CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

10月ピアノ特集第1弾 (工藤)

2003年10月25日 | 音楽

10月は他のオススメCDを国内盤でアタリをつけていますが、まだ入手できないので、ジョン・テイラーのSKETCHソロ・ピアノ集が第1弾。自由(フリー)に弾いている部分もあるのでしょうが、ベクトルは美しい旋律のほうを向いていて、かと言ってそれほど甘口でもないと思います。個性的だと思いますが、いかがでしょうか。



Insight/John Taylor(P)(Sketch 333035)(輸入盤) - Recorded October 17, 2002 and April 29, 2003. - 1. Glebe Ascending 2. Vaguely Asian 3. Between Moons 4. Ambleside 5. Pure And Simple 6. Evans Above 7. Clapperclowe 8. Namasti 9. Everybody's Song But My Own? 10. Field Day 11. Handmade



3曲を除きジョン・テイラーのオリジナル。フリー・インプロヴィゼーションに近い演奏もあるでしょうが、美しいサウンドに心を奪われます。1曲目などは適度に哀愁を含み、かと言って甘くもなくせまります。スティーヴ・スワロウ作の、テクニックの確かさと構築力のある2曲目、しっとり哀愁系の3曲目、カッチリとした雰囲気で展開していく4曲目、クラシックのようなタッチでドラマチックな構成の5曲目、タイトルからビル・エヴァンスを少し意識させる6曲目、急速調の展開でスリリングな7曲目、落ち着いた味わいのある8曲目、ケニー・ホイーラー作の甘さを感じつつ切れ味のある9曲目、浮遊感がありながらキチっとしたふれーずの10曲目、弦を引っかくような特殊なプレイもあって独特の音を出すけっこう自由な11曲目。



ジャズCDの個人ページ 工藤




appleJam 10月の面白盤 二題

2003年10月12日 | 音楽

最近取り扱ってハマってしまったギターものです。
N.O.ローカルの無名の若手ですが、その確かな実力と
センスは半端ではないです。ジミー・レイニーと
ジム・ホールを混ぜた感じ・・・が特徴です。



ニューオリンズ・ローカルの底力を見せつけられるギター・トリオ
David Mooney Trio/ Luckless Pedestrian USA 自主制作盤 品番無し



彼に関しては何の予備知識もなかったのですが、オーソドックス
なメインストリーム・ジャズのギター・トリオとして、紹介せず
には居られない力量とセンスに参ったというのが最大の動機です。
有名曲を達者に弾くだけならアメリカにはゴロゴロ居そうですけ
ど彼の場合はほとんどがオリジナル、もしかしたらこのアルバム
も全曲がオリジナルかも知れません。一聴サテンドールみたいな
上品な小品が多いのですが、ほんとのジャズ好きは実はこういう
地味で渋いのが大好き。何度聴いても飽きないのは強み、実力の
なせる技ですね。



正当派路線のジャズ・ギターで屈指の才能を発見、これは凄い
David Mooney Trio/ In this Balance of Time USA 自主制作盤 品番無し



もう一枚の"Luckless~"との比較では全体的なニュアンスがこち
らの方がアグレッシブな感触が強く、冒頭の曲からしてやられた
という幕開け。全曲オリジナルと明記してありますが、その曲
作りのセンスの素晴らしさがまず出色です。パブロやスティープ
ルチェイスといった70年代くらいのメインストリームジャズを彷
彿とするクリーンかつダイナミックな展開はグイグイと引き込ま
れるものがあります。アルバム一枚を全くテンションが下がらず
に聴けるギタートリオ、決して貴方の期待を裏切らない音がここ
には目一杯詰まっています。



appleJam bb(白岩)




ルイ・スミス氏からの手紙

2003年10月08日 | 音楽

ルイ・スミスさんからの注文がなぜ私に...
今日はその疑問にお答えしましょう。
結論から言いますとデトロイト在住のMさん(千葉県出身)がルイ・スミス夫妻とお知り合いだったからです。
そもそもこのMさんと知り合ったのもネットを通じてでした。
数年前たまたま日本に帰国された時、郷間和緒さん(アルトサックス)のライブがニュー・マミーであることを知って、Mさんは館山まで聴きに来られました。
(郷間さん達の演奏は素晴らしいもので、当地ではいまだに語りぐさになっています)デトロイトにお帰りになってからも、日本でしか入手できないCDを時々ご注文いただくようになりました。
そしてこの夏、ルイ・スミス氏のパフォーマンスを聴きに行ったMさんはスミス夫人から「スミスヴィル」の大量注文を受けたという訳です。
その後、現地のジャズフェスティバルでルイスさんが演奏したときにこのCDがステージ上で紹介されたそうです。そしてあっという間に売り切れてしまったとか...
若き日の業績がCDとして残っているのが誇りなのでしょう、スミス氏直筆のお礼状が届きました。
しかし、本国アメリカで入手できないものが、ここ日本では簡単に買えてしまう。
日本は「ジャズ大国」なんでしょうか?

STEP片桐俊英




9月のオススメCD(工藤)

2003年10月01日 | 音楽

9月の新譜が10枚ほど手許にあるのですが、まだこのアルバムだけしか聴いていません。でも、聴いたら一発でノック・アウトされました。9月はこれで決まり。ラテン・ジャズ(ライヴ)ですが、こんな現代的で楽しくノレるのも、いいんじゃないかと。もちろん、全開のピアノがメインですが、ドラムスが、一人ドラムス&パーカッションを時々やるので、トリオの編成だということを忘れてしまうほどです。



Live At The Blue Note/Michel Camilo(P)(Telarc) - Recorded March 19-22, 2003. Charles Flores(B), Horacio "El Negro" Hernandez(Ds) - 1. Cocowalk 2. Two Of A Kind 3. Hello Goodbye 4. The Magic In You 5. Tequila 6. Dichotomy 7. Twilight Grow 8. Happy Birthday/Blue Bossa 9. This Way Out 10. On The Other Hand 11. Mongo's Blues 12. Thinking Of You 13. At Night (To Frank) 14. Why Not! 15. Silent Talk 16. See You Later 17. And Sammy Walked In 18. On Fire



CD2枚組。ベースとドラムスはキューバ人で、ここではベースがアコースティックなのが特徴。ドラムスもスゴい。大半がオリジナルで、4、7、12、15曲目のような静かなバラードもありますが、けっこうノレる曲が多いです。再演曲は3、8(後半)-10、12、14、18曲目。14曲目「ホワイ・ノット」の再演がうれしい。5曲目 の「テキーラ」はストレートに見せかけて8分の7拍子と変則的。とにかく彼らのラテン・ジャズをノッて楽しんでしまった方が得なのですが、サウンドは楽しいながらも現代的で複雑な部分も。6曲目のように鋭く切れ込んでくる曲もあります。8曲目の「ブルー・ボッサ」はソロ・ピアノで迫力。16曲目はテーマでキメが多し。17曲目もけっこうズッシリときます。18曲目はラストにふさわしい12分台の盛り上がる曲。



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