ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

最重要危険人物

2011-10-15 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
能子「え…」もたれ掛かって来た匠君が熱くて、そっと彼の額に手を当てた…「熱が、」
雪崩のようにズルズル落ちる彼を支えて、斎藤さんに「お願い、縄を解いて。熱があるの」
斎藤「ふん」グイッ、掴んだら、
匠「ブッ」歯を飛ばしてきやがった。
斎藤「このッ」右目瞼に当たって…「やろっとッ!?」思ったら、
能子「止めなさいッ」殴り掛かる彼の腕を止めた「お医者様を呼んで。私たち、逃げないわ」
斎藤「逃げられない、の間違いでは?」ス…掴んだ手を放し、小僧を、ドタッ、落とした。
能子「匠くんッ」を…「ひッ!?」ゾクッ
折れそうな細い首にそっと手を当てて、斎藤「クッ」と顎を引いた。
能子「…」その、首を舐める様な手と、
斎藤「噂通りの…、御方ですね」満足そうな笑みに、寒気を覚えた。
私の首からすぅ…と手を放して、匠君の縄を刀で切った。血の付いた歯を拾い、部屋を出た。
能子「匠君…」を“池田”と呼んだ?池田さんの顔見知り?で、この傷?「ひどい…」
まるで、サンドバッグ…弄ばれた人形のようで、また、ゾクッと悪寒が走った。
斎藤という男に舐められた、その手の感触が首に残って、這うようで、恐怖すら覚えた。
そして、直感的に“私たちにとって”とても危険な人物だ思った。
池田さん…兄たちに知らせないと…でも、匠君を抱いて「どうしよ…私たち、逃げられない」
歯を仕舞って、上に報告っと、兼雅「…なら、ここに行け」と、ある料亭の地図を渡された。
斎藤「ここは…」
兼雅「名医がいる」一つ、賭けだ「呼んで来い」
その料亭では、キキッ、
賀茂女「義経さんッ!」火鷹ちゃんを腕に乗せ、走ってきた。
義経「どうした?」
賀茂女「匠君が、戻って来ないの」
池田「え…」
義経「能子を、追って…たのか?」
賀茂女「火鷹ちゃん、夜目が利くからって…」
松殿「捕まったな」くくッと笑って、
池田「ッ…」俺を見た。
義経「松殿…しばらく、特別室で休んでてもらお…」パタパタ、パタパタ…「と!?」