CDショップ(+α)のおススメCD日記

何と、あまり聞いたことのないCDコメントの共同作業、つまりクロスレビューです。(不定期更新)

工藤さんの9月のオススメ盤(bb白岩)

2006年09月20日 | 音楽
昔、といっても90年代の初め頃ですがそれまでの国産ギターから、生まれて初めて念願のギブソンのレスポールを買った日を境に、突然それまでよりかは思った通りに弾けるようになった気がして、やおらカセットの4トラックMTRとベースとマシンドラムとチープなキーボードを買い込み曲作りに没頭した時期がありました。曲作りと言っても、それは単に3コードのブルースを思いついたリフやバッキングでリズムトラックを作っておいてあとから自分のギターソロを落とし込むという単純な話。それでも気分を出すためにあえて弾けもしないキーボードをむちゃくちゃにかき回して何となくオルガンソロ!みたいなパートも挟んでそれらしいインスト・ブルースに仕上げたりするのが楽しかった。当時はまだ自分のバンドなんて夢だと思っていた頃で、その数年後には奇跡的にもバンドが出来てしまうので、結果としてそういったMTRを相手に全楽器を自分で弾いて曲を作るというのを止めてしまったのですが、今日の定休は昔のカセットやMDを整理しているうちに自分でも忘れかけていたそんなMTRブルースの力作を発見しました。当時、休みの日の夕方くらいから曲作りを開始して、何度も失敗を繰り返しながら、遂に全楽器で思い通りの演奏が仕上がったときは既に翌朝の5時くらいで(笑)、ろくに睡眠も取らずにそのまま出勤したりを繰り返していた頃です。如何に念願の楽器が人をポジティブにするかを身をもって知りました。と、こういうとき趣味のページをネット上に持っていると、昔みたいに聞いて、聞いて!などと無理矢理他人にカセットなど進呈しなくても簡単に自己満足に浸れる訳で、全く便利で無害な時代になったものです(笑)。きっと明日はいそいそとその趣味のページに音をupしている自分が居るのだと思います。

また枕が長くなってしまいました。 さっさと本題に移ります!

サウダージス/トリオ・ビヨンド(ECM)
Saudages/Trio Beyond(ECM 1972/73) - Recorded November 21, 2004. Jack DeJohnette(Ds), Larry Goldings(Org, El-p, Sampler), John Scofield(G) - 1. If 2. As One 3. Allah Be Praised 4. Saudages 5. Pee Wee 6. Spectrum 7. Sven Steps To Heaven 8. I Fall In Love Too Easily 9. Love In Blues 10. Big Nick 11. Emergency

今回の工藤さんのアルバムは、まさこれがECM!?と思うくらいホットでファンキーなオルガン・ジャズ。但し同じファンキーでもソウルっぽい方ではなくあくまでもマイルスが開拓した電化ジャズの延長にあるファンク・ミュージックです。もし何も知らずに、これが70年代初頭に吹き込まれたマイルスの一連のCBS音源の一部だといって聞かされたら私はきっと疑うことをしないでしょう。それくらいあの革新的だった時期の70年代電化ジャズ・サウンドをしています。自分がギター好きのせいかディスク2枚ともジョンスコのギターワークに耳をそばだてっぱなしでしたが、ぐっと身を引いて全体を俯瞰する感じで聞くとディジョネットのドラムワークが随所で冴えまくっていることに気づきます。複数のエフェクターの混合効果によるジョンスコのSF的なギターサウンド、うっかりするとジョージ・ルーカスが新作の音響効果監督にジョンスコを指名するのではないかと思うくらいのロボットじみたギターサウンドがやけにカッコいいのですが、あたかもそのロボットのパーツを一個一個ドリルやハンマーで打ち込んでいっているかのようなツボにハマるディジョネットのドラミングはまさにアートの領域です。一方、オレは決してギミックだけのギタリストではないとでも言いたげな、暖かみのあるバラードを弾くジョンスコの姿も有り。ということで2枚を聞き終えてみてから気が付くのですが、形態的には主役に思えたオルガンが意外なくらい印象が薄かったです。もしこの日のオルガンがクラレンス・パルマーやジョニー・ハモンド辺りだったらどんな印象になったのかなと思ったらむくむくと好奇心がもたげてきてしまいました。多分自分がかつてCTI時代のディジョネットを盛んに聞いた時期があったせいかも知れません。それはともかくこの工藤さんオススメのECMのトリオはかなり魅力的なユニットだと思います。

bb白岩(appleJam)