CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

appleJam 9月のおもしろ盤を聴きました(工藤)

2004年10月27日 | 音楽

私の場合、アメリカのミュージシャンでもヨーロッパで録音しているアルバム(EnjaやCriss Crossレーベルなど)を聴くことが多いのですが、このアルバムを聴いて、うーん、やっぱりアメリカンテイストだな、と思いました。私が普段聴いていないタイプのジャズです。最近のジャズは、変な言い方をすると演奏でも作曲でも頭でっかちになってしまうので、もっとそこから自由になって気楽に聴けるこのアルバムを、つい何回も聴いてしまいます。それにしても、メンバーもスゴいですね。



City Nights/Frank Morgan(As)(High Note) - Recorded November 28-30, 2003. George Cables(P), Curtis Lundy(B), Billy Hart(Ds) - 1. Georgie On My Mind 2. Cherokee 3. Summertime 4. All Blues 5. I Mean You 6. Round Midnight 7. Equinox 8. Impressions



これぞアメリカン・ジャズといった雰囲気で全編進んでいます。オリジナルがなくて、スタンダードやジャズメン・オリジナルが中心なのもミソ。サックスはおおらかに歌っていて、現代的な頭で聴く部分がないのも、モーガンが’33年生まれで、’80年代に30年ぶりにカムバックしたという点で、納得。知っている歌を自由にアドリブフレーズが流れてくる雰囲気で、どの曲もけっこう楽しめます。それを肉体的でもあるけれども、知性も感じられるジョージ・ケイブルスのピアノでサポートしています。気を楽にして、クァルテットならではの露出度の高い、流れてくるアルトサックスに身をまかせてみるのもいいかも。



ジャズCDの個人ページ 工藤




工藤さんの9月のお薦め盤を聞きました。

2004年10月13日 | 音楽

Illusion Suite/Satoko Fujii(P)(Libra)



フリージャズっぽい音は昔に馴染んだ世界でもありますので、苦手ではないのですが、当時はおどろおどろしいフリーキーな音を好んで聞いていたせいか、今回の藤井郷子のアルバムの場合はずっと固まったまま5分経過、10分経過・・・してしまいました。



それでも何とか最後まで聞いたのですが、それで確信したのは、私はやはり凡人だったということです。うぅ、遂に最後までイメージも言葉も浮かんでこず、ここは背伸びは無用、理解出来なかった・・・で勘弁して下さい。ほんとにすみません。



bb白岩 appleJam




appleJam 10月のおもしろ盤

2004年10月12日 | 音楽

台風が去った後も雨が連続して、天竜川の直ぐ側に住んでる身としては毎日が冷や冷やです。水害のニュースを見るたび胸が痛みますが明日は我が身かもという状態で家族とも避難するときどうしようかという話題もしばしばです。とにかく台風はもう22号で終わりにして欲しいですね。



それはさておきまして、今月はインディー系のJay Brabdfordを載せようと息巻いていたのですが、仕入れ数も少なかったでいで在庫がもうラスト1枚、そんな状態で載せても追加がきっと取れないしで、今回は順当にHigh Note新譜を持ってきました。店ではこれを年間のベスト作の一枚に選んでいます。何よりも活きが良くバンドがハジけているのが嬉しいです。



その鮮やかさと白熱ぶりに思わず身を乗り出すゴキゲンなファンキー・ジャズ
Steve Turre / The Spirits up Above (HighNote HCD-7130)



Steve Turre - trombone
James Carter - tenor sax & flute(track4)
Vincent Herring - alto & soprano sax)
Dave Valentine - flute(track3)
Mulgrew Miller - piano
Buster Williams - bass
Winard Harper - drums



ヴィンセント・ハーリング(as)とジェイムス・カーター(ts)との三管で構成したバンド、リーダーのスティーヴ・トゥーレ(tb)を私はこのアルバムで初めて聴くのですが、ダウンビート誌でポール・ウィナーに輝いたのも当然かと思うほど溌剌としたパフォーマンスに心ときめいてしまいました。中でも特に往年のジャズ・メッセンジャーズが甦ったかのような#8Dorthaan's Walk"にはシビれまくりました。何度聴いても飽きない、最高にスリリングな演奏です。全員が相当にフレッシュな気持ちでこのセッションに臨んでいたことが音から手に取るように伝わってきます。手放しで喜びたい一枚、もうすべてが最高!



