ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

戸隠の紅葉伝説

2010-10-30 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「ねぇ、どうして紅葉、狩っちゃうの?」紅葉は獲物じゃない!と言うもんだから、
義経「あぁ?そうか…狩りって熊とか野兎とか獲物仕留める時に使うよな…。それはだな、えぇーと、子供の疑問ってなんて素朴で…超難問なんだ」うぅーんと返答に窮していたら、
ポンと鼓を静かに打ち鳴らし、
初音「その昔、戸隠村に美しい女がおりました…」ポポンと鼓を打って、
楓「その女の名は紅葉、身分高い男性の子を宿し、都を追われて戸隠に流されたのでした」
紅葉は子を出産したら再び都での華やかな生活を送れるだろうと思い、ひっそりと身を隠すように暮らしておりました。そんな事情を知った村人たちは身重の紅葉に精が付くようにと米や野菜を届け、また紅葉もお礼にと村人の怪我や病を祈祷術で癒し、琴を奏でては村人の心を慰め、日々平穏に暮らしおりました。しかし、その呪術の噂を聞いた盗賊 鬼武(おんたけ)は紅葉をそそのかし、盗賊の頭領に仕立て上げ、強盗略奪を繰り返しました。
盗賊 鬼武、紅葉の出産の話を聞きつけた都の者たちは紅葉の逆襲を恐れ、時の天皇 冷泉帝が紅葉の討伐の勅命を下しました。押し寄せる討伐軍を見て、紅葉は生まれた我が子の命を守るために戦う決意をするのです。心に潜む第六天魔王を目覚めさせ、さらなる力をもってして抵抗するのでした。紅葉は羅刹悪鬼となり、必死に我が子を守ろうするものの北辰の神 北向山に座する観音の神通が具わった降魔の剣により力封じられ、討伐軍頭首に首を切り落とされました。紅葉の便女 おまんの方は善光寺の御仏前で自ら首を落とし、その魂を鎮められました。紅葉をそそのかした鬼武盗賊一味も捕らえられ、紅葉討伐は終わりました。
討伐軍の頭領 平 維茂(これもち)は思うのです。
誰の心にも秋の冷たい北風が吹く。風に心乱され、ざわめき、紅葉の心と葉は揺れる…。

頼みつる 北向山 風さそひ
あやし紅葉は とく散りにける

美しい紅葉の手を赤く染めさせたのは誰でもない己の心だ。己が紅葉を狂わせた。秋の頃、紅葉(こうよう)を見れば思い出す、必死に子を守る紅葉の涙と手が血で滲んでいた事を…。

初音「(能の)演目『紅葉狩』(脚色付き)です」ポンポンと鼓を鳴らして、話を終えた。
楓「これが紅葉を“狩る”と言われる由縁です。母の涙を宝玉に変えても、決して血の涙に変えることがないように…と祈られた戸隠 鬼無里(きなさ)の紅葉伝説…」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。