ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

郷御前

2010-05-17 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
4年ほど前、郷(さと)が嫁いだ日、初顔合わせの挨拶で
郷(さと)「御前(おまえ)なんて呼ばれるのは嫌よ!郷(さと)ちゃんって呼んで!」と義経や家臣らに頼んで来た。
弁慶「さ、さとちゃん!?」と目を丸くし、
家臣「…」と目が点となり、固まっていた。
義経「ちゃ…ん?」と彼女を訝しく思った。
時代を遡って呼称に付いて調べると、近代に入って妻が夫を敬い「御前(おまえ)さん♪」と呼ぶようになり、江戸時代では「ちゃん」という呼称は「おとう(父)」のことだった。さらに平安 鎌倉時代においては身分の高い方の呼称として御前(ごぜん)と呼ばれていた。
郷御前は義経よりも身分が高い女性だったのだ。武蔵国河越(現 埼玉)の最大勢力の豪族だった河越家から京にいた義経の基に“頼朝の命”により嫁いで来た女性で「京姫(郷姫・きょうひめ)」や「北の方」とも呼ばれていた。
しかし、郷(さと)本人は身分の上下を表す呼称で呼ばれることが好きではなく、慣れ親しんだ故郷 武蔵国河越松郷村の郷(ごう)を親しみ込めて?「郷(さと)」と呼び、その後に「ちゃん」と言う二人称をつけて呼んで♪と頼んできたのだ。しかし、義経たちにとって「ちゃん」という二人称は始めての呼称だった。当初「頼朝がスパイするため嫁を送り込んできた!」と家臣共々騒いでいた。そのスパイスの効いた?馴れ馴れしい態度に何か“意図”があるのでは?嫌疑をかけた。が、どうも違うようだった。本気で思いっきり天然素材でスパイスを意図的に調合してない天然の嫁で嫌疑が晴れた。その後、義経と仲睦まじく、史書上では、義経の高館での自刃で最期を共にした女性となっている。
そんな郷(さと)は、故郷 松郷の精霊?妖怪?の話をよくしていた。後にジブリ作品代表作となる「トトロ」のことである。
※ちなみに、筆者である私 松郷は、トトロや精霊や妖怪とは一切無関係で普通の松郷である。
郷「ねぇ、よっしー(義経)、聞いて!松郷ってね、猫バスが通るの!でねっ、雨宿りしてたら、トトロが隣に来て、バス停で一緒にバスを待ってくれるのぉ!ほら、バス停に[松郷]って書いてあるでしょ♪」とトトロのアニメを見せてくれた。※「トトロ」参照。
義経「バス停?松郷?トトロ?」アニメーションの展開が速く、[松郷]という文字を見逃してしまった。どうしてそんな細部まで目に映るのか?その眼力に敬服した。
このようにして、郷は時おりカタカナ言葉を使う。何かの呪文か?陰陽師か!?と疑ったが、そんな立派な陰陽師ではなく、ただアニメと漫画と絵本が好きなだけだった。