CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

appleJam8月のおもしろ盤を聴く(工藤)

2006年08月26日 | 音楽
白岩さんの今回のオススメ盤は何とシングル盤です。2曲収録で、10分ほどの収録時間。聴く方の時間は節約されて楽ですし、今回は1曲目が今っぽい陽気なブルース、2曲目がゴスペルという感じなので(つまりジャズ色はないので)気楽にコメントすることができます。でも、自分の得意ジャンル外なので、恥ずかしいコメントになっているかも知れず、その点はご了承下さい、ということで(笑)。


James Andrews & Friends / New Orleans, New Orleans (2006 USA Self Released) - James Andrews, III(Tp, Vo), Kevin O'day(Ds), Peter Roniger(G), Thomas McDonald(B), John Cleary(P on 2), Bart Ramsey(P on 1), Gina Forsythe(Vln), Tom Fitzoatrick(Ts) - 1, Katrina, Katrina 2. New Orleans, New Orleans

ヴォーカル曲を聴く場合、「ああ、英語(今回の場合)が理解できたらなあ」と思うことがあります。例えば1曲目の「Katrina, Katrina」も、例の大型台風のことを歌ったと思うのですが、2曲目を含めて、陽気なサウンドの部分から出てくる歌詞の哀しみというのをもっと理解したいなあ、とも思うからです。いかんせん私の英語力ではちょっと不足しているなあと感じますが、何回か聴いて、じわじわと心に響いてくるものがありました。特に1曲目は「 Katrina, Katrina 」の連呼プラス歌詞なので、あまり悩まなかったというのもありますが。今回はそれで良しとしようかと思います。トランペッターのアルバムですが、やっぱりヴォーカルがメインです。

ジャズCDの個人ページ 工藤


工藤さんの8月のオススメ盤(bb白岩)

2006年08月23日 | 音楽
自宅では夏場のエアコンを使わないようにしてから早3年。よりによってその頃から35度だとか37度だなどという酷暑の夏になり始めたのではなかったけ?という気もしますけど、一端身体がそれに慣れると平気になってきました。唯一の問題は、深夜0時を過ぎて起きている人がいなくなる田舎暮らしだと、毎夜1時、2時まで灯りが点いていることが近所の噂になるというので妻がそれを嫌がるため、0時以降は窓も閉めてカーテンも閉め切ることから部屋がビニールハウスの中のように暑くなること。上半身裸になって扇風機を強で当たり続けることでなんとかオーバーヒートを防いでいます。そんな生活を続けたせいか、最近はどんな熱帯夜でもいざ寝るぞと決めて布団に横になると、ものの数分で眠れるようになっています。人間の、環境に順応する力って凄いなと感じる瞬間です。

それはさておきまして、今月の工藤さんのお薦め盤はまさに工藤さんの狙い通り、脳天にぐわ~んという衝撃を食らってしまいました。実はチャールス・ロイドはほとんど「フォレスト・フラワー」くらいしか聞いたことがないのですが、こんなにもイメージの豊かな人であること今回の盤で初めて知った次第です。


チャールス・ロイド / サンガム (ECM) Recorded May 23, 2004

Charles Lloyd(Ts, As, Tarogato, Bfl, Afl, P, Per)
Zakir Hussain(Tabla, Voice, Per),
Eric Harland(Ds, Per, P)

例えばアフリカ的なパーカッションとフリーキーなテナーサックスが抜群に相性が良いことはコルトレーン・ジャズで証明済みですが、タブラを多用したワンホーン・ジャズ~それもベースも無し、ピアノもほとんど無しという文字通りパーカッション群だけとの共演でこのようにナチュラルな印象を与えてくれたのは、この盤が私には初めてでした。ナチュラルというニュアンスにはそれがことさらインド風でもなく、純粋にこれがきっとロイド・ジャズなんだと思える成分だけで曲が構成されていることを感じた故でもあります。中でも3曲目の、ひたすらパーカッションが乱打される中をうねっていくサックスが印象的。これはびんびんと体内に染み渡るものがある曲。かと思うとサティ以降のフランスにおける現代的なピアノ曲みたいなタッチのエリック・ハーランドの陰影に富んだ小品(#4.)が登場したりと、中々にメリハリを付けてあります。それにしてもハーランドのこのピアノ曲が抜群のコントラストを生んでいます。7曲目のややどろどろ感を伴うサックスのカデンツァにも魅了されてしまいますが、同じどろっとしたニュアンスでも非常に美的に響くのがやはりロイドの持つ天性の上品さなのかも知れません。とにかくすべてがイマジネーションに富んだ素晴らしいワンホーン・ジャズ。所々ロリンズにも通じるフィーリングがあることにも初めて気が付きました。もの凄く楽しめるアルバムです。

bb白岩(appleJam)


8月のオススメ盤(工藤)

2006年08月08日 | 音楽
発売は4月でちょっと古いですが、ECMで白岩さんのハートを射止めようと(笑)再び画策中です。そんなわけで再びECM作品を取り上げます。

