【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】4ー03 郢書燕説 信頼できる外部ブレイン選び ~道理や理屈に反することを最もらしく説明~
ビジネスだけではなく、日常生活におきましても、私たちから「判断」をするという作業を切り話すことはできません。同じ状況においても、人により判断結果は異なります。例え論理思考で現状や状況分析をキチンとできても、また例え思考力の高い人でも、判断の仕方次第でものごとがうまくいくこともあれば、うまくいかなかったり、さらには悪循環に陥ってしまったりすることもあります。
四字熟語の中には、私たちが判断に迷わないように、また迷ったときのヒントを与えてくれたりもします。迷ったときに、答を教えてくれるわけではありませんが、解決の糸口が見つかりやすくなったり、解決の時間を短縮してくれたり、よりよい解決策を見出したり、現状が悪化するのを防いでくれたりと、ヒントを与えてくださる時にはそれにより助けられることもあるでしょう。
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~ 道理や理屈に反することを最もらしく説明 ~
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「郢書燕説(えいしょえんせつ)」とは、道理や理屈にかなわないことをこじつけてもっともらしく説明するという意味です。
「郢(えい)は、春秋戦国時代の楚国の首都で、現代の湖北省荊州市江陵(荊州)のことです。蛇足になりますが、春秋時代の楚という国は、どこへ都を移しても「郢」と称したということです。(四字熟語辞典)
この言葉の語源は、楚の国の首都であった郢(えい)の役人が、ディクテーション(口実筆記)をしているときに、暗くなってきたので「燭を上げよ」といってお付きの者に明かりをつけるように指示をしました。筆記者が、御役人のその言葉を、そのままの言葉で手紙に書いてしまい、それが相手に届けられることになりました。
それを受け取った燕の国の大臣が「燭を上げよ」という言葉をどのように解釈したら良いのか考えました。「燭(しょく)」というのは、現代では明るさ、すなわち光度の単位であります「カンデラ」の原型になっている言葉です。燭光という言葉もありますように、もともとは「蝋燭(ろうそく)」、すなわち「明かり」を指します。
燕の大臣は、「明かり」という言葉から、「知識に明るい人」を指すのだろうと連想しました。そこから「賢人を登用せよ」とう意味にとらえて、国内の賢い人達を積極的に登用しました。その結果、燕の国が以前にも増して益々栄えたという故事が残され、現代にまで伝わってきたのです。
この言い伝えからもわかりますように、もともとの故事には悪いニュアンスはありませんでした。むしろ良い結果を生んだのですが、間違えて書かれた「燭を上げよ」を「賢人を登用せよ」というように、強引なこじつけをしたことから、昨今では余りよい意味には使われないことが多いのです。因みに強引な行動をする時に「我武者羅(がむしゃら)」と言いますが「向こう見ずに、ひたすら突進する」ことを指します。
私事になりますが、経営コンサルタント業やICT(IT)関連企業とのつきあいが長いこともあり、これらの業界には、郢書燕説をぶつ人が多いように思っていました。しかし、最近は、必ずしもその業界に偏重するのではなく、結構いろいろな人にこの現象が見られます。
ある企業の課長さんが、自分の部下のことで悩んでいました。部下のAさんは、一流大学を好成績で卒業し、今もなお自己研鑽を欠かしません。彼が学んできたことに一つが、「自分に与えられた仕事は、百パーセント達成する」ということです。ところが、この会社の場合には、突発事高がしばしば発生し、課長としてはそのたびに誰かにその対応を指示しなければなりません。ところがAさんは、自分の仕事ではないからという理由で何としても引き受けようとしないのです。
たとえそのたびに注意をしたり、説得をしたりしても、自説が正しいと信じ込んでいる場合には、それが誤りであったり、適切な言動ではなかったりすることを気づかせることに苦労します。ところが、往々にして自説が郢書燕説であることに気がついていながら、強引にそれを強調している人の多いのも驚きです。
大変残念なことですが、経営コンサルタントや経営者・管理職の中にも郢書燕説を、言葉巧みに平気でぶっている人がいます。強引なへりくつをもとに郢書燕説をする人もいれば、「曖昧模糊(あいまいもこ)」とした理屈になっていないことを平気で言う人もいます。曖昧模糊という四字熟語も改めて説明するまでもなく、漠然と、ぼんやりした様子をいいます。「曖昧」も「模糊」も同じ意味で、このように同じ意味の言葉を重ねて意味を強調する用法が四字熟語の中にはしばしばできてきます。類語として「朦朧模糊(もうろうもこ)」や「有耶無耶(うやむや)」というものがあります。
このような強引な話方をする人は、経営の専門家の中にもいますので、外部ブレインを利用される経営者・管理職の皆様は、エセコンサルタントに注意しましょう。企業が良くなるどころか、かえって悪くなってしまうかもしれません。
信頼できる外部ブレイン選びができる経営者・管理職こそが、生き残れる時代になって来たのかもしれません。相手が信頼できる人かどうかの判断力を持つことも重要です。この観点では「一諾千金(いちだくせんきん)」という言葉をご紹介しましょう。
この四字熟語は、史記にできてきます故事に見られます。中国の楚(そ)の国にいた季布は、以前は項羽の傘下にいた人です。劉邦が率いていた漢軍を多いに苦しめた武将です。季布は、一旦引き受けたことは確実に実行してきた人で、信義に厚く任侠の人として知られています。そのことから、楚の人々から「黄金百斤を得るより、季布の一度の承諾を得るほうが価値がある」という故事があるほど人でした。(新明解四字熟語辞典)
「一諾」は、承諾し引き受けることをいみします。その一諾が千金(黄金百斤)に相当するということで「信義に厚く、裏切ることのない」という意味で遣われます。いったん承諾したことは千金にも値するほどの重みがありますので、「一旦約束したことは、なんとしても実行なければならない」という教えです。
約束したことは実行しなければならないという、「有言実行」の精神ですが、言うは易く行うは難しの一つと言えます。しかし、これを励行することが、信頼関係を築く得策の一つで、裏を返しますと、これを軽視すると信頼関係は直ぐに崩れますし、その前に信頼関係を築くことすらできません。
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