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中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

大映宣伝部・番外編の番外 (99) 田宮二郎/藤由紀子・夫妻

2016年02月08日 | 日記

        

   

   

 

    去年は拙著「スタアのいた季節/わが青春の大映回顧録」の関連で、マスコミの皆さん

    と交流がありました。その中で「アサヒ芸能」の記者の方と色々お話をした時に、近々

    藤由紀子さんの取材が出来そうだとのことで、私なりの思い出話をしましたら掲載され

    た3回3週分の週刊誌を送ってくれました。

    これまで一度も田宮との結婚生活に就いて深層を語ったことが無かった藤由紀子のイ

    ンタービュー記事です。彼女は現在73歳ですが、その美貌は驚くばかり。2年前に軽度

    の脳梗塞にあい少々歩行に障害が残っていますが、聡明な瞳に衰えはなく、語り口調も

    元女優らしく力強いものだったそうです。

 

    田宮の生涯にとって大きな損失となったのは、大映を追われ5社協定によって映画に出

    られなくなったこと、そして遺作となったテレビの”白い巨塔”の出演を無理があったのに

    引き受けてしまった事だと思います」と述べています。

    「不信のとき」のポスター序列で大映ともめた数日前に、そのこととは関係なく永田社長

    が田宮家を訪ねて来て夕食を共にし「田宮を世界で売り出す」と言っていて、色紙に「忍」

    と書き残しているそうで、この事実は初めて知りました。

    トラブルが発生して映画界を追われた田宮一家の苦しみは想像以上だったようで、その

    話の記事を読むだけでも胸が痛みます。しばらくして病が田宮の身体をむしばみ、家庭

    生活が荒れて由紀子さんがどんなに苦しんだかも語られているし、田宮の精神状態が少

    しづつ異常になっていき、それに付け込んだ怪しげな詐欺話に乗っていく過程も生々しく

    痛々しい。一時は妻に対しても殺意を向けたと感じたときもあったそうです。

 

    ただ一つだけ私として書き残しておきたいことかあります。大映退社の経緯ですが、撮影

    所長ともめた田宮はこの件を永田社長に持ち込みます。話し合いの結果、永田社長は田

    宮の言い分を聞いて序列を変えることを了承します。それで田宮が引き下がっておれば

    最悪の事態にはならなかったのを、更に田宮は舟橋東京撮影所長の更迭を強硬に持ち

    出します。

    この更迭要求に人事にまで口を出すのかと永田社長が怒って交渉が決裂、退社騒ぎに

    なったもので、途中で田宮が引き下がるか、それを納める仲裁人がいなかったという悲

    劇です。

    私は田宮の大映退社は絶対に避けられた筈と思っていますので、思いだす度に悲しい限

    りです。(この撮影所長更迭話は記事になっていません)

 

    彼女が松竹から大映に移籍する時に、私がささやかにお手伝いしたことは2013年2月25に、

    結婚後に勝・玉緒夫妻と一緒に九州に来た話は2013年3月4日に、そして大映を追われた

    1968年後半、キャバレー周りをしていた田宮に、私が渚まゆみと一緒に会いに行った話

    2013年4月29日の当ブログに書いていますので、良かったら読み返してください。

    二人が予想に反して?結婚し、世田谷の新居に招待された際に、彼女が好きな天婦羅セ

    ットをお土産に持って行って喜ばれたことや、食事を終えて麻雀を夫婦と一緒に楽しんだこ

    と、後日夫妻からお手伝いさんを頼まれて送りこんだのですが、その子が仕事上でのお手

    伝いと勘違いしていて夫婦を困らせた話しなど、田宮夫妻とは私も色々ありまました・・・。

    田宮二郎は大映退社後とても苦労したようですが、キャバレー周りなどをしながら家族を守

    り、テレビ界で新境地を開き、五社協定の期限が過ぎてからは邦画各社に出演したりして順

    調に見えたのですが、悲しい結末は皆様も詳しくご存知と思いますので割愛します。彼はは

    いま、生まれ故郷である京都の法然院で静かに眠っています。

 

 

 

 

 

 

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13 コメント

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中島様 (タム親父)
2016-02-08 12:00:09
こんにちは。
田宮さんは、私の年代だと「タイムショック」のおじさんというのが最初の認識で、その後映画界のスターであったことを知った、というパターンになるかと思います。スターさんにとっては、ポスターの序列というのは譲れない問題なのでしょうね。田宮さんと丸井太郎さんは、五社協定の犠牲になった方だと思います。五社協定の時代には、各社にいろいろ出演していたのは、劇団の方かフリーの方でしたね。大映を退社してからの不遇時代に、M資金詐欺などにも引っかかったということを週刊誌で読んだことがあります。田宮企画という個人プロダクションを設立したのも、スターさんのプロダクションの中では時期が遅く、タイミングが悪かったということもあるかと思います。ご自宅の庭での幸せそうなスナップも、五郎さんも亡くなった今となっては、非常に切なくて、見るのがつらいです。田宮さんにはもっと長生きしていただいて、よぼよぼだけどガンプレイの時だけ冴える、という老鴨井大介を演じていただきたかったです。

