多くの重要な病原細菌に対する迅速な反応が可能となっている。しかし、抗体分子の体細胞高頻度突然変異やある種のイソタイプへのスイッチには、抗原によって活性化されたB細胞と抹消リンパ組織におけるヘルパーT細胞およびその他の細胞との相互作用が必要である。したがって、微生物抗原のみによって直接誘導された抗体分子は、T細胞の補助によって産生された抗体に比べ可変部の多様性に乏しく、機能的多様性も低い。
9-1体液性免疫応答は、抗原に結合したB細胞がヘルパーT細胞によって誘導され、あるいはある種の微生物抗原によって直接誘導されることにより開始する
 ナイーブな抗原特異的リンパ球は抗原単独では容易に活性化されないということは適応免疫における一般的なルールである。ナイーブT細胞はプロフェッショナル抗原提示細胞からの補助シグナルを必要とするし、ナイーブB細胞は武そうかへるぱーT細胞あるいは微生物成分そのものに由来する補助シグナルを必要とする。
9-2武装化ヘルパーT細胞は同一抗原を認識するB細胞を活性化する
T細胞依存性の抗体産生応答には、同一抗原を認識するヘルパーT細胞によるB細胞の活性化が必要である。これは認識連関と呼ばれる。
ウイルスの外被蛋白のエピトープを認識することによってB細胞はウイルス粒子全体を細胞内に取り込むことができる。細胞内でウイルス粒子は分解され外被蛋白のみならず内部の蛋白からもペプチドが生成され、MHCクラスⅡ分子に会合してB細胞上に提示される。感染に伴ってこれらの内部ペプチドを提示したマクロファージや樹状細胞によってすでに感作されたヘルパーT細胞はこれらのB細胞を活性化し、外被蛋白を認識する抗体を産生させることができる。
9-3自己のMHCクラスⅡ分子に結合した高原性ペプチドの刺激で、武装化ヘルパーT細胞はB細胞を活性化させる膜結合型あるいは分泌型の分子を産生する
 これらの分子はエフェクター分子であり、協調してB細胞を活性化させる。特に重要なエフェクター分子は、CD40リガンド(CD40L)という腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーの分子であり、B細胞表面にあるCD40分子に結合する。この結合は、静止期B細胞の細胞周期への侵入を誘導するのみならず、胸腺依存性抗原に対するB細胞応答に必須の役割を果たす。
9-4イソタイプスイッチにはヘルパーT細胞に発現されるCD40Lが必要であり、サイトカインによって誘導される
 
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