ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

静御前

2010-05-21 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
冬に入り雪深い吉野山での出産は「えらかろう(辛いやろ)…」と親身になったつもりで声を掛けた。しかし、真相は吉野山を離れ山岳修験地の女人禁制区 大峰山に潜伏先を変える算段をしていたのだ。したがって、静には山を降りてもらいたかったのだ。
義経「ごめん…静」と、申し訳ないと思いつつ、忘れ形見に[手鏡]を渡し、出産費兼産後and養育費の財宝ゴソっと付けて護衛数人付けて山を降りてもらったが、後にこれが間違いだったと気づく。護衛はコソッと盗人となり、静に渡した財宝をごっそり持って行って姿をくらました。マタニティー静は山中に放置され、頼朝の家臣に捕まった。さらに義経らの吉野山潜伏がバレた。吉野山から離れることを余儀なくされた義経一行だった。不運は続いたかのように見えたが何となく守られているようで難を逃れた義経一行だった。
しかし、静の子は不運だった。捕らえられたマタニティー静は鎌倉に送られ拘束された。それから頼朝から二つの事を命じられた。
一つは、出産は許すが「男子なら海に投げ入れよ」
もう一つは、北条政子とその娘 大姫がどうしても「日本一の白拍子の舞を見たい!!」と熱望しているので、源氏氏神(うじがみ)「八幡神」祀る鶴岡八幡宮の能舞台で「奉納舞を頼む!」ということだった。そんな理不尽な命令に抵抗して見せる負けん気の強い静で、目に涙を溜めて、白拍子の意地を見せた。奉納舞で「愛しき人への思い」と「繰り返される歴史の哀しさ」を歌ったのだ。

吉野山 峰の白雪踏み分けて
入りにし人の後ぞ恋しき

しずやしず しずの苧環(おだまき)繰り返し
昔を今に成す良しもがな

しずとは、身分の低いものが着る賤(しず)布であり、しずの糸を巻くおだまきと自分とかけて、身分の低い自分を愛した義経への思いと哀しい歴史を繰り返そうとしている頼朝に向けて歌ったものなのである。かつて伊豆に配流されていた頼朝。そこで知り合った女性との間に一子誕生していたが、当時 平家全盛期で、流罪人 頼朝との間に生まれた子は頼朝の目の前で川に投げ込まれたのだ。
この時味わった哀しみを今度は静に向けて要求した。