子育てにおいて“3歳神話”という言葉を耳します。3歳までの育児が子どもの成長に決定的な影響を与えてしまうといった意味です。
ただ、3歳までではなく就学前までの親の親身なサポートも、子どもの脳の発達に極めて大きな影響を与えることが、米ワシントン大学の研究で分かったそうです。
同研究を基に、就学前の子どもに対するNGな向き合い方を紹介したいと思います。
■未就学のときに母親の愛を受けた子どもほど脳が成長する
2人目、3人目の子どもができたり、母親自身も仕事に復帰したりすると、なかなか子どもを構ってあげられない時間も増えます。しかし、子どもが学校に入るまでは、ちょっと踏ん張りどころかもしれません。
米ワシントン大学の研究者は127人の子どもの脳を、就学時点から思春期の初期にわたって、異なるタイミングで3回スキャンしたそうです。
その結果、就学前に母親の愛や関心、サポートをたっぷり受けていた子どもほど、子どもの“海馬”と呼ばれる脳の一部の発達が、最大で2倍以上も違っていたと確認されたそう。
“海馬”とは辞書を調べると、
<海馬は空間学習や記憶などに関係している。海馬は長期の記憶を貯蔵しておくのではなく、記憶を一時的に蓄え、他の部位に転送する役割を果たしている>(コトバンクより引用)
と書いてあります。感情を伴った行動にも影響を与える働きもあるそうで。とにかく、とても重要な部分の成長に影響が出てくるということです。
■脳の発達に影響を与える母親の育児スタイルとは
それでは母親はどのような点に注意して、子育てをすればいいのでしょうか?
今回の実験において、研究チームは実験ルームに被験者の母子に一緒に入ってもらい、子どもには魅力的なプレゼントを渡しました。
母親には事務的な作業を与えるつつ「子どもにはプレゼントを開けさせてはならない」と命じます。これは家庭内でもよくある光景……。料理が吹きこぼれそうになっているのに子どもが構ってほしいと騒ぎ立てる、そんな状況ですね。
ストレスを感じる状況下でも子どもを上手に導きながら、課題をきちんと終えられるかどうか、その“育児力”を研究者はチェックして点数化しました。
そのスコアの高いお母さんの子どもほど、成長後に子どもの海馬の発達が進みました。
そう考えると、忙しさに追われながらも子どもが注意を引こうとすれば関心を寄せてあげる、そんな毎日が子どもの脳を育てるためには重要なのかもしれませんね。
以上、未就学児の子どもにどれだけ母親が愛と関心とケアを与えられるかで、脳の海馬の成長が大きく異なるという話をしましたが、いかがでしたか?
筆者の子どもが通う園の先生は、どんな作業をしていても、子どもが駆け寄ってくれば話を聞いてくれています。そうしたプロの技術を家庭内でも参考にしたいですね。