CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

2月のおススメ盤(工藤)

2012年02月24日 | 音楽
チック・コリアの新譜です。ドイツ・グラモフォンからの発売で、オーケストラとの共演が含まれているので、かなりクラシック/現代音楽寄りかなと思ってました。彼ならそういうアルバムがあっても不思議ではないですから。でも、CD1枚目は現代音楽とジャズの間のサウンドと言っていいオリジナル曲だったし、CD2枚目は前半がスタンダードなどを含むモロにジャズのコンボの演奏、後半がソロ・ピアノで、たぶんインプロヴィゼーションなんだろうな、想定の範囲内ではありました。一番想定外だったのは、完全なクラシック寄りの作品と思わせたドイツ・グラモフォンからの発売だった、ということになります。チックのファンだったら聴いておいて損はないと思います。


The Continents/Chick Corea(P)(Deutche Grammophon)(輸入盤) - Released 2012. Tim Garland(Ss, Bcl, Fl), Hans Glawischnig(B), Marcus Gilmore(Ds), Steve Davis(Tb), Chamber Orchestra, Steven Mercurio(Cond) - The Continents: 1. Africa 2. Europe 3. Australia 4. America 5. Asia 6. Antarctica 7. Lotus Blossom 8. Blue Bossa 9. What's Time? 10. Just Friends 11. Solo Continuum 31 12. Solo Continuum 42 13. Solo Continuum 53 14. Solo Continuum 64 15. Solo Continuum 75 16. Solo Continuum 86 17. Solo Continuum 97 18. Solo Continuum 108 19. Solo Continuum 119 20. Solo Continuum 1310 21. Solo Continuum 1411

(12/02/19)CD2枚組で139分にわたる収録です。7-8、10曲目がスタンダードやジャズメン・オリジナルで、他はチック・コリアの作曲。Disc1になる1-6曲目はオーケストラとの演奏、Disc2はコンボ、ないしはソロでの演奏。ドイツ・グラモフォンというクラシック・レーベルから出ている割には、Disc1も現代音楽の要素も混ざっているかもしれないけれどもチックのコンボの演奏はいつもの彼らのペースを崩してはいないし、7-10曲目に至っては、完全にジャズの世界です。このレーベルとしては珍しく、ほぼジャズの演奏になっているので楽しめると思います。ソロ・ピアノの11曲目以降も、彼のソロを知っていれば、想定の範囲内だと思います。オーケストラとのコラボ、コンボの演奏、ソロ・ピアノとてんこ盛りだけど、彼を楽しめる内容。

(ジャズCDの個人ページ 工藤)

appleJam2月のお宝盤(bb白岩)

2012年02月01日 | 音楽
時代を超えて何時聴いてもカッコいいのがこのラテンジャズというやつ
Poncho Sanchez and Terence Blanchard Chano Y Dizzy!
輸入盤 2011年 USA Concord CPI-33095

日本ではこういうサウンドを言う場合ラテンジャズという呼称の方が通り名ですが、ネイティヴの人々はどうやら Cubano Bop もしくは Afro Cubano Bop と呼ぶ模様です。そのことはともかく、このアルバムはサンチェスとブランシャール(日本での読みブランチャードのフランス読みだそうですが)の二人の新プロジェクト。過去様々なエスニック・サウンドがジャズと融合してきましたけど、ビバップ誕生の後いち早くディジー・ガレスピーが編み出したこのラテン・ジャズほど私達日本人にもMAXに愛されてきたジャズは他に類を見ません。今時は全米でも若い人ほどメインストリーム・ジャズに目覚め始めつつあるそうですが、その意味では最も本物志向でかつ最も先端をいくクリエイティヴな街ニューオリンズからこういった派生系スタイルのジャズに改めてスポットを当てる取り組みは全面的に嬉しくなる出来ごとです。特にテレンスの場合はベーシックなメインストリーム・ジャズをやってもピカイチ、そしてハリウッドのビッグヒット映画のサントラを手がけてもピカイチと、まさに21世紀と20世紀の両方の美味しいジャズをやる天才と感じていて私は大好きな人。かつてマイルスがうんと若いとき、ガレスピーに憧れてジャズの世界に飛び込んだものの、あのハイエナジーな超高域をペットで吹くには桁違いの技術が要ることを知って自身のスタイルを変えたとのこと。そんな逸話も思い出しながら聴くテレンスのラテンジャズは時空を超えて迫るもの有りです。ポンチョ・サンチェスについては全くの情報無しですがまた追いたい人として自分にインプットしました。

bb白岩(appleJam)