話は変わりますが、一昨日の土曜日、スカパーで叶順子さん主演、島耕二監督の「御身」が放送されたので、早速見ました。これも叶さんの最後の方の作品ですね。放送前の解説で、「細雪」の演技を見て島耕二監督が本作に起用した、といったコメントがありました。退社の真相はいろいろ言われているようですが、もっと活躍できた方だと思います。本作では、好色な宇津井健さんという、普段の役柄からは想像できないような役を見られました。最後にはいつもの誠実な宇津井さんになるのですが、このようなキャスティングを考えた島耕二監督の発想がすごいと思います。

もうひとつ、やはりスカパーで今夜「黒い十人の女」が放送されるので、早速録画予約をしました。ずっと見たいと思っていた作品なので、楽しみです。

田宮さんからかけ離れてしまいました。申し訳ありません・・・。
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おはようございます。 (中島けん)
2016-02-09 13:40:51
タム親父さん

田宮二郎、藤由紀子、叶順子の皆さんは、まだ結婚する前からよく知っている人たちで、
ここに書けないことを含めて思い出が一杯です。でもみんないい人でしたよ・・・。

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中島様 (タム親父)
2016-02-09 13:52:06
こんにちは。返信ありがとうございます。
私はスクリーンやテレビで拝見するだけで、いろいろ好きなことを書き散らしていますが、ご本人たちを実際にご存知の中島様には当然深い感慨といったものがおありのことと思います。お気に障るようなことを書いたら、ご容赦くださいませ。

「御身」を見て思いましたが、背景に写っている都電や、夜行の特急や、OLでなくBGという言いかたや、当時の社員食堂やバーの雰囲気など、昔の作品には当時の文化を記録してあるという価値もあるのですね。新作ばかりでなく、昔の作品もできるだけ見てみようと改めて思いました。
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合掌 (総太郎)
2016-02-09 16:12:20
改めて、田宮さんの御冥福をお祈り致します。 中島様も忸怩たる思いだったと思いますが、田宮さんの退社や雷蔵さんの御逝去がどれだけ大映にとっての損失だったか・・悔やまれてなりません。 大変不幸だったのは昭和の時代は鬱病・心の病で苦しむ方々に対して社会が無理解・未熟で、医学的にも対応が遅れていた事でしょうね・・。 田宮さんや沖雅也さんらが、そうでしたが御逝去後、心ないマスコミ・メディアが異常なバッシングや原因追求を行い、故人の人格を貶めるような報道が御遺族・関係者・ファンの方々をどれだけ傷付けたか・・、憤りを感じます。 現在なら「きっと御病気だったのだろう・・」と察して周囲やメディアも冷静になると思うのですが・・。
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こんばんわ。 (中島けん)
2016-02-10 21:04:40
タム親父さん

私のことはどうかご心配なく。
大映を愛して下さる方たちがここに集い、交流を図る…これが私の一番の願いです。
段々それに近づいてきていると思っています。
「御身」はよく覚えていませんが、紺野ユカも出ていたと記憶していますが、一寸あやふやです。

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こんばんわ。 (中島けん)
2016-02-10 21:08:26
総太郎さん

田宮のことをそこまで思ってくださり、感謝です。
絶対に打開できたトラブルですから残念だし、本当に可愛そうなことをしたと思っています。
大映にいれば病気にはなっていないとも思います。


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中島様 (タム親父)
2016-02-18 09:34:23
こんにちは。
今日発売の週刊新潮に、「田宮さんの自殺の真相」という記事が載っています。読みましたが、どうも眉唾物だと思います。ただ、今まで言われていなかった新説だとは思います。藤巻さんにも少しだけ言及されています。もし読まれる機会がありましたら、ご感想を伺いたいと思います。
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Unknown (中島けん)
2016-02-18 10:08:06
タム親父さん

福岡は明日発売なので、見てからコメントします。

返信する
こんにちわ。 (中島けん)
2016-02-19 12:54:07
タム親父さん

「週刊新潮」見ました。
田宮が我々の想像以上に頭髪のことを気にしていたのは事実です。
死因の一つになったかまでは判りませんが、田宮の気持ちをより暗くした
原因であったとは間違いありません。
頭髪のことは私も何かに書きましたが、やはり田宮は大映を辞めるべきでは
なかったし、退社は止められたのに残念です。
ちなみに序列の件は当時の舟橋東京撮影所の考え方を私は支持しますが、
所長の田宮への説明が悪かったのかも知れませんが・・・。

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中島様 (タム親父)
2016-02-20 09:59:50
こんにちは。コメントありがとうございます。
藤さんの発言のように、ユル・ブリンナーや、大映作品にもよく出演していた石山健二郎さんや、東映の山本麟一さんのように、頭髪のことを気にしない性格俳優を目指すという道があったと思いますが、ミスター日本で、長年主役を張ってきた知的なイメージの田宮さんには、受け入れられないことだったのでしょうね。自殺の一番の原因ではなかったにしろ、大きな要因だったと私も思います。

ポスターの序列といえば、先日見た「黒い十人の女」は、かなりもめそうなほど豪華な女優陣でした。お富士さん、玉緒さん、岸恵子さん、岸田今日子さん、宮城まり子さんと、誰をトップにもってきてもおかしくない顔ぶれでした。紺野ユカさんがこれらの女優さんに交じって、十人の中に入っているのを見て、嬉しくなりました。今度お会いになったら、福島県の1ファンからよろしくとお伝えください。
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