チャールス・ロイドはECMで何枚も作品を残していますが、このアルバムは変則的な編成(基本的にはホーン、パーカッション、ドラムス)でのライヴながら、私の中ではけっこう上位にくるアルバムです。いつもピアノ・トリオとか、通常のクインテット編成などのジャズを好む方たちへの脳天に一撃をくらわすことのできる(かもしれない)アルバムと思いました。まあ、好みは人それぞれなので、こういうのは好きじゃない、という人もいらっしゃるでしょうけれど。とにかくスピリチュアルでエスニックな雰囲気が満載。ドラムスのエリック・ハーランドは本来こっち方面の人じゃなかったと思ったけれど、見事に全体の雰囲気に溶け込んでます。


サンガム/チャールス・ロイド(Ts、As,Tarogato、Bfl、Afl、P、Per)(ECM)
Sangam/Charles Lloyd(Ts, As, Tarogato, Bfl, Afl, P, Per)(ECM 1976) - Recorded May 23, 2004. Zakir Hussain(Tabla, Voice, Per), Eric Harland(Ds, Per, P) - 1. Dancing On One Foot 2. Tales Of Rumi 3. Sangam 4. Nataraj 5. Guman 6. Tender Warriors 7. Hymn To The Mother 8. Lady In The Harbor 9. Little Peace

5曲目を除きチャールス・ロイドの作曲で、再演曲もあり。ライヴ録音。スピリチュアルかつエスニックな雰囲気の演奏で、リズムの2人がかなり強力で活躍の場面も多いです。その異国情緒の世界は1曲目のパーカッションからはじまってロイドが加わっていくサウンドから見い出せます。そしてやや激しいリズムの上をサックスがウネウネと吹いていく2曲目、雰囲気としては2曲目に近いタイトル曲の3曲目、ソロ・ピアノでのしっとりした小品の4曲目、唯一ザキール・フセイン作のピアノの低音ミュートの上をヴォイスが歌い他の楽器が加わっていく5曲目、原初的な雰囲気も持つやや静かな6曲目、スピリチュアルな部分も明るい部分もある7曲目、やや淡々と進行していく小品の8曲目、フルートでの演奏もエスノの感じの9曲目。(06年4月19日発売)

ジャズCDの個人ページ 工藤


appleJam8月のおもしろ盤(bb白岩)

2006年08月06日 | 音楽
今年の夏は台風やハリケーンの被害よりも、世界的に熱波の被害の方が目立っているような気がしますね。ニューオリンズ・サウンドと、ニューオリンズの街とニューオリンズの人々が大好きな者にとって、今年新たなハリケーン被害が無いことが何よりも安心材料ではありますが、熱波でこれ以上苦しむ人が増えることがないよう、心から祈りたいです。

今月ピックアップしました盤は、昨年のハリケーン被害の直撃をくらったトランペッターのジェームス・アンドリュースがジョン・ブッテ等の多数のフレンズを集めて吹き込んだ、まさにハリケーン・メモリアルの2曲入りシングルです。ここ日本でもジェームズ・アンドリュース(James Andrews)と弟のトロイ・アンドリュース(Troy Andrews)の兄弟は彼らがまだ比較的幼く若かった頃から、ニューオリンズのミュージシャンの日常の家庭内を記録したTVのドキュメンタリー番組の主役になっていた経緯があって、その確かな絆を感じさせる姿には当時から胸を打たれていました。弟のトロイがまだトローンボーンを担ぐのがやっとだった4~5才の頃から兄アンドリュースの特訓は開始され、それは家の中だけではなくストリートでブラスバンドに混じっての実技訓練等、全ての面で愛情もたっぷりなら厳しさもたっぷりの本格指導。長いスパンでそれに耐え成長を重ねてきた弟を、今度はステージで自分以上に大切にする兄の様子をここ数年のライヴCDで窺い知り、益々の活動の発展を祈っていた時のハリケーン被害でした。このシングルには弟の方は参加していないようですが、それもすっかり成人した弟を独立した人格と見なして、あとは兄弟それぞれの道を行くのかなと感じています。


繰り返し聴くことで呪文のように染み込んでくるとびっきりのブルースとゴスペルが2曲
James Andrews & Friends / New Orleans,New Orleans (2006 USA Self Released)

ここにあるのはハリケーン「カトリーナ」のイメージ・ソングともいうべき書き下ろしのブルースとゴスペル・チューンが計2曲。シンプルなビートの中、まるでブルースを歌うために生まれてきたかのようなハマリ役のシンガー、カレン・ギャントをメインに計4名のシンガーがフロントに立った「Katrina Katrina」は繰り返し連呼されるカトリーナの名前を聞いているだけで言いようのない複雑な感情が溢れてくるのを抑えることが出来ません。悲しみと勇気と希望と喜び、それらいくつもの感情が一気にない交ぜになって沸騰するのを覚えます。J.ブッテも参加した2曲目のゴスペルも同様で、聞けば聞くほど心の隅々にまで染み込んでくる感覚、寄り添う感じのアンドリュースのトランペットも最高!

bb白岩(appleJam)