bb白岩 appleJam




appleJam 8月のおもしろ盤

2004年10月08日 | 音楽

なんだか台風の進路は最悪のコースになりそうです。
F1の日本GPも心配ですが、親戚のお通夜も明日なのでどうなりますか。



Mark Elf/Glad To Be Back



リーダーのマーク・エルフを除くと、いかにもヴィーナス・レコードが出しそうな豪華なメンバー構成です。もちろん私もこの盤を聴くまでマーク・エルフの名前さえ知りませんでした。日本では無名でも、これだけのメンバーを集めてアルバムを出すのですから(しかもセルフ・プロデュース)、きっとそれなりのキャリアがある人なのでしょう。全11曲中7曲が自作曲というのも自信の為せる業と言えます。
特に8、11曲目のスタンダード「恋に恋して」など楽しさに溢れた演奏でウキウキしてきました。とにかく安心して聴けるリラックス盤として万人にオススメできます。



STEP片桐俊英




工藤さんの8月のお薦め

2004年10月06日 | 音楽

またまた週末には台風が来そうで、進路予想から目が離せない日が続きます。
三連休は家でジャズのCDを聴こう!などと身勝手なことを...



Reminiscence/Myriam Alter
ヨーロッパのピアノトリオ専門と思っていた澤野工房から出たクインテット編成の本作は、各楽器の美しい音色が爽やかな印象を残してくれました。
工藤さんの仰る通り、まさに「美しいサウンドや美旋律を基準に聴いている人」である私のストライク・コースでした。
ECMよりは少し人肌に近い温度感ですが、トランペットとサックスが熱く吹いても良い意味で抑制され、破綻のないアンサンブルに安心感があります。
やはりヨーロッパならではのジャズなのでしょう。
ギトギトのハード・バップの合間に、こんなアルバムを聴いてみるのもまた楽しです。



STEP片桐俊英




appleJam 7月のおもしろ盤を聴く

2004年10月05日 | 音楽

秋雨とともにやっと涼しくなってきました。
(個人的にはまだ当分半袖の予定ですが)
夕暮れの訪れもどんどん早くなってきて、音楽を楽しむ夜長の
季節が到来しました。



Darren Barrett / The Attack of Wren



モンク・コンペだったかで優勝した正当派トランペッターというプロフィールは見たことがあったのですが、ダーレン・バレットを聴くのは本作が初めてです。
ウーン、正直言って私にはジャズ的なものが感じられませんでした。
一度も行ったことはありませんが、いわゆる「クラブ」という場所で流れているような音楽なのでしょう。8曲目のようにテレビ番組のバックに流れていそうなメロディアスな曲には魅力を感じますが。
一度従来のネオバップ路線作品を聴いてみたいものです。



STEP片桐俊英




10月のオススメ盤(工藤)

2004年10月05日 | 音楽

今月はいいアルバムが多く、選ぶのに苦労しました。基準としては、明らかに売れセンで誰でもが良いというものは外しているので、なおさらリストアップが難しくなります。



現代で最高峰のサックスプレイヤーが集まって、しかもどの曲も3人が参加して演奏しているアルバム。雰囲気としては’60年代のジョン・コルトレーンのスピリチュアルな雰囲気を出しているような曲が多めで、聴きやすさからするとちょっと遠い場面もありますが、個人的にはけっこうそういう雰囲気も好みではあります。



コルトレーン研究家でもあり直系のようなサウンドのリーブマン、メカニカルでシャープな感じのあるブレッカー、どちらかというとホンワカしたサウンドのロヴァーノと、個性的な3人の集まりなので、そのサウンドの違いを比べるのも面白いかも。リーブマンはソプラノサックスを持つことが多いのですが、4-6曲目は全員テナーサックスなのがうれしいところ。



Saxophone Summit: Gathering Of Spirits/Michael Brecker(Ts, Kaval), Dave Liebman(Ts, Ss, Indian Fl), Joe Lovano(Ts, Acl, Tarogato, African Blackwood Fl)(Telarc) - Recorded January 12 and 13, 2004. Phil Markowitz(P), Cecil McBee(B), Billy Hart(Ds) - 1. Alexander The Great 2. The 12th Man 3. India 4. Peace On Earth 5. Tricycle 6. A Gathering Of Spirits



