「ガレッジセール」のゴリの監督・主演で好評を博した2016年製作の短編映画「born、
bone、墓音。」を原案に、ゴリが本名の照屋年之名義で監督・脚本を手がけた長編作
品です。
沖縄の離島・粟国島に残る風習「洗骨」をテーマに、家族の絆や祖先とのつながりを
ユーモアを交えて描いて行く内容になっています。新城家の長男・剛が母・恵美子の
「洗骨」のために故郷の粟国島に帰ってきましたが、母がいなくなった実家にひとりで
暮らす父の信綱の生活は、妻の死をきっかけに荒れ果てていました。さらに、長女の
優子も名古屋から帰ってくるが、優子の変化に家族一同驚きを隠せない。久しぶりに
顔を合わせ、一見バラバラになったかにも思えた新城家の人びと。数日後には亡くな
った恵美子の骨を洗う大事な洗骨の儀式が迫っていて・・・。
父・信綱役を奥田瑛二、長男・剛役を筒井道隆、長女・優子役を水崎綾女が演じ、筒井
真理子、大島蓉子、坂本あきら、鈴木Q太郎らが脇を固めています。
最近は邦画の低迷ぶりを嘆いていた私ですが、久しぶりに見応えのある作品に出会い
感激しています。しかも正直言ってそんな素敵な作品が出る筈がないと思っていたとこ
ろから製作された作品なので感動も尚更です。
島の風習・洗骨もよく描写されているし、亡くなった母親が、バラバラになっいた家族の
絆を取り戻させ、融和させて行く道程も、見事に描かれていると感心しました。
演技陣は全ての人が熱演で素晴らしいの賛辞を贈りたいと思いますし、異色の照屋監
督の非凡な才能発揮も驚きながら乾杯です。加えて既存の映画製作者はこの作品を見
て発奮して貰いたいとも思います。