立方体の展開図は11種類ある。「しかない」というべきか。折りたたむとこんなになる。
上が2次元で下が3次元。いわずもがなのことである。
こういった単純なモデルで説明すると、人間が自然に認識しているのが3次元だということがよくわかる。「(2次元)図面」というのはあくまでも、3次元で表す方法がなかったためにつくられ、それしかないので2次元でものを考え、2次元的な方法で伝えるようになり・・・といったところだろう。
ひと月ほど前だったと思う。ゆえあって、中学校教科書をいくつか見させてもらった。そのなかの数学、T社の教科書をパラパラとめくると、その教科書の右上には、パラパラマンガが描かれていた。
今どきの子は、「自分でパラパラマンガを考え、自分で描き、自分で楽しむ」、といった授業中のひそかな楽しみまで「与えられている」のか!
と思わぬでもなかったが、それよりも、「立方体を展開する」というその内容に、「ほほ~」と感心してしまったのだ。
なにがってアナタ。その順序は、まず最初に立方体の3Dモデルがあり、ページをパラパラめくると、それが徐々に展開されて、終いには2次元の展開図になり、また徐々に立体に戻る、というものだったのだ。
考えてみれば、至極あたり前だ。世の中一般では、「まず2次元から」ということはまずない。2次元図面は、あくまでも3次元のモノを表現するための便法なのである。
だが、わたしたちの仕事は、「まず2次元から」が普通なのだ。だから、このパラパラマンガをわたしが作ったとしたら、まず最初は平面展開図であり、ページをめくるとそれが徐々に立体になっていき、終いには3次元モデルになり、また徐々に2次元に戻るという順序になったはずだ。
「ああね、やっぱりね」。
自分たちの「ふつう」は、一般的に「ふつう」ではない。わたしたちは訓練を積んだ技術屋なのだ。
とはいえそれは、今さら気づいたことではない。何年も前から、わたしはそう言ってきた。「図面でわかってもらおうとするのは、技術屋の独りよがりなんだよ」と説いてきた。3Dモデルの必要性を感じ始めたのも、元はといえば、そのことによるコミュニケーション不足を解消したいという思いが発端だった。
中学生向けの単純なパラパラマンガで、3Dモデルによる「見える化」を通じてコミュニケーションを図る必要性をあらためて感じたオジさん。
あくまでも、わたしの考える「CIM(のようなもの)」は、大げさなものでもなんでもなく、そのような類のもの。
ネタはどこにだって転がっているのである。
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