ジョン・コルトレーンの曲が3-4曲目、あとの4曲はサックスの3人とピアノのフィル・マコーウィッツがそれぞれ作曲。スゴいメンバーです。もちろん個々のサックス・ソロが白眉ですが、アンサンブルの場面も見事。ジョー・ロヴァーノ作で比較的オーソドックスな4ビートの中に3人の個性的なソロが舞い飛ぶ1曲目、マコーウィッツ作のゆっくりめながらも緊張感の漂いまくっているソロとサウンドの2曲目、サックス以外の楽器の出だしでプリミディヴな感じから、本編に突入して原曲風テーマを経て自由に飛翔する3曲目、5分ほどだけれどもスピリチュアルな4曲目、デイヴ・リーブマン作の静かでドラマチック、しかも17分もある5曲目、マイケル・ブレッカー作の、3人の自由(フリー)な合奏でさすがにタイトル曲らしい6曲目。(04年9月22日発売)



ジャズCDの個人ページ 工藤




三日坊主の危機脱出? 工藤さん7月のお薦め盤

2004年10月04日 | 音楽

きのうはいつも暇な時間帯に忙しくなってしまい、公約?を破ってしまいました。これでまたズルズルいくとまずいので、きょうはまずこれを優先してみました。



Morton's Foot/Rahib Abou-Khalil



アラブ音楽では「楽器の女王」とも呼ばれるウードの不思議な響き。
いつか朝日新聞に紹介された記事によれば、ウードはアラビア語で「木」を意味するアル・ウードが語源で、ギターや琵琶、リュートなどの先祖だそうです。アラブ音楽には西洋の12音階と異なり、もっと細かい4分の一や8分の一の微妙な音程があって、この微妙な違いが師から弟子に口伝で受け継がれるということです。
この作品はクラリネット、アコーディオン、チューバ、ドラムスというこれまた馴染みのない楽器構成に「お経」的発声のヴォーカルまで加わり、一般的ジャズ・ファンには拒否反応が出そうなアルバムです。
しかしラビ・ハブ・ハリルはデビュー以来20年以上もコンスタントにアルバムを発表(大体年に一枚のペースとか)しているというから、ヨーロッパを中心に支持者が多数いることもたしかです。
ジャズ云々を抜きにして音楽に耳を傾けると、意外に親しみやすいメロディーとハーモニーで飽きることがありません。なんとなく郷愁を覚え心の平安を感じるのは、DNAに刷り込まれた何かの作用でしょうか。
ちょっと矛盾していますが、世界の広さと狭さを考えさせられました。



STEP片桐俊英




工藤さんの6月のオススメ盤を聴く

2004年10月02日 | 音楽

今日で三日目、なんとか続いてます。



ブレイン/上原ひろみ



いきなりビヨンビヨンの電気的な音が流れてきて怯みました。
デビュー作も録音が売りのTelarcにしてはピアノの音が安っぽくて聞こえてしまい、どうも上原嬢に対しては苦手意識が働いていました。
ところが2曲目になると落ち着いた曲調になり、ユニークな彼女のピアノが楽しめてきました。タイトル曲の4曲目など深い奥行きを感じさせるものがあり、ただ迸るように弾きまくるという先入観を覆されました。静岡の茶畑をモチーフにしたソロ曲は、童謡の一節も引用され親しみやすい佳曲です。
1と7を除けば、あとはオジサンにも共感できる演奏です。
1曲目で投げ出さなくて本当に良かった。



STEP 片桐俊英




本日はappleJam 6月のオモシロ盤を

2004年10月01日 | 音楽

きのうの公約?にしたがって、本日も書いています。



Jim Rotondi / New Vistas



ジム・ロトンディという名前、どこかで聞いたことがあると思ったら、以前「ゴールドディスクを斬る」で取り上げたワン・フォー・オールの一員でした。この盤では柔らかな音色のフリューゲルも吹いています。
またクリス・ポッターのフルートを聴くこともできます。
オルガンとギター、ドラムに2管という編成はファンキーなムードに溢れ、メンバーのオリジナル曲も60年代を彷彿とさせるものがあります。
しかしホットな曲の間にボッサやバラードを挟んだりの工夫があって、熱くなりすぎることなく適度にクールさも感じる作品です。
これは工藤さんが指摘されたように、メンバー全員白人という構成が大きく作用している気がします。個人的にはもう少しクロッぽさがあればモア・ベターなのですが...



STEP片桐俊英